アトローパ・ベラドンナ
触手・異種姦


 ひょっとしたら戻っているかも知れない、と思ったジタンとバッツが聖域に帰還したのは、夕方のことだった。
歪での戦闘を終え、空間の変調に巻き込まれて逸れてしまったスコールを探してから、既に数時間が経っている。
それだけ時間が経っていたら、何か不測の事態でもない限り、彼は帰還していると思っていたのだが────


「まだ帰ってないよ」


 待機番だったセシルの言葉に、当てが外れたジタンとバッツは顔を見合わせた。
セシルもまた、二人から事の経緯と、経過時間を聞いて眉根を寄せる。


「うーん……僕は今日、ずっと聖域にいたけど、まだ彼の姿を見てはいないよ。彼なら大丈夫だとは思うけど、随分時間が経っているのは心配だね」
「スコールの事だから、無茶はしない……と思うんだけどなぁ」


 バッツの言葉に、セシルも頷くが、その表情は晴れない。
こう言う時、ティーダやクラウドが言うような、デンワと言う遠方からの連絡手段がないことが悔やまれる。

 ジタンはゆらりと尻尾を揺らして、屋敷の外へと目を遣る。
曇天が続く空の夕方と言うのは酷く時間が短くて、あと一時間もすれば夜と言える暗さになるだろう。
夜行性の魔物もいること、それらが総じて凶暴であることを思うと、今から外に出るのは得策ではない。
第一、空間の変調に巻き込まれたスコールが、何処に飛ばされたのかも判らないのだ。
闇雲に探し回った所で、彼が見付かる保証はない。

 ────とは言え、戻らぬ仲間を放って安穏としていられる程、ジタンもバッツも大人しくはしていられない性分だ。


「オレ、もう一回探しに行ってみるよ。取り敢えず、逸れた歪の近くにある場所を見てみる」
「おれも行くぜ、ジタン。じゃあセシル、おれ達の夕飯は遅くなるから」
「分かった。皆にも戻ったら聞いてみるよ」


 事を大きくするのをスコールは嫌うだろうが、こんな物騒な世界だ。
何にしても現状の報告と、情報の共有、そして連携は不可欠である。
誰かが何処かで、それらしき気配を感じた、と言う話もあるかも知れないし、セシルは皆が帰って来れば包み隠さず説明するつもりだった。

 ジタンとバッツは、とにかく来た道を戻り、件の場所を虱潰しに探すべく走るのだった。




 ちゅぅうう……としつこく吸い付きながら、乳首から触手が取れる。
ちゅぽん、と音を立ててやっと解放された乳首は、すっかり伸びて卑猥な形になっていた。
おまけに繊毛から分泌された粘液がべっとりとまとわりつき、てらてらといやらしく彩っている。

 スコールは涙と熱で濡れた瞳を彷徨わせながら、ヒクッ、ヒクッ、と体を戦慄かせている。
頭の中がチカチカと明滅して、何も考える事が出来ない。
溶けたズボンの隙間から覗く黒のボクサーパンツに、じんわりと濃い染みが浮き上がっていたが、その理由を考えられる程、彼に思考力は残っていなかった。

 立て続けに二度の絶頂を味わった躰は、熱い火照りと疼きに支配されている。
噛む力を喪った口から、其処を埋めていた触手が出て行く。
巻き取られた舌が外へと誘い出され、やっと自由になった呼吸と一緒に、腐臭がスコールの口から入った。
はあ、はあ、と呼吸の度に、酸素と一緒に毒の空気が熱を持った躰に拡がっていく。


「は……へ、ぁ……」


 外へと引き出された舌が、絡む触手にきゅっと締め付けられる。
びくっと舌の根を震わせたスコールの目の前に、モルボルの舌がじゅるりと唾液を滴らせながら現れた。
ぼうと見つめるスコールに構わず、モルボルの舌先がスコールの舌を舐め、唾液か体液か判らない粘着質な液体が、スコールの舌を伝って咥内へと流れて行く。

 スコールの口にたっぷりと体液が溜まると、モルボルは舌をスコールの口へと入れた。
触手に比べると平べったい舌は、大して奥までは入らなかったが、モルボルは器用に舌先を動かし、咥内の天井や舌の根元をくすぐっている。
口の中で感じるぞわぞわとした感覚に、スコールは虚ろな瞳のまま、ヒクッ、ヒクンッ、と喉を震わせた。


「お、ぷぁ……っん、は、へ……えぁ……っ♡」


 スコールが得ているのは、確かな快感だった。
口の中で感じることが出来るだなんて、初心な彼には知らなかったことだ。
スコールは喉に絡み付く唾液で溺れないように飲み下しながら、それを与えるのが悍ましい魔物であることを忘れ、ディープキスのような舌の動きに感じ入っていた。

 いつの間にかくたりと弛緩したスコールの躰に、うねうねと蠢く触手が集まって行く。
足に絡み付いたそれが布切れをびりびりと破り捨て、下着までなくなって、スコールは生まれたままの姿にされた。
冷たい洞窟の中だというのに、火照った躰は寒さを感じず、寧ろ解放感めいたものをスコールは感じていた。


「あう……あ……んぷ、ぅ……」


 呻きか喘ぎか判然としない声を漏らすスコール。
モルボルはそんな彼の足を持ち上げ、左右に大きく広げさせた。
曝け出された局部は、自身の吐き出した精液でどろりと汚れ、中心では色の薄い肉棒がぴくぴくと震えている。

 スコールの中心部は、二度の射精によって萎えていたが、触手がツンとそれを突くと反応を示した。
ヒクッと腰を震わせたスコールに、モルボルが嗤ったように息を吐く。
最早獲物を捕えるのに、これ以上は必要ないであろうにも関わらず、甘い腐臭は更にスコールの躰を毒して行く。

 ペニスが触手に絡み付き、それが何の機能を有しているのか判っているのか、しゅっしゅっと竿を扱き始める。


「あっ、ひっ、あふっ♡」


 触手で持ち上げられた足が、性器に与えられる刺激でビクッビクッと跳ねる。
二度の果てで萎えていたペニスだが、若い体は刺激に対し貪欲で、あっという間に頭を持ち上げた。

 既に熱を我慢する事を忘れた鈴口から、とろりと精子が溢れ出している。
触手は伝い落ちて来るそれを巻き込み、ぬちゅぬちゅと竿全体を扱きながら塗りたくった。
滑りが摩擦を軽減させ、艶めかしい感触でまとわりつきながら刺激を与える触手に、スコールは情けない声を上げる。


「あっ、あっ、だめ……っ!ちんぽ、あぁっ、扱いちゃ……あっ、あぁっ♡」


 自分の体が官能に囚われていること、その危険性に、スコールはようやく気付いた。
しかし、微かに残った理性が働くには遅く、竿を撫でる滑りに体は喜びの反応を示す。


「はひ、はっ、あぁ……っ!やだ、あぁっ、あぁっ……♡」


 抵抗を思い出して身を捩る。
すると、乳首に絡み付いていた細い触手が、またそこをきゅううっと引っ張った。


「ひぅうんっ♡ち、乳首はもう……っあ♡あぁあっ♡」


 頭を振ったところで、魔物は訴えを聞いてはくれない。
いやいやとする獲物の反応を嘲笑うように、左右の乳首をクイクイと引っ張られ、スコールはビクンビクンと悶えるしかなかった。


(躰が、どこも、かしこも……熱くて、ああ、ちんぽが……ちんぽがビクビクする……っ♡擦られて、あっ、先っぽツンツンって、あっ、あっ♡あっ♡)


 上を向いたペニスの先端、尿道の穴。
其処に細い触手がやってきて、じわじわと蜜を溢れさせている孔をつついている。
触手は亀頭の括れを締めるように絡み付き、カリ首の裏側をずりずりと擦った。


「はぅうっ♡うっ、あぁっ、やめぇ……っ!」


 刺激を逃がそうとゆらゆらと腰を揺らすスコールだが、触手は全く離れようとしない。
寧ろスコールの反応を愉しむように、よりカリ首を擦ったり、陰嚢に絡み付いてきゅうっと締め付けたり。
攻める場所をやり方を変え、スコールを更に追い込んでいく。

 ペニスを苛め続けながら、モルボルはスコールの躰を持ち上げた。
不安定になる体を、太い触手が絡み付いてバランスを取ると、スコールは宙に磔にされた格好になった。
モルボルの正面で、裸にされて足を左右に大きく開き、勃起した雄を見せつけているような格好。
モルボルに目らしいものは見当たらないのだが、スコールはこの悍ましい魔物に、自分の痴態を舐めるように眺められている気がした。


「や…だ……あぁ……っ♡」


 感じる気がする視線にいやいやとすると、ペニスがきゅうっと締め付けられた。
ビクッと腰を震わせれば、細い触手がカリをまた擦る。
ヒクン、と震えるスコールの足の間から伸びて来る、太い触手が一本。


「あ……あぁ……っ」


 それを目にしてしまって、スコールは蒼くなった。
このモルボルが奇妙な触手を幾つも持っている事は判っていたが、こんな形のものまであったなんて。

 スコールの右足から巻き付き、行くべき場所を探しているその触手は、男根そっくりの形をしている。
この生態兵器を生み出したものの性格の悪さが判ろうと言うものだが、スコールにそんな事は思いも及ばない事だ。
だが、その形からして、それがどういう目的を持って動いているのかは、嫌が応にも予想できてしまう。


「や、やだ……それは……それはぁ……っ」


 身を捩って逃げようとするスコールだが、毒が回り、更に宙に持ち上げられた躰は、まるで力が入らない。
更に囚われているペニスを扱かれ、乳首を引っ張られれば、また喘ぐしか出来なくなる。


「あぁっ、あっ、ひんっ♡乳首、ああぁっ♡はひっ、ちんぽ……ああっ、ああぁ……っ♡」


 しゅこしゅこと扱かれるペニス。
勃起し、とろとろと蜜を零していくそれが、彼が官能を感じていることを物語っている。
そのペニスに、まるで己の大きさを誇示するように、陰茎そっくりの形をした触手が並んできた。


「ひ……太、い……っあ♡」


 自分のそれよりも胴回りも長さもある男根。
亀頭と分かる形に、高いカリと括れまであって、モルボルの体表と同じ緑色をしている所為か、酷くグロテスクに見えた。
それに言い知れない恐怖に戦慄いている所へ、乳首をきゅっと抓られて、まるで悦ぶような甘い声が漏れる。

 乳首を抓り、その先端を爪弾きながら、男根型の触手はスコールの股間を擦って行く。
扱かれ勃起されたペニスの竿を舐め、くにゅくにゅと転がされる陰嚢も擦りながら、股間を跨ぐ。


「や、や……やめ、ろ……あぁ、あぁあ……っ♡」


 滑りを帯びた触手が、股間をゆっくりと舐め這いながら進む感触に、スコールは厭を訴えた。
しかし、彼の中心部はその刺激にも悦ぶように、だらしなく精子を溢れさせている。

 スコールの後ろへと回った触手は、尻肉の感触を堪能するように、胴を押し付けながらずりずりと動いている。
スコールが腰を捻って尻を逃がそうとすると、すぅっと背後に持ち上がった触手が、ヒュンッと振るわれて、────パシィッ!とスコールの臀部を打った。


「ひうぅっ!」


 突然の鞭打ちに、スコールは思わず目を瞠る。
情けない声を上げたと悟った時には遅く、続け様に左右の尻たぶを交互に打たれた。


「ひっ、ひぃっ!やめっ、あっ!あぁっ!」


 バシッ、パシッ、パシンッ!と子供の粗相を叱るように、尻叩きを見舞う触手。
大した痛みでもないのに、響く音は疲れ切ったスコールの心を萎縮させるには十分だった。

 ひりひりとした痛みを訴える尻は、薄らと赤くなっている。
火照りと混じったその感覚と、前部を攻め続けられる快感が、脳で混濁して行く。


(ああっ、ああ……っ、ぅあっ♡へ、変になる……ああっ!尻を叩かれて、あっ!あぁっ♡きも、きもち、いいなんて、そんな事……!)


 ある筈がない、あってはならない、とスコールは弱々しく頭を振った。
だがその想いに反して、スコールの雄は、幾ら尻をぶたれても萎えようとしない。
それ所か、パシンッ!と尻をぶたれる度に、ビクンッと腰が弾んで、ぴゅくっ、と精が噴いてしまう。

 自分自身の余りの惨めさに、スコールの目尻に涙が浮かぶ。
彼の反抗心を砕くと言う目的であれば、このモルボルを宛がうのは実に良い方法だったと言えるだろう。
本来なら、それで十分な筈だった。
しかし、この暗い洞窟の中に、その命令を止めるものはいない。

 叩かれて赤らんだ尻を、男根型の触手が這いずり回っている。
じゅるりと伸ばされたモルボルの舌が、スコールの股間にびちゃりと押し付けられた。
艶めかしく滑る感触が、自身の蜜液まみれになっているスコールの股間をねっとりと舐め回す。


「うあ、あ……あぁ……っ♡は、あぁあ……っ」


 局部を弄られる感触に、スコールの唇からは力のない声が漏れる。
モルボルの舌の根がゆっくりと動いて、スコールの股間をしゃぶり、狭間や太腿を濡らす蜜液の味を確認していた。
舌先は尻の方へと回り込み、触手が這った後を辿るように、引き締まった小尻をちろちろと擽る。

 その舌先が、スコールの慎ましやかな窄まりを捉え、ツンツンとつつく。


「い、や……あぁ……あっ……♡」


 閉じた菊門の縁を、舌先がノックするよう触るのを感じて、スコールは嫌悪感に身を捩る。
しかし、腹や肩、腕、足に巻き付く触手が、抵抗する獲物の体をぎりぎりと締め付けた。
苦しさにスコールが身を固くすれば、また舌が孔に触れ、きゅうと閉じた其処を舐め擽って来る。


「はっ、あっ、あっ……!そんな、あっ、所……ふっ、あふっ♡」


 アナルを何度も触られて、ビクッ、ビクッ、とスコールの躰が弾んだ。
嫌だ、と涙を浮かべて頭を振るが、モルボルは相変わらず腐臭を撒き散らしながら、獲物の怯える様を愉しんでいる。

 男根型の触手も、スコールのアナルに狙いを定めた。
亀頭の形をしたその先端が、舌に突かれてヒクヒクと震える秘孔に宛がわれる。
最早想像するのも恐ろしいことが行われようとしていると悟り、スコールは括約筋に力を入れて進入を拒もうとするが、


「はうぅうっ♡」


 悲鳴を上げたスコールの乳首には、先端に穴の開いた触手が食い付いていた。
スコールを二度も絶頂に導いた、繊毛ハケ付きの吸引器だ。
穴の縁にびっしりと生えた繊毛に乳首が包まれ、うぞうぞと蠢きながら、乳首を強く啜られる。


「んぁああっ♡ちくっ、乳首いっ♡ひぃっ、だめ、あぅんんんんっ♡」


 ぶんぶんと頭を振って訴える獲物の声に、モルボルが楽しそうに無数の触碗をうねらせた。
興奮しているのか、ゲ、ゲ、と言う鳴き声のような音まで漏れている。


「ああ、ああっ、乳首が、ああんっ♡また吸われて、ひあ、あぁあっ♡乳首伸びるっ、吸われてるぅううっ♡」


 食んだ触手に乳首を吸われながら、ぐいぐいと引っ張られている。
胸に与えられる三度の快感に、スコールのペニスがむくむくと膨らんだ。
それを絡み付く細い触手が、外への放出を促すようにしゅこしゅこと扱く。


「ひはっ、ああっ、あぁあっ♡やだ、やぁ、ああぁっ♡」


 女の手で触れられた事もないのに、魔物の触手淫でイかされる。
いやいやと子供のように泣き喚くスコールだったが、毒に染まった躰は、迫って来る衝動を堪える事が出来そうにない。
必死の我慢でスコールは目の前の射精感を堪えていた。

 そんなスコールの尻に、ちくん、と小さな痛み。
ビクッと弾んだ躰が、その小さな痛みの名残に気付いた時、さあ、とスコールの顔から血の気が引いた。


「や、ああっ、あつひ……っ!あ、そこが……ケツ穴……っ!むずむずして、ひ、ひ……っ!」


 じくじくとしたものが、尻穴の奥から湧き上がってくる。
アナルの土手がふくりと膨らみ、ヒクッ、ヒクッ、と口が伸縮運動を始めていた。
そこへモルボルの舌が近付き、唾液に濡れた先端で尻の谷間をべろおりと舐めると、


「んんんんっ♡」


 ぞくぞくぞくっ、と言う感覚が、スコールの尻から腰へ、背中へと一気に駆け抜ける。
咄嗟に噤んだ口の中で、甘露が混じって舌が震えた。

 モルボルが触腕をうねうねと動かしながら、スコールの股間を嘗め回す。
尻穴を舌がツンツンとつつき、口を開かせようと、孔に先端が押し付けられた。
じゅるりと唾液が尻穴を濡らし、粘液に含まれた分泌物が、窄まりの小さな口から中へと滑り込んで来る。


「ああ、あぁあ……っ♡尻が……溶ける……っ♡むずむずするぅう……っ」


 分泌物が直腸の粘膜を通して、躰の中に浸透してゆく。
じわじわと湧き上がってくる熱で、スコールの肌はすっかり赤らみ、毛穴と言う毛穴から性の匂いを振り撒いていた。
それをモルボルの数多の触手に有する感覚器官は鋭敏に感じ取り、フェロモンを出し始めた獲物に、男根型の触手───交接器を突き入れた。


「あぁあああああっ♡」


 入り口の狭さを気にもせず、ずぷんっ!と一気に侵入した異物に、スコールは悲鳴を上げる。
しかしその声は、あらぬ場所への進入への嫌悪感に混じって、秘園を抉じ開けられた官能の悦びを孕んでいた。


(あ、あ……う、そ……おれ……ああっ……♡モルボル、に……ケツ穴……犯され、てる…ぅ……っ♡)


 まさかそんな事がある訳がないと、頭の何処かで否定の声がする。
余りの現実の酷さに、これは悪い夢だと思いたがっている自分がいた。

 アナルに侵入を果たした触手は、きゅうぅ……と締め付ける肉壺の拒否を気に留めず、中でぐねぐねと動き出す。
狭い尻穴の中で暴れ始めた触手に、スコールの尻がビクッビクッと弾む動きを見せた。
同じタイミングで、ぎゅっ、ぎゅっ、と締め付ける秘孔を、触手は無理やり広げんと、蛇行するように腕を動かす。


「ひぃ、ひぃいっ!尻の中、暴れて……っ!あう、あっ、んぁあっ♡やあ、なんで、こんな……こんなのっ、気持ち悪い、だけなのにぃいっ♡」


 うねうねと動く触手が、孔縁をぐにっぐにっと圧し広げる度に、言い様のない快感がスコールを襲う。
太い男根部分が、中で何度も角度を変えて、乱暴に内肉を掻き回せば、


「あぁあんっ♡ああっ、ケツ穴っ、ああっ、拡がるうぅっ!」


 男根は更にスコールの奥を目指そうと、ずんっ、ずんっ、と肉壁の天井を突き上げてくる。
男根に続く幹竿は、ゴムのように固いのに弾力を持ち、右へ左へと大きく弧を描きながら侵入を深めて行った。


「やぁ、奥に入ってくるぅ……っ!あふ、おふぅっ♡おっ、んぉおっ♡」


 ずぷぷぷっ、と触手が一層深くに入って来て、スコールの鼻の穴が膨らむ。
じゅくじゅくとした疼きのある場所に、段々と男根が近付いている気がした。


(だめ、だめ、これ以上……っ!もっと奥に来られたら、俺、おれ……っ!本当に……っ!)


 モルボルに犯されているというだけでも、酷い仕打ちだと言うのに、躰はそれを喜ぶように快感を覚えている。
これ以上は心が受け付けられないと、スコールの体が強張り、秘穴が閉じようとする。
それは中に入ったものに自身を壊されまいと言う、防衛本能だったのだろう。

 だが、人工的に最悪な進化を遂げた生命体は、その堰を壊す術も知っていた。

 アナルへのこれ以上の進入を拒むスコールのペニスを、絡み付いていた触手がぎゅうっと絞る。
侵入者に意識を浚われていたスコールにとって、其処への刺激は不意打ちだった。


「あぅうんんっ♡あぅっ、あっ、こす、擦らなっ♡そこっ、しゅこしゅこされたらっ、あふ、あう、あぁんんっ♡」


 我慢汁をトロトロと垂れ零す、勃起した薄ピンク色の雄。
その竿をぬるぬるとした触手で擦られて、スコールの躰がビクンビクンと大きく脈打つ。
既に痛い程の限界を迎えていた其処に加えて、更に乳首をギュウゥッと強く抓られれば、


「んひぃいいいいっ♡いっ、あっ、ひあぁぁぁああっ♡」


 甲高い悲鳴を上げて、ビクッビクッと四肢を痙攣させた後、スコールは絶頂した。
びゅるるるるっ、と噴水のように勢いよく噴き出した精液が、冷たい洞窟の地面にびしゃびしゃと降り注ぐ。

 開発されたばかりの弱点と、男にとって抗う事の出来ない衝動。
その二つが同時に押し寄せて上り詰めた絶頂は、スコールにこの上ない程の解放感を与えている。
耐え続けていた苦しみから赦された瞬間は、幸福感に似た錯覚を生み出した。

 其処へ、ずんっ!とアナルを突き上げられる。


「ああぁんっ♡」


 スコールは甘ったるい悲鳴を上げて、びゅくっ!とまた精子を噴いた。
アナルはヒクッヒクッと細かく震えながら、男根型の触手に肉壁を絡み付かせている。
きゅう、きゅぅん、と切なそうに締め付けるその媚壺で、触手はずぽずぽと抜き差し運動を始めた。


「あっ、あっ、あぁっ、あっ♡」


 ずるり、ずぷっ、ずるり、ぐぷっ、と長い触手が直腸を擦る。
そのリズムに合わせて嬌声を上げるスコールの顔は、とろりと蕩けて紅潮していた。
目尻に涙を滲ませながら、何処か悦に浸った表情を浮かべる彼を、正気に戻すものはいない。

 秘穴の口は、触手の太い形にすっかり広がりっていた。
そこを絶えず出入りする触手の表面には、てらてらとした蜜液がまとわりついている。
それが触手が分泌させたものなのか、スコールの秘奥から滲み溢れて来たものかは、最早見分けが付かなくなっていた。
アナルの奥では、男根が触手の動きで角度を変える度に、ぐちゅぐちゅと卑猥な音を立てている。


「はひっ、ひぃっ……!あふ、あぅっ、んぁあっ♡」


 男根が秘奥を突き上げると、スコールの躰は大きく仰け反り、秘孔が侵入物をぎゅううっと締め付ける。
ぴったりと密着してしがみ付いて来る肉壁を、触手がうねうねと蛇行して叩くと、スコールは腰をビクンビクンと痙攣させて悶えた。


「おふっ、ふぅっ、おぉんんっ♡らめ、りゃめぇえ……っ♡そんなに、おく、ひろげたりゃぁあっあっあっ♡」


 びたびたと直腸の壁を叩くように動く触手。
その先端では、太い男根がぐるぐると円を描くように動いて、カリ首が肉壁を抉るように引っ掻いた。


「あひぃっ♡あっ、んぉっ♡おおんんっ♡中が、また広げられるぅっ♡はひ、ちんぽ、ちんぽ締めちゃだめっ♡きもちよくなるからぁっ♡」


 アナルからの快感に悶えていると、また前を苛められる。
しゅるしゅるとペニスを包むように巻き付いた細い触手が、ぎゅう、ぎゅう、と不規則なリズムで竿を締め付けてきた。
陰嚢の根元には平たい触手がべたりと張り付き、その表面にびっしりと這えた細かなイボ粒が、ぞりゅぞりゅと玉を転がし弄ぶ。


「んぁあぁあ♡らめっ、ああっ、おうんんっ!おうっ♡おふっ♡奥ぅっ、ずぽずぽしないれぇえっ!はあああんっ♡ちくびだめっていってるのにひぃいいいっ♡」


 陰部を前も後ろも攻められて、もうスコールにとっては堪らない快感なのに、更には乳首まで抓られる。
弱点全てを一気に苛められ、スコールは脳が焼き切れる程の官能を覚えていた。
宙に釣り上げられて不自由な筈の体を、大きく仰け反らせたり、足を爪先までピンと張り詰めさせたりと、その様子が快感の激しさを物語る。

 そして、快感と言うものに碌な抵抗を持たない体が、それだけ攻められて堪えられる筈もなく。


「イクッ、イクぅっ♡ああぁっ、あぁぁあんんっ♡」


 触手に雄をぎゅうぎゅうと締め付けられながら、スコールは射精した。
締め付けによって狭まった尿道から、びゅうううっ、と精子が噴く。
同時に、交接器を奥深くに咥え込んだアナルがうねるように脈打ちながら締め付けると、男根の膨らみがぼこりと瘤になり、


(おふぅっ♡ふ、膨らんっ、んんぅっ!?)


 尻穴の中で体積を増した触手に、スコールが目を瞠った直後。
その男根の先端から、びゅるぅううううっ!と濃い粘液が肉壺へと注ぎ込まれた。


「おひっ♡あっ、ひいぃぃぃぃいいんっ♡」


 最奥を叩くように注がれる物質に、スコールは成す術もなく喘ぐしか出来ない。
ビクビクと波打つ彼の四肢を、絡み付く触手はぎしりと骨が軋む程に締め付けた。
それは種付けを嫌がる雌を抑え付け、確実な子作りをさせる為のものだった。

 異種の子種を受け止めながら、スコールは言い様のない充足感を感じている。
はひ、はひ、と情けない声を零す彼のペニスは、憐れにピクピクと震えていた。

 種付けを終えた男根が、ずるぅりと中を擦りながら秘孔を出て行く。
スコールは「あぁっ、あぁあっ♡」と快感の声を上げながら、肉壺を擦られる感覚に身悶えた。
にゅぽん、とアナルから男根が出て行くと、ぱっくりと開いた秘孔から、水を混ぜた粘土のようにとろみのある白濁液が溢れ出した。
どろりと股間を汚して太腿を伝い落ちた液体は、地面に染み込んだスコールの精液を交じり合って水溜りを作っている。

 体の奥からゆっくりと蕩けだしてくる液体の感触に、スコールの尻がふるふると戦慄く。


「はひ……はへ、ぇ……あああ……♡」
(おれ……モルボルの……メスになっちゃったぁ……♡)


 モルボルに雌雄の区別があるのか、スコールは知らない。
だがアナルを性壺に見立て、男根を入れられ、中出しをされたのだ。
本来ならば雌にするべき行為を受けたショックは、怒りや悲しみを通り越して、奇妙な多幸感を呼ぶ。

 モルボルの舌がスコールの性器に伸び、ぽたぽたと滴る精液をじゅるりと舐め取る。
特殊な遺伝子構造を持つモルボルにとって、それはまたとない甘露の味がした。
触手が興奮を示して幾つもその腕を持ち上げ、より甘露を求めてスコールに襲い掛かる。

 乳首に新たな触手が群がり、我先にと其処に喰らい付く。


「はぁあっ、ああぁっ、乳首が、おかひくなってるぅ♡ああっ、すわれて、きもちい、ひぃんんっ!つままないれぇっ♡♡あん、さきっぽぉっ!あっ、あぁっ、ピンピンらめぇっ♡」


 胸への刺激に悶えていると、此方も忘れるなとばかりに、ペニスが扱き上げられる。
擦られる快感に腰を前後に動かしていると、太いハケつきの吸引触手がペニスにずぽりとはまった。


「んぉおっ♡ち、ちんぽが、ああ、あぁああんっ♡すわれながらぁっ、ちいさいのがいっぱいぃっ♡ちんぽにからみついてっこすれてっ、はひっ、あぁあんっ♡やあぁっ、ちんぽたべないでぇっ♡じゅぽじゅぽゴシゴシするのらめええぇっ♡」


 吸引触手はスコールのペニスを根本まで飲み込み、内にびっしりと生えた繊毛のハケを使い、竿全身を扱き上げる。
その上、昇って来る精液を搾り取ろうとするかのように、ぢゅうぢゅうと啜って来る。
竿や玉袋に巻き付いたままだった、細い触手のことはお構いなしだ。
その所為で、スコールはペニスを繊毛に擦り上げられながら、細い触手にきゅうきゅうと締め付けられてしまう。


「はひ、はひ、ぁああっ♡ちくびっ、ちんぽっ♡だめなのにぃっ♡ケツ穴やめてぇえっ♡」


 アナルには新たな交接器が挿入され、柔らかくなった肉壺をずんずんと耕すように突き上げて来る。
その回りでは、暇を持て余してゆらゆらとと彷徨っていた触手が、パシィンッ!とスコールの尻たぶを叩き始めた。


「あぁんっ!あっ、あぁぁっ♡ぶ、ぶたないでっ、ああっ♡だめぇっ♡お尻っ、叩くとぉっ、お腹きゅんきゅんしてっ♡締め付けちゃっ、ああっ、ああぁっ、ごちゅごちゅしてるぅうんっ♡」


 バシッ、バシンッ、と尻を叩かれる度に、スコールのアナルがきゅっ、きゅうっ、と閉じて、そこに咥え込んだものを締め付ける。
戦慄く媚肉を太い亀頭が引っ掻き抉れば、また内壁は嬉しそうに男根に絡み付いた。


「こんな、こんなのぉっ♡きもひいいのらめぇえっ♡イクの来るっ♡ちくびもっ、ちんぽもっ♡ケツまんこもぉっ♡きもひよくてぇっ、イっひゃうぅうううううっ♡♡」


 ビクンビクンと何度目になるか判らない絶頂を迎えるスコール。
びゅくんっ、と薄くなった精子が少量噴き出すと、吸引触手がずるるるるっと啜るような音を立てて、それを飲み込んで行く。


「おふぅうんんんっ♡おっ、おっ♡せーしっ、吸われっ♡おぉおんっ♡」


 スコールは体を仰け反らせ、性器を啜られる快感に打ち震えた。

 最後の一滴まで吸い取って、ようやくハケ付きの吸引触手がスコールから離れる。
何度も何度もイき果てた所為で、色の薄いペニスはくたりと頭を下げて萎えてしまった。
光を喪い、熱と快感に犯され尽くした瞳を茫洋と彷徨わせるスコールを、モルボルが覗き込むように巨大な口を近付けた瞬間。


「────弾けろっ!」
「燃え上がれぇっ!」


 暗い洞窟を炎と爆発が照らしたのを、スコールが認識することはなかった。




 スコールが目を覚ました時、其処は秩序の聖域にある屋敷の、自分の部屋だった。
自分がベッドに横になっている事に気付くまで、随分と時間を要した後、のろりと起き上がる。

 窓の外は暗く、部屋の中には灯りもついておらず、しんと静まり返っている事から、時間は大分遅い頃合いだろうか。
と、直ぐ近くに人の気配を感じて其方を見ると、暗がりの中に薄らと人のシルエットが見えた。
暗闇に目が慣れるのを待ってから、其処にいるのが見知った仲間────ジタンとバッツであると知る。
ジタンはベッドに背中を預けて床に座り、バッツは椅子に逆向きに座って、どうやら眠っているらしかった。


「……」


 どうしてこいつらが俺の部屋に。
そう思ってから、そもそもどうして自分は此処で寝ているのかと首を傾げた。
傷の奔る額に手を当てて、此処で寝ている自分と仲間達の経緯を思い出そうとするが、何やら記憶に霞がかかったように上手く行かない。


(昨日は一人で寝て……違う、それは昨日じゃなくて……いや……?)


 最後に自分がベッドで寝たのは、昨日───そして目を覚まして、いつものようにジタンとバッツと三人で探索に出た。
だが、辺りが暗いと言う事は、もう夜になっていると言う事。
それは確かだと思うのだが、今日は一体何処で過ごして、いつの間に聖域に戻って来たのだろうか。
その経緯が全く思い出せなくて、スコールは小さく唸る。

 その声が、仲間の眠りを妨げた。
んぁ、と小さく声を零して片目を開けたバッツは、ごしごしと目を擦り、


「……スコール?」
「……」


 起き上がっているスコールを見て、バッツはぱちりと目を丸くする。
なんでそんな顔をするんだ、とスコールが眉根を寄せると、バッツはがたんと椅子を倒したのも気にせず、勢いよく抱き着いて来た。


「!?」
「スコール!良かった〜!」


 突然の熱い抱擁に目を白黒させるスコールに構わず、バッツはぐりぐりとスコールの頭を掻き抱いて撫でている。
なんだこれは、と混乱している間に、もう一人の仲間も目を覚まし、ベッド上の仲間達を見て、


「スコール!やっと起きたか!」
「ジタン、あんた、何、」
「あーもー、全っ然起きないからマジで心配したんだからな!」


 ジタンは先に抱き着いているバッツごと、スコールを抱き締めに来た。
飛び付いて来た二人の強い力に、スコールは何が起きているのか判らず、呆然とされるがままになる。
二人は自分たちの木が済むまで、そんなスコールをかいぐり回していた。

 一頻り抱き締め倒した後、二人はスコールに鼻を寄せ、くんくんと匂いを嗅ぐ。
それに気付いたスコールは、顔を顰めて二人の体を押し退けようとするが、


「こらこら待て待て。確認してるんだから」
「ちゃんと匂い消えてるな?うん……うん」
「なんなんだよ、あんた達……」


 退けようとするスコールを逆に制して、二人はしつこく匂いを嗅ぐ。
どうにも重い体は、二対一で勝てる訳もなく、仕方なく二人の気が済むのを待った。

 そしてたっぷり、一分ほどは嗅ぎ続けただろうか。
服を捲って腹だの腰だのまで匂いを嗅がれ、本当になんなんだ、と我慢の限界も近付いた頃に、やっと二人のチェックは終わった。


「うん、大丈夫だ。意識もしっかりしてるな」
「でも後で薬は飲んでおこうな。念の為だから」
「薬……?」


 バッツの言葉に、スコールは眉根を寄せて反芻した。
そんなスコールの表情に、ジタンとバッツは互いの目をちらりちらりと見合わせて、


「……あー……」


 ぽりぽりとジタンが頭を掻いて、空色の瞳を彷徨わせる。
バツの悪そうな表情を浮かべるジタンに、何か悪戯でもして、自分が被害に遭ったのかとスコールは考えた。
だが、そんな記憶は全くない。
と言うより、今日一日と思しき記憶が、碌に思い出す事が出来ないのだ。

 と言う事は、ジタンとバッツが気まずそうにしているのは、その記憶の中にある出来事と言う事か。
其処までは推察が及んだスコールだったが、しかしその詳細についてはやはり判らない。
どうも言い出せそうにない様子の二人に、存外と短気な所があるスコールは、こっちから聞いた方が早いと判断した。


「ジタン、バッツ」
「はい!」
「……今日、あんた達と出掛けてからのことが、さっぱり思い出せないんだが、一体何があったんだ?」


 回りくどい言い方をしても、中途半端に躱そうとされる気がして、スコールはストレートに訪ねた。
すると二人は、じっとスコールの顔を見て、


「……覚えてない?」
「全然?なんにも?」


 尋ねて確かめて来る二人に、スコールは頷いた。
じっと目を見てくる二人が、スコールの言葉の真偽を確かめようとしているのが判る。
まじまじと近付きながら覗き込んで来る二対の瞳は、スコールを酷く落ち着かない気分にさせたが、ムキになって睨み返していると、


「っはぁー!そっかぁ。そっかそっか!」


 バッツが場違いな程に明るい声を上げて、にこにこと笑いながら、スコールの肩を叩く。
それは痛いと言う程のものではないが、どうにも大袈裟なその仕種に、スコールは顔を顰めた。


「おい」
「覚えてないってさ!」
「あー、そっか!そーかそーか!」


 更にジタンまでもが弾けたように声を大きくするものだから、スコールは二重の勢いに若干気圧された。
何か、聞くな、とでも言うような圧に反発心が疼いたが、にこにこと明るい二人の笑顔は、スコールの二の句を奪うに十分な効果があった。

 バッツが両手をぱんと叩いて、気を取り直したようにスコールを見る。
いつもの溌剌とした顔が此方を真っ直ぐ見たものだから、スコールは思わずびくっと肩を竦ませたが、相変わらず彼はそんな事は気にしなかった。


「えーとな、そうだそうだ。歪で戦ってたのは覚えてるか?」
「……いや……」


 バッツの言葉に、スコールは眉根を寄せる。
もう一度考え記憶を掘り起こそうと試みるが、やはり思い出せるのは、朝に屋敷を出発するまでのことだった。
しかしバッツは、それを深く気にする様子もなく続ける。


「戦ってる最中に歪が崩れ始めてさ。そのタイミングで、スコールがデジョントラップに飲まれちゃったんだ。で、其処からいつまで経ってもスコールが戻って来なくて、仕方ないから歪を出て外を探したら、倒れてたんだよ」
「呼んでも引っ張っても起きないから、一旦帰って診ないとってなってさ。怪我とかは特に問題なかったんだけど、とにかく起きなかったんだよ。エスナも効果がなかったし、オレ達、死ぬ程心配したんだぜ?」
「それは……わる、かった」
「良いって、気にしてないよ。記憶が飛んじゃってるのも、きっとそれが原因なんだろうし。デジョントラップの中ってのも、やっぱり危ないことがあるかも知れないってのは、皆考えてる事ではあるし。今日はスコールが無事に目を覚ましてくれたから、それで良し、だ」


 殊更に明るい声で経緯を話す二人は、余程スコールのことを心配してくれたようだ。
スコールの胸中に、手間をかけさせたと申し訳なさが滲むが、彼等はそれも吹き飛ばそうと言う風に言った。


「腹減ってるだろ?なんか食べよう!おれ達もまだ食べてないんだ」
「食べてないって……あんた達、こんな時間まで何してたんだ?」
「ねぼすけを待ってたんだよ。さ、行こ行こ。立てれるか?」


 そう言って手を差し出したジタンに、なんだこれ、とスコールは眉根を寄せる。
まるで介助の意思を示す手に、スコールはむっとした顔をしながら、自分でベッドを降りようとした。

 しかし、ベッドから立った瞬間、ぐらりと下半身が頽れる。


「!?」
「うおっとと。危ない危ない」


 がくっと膝から落ちかけたスコールを、ジタンが下から掬い上げるように抱える。

 自分の体に起きた事が理解できず、目を白黒とさせているスコールを、バッツが肩を掴んでゆっくりとベッドへと誘導する。
結局スコールは、二人の手で支えられながら、ベッドに座り直す事になった。


「無理するなよ。飯はおれが作って、こっちに持って来るからさ」
「……すまない」
「良いって良いって。じゃ、ジタン、任せたぞー」
「はいよ」


 詫びるスコールの頭を撫でて、バッツは部屋を後にした。
残ったジタンは、「暇潰しでもするか」と言って、部屋の隅にあるテーブルの引き出しから、トリプル・トライアドのデッキを出している。
その様子を何とはなしに眺めていると、


「そうだ。これだけはちゃんと渡しておかないとな」


 ジタンが思い出したように言って、ズボンのポケットに手を入れる。
取り出したものが差し出され、あ、とスコールは目を瞠った。


(グリーヴァ)


 自分の目標であり、その魂の有り方の象徴。
常に肌身離さず身に着けている筈のそれが、どうしてジタンのポケットにあったのだろう。
それこそ、思い出せない今日の出来事に答えがある筈だと思うのだが、思い出そうとすると頭の片隅が酷く痛んで、碌に考え事も出来そうにない。

 ベッド横のサイドチェストに置かれた銀獅子を見ると、通していた筈のチェーンがない。
何かの拍子に千切れて、落としてしまったのだろうか。
戦いの最中も身に着けているものだから、脆い鎖ではなかった筈だが、戦闘中と言うのは色々な攻撃を喰らうものだから、何にしても保証のない話だ。
そして落としたそれをジタンが見付け、今この時まで持っていたと言うのなら、話は判る気がするが────……考えても、やはり答えは出なかった。

 ランダムハンドルールに則り、配られたカードを受け取って、デッキの揃い具合を確認する。
湧き上がる今日と言う日の疑問から、無意識に目を逸らしているスコールを、ジタンは気付いている。
それで良い、と伏せた瞼の裏で呟いて、ジタンはいつもの調子でゲームを始めるのだった。




触手エロが見たくなった。モルボルと言う存在の便利さよ。

[の世界でモルボルは中々の僻地にいるので、滅多に遭遇する事はありませんが、他の世界ではそうとは限らずなく、結構人里やダンジョン系研究所の近くにいたりもする訳で。
そしてFFの世界の一部では、生態兵器なんかを生成・利用している世界もあったりする訳で。
エロ拷問に特化したモルボルがいたって可笑しくないじゃないですか(暴論)。

臭い息の所為で、毒に混乱に睡眠にと、状態異常のオンパレードになるのは大変美味しいですね。ゲーム中では厄介この上ないですが。
次は[の世界でモルボルに襲われるスコールも書いてみたいなとか思ってます。