Vメント・メリーズ


 我儘であるとは思ったが、やはり思いも寄らない邂逅は、バッツの心をそわそわとさせた。
元々、思ったら思ったままに即行動、と言うのがバッツだったのだ。
今はスコールと言う何より大切な存在が出来て、優しい彼女を困らせるのも本位ではなかったから、以前に比べると優先順位をコントロール出来るようにはなったつもりだが、やはり根本の所は中々変わるものではない。
特に、スコールを好きだと言う気持ちは、他の何より強く大きなものだったから、今一度逢いたい気持ちが堪えられなくて、電話を鳴らした。

 スコールが困るのなら、ちゃんと諦めようと思った。
スコール達は明日の午後には帰るらしいが、それまではまた海で遊ぶつもりらしい。
バッツは明日も海の家で働くから、一緒に遊べる訳ではないけれど、隙間に一時話をする位は出来るかも知れない。
それでこの夏は我慢しよう、と。

 そうして電話をしてみれば、彼女は来てくれると言った。
ホテルの下まで来ておいて、断らせない計算もあったのじゃないかと言われると、少々否定が出来ないのだが、夜の海岸沿いを少女一人で歩かせる方がもっと良くないだろう。
だからバッツは、ほんの一瞬でも、彼女の顔が見られたら、と言う気持ちもあって、其処まで来てから電話をしたのだ。

 ホテル玄関の外で立ち、何度目かの自動ドアの開閉が聞こえた。
バッツが其方を見てみれば、黒のパーカーを着た少女がきょろきょろと辺りを見回している。


「スコール!」


 名前を呼ぶと、すぐに少女が振り向いた。
蒼の瞳がバッツを見付け、ひらりと嬉しそうに輝くのが、バッツには嬉しい。

 スコールは薄手のオーバーサイズシャツにホットパンツと、前開きのパーカーを一枚羽織っていた。
足元は昼と同じ、花のついたサンダルを履いている。

 スコールはバッツの傍へと近付くと、小さく詫びた。


「…悪い、待たせた」
「全然。ありがとな、来てくれて」


 友人達と遊んでいたのだから、出て来る前にスコールは色々と気を遣った筈だ。
それも含めて、ありがとう、と告げるバッツに、スコールは少し恥ずかしそうに頬を赤らめる。
バッツはそんなスコールの手を取って、


「静かなとこ、行っても良い?」
「……ん」
「へへ。まあ、おれもあんまりこの辺りには詳しくないし、行けるのなんて海の家おれが寝る所位しかなんだけどさ」


 歩き出したバッツに、スコールもついて行く。

 スコール達が泊まるホテルから五分程度も歩けば、海の家に着く。
バッツはその裏側にある小さな勝手口の鍵を開けて、スコールを中へと招き入れる。
昼間と違い、人気のない静かな海の家と言うのが不思議なのか、スコールは厨房や食材などの在庫置き場になっているスペースを覗き込みながら、奥へと進んだ。

 見晴らしと風通しを良くする為に、その建物はオープンな造りをしているが、閉店中は客席の周囲を莚や簾で覆って、非営業状態である事を示していた。
スコールが其処に行ってみると、昼間は並べられていたテーブルや椅子がざっくばらんに端へと寄せられ、開けたスペースに莚と寝袋、海辺とあってか、防寒用の追加寝具として薄手のタオルケットが丸められている。


「……此処で寝てるのか?」
「うん」
「……本当に、静かだな」


 波の音しか聞こえない、とスコールが呟くと、そうだなあ、とバッツは言った。

 バッツは簾の一つを少し開けて、その傍に腰を下ろした。
スコールを隣に誘うと、彼女はそろそろと近付いて、心なしか固い表情でバッツの横に腰を下ろす。
此処に来るまでに歩いた浜辺で砂が入ったのだろう、サンダルを脱いで裸足の裏を擦り合わせるスコールに、バッツの頬が緩む。

 海辺は、潮の匂いを運ぶ風が吹いて、心地良かった。
熱中の熱は太陽が海の向こうに沈んだ頃から下がり始め、今は人が過ごすのに丁度良い温度になっている。
と言うのはバッツの感覚で、スコールは吹く風が少しばかり冷たく感じられるのか、パーカーの前を握って閉じていた。


「寒い?」


 バッツが尋ねてみると、スコールはふるふると首を横に振った。
我慢しているのかと思ったが、彼女の顔はほんのりと赤い。
友人達の輪から抜け出して、恋人と一緒に出掛けている事が、少し後ろめたいのかも知れない。
あんまり長く連れ回しちゃ良くないな、とバッツが思っていると、


「……バッツ」
「ん?」
「……その……」


 小さな声で名前を呼ばれ、バッツが隣を見ると、スコールは小さく俯いていた。
床に置いていたバッツの手の端に、スコールの小指が触れている。
その指先が、縮んだり伸ばされたりと、何か葛藤している時の癖が表れていた。

 なんだろう、とバッツが待っていると、少女の体がそろそろとバッツの下へと寄せられる。
その内に二人の肩が触れ合い、スコールの頭がことんとバッツの肩に乗った。
寄り掛かる重みを感じつつ、甘えん坊を発揮し始めた恋人に、可愛いなあ、とバッツの目尻が判り易く下がる。

 そのまましばらく、波の音を聞いていたが、それが一瞬途切れた時だった。


「……バッツ」


 もう一度、名前を呼ばれて、バッツが応えるべく首を巡らせる。
と、その唇へと、柔らかいものが押し当てられた。


「ン、」
「……ん……っ」


 目を丸くするバッツに気付かず、スコールはより深くキスをしようと、バッツの首に腕を回した。
彼女の長い睫毛がすぐ目の前にあって、バッツは一瞬混乱したが、スコールの方から口付けられたのだと気付く。
理解すれば衝動が赴くまま、彼女の肩を抱き寄せて、許すように開いた隙間から舌を入れた。


「ん、む……ふ……っ」


 ちゅく、ちゅく、と舌を絡め合う音が鳴る。
昼もそうだったが、今日のスコールはいつになく積極的だ。
夏だとか海だとか、そう言う理由で開放的になっているのは、やはりバッツだけではないのかも知れない。

 重くはないけれども、体重が覆いかぶさるように重ねられてくるのを感じて、バッツはそれを受け止めていた。
が、スコールの手がバッツの肩を押したものだから、促されるようにバッツは仰向けに倒れ込む。
スコールはその上に体を重ね、自分の方からもバッツの咥内へと舌を入れようとしている。
バッツが自分の舌を引っ込めながら招いてやれば、思った通り、スコールが追ってきて、バッツの咥内でまたくちゅくちゅと水音が鳴る。

 スコールの舌技は拙いもので、バッツにいつもされている事を一所懸命に真似ようとしているのが判る。
眉根を寄せて、懸命にバッツを愛そうとする少女の姿に、昼と同じ昂ぶりがバッツを襲うが、


「ん……スコール、」
「っは……はぁ、ふ……?」


 そっとスコールの頬を撫でて、離れるように促す。
スコールは物寂しそうな表情を浮かべながら、糸を引く唇を放した。
その濡れた唇をそっと指でなぞりつつ、


「ひょっとして、シたい?」
「……?」


 バッツが尋ねると、スコールはことんと首を傾げ、


「……違うのか?」
「え?」
「……するんじゃ、なかったのか?」


 問い返されてバッツが目を丸くすると、スコールは重ねて問うた。
それから僅かな沈黙の時間を経てから、バッツは彼女が此処に来てくれた理由を悟る。


(エッチすると思ってたのか)


 そう言うつもりでバッツが外へと誘ったと、スコールは思っていたのだ。
スコールも自分の思い違いに気付いたようで、一気に顔が赤くなる。


「だ……だって、あんた。静かな所に行くって言うから」
「ああ、うん、そうだな。おれの所為かも」


 静かな所に行く、つまりは誰もいない所に行く。
人目を忍ぶようにホテルを抜け出し、恋人と二人きりで、そんな場所に誘われるとなれば、確かにそんな事を匂わせているように思うだろう。
清い間柄であっても、深読みしてしまうには十分な条件が揃っていた。

 寝転んだバッツの上に重なっていたスコールは、真っ赤になって逃げるように其処から退いた。
月明かりにも分かる程に赤らんだ顔を、スコールは簾の影に逃げ込んで隠す。
バッツは苦笑しながらそれを追って、蹲るスコールを背中から包むように抱き締めた。


「ごめんな、おれの言い方が悪かったんだ」
「……うるさい、ばか……!」
「うん。ありがとう」


 勘違いとは言え、スコールがそのつもりで来てくれたと言うのは、バッツにとって嬉しいことだった。
真面目で初心な気質の彼女にとって、それを前提にして仲間達の輪から抜け出すのは、後ろめたい事だっただろう。
それでも自分を選んでくれた、と言うのが、我儘な男の充足感を膨らませる。
同時に、燻る熱が無性に恋人の存在を求めているが、バッツにはどうしても越えてはいけない壁がある。


「おれもスコールとエッチはしたいけど。こんな所で会えるなんて思ってなかったからさ、ゴムもないんだ。コンビニ行けばあるだろうけど……」


 スコールをホテルから連れ出した時点で、そう言うつもりではなかったものだから、バッツは何も準備が出来ていない。
せめてそれだけでも調達してからでないと───とバッツが眉尻を下げていると、


「……る」
「え?」


 小さな声が聞こえて、バッツがよく聞こえなかったそれを聞き直そうとすると、スコールは羽織っていたパーカーの中に手を入れた。
胸ポケットでもあるのだろう、其処を探って取り出したのは、掌サイズの真っ白な箱。


「……ゴムなら、……ある」


 ここに、と示したそれはまだ梱包のパッケージに入っており、全くの未使用である事が判る。
友達との旅行でそんなものを持っているなんて、何か間違いでも起きる可能性でもあったのか───等と一瞬思ったバッツだったが、スコールがそんな事を考える筈がない。


「えっと、それ、ひょっとして……」
「……さっきかった……」


 恥ずかしくて堪らないのだろう、スコールは小さな箱で口元を隠しながら、寄せる波の音に負けそうな程の小さな声で告白する。
バッツの誘いを受けて、ホテルを出る時に、ロビー奥から繋がっているコンビニで買って来たのだと。
バッツから誘って来たのなら、持っているかもとは思いつつ、思わぬ出逢いであった事から若しかしたら───と念の為に用意した。

 セックスをするのはいつもバッツの家での事だったから、年上と言うこともあって、必要なものは自然とバッツが用意していた。
彼女の為にと手を尽くし、その甲斐もあって、スコールは一層バッツを信用してくれた面もある。
だからスコールの方からは、逢瀬を重ねる内に「あった方が良いんじゃないか」と彼女が思うものをぽつぽつと持って来る位だった。
しかしコンドームについては、バッツが必ず事前に確認して用意していたから、それを彼女が買った事は、恐らく、ない。

 ここが今日明日限りの過ごす地とは言え、何処であろうと初めてそれを買う時は、心の葛藤があるものだ。
未成年の初心な少女なら尚更で、その垣根を越えてまで用意したと言う事に、バッツは無性に喜びと興奮を覚えてしまう。


「……スコール、そんなにおれとエッチしたかったんだ?」
「……〜〜〜このっ!」


 まじまじと顔を覗き込みながら言ったバッツに、スコールの平手が炸裂した。
ばちん、と音が響いたが、バッツの顔はすっかり緩んでいる。


「ごめんごめん。へへ」
「何笑ってるんだ。もう帰る」
「やだ、帰さない」
「帰る!」


 デリカシーのない男に、スコールは顔を真っ赤にして、抱き締める腕から逃げようと暴れ出す。
が、バッツは細身の肢体をしっかりと捕まえ、うーうーと唸るスコールの首筋に吸い付いた。


「やっ……バカ、バッツ……!」
「んちゅ、ん……ちゅうっ……!」
「ふ、あ……あっ……!」


 怒りと恥ずかしさと混じって、火照り始めている首筋。
其処に痕が点くようにと強く吸ってやれば、スコールはふるふると肩を震わせながら、その刺激を享受した。

 スコールの首筋を吸っては離し、離しては吸ってと繰り返しながら、バッツの手がするすると移動して、彼女のシャツの中へと侵入する。
ヘソ周りをゆっくりと掌で撫で摩ると、薄い腹筋がひくんと戦慄くのが判った。

 腹を撫でる手を上へと持って行き、慎ましい胸を覆う布地の下へと指を滑り込ませる。
あ、と小さな声が漏れたが、スコールは僅かに身を捩るだけだった。
恥ずかしがって逃げたがる体を、バッツはしっかり捕まえたまま、やわやわと胸を揉む。


「あ……ん、は……っ」
「声、我慢しなくて良いからな。誰も来ないからさ」
「んゃ……んん……っ」


 バッツの囁きに、スコールはゆるゆると首を横に振って、パーカーの袖を噛む。
環境がどうあれ、感じた声を恋人に聞かれるのが恥ずかしいのは、スコールにとって変わらない事だ。
赤くなって懸命に声を殺そうと試みる少女に、背後の男がより興奮する事など知りもせず。


「…乳首がもう固くなってる」
「あっ、あ……!や、触るな、あ……っ!」


 ブラジャーの中でぷくりと膨らんでいた蕾を摘まむと、スコールの肩がビクッと跳ねた。
指先でピン、ピン、と爪弾けば、甘い声が何度も零れて、バッツの耳を楽しませる。


「あっ、あっ、あ……っ♡やだ、バッツ……んっ、あっ♡」


 刺激を受けて、乳首は益々固く、敏感に育てられていく。
乳頭を摘まんで柔く引っ張り、先端をカリカリと引っ掻けば、スコールは堪らない様子で喉を反らして身悶えた。

 スコールの腰を抱いていた手が、彼女の腹を撫で下りて、ホットパンツのフロントに触れる。
バッツは器用に片手でそれを緩めると、するりと下着の中に手を入れた。
侵入者の感触にスコールは思わず体を縮こまらせ、膝を擦り合わせて寄せるが、バッツの手は構わず彼女の秘部へと辿り着く。
しっとりと濡れた布の感触を手の甲に感じながら、バッツが彼女の膣口に触れると、そこはもう既に洪水のように蜜を溢れさせていた。


「びしょびしょだ」
「んゃっ……♡」


 指の腹で筋を沿ってやると、ひくん、と求めるように疼いて口が開く。
僅かなその隙間を、更に解放を促そうと指ですりすりと摩ってやれば、スコールははくはくと喘ぐように唇を開いて、胸を揉むバッツの腕に縋るように掴まった。


「は、あっ……!やだ、ぁ……っ♡」
「すぐ指入っちゃいそうだな。良い?」
「ん、んん……」


 耳元で吐息を当てながら囁くバッツに、スコールはぞくぞくとしたものが首筋を走るのを感じていた。
上の口は恥ずかしそうに答えまいと噤むが、下肢はひくついて何度もバッツの指先に吸い付こうとする。
バッツはしっかりとそれを感じ取り、ゆっくりな、と言って、そうっと指を押し付けた。


「んぁ、ん……っ、あ……っ!」


 つぷ、つぷぷ……と入って行く指。
表面を撫でただけで判る程に濡れていたものだから、中は当然、蜜で一杯になっている。
少し指を動かすだけでくちゅくちゅといやらしい音が鳴り、蠢く指を嬉しそうに締め付けて来る。


「すごい、どんどん入って行っちゃうぞ」
「あ、あ……っん、言う、なぁ……あ♡」
「直ぐ二本目まで入りそう。……こんなに期待しててくれたんだな」


 元々濡れ易いスコールだが、前戯を始める前からこんなにも準備が出来ていた事は早々ない。
ひょっとして、ホテルから外へと誘い出した時から、彼女は期待して待っていたのかも知れない。
焦らしちゃったな、とバッツは思いつつ、ならその分たっぷりと気持ち良くしてやらねばと、二本目の指を入れて、前後に動かして少女の蜜壺を掻き回す。


「あっ、あっ、んぁっ!バ、バッツ……や、あっああっ♡」
「足開いて」
「う、う……あ、ん……はっ、あぁ……っ!」


 胸を揉みながらバッツが言うと、スコールは頬を赤くしながら、閉じていた膝をゆるゆると開く。
バッツはスコールの後ろに座ると、彼女を自分の胸へと寄り掛からせた。
縮こまっていた体が開かれたからだろう、その肢体から拒むような緊張感が抜けていく。
開いた体は与えられる刺激に素直に反応し、バッツの指の動きに合わせ、ビクッ、ビクッ、と戦慄いて見せる。


「は、はぁっ、バッツ、ぅ……っ♡」
「おまんこ気持ち良い?」


 ヒクついている蜜壺の天井を、指先で引っ掻くように苛めてやる。
スコールは薄い腹筋をヒクッヒクンッと波打たせて、天井を仰いでいた。
そんな彼女の耳朶をはくりと食むと、「ふぁっ」と可愛らしい声が漏れて、膣がきゅぅんと反応を示す。


「おまんこ吸い付いてきて、エッチだなぁ。もっと欲しいって言ってる」
「ふ、はふ……っ!バ、ッツ……や、指、そんな……あっ、そこぐりぐりしちゃ、んんんっ♡」


 そこ、とスコールが言った所を、バッツの指は心得たもので、狙ってぐりぐりと押し潰す。
甘い電流のような官能がスコールの下肢から一気に背中を駆け抜けて、スコールの膝がぶるぶると震えた。


「や、やぁって、言って、うぅんんっ♡」
「うん、気持ち良いんだよな」
「ふっ、ふく、うぅんっ♡ちが、あ、あぁあ……っ!」


 スコールはふるふると首を横に振るが、彼女の躰は言葉以上に正直だ。
バッツの指で与えられる官能が気持ち良くて、初心な体は瞬く間に上り詰めて行く。


「バ、バッツ、バッツぅ……っ!きちゃ、来ちゃうからあ……っ!」


 胸を揉む手を掴むスコールの手に力が籠る。
迫って来る衝動を堪える術など判らないから、スコールが縋る事が出来るのは、背後にいる男だけだ。
バッツはそんな彼女を腕の檻にしっかりと捕まえたまま、下着の中で蜜壺をぐちゅぐちゅと激しく掻き回す。


「あ、あ、あ♡イく、んっ!んふぅううううっ♡」


 ビクッビクンッ、ビクンッ!とスコールの背中が大きく仰け反った。
バッツの指を咥えた秘部が、その口元をきゅうぅっと絞った直後、ぷしゅぅっ、と蜜潮を吹き散らした。
下着の中でバッツの手に飛び散ったその感触に、バッツはよしよしと満足げに笑みを浮かべる。

 スコールはしばらく硬直した後、くたりと弛緩した。
寄り掛かる少女の重みを受け止めつつ、バッツはスコールの着ている服を脱がせる。
───と、パーカーとその下に着ていたオーバーサイズのシャツを脱がせて、おや、とバッツの手が止まる。


「ふ……んぅ……」


 はふ、はふ、と熱ぼったい呼吸を繰り返しているスコールの胸元。
上下する胸に合わせて揺れているのは、バッツが昼間も見た、フリルのついたタンクトップの水着だった。
初めてそれを真っ直ぐ見た時、興奮した瞬間の熱を思い出して、バッツの喉がごくりと鳴る。

 ひょっとして、と思いつつホットパンツを下ろしていくと、思った通り、白いビキニが姿を見せた。
普段履いている下着に比べて、少し窮屈そうな感触はあったなと今更思い出しつつ、バッツの目はしっとりと濡れて色を変えているビキニの中心に釘付けになっている。


「水着、着て来てくれたの?」


 脱がせた服を脇に退けながら、バッツが水着の上から胸を揉んでいると、スコールは頬を赤らめて、


「……俺、すぐ漏れるし……これなら、濡れても別に……それに、なんか、あんた……気に入ったみたいだったから……」


 恥ずかしそうに答える少女は、本当にいじらしくて堪らない。
バッツが少しでも嬉しそうにしたり、喜んだりすると、自分にとっては恥ずかしい事でも、彼女はバッツを喜ばせようと努力してくれる。
ああ可愛い、とバッツは水着姿になったスコールを抱き締める。

 と、腕の中でスコールが身動ぎして、向きを変えようとする。
察してバッツが抱く腕の力を緩めると、スコールはくるりとバッツと向き合った。
首に腕を絡め、少し緊張した面持ちで顔を近付けて来る彼女に、バッツはひそりと笑みを浮かべて目を閉じた。


「……ん……」


 ちゅ、とスコールの柔らかな唇が、バッツのそれを塞ぐ。
小鳥の啄むような口付けが重ねられて、バッツがちょろりと出した舌でスコールの下唇を舐めると、そっと隙間が開いた。
誘ってくれたままに中へと入って、彼女の舌を絡め取る。


「ん、んぁ……ふ……♡」
「ん……ちゅ、ちゅる……っ」
「あむ、ぅん……、んん……っ」


 バッツからの濃厚なキスに、一所懸命に応えながら、スコールの抱き着く腕に力が籠る。
ぎゅう、と縋る少女の背中を、バッツもしっかりと抱き寄せて、存分にスコールの甘い唇を貪った。

 案外とキスが好きな彼女の甘えぶりを喜んで受け止めながら、バッツの手はついつい悪戯を図る。
水着とあって晒されている背中を撫で、腰骨を辿って下へと降りて行けば、まろい尻の感触にすぐ辿り着いた。
ビキニのバックの隙間から指を入れて、くい、と布地を引っ張ってみる。
持ち上げられた布地の中心が、彼女の濡れた双丘にきゅっと食い込んで、スコールの腰がひくりと戦慄いた。


「んっ……♡ん、バッツ……んん……♡」


 怒るかな、とバッツは思ったのだが、スコールはとろりとした瞳で恋人を見詰めただけだった。
またキスをしたがる彼女に応えながら、バッツは水着のバック部分を中央に寄せてやった。
布地がTバックのように細く谷間に食い込んで、形の良い桃尻が月明かりにくっきりと映し出される。
それを両手で餅をこねるように揉むと、スコールはもじもじと下肢をくねらせた。


「ん、はっ、んぅ……っ♡」


 バッツの首に絡んでいたスコールの腕が解け、肩へと添えられる。
緩く押す力にバッツが逆らわずに背を倒せば、スコールも追って恋人の上に覆い被さった。


「ん、ん……っ、は、ふ……」


 ちゅう、と最後にバッツの唇を吸って、スコールは頭を上げる。
見上げるバッツの瞳は、二人分の唾液を纏ってつるりと濡れたスコールの唇を映し出している。


「……バッツ……」
「うん」
「……ん、ぅ……♡」


 スコールの瞳は、すっかり熱ぼったく熟れ、蕩けた色で恋人を見詰めている。
覆い被さった格好で、スコールがゆらゆらと細腰を揺らめかせるものだから、彼女の秘部がバッツの股間で膨らんでいるものに当たっている。
いや、意図的か無自覚かは分からないが、当てているのだろう。
すり、と膨らんだ其処に濡れた恥部が擦れる旅に、スコールは悩ましい声を零していた。


「スコール。入れてみる?」
「……」
「怖い?」
「……」


 バッツの言葉に、考えている様子のスコール。
しかし、無理をしなくて良いよと言ってみると、彼女は小さく首を横に振った。

 バッツはスコールを腹の上に乗せたまま、下肢を寛げた。
ひょこりと頭を出したペニスが、スコールの太腿にぺちりと当たる。
その感触に気付いて、ピクッと彼女の太腿が微かに震えるのが伝わった。


「ん……と……」


 バッツの腕が緩んだのを合図に、スコールは体を起こした。


「ゴム……」
「つけてくれる?」
「……やってみる」


 買って来てくれたのはスコールだからと、バッツが提案してみると、スコールは小さく頷いた。
取り出してから忘れたように床に転がっていたコンドームの箱を取り、封を切って中身を一つ取り出す。
小さなビニール袋の口を切って、薄い皮一枚を取り出せば、スコールは不思議そうにじっとそれを見詰めた。


「見せて、うん、裏表こうね。で、この膨らんでるとこ摘まんで、こうやって持って……、」
「こうか?」
「うん。で、ちんこに被せて……下まで伸ばすの。隙間がないようにピッタリ。指輪っかにして、下に下ろしてく感じで、焦らなくて大丈夫だから」


 バッツに言われた通りの手順で、スコールは勃起しているペニスにコンドームを被せる。
手付きは拙く、一つ一つバッツの反応を伺って、間違っていないかを確認していた。
それを安心させるように頭を撫でてやれば、ほっとした顔を浮かべるのが、また初心な彼女を一つ自分の色に染めて行くようで、バッツは興奮を覚えてしまう。

 コンドームの装着を終えると、スコールは膝立ちになってバッツの下肢を跨ぎ、勃起しているペニスを受け入れる場所へと宛がおうとする。
が、不慣れな彼女はゆらゆらと腰を揺らすばかりで中々ポイントが定まらない。
頑張ろうと眉根を寄せながら探っている彼女に、バッツは優しい声で言った。


「スコール、ちんこ握ってくれる?優しくな」
「……うん」
「真っ直ぐ上向けて。そのまま、腰の位置合わせて……」
「…ん……、こう……?」


 バッツに言われた通りに、スコールは片手でペニスを緩く握って、その先端を上へと向ける。
固定したそれを、スコールは背中を丸めて覗き込むように見ながら、自身の位置を定める。
着たままの水着の局部を横へずらすと、淡い色の唇からつぅと銀糸が垂れ落ちていた。
それが直ぐ其処にある雄の鈴口を濡らして、てらてらといやらしい汁を纏わせる。


「…こ…こ……?」


 スコールが少しだけ腰を低くして、膣口に先端を宛がった。
緊張と期待でスコールの頬は赤く、今にも口から心臓が飛び出そうな程に鼓動が逸っている。
は、は、と零れる吐息の熱を感じ取りながら、バッツが細腰に両手を添えて頷くと、スコールはそうっと腰を下ろし始めた。


「…う…ん……っ」


 鈴口がくぷりと少女の秘口を開くと、ビクッとスコールの肩が震えた。


「息、吐きながらな。苦しかったら無理せず止まって」
「ん……っふ……ふく、ぅ……ん……♡」


 バッツの言葉に小さく頷いて、スコールは努めて呼吸を続けながら、少しずつ少しずつ、腰を下げて行く。
亀頭の嵩が、入り口の縁に引っ掛かる感触があったが、スコールがはぁっと息を吐くと締め付けが緩む。
スコールは呼吸を整えた後、腰に添えられたバッツの手を掴んで、ふ、ふ、と鼻で短い呼気を零しながら一番太い所を受け入れた。


「ふくぅん……っ!」


 きゅう、と蜜塗れの肉壁がバッツを強く締め付ける。
トクトクと脈打つ肉ビラの、程好く温かくて湿った感触が心地良くて、バッツは堪らず感嘆の吐息を漏らした。


「っは……スコール、温かいな」
「ん……バ、ッツ……♡」


 見上げるバッツの言葉に、スコールの胸が高鳴る。

 はあ、はあ、と呼吸を止めないようにと努めながら、スコールはじわじわと腰を落としていく。
艶めかしくうねるように蠢く肉壺の絡み付きは、バッツにとっては極上の褥で、受け止めているだけで熱が更に籠って行く。
そんな時間を追う毎に固く逞しくなるペニスの感触を得ながら、スコールはふるふると体を小さく震わせて、自身の奥まで愛しい人を受け入れて行った。


「あふ…あう……♡うぅ、ん……っ♡」


 繋がる深さが増す事に、スコールの膣奥は狭苦しそうに呻く。
もう入らない、と言いたげにペニスを強く締め付けるが、その傍ら、彼女はもっと奥までバッツが欲しかった。
昼間、彼を受け入れないままに終わった交わりは、反って彼女を強烈な熱へと蝕んでいたのである。


「は……はぁ……バッツ、ぅ……んん……っ♡」
「苦しかったら無理しなくて良いよ」
「やあ……んっ、ぜん、ぶ……ほしい…から、ぁ……♡」
「スコール……!」


 蕩け切った顔で、見下ろしながら告白してくれる少女の心からの言葉に、バッツの雄の本能がずくりと疼く。
頑張る彼女を抱き締めて、思い切り中を突き上げてやりたい衝動に駆られたが、


「ん、ん……♡も、ちょっと……?」
「……うん、もう少しで全部だよ」
「ん…、んくふぅ……っ♡」


 懸命に自分で高ぶりを受け入れようとしているスコールに、バッツは寸での所で衝動を堪えた。
何せ、スコールがこんな事をしてくれるのは、初めての事なのだ。
求めてくれる彼女の頑張りは、全部、余す所なく受け止めてやりたかった。


(でも、スコールのまんこ、すごく濡れてて、絡み付いて来て。もうちんこ爆発しそうな位だよ……!)


 濡れそぼった蜜壺に包み込まれたペニスは、痛い程にぱんぱんに膨らんでいる。
彼女が呼吸する度、肉が戦慄きながらきゅうっきゅうっと締め付けて来るものだから堪らない。
それでいて、此方を見下ろしてくる恋人の瞳は甘く蕩けて、バッツの事が好きだと、こうして繋がる瞬間を待ち侘びていたのだと伝えて已まないのだ。
これで興奮しない男がいる訳がない。

 だが、当人は何処までも一所懸命であるだけで、目の前の男が自分の痴態でそんなにも興奮しているとは知るまい。
ペニスの半分を咥えた頃から、彼女の動きは一層緩慢になった。
少し進むごとに呼吸を整えて、苦しさを紛らわせてから、また少し進む。
それを繰り返して、ようやっと、


「あ……は、い……った…ぁ……?」


 彼女の恥丘と、バッツの股間がぴったりと密着して、スコールは息も絶え絶えに言った。
出来てる?と確かめるように見下ろすスコールに、バッツは汗の滲む顔に小さく笑みを浮かべて頷いた。


「っは……はぅ……うぅ……♡」
「苦しくない?」
「……だ、い…じょぶ……」


 たぶん、と拙い舌で付け足しつつも、スコールは安堵したように息を吐いた。
愛しい人を自ら受け入れたと言う事に、無性に胸がどきどきと高鳴っている。
いつもよりも大きくて固くて、ドクンドクンと脈打つ感触が具に伝わって、それだけでスコールはイってしまいそうだった。

 だが、事はこれで終わりではないのだ。
寧ろ、熱の交換は此処から本番となる。


「は……バッツ……」
「動くの、出来る?」
「……や、る……」


 スコールはバッツの腹に両手を突いて、体重を支えている膝に力を入れ直した。
姿勢を変えようと体を動かすだけで、中に入っているものが擦れて甘い官能に襲われる。
これで動いたらどうなってしまうのか、初心な少女には想像もつかなかったが、それでも体は此処から先を求めて気持ちを急かす。

 スコールはゆっくりと、体を上へと持ち上げた。


「ん……、うぅん……っ♡」


 ぬるぅ……と胎内でバッツの雄が肉壁を擦るのが判る。
ああ入っている、此処にある、と伝わる感触にその存在を確かめながら、スコールは半分ほどの所までペニスを抜いた。
奥に隙間が出来たのが判って、切なさに腹の奥が疼く。

 は、と息を吐いて、スコールは体を下へと落とす。
濡れそぼった蜜壺は、ぬぷぷぷ……とペニスを難無く飲み込んで行き、少女に充足感を齎した。


「あう……は……♡ん、ん……っ!」


 スコールはゆっくりと体を上下に動かす。
腰を上げては落とし、ぴたりと二人の股間が密着すると、また持ち上げる。


「は…っ、はん……っ、あっ…、あぁ……っ!」
「スコール、痛かったりはしない?」
「ん……、うん……っあぁ……!」


 バッツが確かめると、スコールは小さく頷いて、また腰を落とした。
にゅぷぅ、と雄肉が中に入って、狭い道を押し広げる。
スコールの傷の走る額には珠のような汗が浮かび、彼女が体を揺らす度に、それが粒になって散った。
簾の隙間から差し込む月光を反射して、その粒がきらきらと光るものだから、いやらしいのに酷く幻想的な光景が浮かび上がる。

 初めは恐る恐るだったスコールの律動は、少しずつ早くなって行く。
腰遣いは拙いもので、一所懸命な上下運動をしているばかりだったが、その初々しさがバッツにはまた嬉しい。
陰唇は絶えず疼くようにヒクついて、内部は奥から分泌される蜜でとろとろに蕩けている。
それでいてきゅう、きゅう、と締め付けてはバッツを喜ばせ、ペニスを全身で包み込んで揉み上げるように奉仕していた。


「はあ、あ、あう、うぅんっ…!バ、バッツ……あっ、あぁっ……!」
「大丈夫か?」
「ん、うんっ、んっ……!はっ、あう、あうぅ……っ!」
「ほら、手、こっち。おれの手握って良いよ」
「う、ん、んんぅ……♡」


 スコールの腰に添えていた手を片方離し、繋ぐように促す。
スコールは息を喘がせながら、その手を取ってぎゅうっと握り締めた。
もう片方の手も差し出せば、やはりこれも直ぐに握る。


「はっ、はっ、あっ♡あっ♡ばっつの、おちんちん……んっ♡も、おまんこ、いっぱいぃ……っ!」


 バッツの両手を縋るように握りながら、スコールは夢を見ているような貌をして言った。
膣一杯に膨らんでいるペニスが、どくんどくんと脈を打っているのが判って、スコールの鼓動までそれが伝染して行く。

 中を上に下にとペニスで擦る度、とてつもない快感がスコールを襲う。
体重を支える膝ががくがくと震えて、今にも頽れそうになるのを、繋いだ手に縋ってなんとか保っていた。
けれど、それもせり上がって来る官能の大波に持って行かれそうになる。


「バッツ、もう、来てるぅ……っ!はっ、あぁっ、あぁんっ♡」
「うん、良いよ、スコール。自分でおまんこの奥まで、ちんこ入れて───」
「ふっ、うぅんんっ♡」


 バッツの言葉通り、まるで操られたように、スコールは腰を強く落とした。
ずぷぅんっ、とペニスが一つ奥まで入って、スコールの恥奥を突き上げる。


「あぁあんっ♡」
「んっく、締め付けて……っ!」
「あっ、あ!あぅうううっっ♡」


 ビクビクッ、ビクンッ、とスコールの躰が大きく弾み、仰け反ったかと思うと、プシィッ!と蜜飛沫が吹いた。
バッツの手を握る手に一層の力が籠り、指先までが強張って痙攣したように戦慄いている。
膣肉が目一杯にペニスに吸い付いて、波打つように大きくうねって肉竿を締め付けた。

 宙を見上げたスコールは、あ、あ、としばらく声にならない音を漏らした後、かくんとその頭が落ちた。
直ぐにバッツが腕を引いて抱き寄せると、横たわるバッツの胸に彼女の体がとすりと落ちる。
着痩せして見えるバッツの、存外としっかりとした胸板に受け止められたスコールは、はっ、はっ、と熱に染まった呼吸を繰り返した。

 そんなスコールの膣内で、バッツのペニスはまだ膨らんでいる。
絶頂の余韻の中で締め付ける蜜壺に、バッツは彼女のまろい尻を両手でしっかりと掴んで、ずんっ、と突き上げた。


「きゃふぅんっ♡♡」


 子犬のような鳴き声が上がって、少女の体が判り易く弾んだが、バッツは更にまた突き上げた。
まだ官能の波が幾らも消えない所へ、逞しいペニスで奥のスイッチを強く突かれて、スコールの頭は真っ白になってしまう。


「あうっ、あっ、あぁんっ♡バッツ、ひぃんっ♡バッツぅっ!」
「はっ、はっ、スコール…っ、くぅっ!」
「やあっ、だめぇっ♡今、今イって、あぁっ、やぁんっ!」


 ずん、ずん、と突き上げるバッツに、スコールは抱き縋って男の名を呼んだ。
耳元で響く甘い悲鳴に、バッツのペニスがむくむくと成長して行く。
その感触を胎内で直接感じて、果てたばかりの少女の躰は、あっという間に次の熱に捕まった。


「ああっ、あんっ、はぅんっ♡んや、お尻っ……揉んじゃやだぁ…っ!」
「はっ、へへ……んっ、すべすべしてて気持ち良いっ」
「う、うぅっ、ひぅんっ♡はっ、やぁあっ♡」


 存外と大きなバッツの手が、スコールの小振りな尻たぶを揉みしだいている。
むにむにと尻肉を摘まむように手指が埋もれたり、水着のバックをクイッと引っ張られたり。
水着が恥丘の土手縁に食い込む感触に、スコールがいやいやと訴えても、悪戯の手は全く止まらない。

 其処に気を取られていたら、ペニスが奥を抉って来る。
不意打ちされると快感がダイレクトに襲ってきて、スコールは目の奥がチカチカとする程の官能を得ていた。


「あ、だめ、お尻っ、あっ♡おまんこぉっ♡だめって、あぁあっ♡」


 スコールは右手を下肢にやって、尻を揉むバッツの手を捕まえる。
しかし、それが何の抵抗になろうか、バッツは気にせずむにゅうっと尻たぶを掴んでやった。
ひくん、とスコールが尻を震わせれば、膣にもそれが伝わって、きゅっ、とペニスが締め付けられる。


「お尻揉むとスコールのまんこが嬉しそうにするんだよ」
「そんなこと……あっ、あっ♡ばか、ひぅんっ♡」
「ほら、きゅんきゅんって。おれのちんこ、もぐもぐしに来るもん」
「ばか、ばかぁ……っ!あっ、あっ、やぁ、だめぇっ♡そんなに奥に、おちんちん当てたらっ、あぁっ♡お、おまんこまたっ、また来るからぁっ♡」


 波の引かない体を、更に逞しい雄に攻め立てられて、少女の躰は何度目かの熱の奔流を覚える。


「んぁ、あっ、来ちゃう、あぁあっ♡バッツのちんぽで、ふぁ、おまんこイくのぉっ……!きちゃうよぉおっ♡」


 ついさっきイったばかりなのに、それも忘れたように襲ってくる衝動。
スコールはバッツの胸に顔を埋め、いやいやと頭を振るが、抱き締める男は一向に離してくれない。
もう濡れているどころか泉のように絶えず蜜を溢れさせる膣奥を、ずんずんと激しく突き上げられて、スコールは揺さぶられるままに尻をびくびくと弾ませるしか出来なかった。


「あっ、あひっ、あぁっ♡また、イっちゃ、ああっ♡も、もれるのっ♡ひぅうっ♡」
「良いよ、我慢しないで。汚れたって平気だから、なっ」
「はくぅうっ♡深い、ひぃっ♡奥突くのっ、コンコンするのぉっ♡だめ、だめ、あぁぁあ♡♡」


 スコールはバッツに縋り付き、背中を大きく撓らせた。
それでもバッツに尻をしっかりと掴まれている所為で、彼女の股間はバッツの腰骨にぴったりと密着させられている。
逃げ場のない其処を、バッツがもう一つ、ずちゅんっ!と大きく突き上げれば、彼女の一番の弱点を固い亀頭が突き上げた。


「ああっ!ああぁーーーーーっ♡♡」


 甲高い悲鳴を上げて、スコールは潮を吹きながら絶頂した。
二度目の時の比ではない、深い場所で迎えた官能。
甘い匂いを撒き散らす蜜壺の奥で、ペニスが大きく脈を打って、バッツはぐっと歯を食いしばり、


「くっう……!出るっ……!」
「はっ、あっ♡ビクビクって、あっ、バッツの、おちんぽっ♡震えて、うぅんんっ♡」


 雌肉と雄肉を隔てる薄い皮一枚の中に、どぷどぷどぷっ!と濃い白濁液が吐き出された。
胎内で液溜まりを作った膨らむゴムの異物感が伝わるのか、スコールは細い腰をくねくねと躍らせる。
逃げを打つように揺れる腰を、バッツがしっかりと捕まえてやれば、スコールはバッツの胸に縋り付いて身を震わせた。

 射精が終わるまで、バッツはスコールを決して離そうとしなかった。
しっかりとした腕に閉じ込められ、その胸板に顔を埋めたスコールは、どくどくと早い恋人の鼓動を耳元で聞いていた。
バッツの方も、ああ、ああ、と悩ましい声と共に零れるスコールの吐息を胸で感じ取る。


「あ、う……♡はうぅ……♡」


 言葉も忘れた様子で、スコールははくはくと唇を開閉させている。
膣はきゅうきゅうと不規則なリズムを刻みながら、其処を支配している雄肉に舐めついていた。
その感触は、極薄のゴム越しにも分かる程にはっきりとうねっていて、バッツには大層心地の良いものだったが、


「スコール……は、大丈夫か?」
「んぁ……ふ、ぅうん……♡」


 バッツが努めて優しく声をかけると、スコールは覚束ない声を漏らす。
返事と言うには意識が浮遊しているものだったが、バッツは彼女の濃茶色の髪を撫でてあやした。

 バッツは少女を閉じ込めていた腕を解き、まだひくひくと小さく戦慄いている細腰にそっと手を添えた。
力の入っていないその腰を持ち上げてやると、中にあるものが肉壁をねっとりと擦り、スコールが堪らない様子で声を上げた。


「ああ……っん、うぅ……♡」


 感触にいやいやと首を横に振りながら、スコールはバッツの首に腕を回して抱き着いた。
やだ、と甘えたがる恋人の姿に、バッツは可愛らしさに眉尻を下げる。


「スコール、抜かなきゃ。動ける?」
「ん…やぁ……バ、ッツぅ……♡」


 熱に溺れた蒼の瞳が、涙を浮かべてバッツを見詰める。
抜きたくない、このままが良い、と訴える年下の恋人は、またバッツの欲望を如何なく刺激してくれたが、


「ちょっとだけ。ちょっとだけ我慢して」
「あ、ふ……!や、あ……んっ♡」


 嫌がるスコールを宥めながら、バッツは彼女の腰を持ち上げた。
ぬるぅ〜……と滑り抜けていくペニスに、スコールが身を捩って、膣を狭めてバッツを引き留めようとする。
が、すっかり濡れそぼり、雄の形を覚えて拓いた其処は、スコールの懇願虚しく、ぬぽっ、と音を立てて愛しいそれを手放してしまった。


「あうぅ……♡」
「ん、しょっと」


 物寂しそうな声を零すスコールを抱き締めて、バッツは起き上がった。
胡坐を掻いた膝の上にスコールを乗せて、自分の肩へと寄り掛からせる。

 スコールはバッツに抱き着いて、もぞもぞとしきりに下肢をくねらせた。
物足りない、もっと欲しい、と言いたげなその仕種に、バッツのペニスは液袋を作ったコンドームを被ったまま、またむくむくと膨らんでいた。
バッツはそれからコンドームを外して口を絞り、パッケージから新しいものを出して封を切る。


「……バッツ……」
「うん。すぐ準備するよ」
「……は、やく……ここ……♡」


 スコールの手が自身の下肢に下りて、ヒクつく恥部を見せつけるように、くぱ、と入り口を指で広げる。
其処は彼女自身の蜜でてらてらといやらしい色に光っていた。
白いビキニは窮屈そうに中心から退けられ、土手の横で蜜糸を纏わりつかせている。


「も……疼いて……だから、はや、くぅ……っ♡」


 ゴムを被せようとするバッツのペニスに、白い嫋やかな手が伸びて来て、指先が竿の裏筋を辿った。


「今日は随分エッチだなぁ、スコールは」
「……」


 バッツの呟きに、スコールはかあっと顔を赤くして、じっと恋人の顔を見る。
嫌なのか、と問う瞳の奥には、自分の行動がふしだらなものだと思ったのか、遅蒔きながらに不安そうな色が揺れている。
バッツはくすりと笑って、スコールの耳元にちゅうっとキスをした。


「んっ……!」
「大丈夫、大好きだよ。おれもスコールとエッチしたいし、エッチなスコール、可愛いし」
「ふ……バッツ……」
「ん」
「ん……んぅ……♡」


 本当か、と問うように見つめるスコールに、バッツは口付けで応えた。
ちゅくちゅくと、スコールの耳の奥で、唾液が混じり合う音が鳴る。

 キスに夢中になっているスコールに応えながら、バッツはとろ蜜を零しているスコールの陰唇に雄肉を宛がった。
ぴくん、と少女の足が感触に気付いて震えたが、首に絡む腕には力が籠り、彼女が待ち侘びている事が解る。
背中と腰を抱いて、ゆっくりと中へと侵入して行けば、唇の中でスコールが甘い声を零すのが判った。


「ん、んぅ、ん……♡あ……あぁ……っ♡」
「っは……ん、」
「あ、んっ♡」


 バッツはスコールの唇を介抱すると、次は彼女の白い首筋に吸い付いた。
ちゅう、と強く吸ってやると、スコールはビクッと頭を仰け反らせる。
露わになった首筋に、吸血鬼にでもなったような気分で甘く歯を立て、舌を這わしてやれば、繋がった箇所がきゅんきゅんと締め付ける。

 挿入が深くなって行くにつれ、スコールの躰が火照りを増して行く。
抱く腕にもそれが伝わる程になった頃、にちゅり、と音を立てて、バッツはスコールの中に全身を納めた。


「あ、う……ば、っつ……ぅ……♡」


 夢現に名を呼ぶスコールに、バッツはぺろりと首筋を舐めた。
ひくん、と震える少女の感触を味わいながら、バッツの手はスコールの胸へと向かう。

 フリル付きのタンクトップの上からその柔らかさを確かめた後、バッツの手はその下へと潜り込んだ。
そのまま手首にアンダーを引っ掛けて持ち上げれば、ずるり、と布地が胸の上まで持ち上げられる。


「あ……あ、ちょっ…!乳首は、あっ♡」


 海風の冷たい感触が肌を舐めるのを感じて、スコールが目を細めている隙に、バッツはぷくりと膨らんだ果実に吸い付いた。
ちゅうっ、ちゅうっ、と強めに乳首を吸うと、ビクッ、ビクッ、とスコールの肩が跳ねる。


「やっ、あっ、バッツ……!乳首、んっ♡」
「んちゅっ、ちゅうっ♡ん、はむ♡」
「やぁっ、乳首ぃ……っ!食べるの、あっ、んんっ♡」


 右の乳首を甘く噛まれたかと思うと、器用に動く舌が乳輪を嘗め回す。
その快感に悶えていると、左の乳首を指できゅっと摘ままれて、小さな悲鳴が上がる。


「あっ、あっ♡は、こねるの駄目……あぁっ♡んっ、くふぅっ♡」
「んん、んちゅぅっ♡っは、乳首ピンピンだ」
「はふ、ふ、くぅんん……っ♡」
「まんこもまた締め付けて来ちゃって」
「や、あ……バッツぅ……ん♡」
「良い?スコール」
「はっ、はふっ……!ん、んんっ♡」


 いつも人懐こく笑みを絶やさない褐色の瞳に宿る、隠しもしない雄の気配。
真正面からそれを見詰めてしまって、スコールは体中の熱が暴走するように全身を駆け巡るのを感じた。
バッツを迎え入れた秘孔の奥から、じゅわりと女の悦びが溢れ出し、より一層深い場所へと雄を誘う。

 バッツはスコールの躰を横たえて、先とは逆に、彼女の上に覆い被さった。
膝でスコールの両足を大きく開かせ、ずぷんっ!と膣奥に自身を突き穿つ。


「ああんっ!」


 高い悲鳴が上がると、それが消えるのを待たず、バッツは激しい腰遣いでスコールを攻め立てる。


「あっ、あっ、あぁっ♡あんっ!はぁんっ!」
「はっ、はぁ、スコール、んっ!ちゅうっ!」
「や、胸はやだって、あっ、あぁあっ♡」


 ずんずんと腰を打ち付けながら、バッツはスコールの乳首に吸い付く。
スコールはいやいやと頭を振ったが、バッツが乳首を吸う度に、彼女のヴァギナは嬉しそうに蜜を溢れさせていた。

 自身でバッツを迎え入れ、拙い腰遣いを披露していた時とは真逆の、バッツからの力強い攻めに、スコールの躰はまた熱を増して行く。
ペニスが出入りする度に、彼女の膣からはぷしゃぷしゃと潮が吹いて、二人の股間をびしょびしょに濡らしていた。


「はふ、あひ♡あぁっ、あぁんっ♡バッツ、バッツう♡」
「スコールのまんこ、っは、全部気持ち良くて、堪んない……!」
「ん、んっ♡すごい、強いぃっ♡奥、また届くぅうっ♡」


 バッツはスコールの膝裏を掴むと、彼女の体をくの字に折り畳む程に足を持ち上げた。
その上から覆い被さって腰を振れば、腰骨と尻肉がぶつかりあって、パン、パン、と皮膚が叩きあう音が響く。
静かな海岸に寄せて返す潮騒も、今や二人の耳には全く届かない。


「あぁっ、バッツの、ああっ、おちんちんでぇっ♡おれの、あっ、おまんこ、もっ、ぜんぶっ♡ぜんぶとけちゃうよぉおっ♡」
「おれも、おれもスコールのまんこで、頭バカになっちゃいそ……っ!」


 バッツはぎらぎらと血走る程に眼を滾らせ、官能に飲み込まれて憐れな程に泣き喘ぐ少女を見詰める。
スコールはその瞳に射抜かれているだけで、絶頂しそうな程に腹の奥が燃え滾った。
其処に重ねて、バッツの太いカリ首が、ぐりっ、とスコールの弱点を擦り上げる。


「あひぃいんっ♡」
「見っけ……っく、はっ、はぁっ、はぁっ!」
「あう、あっ、ひいんっ♡そこだめぇっ♡やぁっ、イくっ、イくぅううっ♡」


 しかと捉えた其処を、バッツの逞しい雄肉が何度も扱くように突き上げるものだから、スコールは頭を振って身悶えた。
だめ、だめ、と拙い舌で鳴き喘ぐが、そんな彼女の体は何よりもバッツから与えられる官能に喜んでいる。
その証拠に、いつの間にかスコールの足はバッツの腰に絡み付き、覆い被さる男を離すまいと全身で縋っていた。


「バッツ、バッツ、ばっつぅ♡おまんこ、あっ、おかひくなっちゃ、ひぃいっ♡」
「大丈夫、んっ、おれもおかしいからさ。スコールのことしか、考えられないくらい……!おかしくなってるから……っ!」
「はっ、あぁっ♡あぁあんっ♡」


 熱の息を吐きながら囁かれる愛の告白に、スコールは喜びで濡れてしまう。
ぎゅう、とバッツにしがみ付いて、嬉しいことを全身で伝えれば、絡み付く蜜壺の中でペニスがまた体積を増したのが判った。

 それからの二人は、夢中で恋人の声とその熱を追い続けた。
ほんの少しの時間を共有する筈だった事も忘れ、一夜の夢に浸ったのだった。




 暗く闇色に覆われていた海が、遠く薄らと明るさを灯し始めた頃、バッツはスコールを背負って海岸を歩いていた。
向かうのは彼女が宿泊する筈だったホテルだ。
そう遠くはない距離ではあるが、昨夜のことですっかり疲れたスコールを歩かせるには偲びなくて、ホテルの前までは負ぶって行く事にしたのである。

 リゾート施設の多い観光地とは言え、やはりこんなにも朝早くから活動している人は少なく、行く道には殆ど人影はない。
朝日と共に目を覚まして、犬の散歩に行く老人や、ジョギングに努める人の姿がちらほらと、後は早朝出勤であろうか、自動車がぽつぽつと走っている程度だ。
お陰で静かな朝と言って良く、海岸沿いには寄せては返す静かな波音だけが響いている。

 バッツの背中で、スコールはじっと黙って恋人に身を預けていた。
負ぶっていくよ、と言った時には、恥ずかしがり屋なものだから随分と嫌がってくれていたが、性根の方は甘えん坊なのだ。
人目がない事もあって、今はほんのりと頬を染めつつ、規則正しく揺れるバッツの背中で恋人の体温を感じ過ごしている。
そしてバッツもまた、落ちないようにと首に絡められたスコールの腕や、背中に当たる柔らかな感触などを堪能しながら、不自然にならない程度ののんびりとした足取りで歩いていた。


(良い夜だったなぁ)


 簾の隙間から差し込む月明かりに照らされた、愛しい少女の姿を思い出しては、バッツは口元が緩むのを隠せなかった。
背負うスコールにはバッツの顔が見えないので、それを良い事にバッツは終始顔を蕩けさせている。
ティーダあたりが見たら、だらしないを通り越していやらしい、とでも言ってくれただろうが、今は恋人と二人きりだ。
せめて鼻歌まで歌う浮かれようだけは抑えておいた。

 そんな時間も、それ程長くは続かないもので、程無くホテルの看板が見えて来る。


「……バッツ」
「ん?」
「……下ろせ。歩くから」
「良いじゃん、もうちょっとだけ。玄関くらいまで」
「……」


 バッツの言葉に、スコールは唇を尖らせたが、しばらくすると、ぽすっとバッツの肩に頭が乗せられた。
ホテルの玄関前まで許してくれると言うことだ。
その事にほっこりとしていたバッツだったが、


「……ん?」
「……どうした」
「いや、誰かいるなと思って」


 バッツの視線の先、ホテルの玄関前に、人影がある。
ホテルの従業員か警備員かとも思ったが、制服らしき格好ではないから、どちらも違うだろう。
と言う事は客であろうが───と目を凝らして、スコールが先にその正体に気付いた。


「………バッツ」
「ん?」
「下ろせ。今すぐ」


 ついさっき、許してくれた筈なのに撤回するスコールに、バッツはなんでと聞こうとしたが、聞こえる声が有無を言わせないものだった。
仕方なくしゃがんでやると、スコールは自分の両足でしっかりと地面に立ち、いつものように───少し庇うような格好になっているが、彼女にとってはいつも通りに───歩き出した。

 バッツがその後ろを追って行くと、玄関前の人影がはっきりと見えて来る。
其処には長い黒髪の少女と、金髪をオールバックにして額にスコールとは逆の傷を持った青年が立っていた。
青年───サイファーは判り易く眉間に青筋を浮かべて仁王立ちし、少女───リノアは気まずそうに眉尻を下げている。


「ありゃ」
「……」


 流石にこれはとバッツが口を開ける。
スコールは変わらぬ歩調で玄関前まで歩いて行き、友人二人に真正面から相対した。
真っ直ぐ向き合うスコールとサイファーに、バッツはその後ろから、サイファーの向こうにいるリノアと目を合わせ、


(バレたんだろうなぁ……)


 親友に向かってだろう、ごめん、と両手を合わせているリノア。
昨夜、スコールがホテルを出るに当たって、彼女が協力してくれたことは、バッツも想像に易かった。
バッツと折り合いが悪いサイファーに知れたら、一悶着はあるだろうと、隠そうともしてくれたのだろう。
しかし、リノアは良くも悪くも正直な性格をしているから、隠し事と言うのは出来ない性質なのだ。
そしてサイファーの方は、幼馴染のスコールのことをそれはそれはよく理解しているそうで、彼女の行動パターンなら誰よりも正確に的中させられるとか。

 じっと睨み合うように立ち尽くすスコールとサイファー。
茶化すような真似はどちらにとっても地雷だろうと、流石にバッツも空気を読んだ。
そもそも、こうなった発端は誰にあるかと言われれば、間違いなく自分であると、それははっきりと自覚している。

 腕組で仁王立ちをするサイファーの目が、スコールを通り越して、バッツを捉えた。


「高校生の分際で朝帰りとは、大したもんだな」


 その言葉はスコールに向けられているようで、バッツに対してだった。
年上なら配慮をするべきはどっちだ───と言っているのが判って、バッツも頭を掻くしかない。


「えーと……」
「あんたには関係ないだろう」


 なんと答えたものかと淀むバッツを遮るように、スコールが言った。
判り易い不機嫌な返し方に、当然ながらサイファーの方も火が点く。


「関係ない訳あるか。こっちはラグナさんからお前の事を頼まれてるんだぞ」
「……別にラグナはあんたに頼んだ訳じゃないだろ」
「ともかくだ。お前、バカな事やってないだろうな?」
「なんだよ、バカなことって」
「常識と良識の話をしてるんだ」
「だからなんなんだよ。意味不明だ」


 顔を顰めてサイファーを睨むスコールは、幼馴染の何か勿体ぶった言い回しの意味が本気で読み取れていないのだ。
恐らく、サイファーが何かとスコールに口酸っぱくするのは、そう言う所の所為なのだろうなあ、とバッツはこっそりと青年の苦労を察する。

 スコールに何を言っても暖簾に腕押しなのは、サイファーも判っていたのだろう。
もう一度、じろりと翡翠の瞳がバッツを睨む。


「おい」
「サイファー!バッツは別に」
「うるせえ!お前は引っ込んでろ、話が進まねえ」


 横を素通りしてバッツに迫るサイファーに、スコールは声を尖らせたが、それ以上の険が返ってきた。
思いも寄らない剣幕だったようで、押されたように口を噤んだスコールの下へすぐにリノアが駆け寄る。

 ごめんね、と改めて詫びるリノアに、スコールは溜息を一つ。
色々とバレることは予想していたし、それでもバッツに逢いたいと思ったのは自分だ。
スコールは謝る親友の黒髪を撫でて、気にしてない、と伝えた。

 そんな一方、サイファーはまるで門番のようにバッツの前に立ちはだかっている。


「で。何か言い訳はあるか?」
「うーん……いや、ないかなぁ。スコールの携帯にかけたのはおれの方だし、逢いたいって言ったのもそうだし」


 バッツは頭を掻いて、事の原因は自分である事をはっきりと自白した。
サイファーはそんなバッツの顔をじっと、隙間も逃さないかのように強く睨んでいる。


「本当はちょっと一緒に散歩でも出来たらって、それだけだったんだけど。一緒にいたら、やっぱり帰したくなくなって。そのまま一晩、引き留めちゃったから、おれの所為だよ」
「……」
「ええと、でも、うん。ちゃんと守るとこは、守った。それはちゃんとしなきゃいけない事だと思ってるからさ」


 自分の言葉が何処まで信じて貰えるか、バッツはそれを考えてはいなかった。
ただ事実のみを告げて、青年の向こうで心配そうに此方を見ている少女を安心させるべく、笑って見せる。
その表情が誰に向けられているのか、こと彼女については察しが良い幼馴染はしっかり気付いたらしい。


「……だったら朝帰りさせてんじゃねえよ」
「はい。それは反省してる」
「……一人で帰して寄越さなかっただけマシか……」


 はあ、とサイファーは深い溜息を吐いた。
そして毒気が抜けた表情で、くるりと踵を返した。
聊か疲れたと見える背中が、ホテルの自動ドアを潜るのを見送って、バッツは一応見逃して貰えたらしいと理解する。

 残されたバッツに、スコールの手を引きながらリノアがやって来た。


「バッツさん。あの、ごめんね、私、上手いこと誤魔化せなくて」
「サイファーにそんなの通じる訳ないんだ。あんたが気にすることじゃない」
「そうみたいだな。だから、うん、リノアちゃんの所為じゃないよ。ごめんな、気ぃ遣わせちゃって」


 スコールとバッツの言葉に、リノアは申し訳なさそうに俯くが、もう一度スコールが頭を撫でると少し落ち着いたようだった。
顔を上げたリノアは、気を取り直してスコールの手を握る。


「ちょっと早いけど、朝ご飯のビュッフェはもう開いてるんだって。皆が下りて来るまで、食べながら待ってる?」
「……そうだな」
「じゃあ、おれはこの辺で帰るよ」


 バッツがそう言うと、スコールが少し寂しそうに此方を見た。
名残惜しいと、素直な瞳が告げてくれる事に、バッツはこっそりと喜びながら、


「今日も海の家は開けるから、帰る前にでもまた寄ってくれよ。昼飯サービスするからさ」
「うん。皆で行くね」


 スコールの代わりに、リノアが返事をくれた。
よろしく、と言って手を振れば、スコールも小さく手を振り返してくれる。

 リノアに手を引かれてホテルへと入って行くスコールを、バッツは見えなくなるまで見送った。
一人になって海の方へと向き直ると、太陽が既に水平線上から浮いている。
海は今日も良い天気になるだろう。
もう一回、あの水着姿が見れたら良いなあ、なんて期待を抱きつつ、バッツは働き口へと戻るのであった。





素股と騎乗位で頑張るスコールが見たいなとずっと思っていたので。
あとバッツが水着を見る前の、上に羽織ってるものをゆっくり開かせていく所とか。恥ずかしいけどされるがままにしてるスコールとか可愛い。

この設定のスコールは、愛されてるのでエッチなことも積極的に吸収して行ってるのがとても楽しい。
バッツもそんなスコールが可愛くてエロくてしょうがないので、益々色んな事教えたり覚えさせたりしてる訳ですね。