泥に咲く花
スコール in FF7R


 下半身を覆う張り詰めた痛みの所為で、クラウドの足は鈍い。
青年は一足先にベッドに上がると、壁際に身を寄せ、


「仰向けになれ」


 その言葉は、命令の音を含んでいる。
クラウドはこれもまた、操られるようにして、言われた通りベッドに仰向けになる。

 寝転がったことで、クラウドの起立した剛直の大きさがより強調された。
電灯に照らされたペニスは、頭の天辺から根本までぐっしょりと濡れそぼっており、暗闇の中で光を反射させててらてらと形を浮かび上がらせている。
元ソルジャーらしく、厚みのある肉体に相応しい、太さのあるペニス。
その大きさで更に色黒にでもなっていれば、グロテスクにも見えただろうが、クラウドのそれはどちらかと言えば色白だった。
元の肌の色がそうだと言うのもあるが、


「可愛い色だな」


 薄らと亀頭にピンク色を乗せているペニスを見て、青年がくすりと笑った。
揶揄するような声に、クラウドがぼんやりと視線を動かせば、クラウドの肉棒よりも、色の薄い青年の象徴が目に入る。
それはクラウドほどはっきりとはいかずとも、頭を持ち上げていたのだが、亀頭は皮を被って此方も可愛らしいものであった。

 青年はクラウドの体の上に馬乗りになった。
魔晄の瞳が茫洋とその様子を見詰めていると、青年は腰を揺らして、クラウドの下腹部に尻を擦り付ける。


「大分大きいが……たっぷり濡らしてやったから、大丈夫だろう」
「……」
「あんたはじっとしていろ。一見で俺がここまでしてやる客はそういないぞ」


 感謝しろよ、と笑みを吸えた蒼灰色が言った後、青年は起立した雄の先端に、尻の中心を宛がった。
そこには小さな窄まりがあって、ヒクッ、ヒクッ……と微かな戦慄きが感じ取れる。
その正体をクラウドが考える暇もなく、ぬぷぅ、と甘い弾力を伴った肉の壺が、クラウドを包み込んだ。


「っあぁあ……!」


 もう何度目になるか、思わず上がるその声を、クラウドは抑えられなかった。
口淫と手淫によって限界まで昂らされたペニスが、極上の肉褥に嘗め回されながら、きゅう、きゅうぅ、と締め付けられる。
どくんどくんどくん、とクラウドの心拍数が急速に上がり、


「うううっ!」
「んっ、あぁっ!あぁああっ♡」


 どぴゅぅうっ!と勢いよく性が放たれ、クラウドの体が仰け反る。
同時に青年もクラウドの腹の上で背中を撓らせ、甘く甲高い声を上げていた。

 二人ベッドの上で、ビクッビクッ、と体を震わせる。
先にその感覚から自意識を取り戻したのは、青年の方だった。
天井を見上げていた首をゆっくりと落として、ふっ、ふっ、と呼吸を整えた後、自分の下で四肢を強張らせている男を見て、


「……そんなにイきたかったのか」


 ふふ、と笑う声と共に、きゅう……とクラウドの雄が強く締め付けられる。
うあ、とうめき声を上げるクラウドに、青年は益々興が乗ったように笑みを深め、


「それとも、気持ち良くて堪らなかった?こんなのは初めてだって」
「っは……はぁ……あ……っ」


 青年の囁きに、クラウドのペニスがぴくぴくと震える。
馬鹿正直な返事のように反応するその感触に、青年がまた喉で笑い、


「あんた───童貞?」


 どくん、と青年の胎内で、雄が露骨に膨らんだ。
その感触に、青年は意外そうに一瞬目を瞠りながらも、すぐにそれを笑みに替え、


「図星か」
「……くっ……そんな、こと、は……」
「んっ♡」
「うぅっ!」


 ずぷっ、と青年が腰を落とし、ペニスを深く咥え込む。
更に青年が息を詰めれば、クラウドを包み込む秘孔がきゅうぅっと締め付けを増す。


「うっあっ……し、締まって……あぁ……っ!」
「初めてが俺なんて、感謝しろよ。いや、恨むなよ?俺の所為で女じゃ満足できなくなった……なんて奴もいるらしいから」


 そう言って青年は、ゆっくりと腰を落としていく。

 亀頭はすっかり艶めかしく温かい感触に飲み込まれ、ゆっくりと脈打つように蠢く壁にマッサージされている。
クラウドの射精により、包み込む壁は濡れて滑り、ねっとりと生々しい感触を作り出している。
それが竿の根本近くを覆うまで、それ程時間はかからなかった。

 太く逞しい雄肉をすっかり喰らわれて、クラウドの血がまた固まって行く。


(これが……これが、セックス……)


 はくはくと音を忘れた唇を戦慄かせ、クラウドは呆然とした表情で天井を見詰めながら、下肢を覆う心地良さに酔い痴れていた。
自慰では到底味わう事のない、人の肉が齎す温かさと弾力。
ゆっくりと蠢く肉壺にペニス全体を隙間なく包み込まれながら揉みしだかれているような感覚。
もうそれを味わっているだけで、クラウドは意識が天にも昇りそうな程の官能であった。

 きし、とベッドが小さく軋む音を立て、青年の貌がクラウドの下へ近付く。


「……全部入った。こんなにでかいちんぽは、あんたが初めてかもな……?」


 唇が触れそうな程の距離で、青年は蒼の双眸を細めて言った。
それを聞いた瞬間、男の自尊心が満たされて、クラウドのペニスが悦びに戦慄く。


「う、あ……っは……っ」
「でも、これで終わりじゃないのは判ってるだろ?ほら……」


 青年の囁きと共に、ペニスを包み込んでいたものが、ぬるぅ……と来た道を逆に動く。
絶えず締め付けられていたペニスの根本が、温かな肉布団から出て外気に触れるのを感じて、クラウドの腰がぶるりと震えた。


「あっ、あぁ……っ!抜、抜ける……っ!擦れ……っ」
「そんなに、んっ……焦るなよ。今は…馴染ませてる所だから。……こんなに大きいんじゃ、俺も急には、動き難いんだ」


 温かく手心地良い肉壺が逃げていく感覚に、クラウドは思わず腰を浮かせる。
青年はそんなクラウドの腹に両手を突いて、上から押さえ付けるように制した。
膝を立てて両足の裏をベッドに乗せ、カエルのような格好になって、徐々に腰を持ち上げて行く。

 ぬるぅう……とペニスが肉壺を舐めながら抜けていく感覚は、クラウドだけでなく、青年にも官能を与えていた。


「あふ……っ、太いとこ……んっ、擦れてる……ん……っ♡」


 青年は悶えるように身を捩りながら、甘い声を零す。
体重を支える杖にした両腕の隙間から、彼の淡色のシンボルが覗いた。
それは頭を上にして、ぴくぴくと震えながら、鈴口からとろりと薄い蜜を垂らし始めている。


「はふ、うん……んんっ……♡」
「は、はぁ……あ、また……入って……いく、うぅ……っ!」
「んっ、んん……♡ふ、あ……くぅんん……っ」


 青年は時折、子犬のように喉奥から高い音を漏らしながら、ゆっくりと腰を上下に動かしている。
クラウドは、青年の下肢に、自身の性器が出入りを繰り返す様子に釘付けになっていた。


「はぁ……んん……っ!こんな、あっ……はぁっ、すご……はぁ……っ♡」


 ずっとクラウドを揶揄ように、余裕を滲ませていた青年の表情が、段々と熱に染まっていく。
幽鬼のように白い肌に血色が回り、頬がほんのりと赤らんで、蒼の瞳は熱ぼったく蕩けている。

 脈打つ肉壁のマッサージを竿全体に隙間なく与えられて、クラウドのペニスは再び固く育って行く。
二度の射精をして尚、クラウドの欲望は尽きることなく沸き続けており、青年の秘孔内を一杯に広げていた。


「んぁ、また、大きくなった……♡ふっ、ふぅっ、くぅんっ」


 青年の流麗な眉根が強く寄せられ、額には汗が滲む。
引き結び勝ちな唇は段々と解れ始め、唾液に濡れた赤い舌が隙間から覗いた。
クラウドはその舌に丹念にペニスをしゃぶられたのを思い出し、また欲望が一段と膨らむ。


「はふっ、あっ、あぁっ……!」
「ふっ、ふ……っ、ふぅ……っ!」


 青年の腰の動きがスムーズになって行くにつれ、上下運動が激しくなって行く。
艶めかしいストロークを行いながら、蜜孔はクラウドの肉棒全体を愛撫するように舐め続けた。
ねっとりと絡み付きながら、柔らかく時に強く、リズムよくマッサージを施す媚肉の感触に、クラウドの鼻息が荒くなって行く。

 窓を開けた方がまだ明るいのではないかと、その程度の明るさにしかならない電灯に照らされで踊る、引き締まったシルエット。
暗闇に慣れた魔晄の眼に、眉根を寄せて喘ぐ青年の貌が映る。
しっとりと汗の滲む頬を赤らめ、感じ入った表情を浮かべる青年の姿に、クラウドは何度目か知れない唾を飲み込む。


「うっ、んっ……んん……♡」


 クラウドの腹に着いていた手の片方、右手を青年が持ち上げた。
その手は青年自身の腹を撫でるように滑りながら上へと向かい、平らな胸に手のひらが重ねられる。


「んん……あぁ……あ……っ♡」


 クラウドへの奉仕を続けながら、青年は自身の胸を揉んでいた。
平らな胸だと言うのに、青年が少し身を反らして見せれば、そこにツンと尖った蕾が見える。
青年は胸を撫でながら、形の良い人差し指を伸ばして、その頂をくりくりと捏ね始めた。


「あっ♡あぁっ……♡は、ぁん……んっ♡」
「う、うっ……!」


 乳首を愛で始めると同時に、媚肉がクラウドをきゅうっと締め付ける。
青年の親指と人差し指が乳首を摘まみ、クラウドに見せつけるように引っ張った。


「あぁっ♡」


 自ら与える胸への刺激に、青年は愛おしそうに喘ぐ。


「あ、ん♡あっ……、は、はぁ、んんっ♡」


 乳首への刺激に気が行っているのか、腰の動きが緩やかになる。
しかし、代わりにアナルがきゅうっきゅうっと断続的に締め付けと弛緩を繰り返し、クラウドの肉棒を弄んでいた。


「うあ、あぁ……っ!はっ、はっ、はっ……!」
「うん、ふふっ……♡あんたも、動いて良いぞ……♡」
「ううぅっ……!」


 きゅうぅ……とクラウドを苛めながら、青年が促す。
クラウドは苦しくも心地良い締め付けに、歯を食い縛りながらベッドシーツを握り締めた。

 そのシーツを握っていた手が、ゆるゆると持ち上がって、青年の腰を捕まえる。
青年は心得たように腰を動かすのを止め、両手で自身の胸を弄り始めた。
乳首を摘まみ、その頂を爪先でコリコリと苛めながら、クラウドの動きを待つように媚肉を締め付けながら熱の瞳で見下ろしてくる。

 クラウドは、ふっ、ふっ、と数回の鼻息を吐いた後、青年の腰を掴む手に力を籠める。
ベッドに長らく沈めていた体を、強引に持ち上げるように、勢いよく腰を前へと突き出した。


「あぅんっ♡」


 ずんっ!と奥を突き上げられる衝撃に、青年が甲高い声を上げた。
その音が狭い室内に反響する中、クラウドは自ら掘り進んだトンネルの奥地の心地良さに言葉を喪う。


「はあっ、あぁ……!」
「あっ…ふ……♡やっぱ、り……ん、大きい……っ♡」


 青年の左手が、自身の腹へ重ねられる。
此処にある、とでも言うように、青年がゆっくりと腹を撫でながら、秘孔を締め付けるものだから、クラウドの下肢に一気に血が集まって行く。


「ふっ、ふぅっ、ふぅうう……!」
「あぁ……あぁあん……っ!」


 クラウドは相変わらず鼻息を荒げながら、青年の腰を強く掴んで固定したまま、腰を下げる。
ベッドに押し付け沈めるように退いて行けば、媚肉の中でペニスが後ろ向きにずるずると擦られるのが判った。
その最中、まるで抜けるのを嫌がるように、アナルがきゅぅんと切なげに締まる。

 ヒクヒクと戦慄くように震える媚肉の感触に心奪われながら、クラウドは息を止めて、また腰を突き上げる。


「はぁんっ!」
「はあ、はあ……くぅ……っ!」
「あっあぁ……っ!抜けちゃ、うぅ……んっ、くふぅう……♡」


 またゆっくりと引き抜いて行くクラウド。
そうして、抜いては一気に突き上げ、退く時には緩慢に、クラウドは甘い肉褥で自身の欲望を扱き上げる。


「ああっ、はあ……あふぅっ!んぁっ、あっ……♡はぁあ……っ、あぁあ……っ!」


 ずんっ、ずるるる、ずちゅっ、ずりゅぅうっ……と、媚肉を味わうクラウドのリズムに合わせて、青年は甘い鳴き声を上げた。
右手は今も胸を弄り、いじられ続けた乳首はぷっくりといやらしい形に膨らんでいた。
それもまた、見上げるクラウドを視覚的に煽り、青年の胎内で、ペニスがむくむくと膨らみ固くなって行く。


「はぁ、また大きくっ……んぁ♡もう、お腹の中、一杯なのに……♡」
「はっ、はぁ……っ!はあっ、くぁ……!」
「ん、ふふ……っ♡そんなに、必死に、腰振って……あふっ、うんっ♡ソルジャー1stも、あっ、可愛い奴が、いるんだな」


 クラウドの律動を受け止めながら、青年はくすくすと楽しそうに笑っていた。
其処へ、ずんっ、と突き上げてやると、太い肉棒に腹奥を突き上げられた衝動に、青年の背筋が仰け反る。


「あぁんっ!はっ、んぁっ、ムキになって……あふっ、あぁんっ!」


 ペニスを痛い位に膨らませた状態で、強く秘奥を突き上げて来るクラウドに、青年は喘ぎながらも余裕を失わない。
それが無性にクラウドの雄としてのプライドを刺激していた。

 青年は左手を体の後ろに立てて支えにし、体重を後ろ側に傾けながら、足を開いた。
クラウドが少し頭を起こしてみれば、ペニスを咥え込んだ青年のアナルと、その直ぐ上で涙を零しながら起立している可愛らしいペニスが見える。
青年の雄は鈴口から蜜をとろとろと零し、アナルはクラウドを咥え込み、もぐもぐと蠢いている。
卑猥なものを見せつけられて、クラウドのペニスが青年の胎内でどくりと脈を打った。


「はっ、はぁっ、はぁっ」
「ふ、ふふっ……んっ、ううんっ♡」
「あぁあっ!強く締まって、はっ、絡み付いて……くぅっ、ううぅっ!」
「出しても良いぞ。搾り取ってやるつもりだからな」


 きゅううぅ……と締め付ける肉壺の感触に、泣きごとめいた声が漏れてしまうクラウドへ、青年はもう一つ強く締め付けながら言った。
下腹部の苦しさに呻くクラウドに構わず、青年はクラウドの律動に合わせて腰を動かし、より深くペニスを咥え込んで来る。


「はっ、はぁっ♡すご……奥の、奥まで……んっ♡入っちゃいけないとこまで……っ、んっ♡入りそうっ♡」
「う、うぅっ、くぅっ!うぅっ!」
「んぁんっ!あっ、あふっ♡はぁっ、あぁっ、あぁっ!」


 クラウドは歯を食いしばり、全身のバネを使うように力んで、青年の下肢を突き上げた。
それに合わせて青年が腰を捩り、奥へと招き入れるように媚肉がくぱりと口を開ける。
誘われるままに奥壺へとペニスを捻じ込めば、ごちゅんと壁のような感覚に行き当たった。


「あふぅっ♡あっ、そこ、そこぉっ♡」


 青年の声が明らかに音が変わった。
同時にペニスに与えられる締め付けもより強くなり、肉ビラが痙攣しているのが判る。
その意味を、クラウドの本能だけが切り取ったように悟っていた。


「はっ、はぁっ、はぁんっ!んぁっ、強いの、奥に……あぁっ、来てるぅっ♡」


 甘ったるい声を上げながら、青年は細い腰を戦慄かせている。
開いた足の太腿が強張ったように震え、その狭間ではピンク色のペニスがぴゅくっぴゅくっと我慢汁を噴いていた。

 ゆらゆらと揺れる腰の動きは、快感に悶えて苦しんでいるかのよう。
赤らんだ顔には涙が浮かび、クラウドを見詰める蒼灰色の瞳には、懇願の色さえも滲んでいるように見えた。
それでいて口元は何処か嬉しそうに綻んで、クラウドが与える快感に酔い痴れているように見える。


「あっ、あぁっ、イくぅ……っ!ソルジャーの……っ、おっきなちんぽで、ああっ♡気持ち良いの来るぅ……っ!」


 青年が天井を仰ぎ、白んだ喉の中心に汗の粒が流れて行く。
その晒された喉を見た瞬間、クラウドの中で凶暴な衝動が目覚めた。

 ずんっ!と強く秘孔を突き上げた瞬間、アナル全体が閉じるように締め付けを増し、クラウドを食いちぎらんばかりに吸い付く。
そのまま媚肉全体がぶるぶると痙攣したと思ったら、


「あっ、あっ♡あぁーーーーっ♡♡」


 びくっ、びくんっ、と青年の薄い腹が弾んだかと思うと、その中心部から勢いよく精が吐き出された。
びゅるるっ、と噴き出した白濁液は、受け止めるものもなく、青年の腹の上に注がれる。

 青年の射精と同時に、秘孔もまた一つ締め付けて、クラウドのペニスを全身マッサージで扱いた瞬間、


「うぅうううっ!」


 出る、と言う暇すらなく、クラウドは射精した。
どぴゅうううっ!と絞ったホースから噴き出す水のように、勢いよく注ぎ込まれる子種の感触に、青年がまた蕩けた声を上げる。


「んぁああっ♡あっ、あぁああ……っ!」


 青年は全身を強張らせ、クラウドの欲望を受け止めた。
胎内でクラウドのペニスが断続的に震え、締め付ける媚肉に誘われるままに、どぴゅっ、びゅくっ、と更に精子を吐き出す。
青年はそれを受け止める感触に酔うように、「あぁっ♡あぁ……っ!」と声を上げた。

 射精が終わるまでの間、クラウドは一ミリたりとも動けなかった。
熱の最高点まで上り詰めた体に、甘く蕩けた媚肉がうねるように絡み付くのが、よりクラウドを追い詰める。
自身が注いだ精を受け止めた肉壺の中は、艶めかしく心地良かった。
茹った頭が天国に昇っているような気さえして、気を抜けば意識が飛びそうになる───いや、半ば飛んでいたのかも知れない。
それ程、クラウドにとって、この未知の快感は強烈なものだったのだ。

 そんな夢現の中で、またペニスがねっとりと舐められる感触に、クラウドは「ああぁ……!」と声を上げた。
息も整わないクラウドに構わず、青年が体を起こしている。


「はっ、はぁ……んっ、んぅぅん……♡」


 青年は甘い音を喉から零しながら、腰を浮かせた。
ずるぅ……と肉棒がアナルを擦って行く快感に、青年は身を震わせながら、ゆっくりとペニスを抜いて行く。
ぬぽっ、と音を立ててペニスが解放されると、それを咥え込んでいた穴はぽっかりと口を開けたままになり、中に注ぎ込まれた精液がどろりと溢れ出した。


「あぁ……ん……♡こんなに、一杯……っあ……♡」


 秘孔から溢れ出す濃い粘液の感触に、青年がふるりと身を震わせている。
その頬は火照って赤らみ、涙に濡れた蒼の瞳は、何処か光悦としていた。

 青年の指が自身の下肢へと降りて、精子を溢れさせてるアナルに触れる。
開いた土手がヒクヒクと震えるそこに指を這わせ、くぱ……と口を開いてやれば、こぽりと白濁が溢れ出した。
尻たぶの谷間を辿ってシーツに濃い染みを作るその様子を、クラウドはじっと見詰めていたが、


「……っ!」
「!」


 がば、と跳ね起きるようにクラウドの体が起き上がる。
それを予想していなかったのだろう、一瞬青年が目を瞠ってクラウドを見た。
その瞬間の表情は、それまでの妖艶さや余裕振りとは裏腹に、幼い顔立ちをしていたのだが、その意味を悟る程クラウドは既に理性を持っていなかった。

 青年の細身の肩を掴んで、ベッドに押し倒すように縫い付ける。
足首を掴んで左右に大きく開かせてやれば、情交の濃い匂いを振り撒く恥部の全てがクラウドの前に曝け出された。
そこでヒクヒクと絶えず戦慄いている蜜壺に、クラウドの股間が押し付けられ、


「!ちょ……!」


 待て、とでも言おうとしたのだろう、青年が慌てた様子でクラウドの手を掴む。
が、構わずクラウドは一気に腰を推し進めた。


「んぁあああっ♡」


 ずぷぅうっ、と一息に奥まで突き入れたペニスは、硬く張り詰めている。
三度の射精を行ったと言うのに、それは全く衰えを知らず、寧ろより一層の硬度となって青年を貫いたのである。

 挿入後の感覚が馴染む暇もなく、クラウドは腰を振り始めた。
ずん、ずん、ずん、と衝動に動かされるまま腰を突き出してやれば、青年は体を大きく撓らせて野獣の猛攻を受け止める。


「あっ、あうっ、あぁっ!うそ、大きいっ……さっきより、あぁっ、あぁんっ!」
「はっはっ、はっ……!」
「バカ、待て……あっ、あぁっ!」


 青年の止める声など、クラウドの耳には碌に届いていない。
魔晄の瞳は、ぎらぎらと輝き、見下ろす青年を真正面から射抜いていた。


「んっ、この……あっ、待てって、そんなに急に……っ!」
「ふっ、ふぅっ、うぅっ!」
「はっ、童貞が……っおふぅっ♡」


 聞こえた悪態に、クラウドは奥に突き挿すように腰を埋めた。
ずぷんっ、と根本まで入ったペニスが、秘口の奥の壁に行き当たる。
その瞬間、青年の喘ぐ声に甘いものが混じったのを、クラウドは聞き逃さなかった。

 青年の両の膝裏を持ち上げ、肩に担ぎ上げながら覆い被さる。
青年の背中が丸まってベッドに沈み、臀部を天井に向かって晒す格好になった。
それを上から押し潰すように体を重ね、壁の感触と思しき其処を太いペニスでぐりぐりと押し潰してやると、


「おっ♡おぉっ♡や、んぉっ♡」


 これまでとは違うトーンの声が漏れ出て、青年の眦がとろりと緩む。
整った眉は強く潜められ、苦しくも見えるが、開いた唇から覗く舌は濡れそぼっていた。


「はっ、やめ、イったばっかり……あっ、あぁ♡んひっ♡ひぃっ♡」


 青年の肉壺は小刻みに震えながらうねっており、クラウドが奥をごりごりと擦る度に、きゅううっとペニス全体を搾るように縋り付いて来る。
その締め付ける肉を振り払うように、クラウドは一心不乱に腰を振った。
精液と腸液で艶めかしく濡れた肉壺は、若い男の我武者羅で乱暴な攻めにも滑りを与え、極太の摩羅による開拓を助けている。

 細い躰が、突き上げる度に、大きく撓り跳ねる。
それが自分の手で乱れているからだと思うと、俄かにクラウドの興奮は膨れ上がった。
その様を体現するように、青年の秘孔の奥で、ペニスがビキビキと固くなって行く。


「んぉっ、あっ、おぁっ♡んひっ、深、そんなに、奥を、あぁっ!強くぅっ♡んぉああっ♡」


 ごちゅん、と壁を突き上げると、青年は喉を逸らして四肢を強張らせた。
二人の腹の間で、青年のペニスが頭を持ち上げ、しきりに涙を零している。


「だ、め、あぁっ♡あひっ♡やめろって、んあっ!あひっ♡んぐぅっ♡」
「ふぅっ、はあっ、ふっ、ふぅっ!」
「この、んぁっ、猿みたいに、あひぃっ♡ひぃいっ♡」


 また悪態を突こうとした青年の奥壁に、亀頭部を強く押し付ける。
ごりごりと掘削するように傘を奥壁の窄まりに擦り付けてやれば、青年の瞳がとろんと蕩けた。

 ついさっきまで、クラウドを思うがままに翻弄していた青年が、すっかりクラウドのペースに飲み込まれている。
それがクラウドの雄性に充足感を齎し、更なる征服欲を呼んだ。


「はひ、もっ、もうっ……ちょっ、止まって、あ、」


 このままではいけないと、青年の手がクラウドの腕を捕まえる。
腰をしっかりと掴んだ太い腕は、力強く逞しく、覆い被さる男が屈指の雄であることを青年に実感させた。
それでもこのままでは───と歯を食いしばる表情が見えた瞬間、ずこんっ、とクラウドがまた一つ腰を強く突き出した。


「っんほぉおっ♡」


 その一撃で、ペニスが奥の窄まりの更に向こうへと到達する。
ビクッ、ビクッ、と戦慄く蜜壺の感触に構わず、クラウドは肩に乗せていた青年の足を掴み、ぐるん、とその身を上下反転させた。


「んぉおおっ♡」


 入ったままだったペニスが、肉壺の中をぐちゅぅんっと掻き回す。
太く固いペニスは、緩くカーブを描いて反り返っており、それで中を大きく掻き回されたものだから、青年は堪らず声を上げた。

 青年を俯せにした拍子に、繋がりの角度が変わって、アナルから肉棒が抜ける。
ぬぽんっ、と抜けた弾みに「あひんっ♡」と可愛らしい声が上がった。
青年は皺だらけになったシーツに顔を埋め、汗と精液でドロドロになった真っ赤な尻をふるふると戦慄かせている。

 その中心で、くぱっ、くぱっ、と穴口を開閉させている縦割れしたアナルに、クラウドはこの一生で一番大きく育ったであろうペニスを宛がい、


「まっ、待て……っ!バックはだめ、」
「ふぅううっ!」
「んほぉおおおっ♡」


 青年の制止の声など耳にも入らず、クラウドは一気にその肢体を貫いた。
入口から根本まで一息に突き入れてやれば、奥の奥にある所にずぽりとハマる。
その瞬間、青年は白い背中を仰け反らせて、甲高い悲鳴を上げていた。

 俯せの青年の腰を再び掴み、持ち上げる。
膝立ちになったクラウドの腰と、青年の持ち上げられた尻が同じ高さになると、クラウドは直ぐに律動を始めた。


「あっ、おっ、はおぉっ♡らめっ、そこっ♡中に、だめなとこハマって、入ってるぅうっ♡」


 クラウドのペニスにぴったりと密着する蜜孔の奥。
行き止まりと思っていた壁の向こう側───S字結腸だ。
青年がクラウドの上で腰を振っていた時、鈴口で何度もキスをした場所。
そこを反り返った亀頭の嵩で、ごりゅっぐりゅっと穿るように突き上げれば、


「んほっ♡おぉっ♡おぉんっ♡らめっ、だめぇっ!そ、そこはっ、ああっ!こんな大きいちんぽで、そんなっ♡穿られたらっ♡ケツ穴が、おおっ、まんこになるからぁっ♡」


 青年は縋るようにシーツに顔を埋め、いやいやと頭を振る。
構わずクラウドが突き上げてやると、まろい尻がビクンッと跳ねながら、咥え込んだ雄を締め付ける。
その拘束が得も言われぬ快感をクラウドに伝え、理性を焼き溶かして行く。


「はあ、ふぅ、はあっ、はぁっ!これが、まんこ……っ!」
「あふっ、あうっ、あぉんんっ♡そんな、そんなに激しく、んぉおっ♡やあ、だめ、おまんこっ♡ケツ穴まんこぉっ、気持ち良くしちゃ、あぁあんっ♡」


 ずるう、とペニスが天井壁を引っ掻きながら下がると、青年は尻を後ろに突き出す格好になって喘いだ。
肉壺はペニスを引き留めようとしがみ付き、甘い匂いを振り撒きながら、きゅうきゅうと竿に絡み付く。

 もうこの時点で、クラウドには堪らない快感になっていた。
自慰で済ませるのとは全く違う、他人の温もりの中で得る、艶めかしく蕩けた肉の感触。
それが締め付け、緩み、揉みしだきと、妖しく蠢いてクラウドを包み込むのだ。

 クラウドは青年の背中に覆い被さった。
重みのある男の気配に、青年の秘孔がきゅうんと切なげに窄まる。
きゅうう、と締め付けられて得る味に、クラウドの凶暴な雄性は益々開花していく。


「はひっ、はぁっ、ああっ♡すごい、太い、重いぃいっ♡んぁっ、どっ、童貞の癖にぃっ♡」
「あんたも、はっ、さっきとは随分違う乱れっぷりじゃないか……っ!」
「はっ、あふっ、あぁっ♡あんっ、あっ、あぁっ!」
「はっ、はあ、はあ……っあんた、名前は?」
「あ、あふっ、あひぃいんっ♡」


 耳元で囁いたクラウドに、青年は応えられない。
それを急かすように、クラウドは秘奥をごちゅんっと突いてやった。
甘い悲鳴が消えない内に、更にクラウドは、青年の胸の蕾を摘まんでやる。


「はぅううんっ♡」


 自身の指で既に刺激を与え、官能のスイッチを入れていた場所だ。
クラウドの太い指に遠慮なく両の乳首を摘ままれて、青年はペニスを締め付けながら声を上げる。

 摘まんだ乳首をぎゅっぎゅっと潰すように挟んでやると、そのリズムに合わせて、アナルがクラウドを締め付ける。
乳首で感じていると判るその反応に、クラウドの鼻の孔が膨らんだ。


「ふぅっ、名前、教えてくれ。ほら、早く」
「ああっ、あひっ♡ひぃんっ♡だめ、乳首はっ、ああっ♡胸はぁあっ♡」
「弱いんだろ?あんたの反応見てたら判る。摘まむとまんこも凄く締め付けて来る」
「はひっ、ひっ♡ひぃいっ♡だめ、らめぇっ♡乳首しながら、ああっ♡おまんこするのぉっ!頭おかひくなるからあっ♡」


 懇願するように叫ぶ青年の言葉に、クラウドの口端がにやりと笑う。
あんなにもクラウドを翻弄した青年の弱点は、此処にあったのだ。
それを見付けた雄がやる事は、一つしかない。

 クラウドは乳首を強く摘まみながら、青年の奥地に深く肉棒を突き入れた。
根本までずっぽりと入ったそれを、更に中へ押し付けるように、青年の尻に股間を密着させてやる。
反り返ったペニスが中で天井をごりごりと穿る快感に、青年は白目を剥いて悶えた。


「らめ、らめぇえっ♡ソルジャーのっ、1stちんぽでずぽずぽするのぉっ、ケツまんこ壊れるからぁあっ♡」
「ふう、ふぅっ、ふんっ!ふんっ!」
「んぉっ、おふぅっ、おほぉんっ♡ひっ、ひぃっ♡乳首ぃ、つねらないで、ああっ♡カリカリするのもらめぇえっ♡」


 青年はいやいやと頭を振り、体を捩って逃げを打つ。
それを叱るように秘奥をごりゅっと抉ってやれば、細い肢体が仰け反りながらビクビクと戦慄いた。

 乳首を苛めてやるほどに、肉壺は一層強く締め付けを増し、クラウドの精を搾り取ろうとする。
その小刻みに震える肉ビラの中で、クラウドは思う存分ペニスを扱いた。
その腰遣いは乱暴でもあり、それを受け止め悶える青年の乱れようもあって、まるで獣の交尾のようだ。

 クラウドはすっかり固くなった乳首をまた抓りながら、青年の耳に囁く。


「名前。あんたの」
「はうぅうっ♡はっ、ひっ……、あぁああっ、ぐりゅんぐりゅんしないでぇえ……っ!」
「教えてくれ。じゃないと、次が指名できないだろ」
「はっ、はひぃっ♡ひぃいっ♡」


 クラウドが腰を回すように動かすと、中で角度を変えながら擦れる肉棒に、青年の丸めた背中が怯えたように震える。
「ほら」と言いながら、クラウドはずんっと奥を突き上げた。
更に乳首も捏ね回し、答えるまで止めないことを匂わせる。


「はっ、はひっ、はぁっ♡す、こーる、ああっ♡」
「うん?」
「あっひ、はぅ、ひぃいっ♡すこー、る、すこーるぅっ♡んぁああっ♡」
「は……っ、スコール、か」
「んんんっ♡」


 喘ぎ声の中、微かに聞き取れた単語を反芻すると、呼んだ直後にアナルがペニスを締め付けた。
まるで甘えをねだる恋人のように、ねっとりと絡み付く肉の感触に、クラウドの腰にぞくぞくとした熱が迸る。


「あひっ、あっひ♡おふっ、おぉんっ♡乳首が、ああっ、だめっ、だめなのぉっ♡乳首コリコリしながら、はひっ、おまんこっ♡ぶっといちんぽで、はひぃっ、そんなに一杯、抉られるのぉおっ♡」


 カリカリ、カリカリと乳首を絶えず刺激され、ビクビクと戦慄く汗ばんだ肢体。
奥深くまで咥え込んだペニスを痛い位に締め付けながら悶える青年───スコールの様は、性に翻弄される雌そのものだった。

 クラウドは青年の両腕を捕まえ、手綱を手繰るように後ろ手に引っ張った。
スコールは起こした上半身を弓形に撓らせ、膝立ちになってクラウドの強烈な律動を受け止める。


「おっ、おんっ♡おふっ♡おほぉっ♡らめっ、らめぇっ♡奥きてるぅっ♡弱いとこっ、雌になるとこっ♡ずぽずぽするのぉっ、らめぇええっ♡」
「はあ、はっ、ああっ、はあっ!くぅっ、締まる……!」
「はひっ、ひぃっ、んぁあっ♡雌っ、雌になるぅっ♡童貞ちんぽなのにぃっ♡童貞なのにっ、太くて、ああっ、固くて、んぁあっ♡奥まで入って、らめぇっ♡おまんこ溶けるっ、ちんぽで、1stちんぽでおまんこイくぅううっ♡♡」


 スコールは最早、実を捩ることも出来ない程、強烈な官能の海に溺れていた。
クラウドの太く逞しい強直が秘孔を一杯に広げ、肉壁を満遍なく擦りながらそぞり上げていく感触に、唾液塗れの舌を晒しながら上り詰める。
色の薄いペニスからびゅるるるっと精子が噴いて、ベッドシーツにぱたぱたと飛び散った。

 その官能の最高潮の中にいる体を、クラウドは止まることなく攻め立てる。


「あふっ、おほっ、ほぉっ♡おぉっ♡まって♡イッってる、イってるからぁっ♡ああっあぁっ、ああぁぁっ♡」
「ふぅっ、ふぅっ、ふぅんっ!」


 形振り構わずストップを訴える声を無視して、クラウドは腰を振り続ける。
直ぐ其処まで迫っている限界を、歯を食いしばって堪えながら、一分一秒でも長くこの極上の肉の味わいを貪ろうとしているのだ。
だが、セックスと言う至高の悦楽を知ったばかりの体は、そう長く本能を抑えることは出来ず、


「うっ、うぅっ!イくっ!出るっ!」
「あひっ♡ああっ♡んぁああああっ♡おちんぽ、ああっ、精液ぃっ♡おまんこの中で、どぷどぷしてるぅううっ♡」


 今日四度目であるにも関わらず、クラウドの精子はたっぷりと濃く量も全く衰え知らずであった。
大きな精嚢にたっぷりと溜め込まれていた精子が、一気に管を通って青年の腹の中に注ぎ込まれていく。

 その射精が終わらない内にも、クラウドの体は動いていた。
きゅうきゅうと締め付ける肉壺の中を、まだ精を吐き出して脈を打っているペニスが、ずぼずぼと耕すように穿り返す。


「おおっ、ほぉっ♡おほぉんっ♡まっへ、なあっ♡またイくっ、イくぅっ♡おまんこがぁっ、せーひでぐちょぐちょなのにっ♡かきまわひてりゅのぉおっ♡」
「うっ、うぅっ、止まらない……っ!はあっ、はあっ、はぁっ!」


 射精の解放感と、締め付ける肉壺の心地良さに、クラウドの意識は半分飛んでいた。
体だけが本能で快感を求めて動き続け、腰の律動が止まらない。


「はあっ、はっ、スコール……!スコールっ」
「んぁっ、あぁっ♡あぅうんっ♡あひぃっ♡」


 夢現に青年の名前を呼べば、スコールは応えるようにクラウドを締め付けた。
喜んでいるのか喜ばせているのか、いずれにせよ、媚肉はクラウドに更なる快感を齎してくれる。
天井知らずのその心地良さに、クラウドのペニスはまたも固くなって行く。


「はひっ、ああっ、またっ、固くぅっ♡も、何回イけば、ああっ♡なんでそんなにっ、こんな、こんなの初めてぇええっ♡ああぁーーーーっ♡♡」


 ずんずんと絶えず突き上げる律動に揺さぶられながら、スコールも甲高い声を上げて絶頂する。
搾り取らんばかりに締め付ける媚肉の味わいを受けながら、クラウドは尚も、蜜のように甘い肉を貪り続けたのだった。




 その日、締め切ったカーテンの向こうで、薄らと白んだ光が差し込む頃になって、クラウドの欲望はようやく鎮静した。
興奮剤でも投与されたように、一晩中盛りを付けていた等、我が事ながら到底信じられない。
それ程自分に性欲と言うものがあった事も初めて気付かされたし、セックスと言うものがどれ程強烈な麻薬になるのかということも、生まれて初めて知った。

 薄暗がりの部屋の中、乱れに乱れた青年───スコールは、正午過ぎまで気を失っていた。
性の匂いで充満した部屋で、ベッドにぐったりと肢体を投げ出しているその姿に、またクラウドの欲望が頭を擡げる。
しかし流石に理性が戻っていた。
死んでいないか、と恐々確かめたのは、彼が目覚めるまでに三回を数えた。

 スラムの太陽がまた消える頃に、スコールはクラウドの部屋を後にした。
二度と来るか、と言わんばかりに睨み付けられていたが、クラウドは気にしなかった。
寧ろ、あれだけ乱れに乱れていたのに、よく強気に睨めるものだと感心する。
同時に、ああして強気に、或いはクラウドを弄ぶように余裕ぶっていた顔が、あられもなく啼き喘いでいたことを思い出し、またクラウドを興奮させた。

 それから────それから。
アバランチメンバーが相変わらず次の作戦の日取りを悩んでいる傍ら、クラウドは『なんでも屋』としてスラムで過ごす日々である。
稼いだ金は、日々の消耗品の他、何割かを蓄えに当てるようになった。
だが、その蓄えもまた、消費することが前提になっている。

 数日分の蓄えを叩いたクラウドの下へ、夜、来客が訪れる。
ガンガン、と乱暴にドアをノックする音に、隠しもしない不機嫌さを感じつつ、クラウドは特に気にせずドアを開けた。


「……デリバリーサービスです」


 フードローブを深く被ったその青年は、相変わらず抑揚のない声で言った。
クラウドがドアを大きく開けると、青年───スコールは今日も深い溜息を吐いて敷居を跨ぐ。

 ドアの鍵をかけるクラウドの背中に、「羽振りが良いもんだな」と言う声がかけられた。
若干の皮肉めいた音を感じつつ振り返ると、スコールはフードローブを脱ぎながら続ける。


「あんたが俺をしょっちゅう指名してくれるお陰で、胴元が大喜びだ」
「……良いことじゃないか。あんたの懐にも入るんんだろう?」


 スコールは高級娼婦だ。
金を払う客にその身を差し出し、一夜の夢を見せるのが仕事である。
男でありながら、クラウドの数日分の稼ぎを一晩で軽く持って行く金額が設定されているのだから、彼に指名が入るのは胴元にとっても嬉しいことではないか。
指名料を上乗せされることを含めれば、言うまでもなく稼ぎも上々に違いない。

 が、スコールはクラウドを見遣ると、チッと小さく舌打ちする。


「あんた、自分の性欲のえぐさに自覚ないのか。おまけに、あんたがいつも俺を指名するから、他の客がつかなくなった」
「……それは俺の所為なのか」
「他に何がある。スラムにいる元ソルジャー1stのお気に入りだって、他の客がビビるんだ。俺に手を出したら、あんたが黙っていないって」


 そんな噂が流れていたとは、初耳だ。
確かにクラウドはスコール以外を呼んだことがなく、呼ぶ気もないので、お気に入りなのだろうと言われると、状況としては否定が難しい。
だが、別段、スコールが他の客に呼ばれたからと言って、自分がその客をどうしようなどとは────


(………)


 思わない、と思っていたのだが、何故かクラウドはそれを断言できなかった。
目の前の青年が、しなやかな肢体を拓き、他の男に足を絡める様を想像すると、俄かに腹の奥がぐらりと煮える。
剰え蕩け切った雌の顔で、卑猥な言葉を並べながら男に縋るのだと思うと、無性に腹が立つ。
同時にクラウドの血も中心へと集まって、下腹部に判り易い主張を見せた。

 それをちらと見た蒼灰色が、呆れつつも何処か熱っぽい色を宿し、


「……責任取って、あんたには他の奴の分まで金を出して貰うからな」
「それであんたを呼べるなら、別に構わない」
「……童貞の癖に」
「あんたのお陰でもう捨てた」


 忌々しげに呟く青年は、うんざりとした表情を浮かべながら、服の一切を脱いで行く。
初めてそれを見た夜と同じ、幽鬼のように白く、掴めば折れてしまいそうな細い躰。
ごくりと喉を鳴らすケダモノに、誘うようにしなだれかかるその躰は、何処までもクラウドを誘って已まなかった。




リメイクでのクラウドと、スラムで体を売ってるスコールを書きたいなーとずっと思ってて。
ZRのクラウドはDTだと決めつけている私です。端々にそんな匂いを感じる。そして色んな因子の影響で性欲強いだろうなって言う偏見。
でも一番は、主導権を持ってると余裕顔して弄ぶ癖に、守勢にされるとてんで弱いスコールが書きたかった。

このスコールは、自分が攻められるのに弱いの自覚してるから、普段は自分が主導権を取ったり、NGなしと言いつつ自分が苦手な事はしなくて良いように誘導してる訳ですね。
なのでクラウドが最初に提案した、仕事しなくて良いと言うのは断然ラッキーだったんだけど、どうも客の様子を見て揶揄いたくなったんだと思います。
これなら自分のペースで行けるし、大きさにはびっくりしたけどまああの辺なら他にもいなくはないし、主導権持ってれば問題ないだろうと。
でも甘かった。雄を目覚めさせたのは自分なので、引っ繰り返されてからのことは自業自得なのでした。

その後も金稼いで指名してるんだから、こいつ結構図太いなと思った。それ位にハマってしまった訳ですね。なお他を買う気もない。