海に浮く蓮
スコール in FF7R2


 スコールがクローゼットから赤い縄を持ち出してきたのを見た時には、船員に突き出されるのかと思った。
真っ当な方法で乗船した訳ではない上に、先達てのジュノンでの騒ぎと、更にミッドガルでの神羅ビル襲撃事件の言わば主犯として指名手配されていると言う、後ろ暗さで満点な身であるものだから、真面目に肝が冷えた。
実際の目的としては「緊縛プレイは嫌いか?」とのことだったので、スコールはクラウドを犯罪者として引き渡すつもりはないらしい。
身動きが取れない状態にされるのは、クラウドとしても聊か厳しいことなので、選択肢があるのなら縄は勘弁して欲しいと頼んだ。
スコールは「じゃあ縛るのは辞めるけど、ちゃんと命令には従えよ」と釘を差すに留めてくれた。

 ベッドへ連れて行かれて、服を脱げ、と言われた。
当然のことながら全裸だ。
煌々とした明るい部屋の中、クラウドは裸になった。
相手は娼婦であるし、クラウドも彼を何度も買ったのだから、そうなれば何が始まろうとしているのかは解る。
ただ、先ほどの縄と言い、賭けの件と言い、ただセックスをする訳じゃないだろう、と言うことも薄らと理解できた。

 全裸になったクラウドをベッドの端に座らせて、反対に衣服をひとつも乱していないスコールが、その前に立ってしげしげとクラウドを眺める。


「流石に勃ってないな」


 隠すものがないお陰で、股間の様もしっかり見られている。
じぃっと其処を観察されると、じわじわとした羞恥心が沸いて来るが、クラウドの中心部はまだ頭を起こしてはいなかった。
スコールがいつ其処に触れるかと想像すると、俄かに興奮しない訳ではないものの、それより、これから何をされるのかと言う若干の緊張感の方が強い。

 スコールの手がゆっくりと伸びてきて、クラウドの太腿に触れた。
男にしては線の細い、長い指がするりと内腿を撫でる。
薄い皮膚ごしに、筋肉を撫でて行く指の感触が擽るように伝わってきて、クラウドの腰にぞくりとした感覚が走る。


「勃ってはいないけど、溜まってはいそうだな」


 そう呟いたスコールの見立ては正しい。
ミッドガルを脱出してから、殆ど仲間達と一緒にいたから、ゆっくりと処理する時間はなかった。
アンダージュノンで一泊した時に、事務的な処理をした程度だろう。
誰かの手で其処を刺激されるなど、スラムを離れて以来───ではないか。

 そう思うと、目の前に男娼がいて、自分の体に触れていると言うことに、クラウドの喉がごくりと鳴った。
それは近い距離にいたスコールにもしっかりと聞こえたようで、くつ、と喉が笑う。


「焦るなよ。まだ駄目だ」


 耳朶に触れそうな程に顔を寄せて、スコールはそう囁いた。
薄らとかかる吐息の感触で、クラウドの首筋にぞくぞくとしたものが迸る。

 膨らむ期待に応えるように、スコールの右手はクラウドの中心部へと滑って行く。
その手に押されて開いた足の間に、スコールはするりと入ってきた。

 スコールの顔が、クラウドのペニスの目の前にある。
色の薄い唇が、触れそうな程に寄せられて、ぴくりと亀頭が反応を示した。
真正直に期待していることを示す一物に、スコールが薄い笑みを浮かべてクラウドを見上げる。


「舐めて欲しい?」


 あの狭くて暗いアパートで、何度も何度も味わった、唇の感触。
もう味わう機会もないと思っていたそれが、目の前にあるのを見て、クラウドの心臓がどくどくと鳴り始めた。

 スコールの指がペニスの先を摘まむ。
その感触だけで、クラウドの腰には甘くて痺れるような感覚が流れた。
窄めた唇が寄せられ、先端に向かって、ふぅ〜……と息を吹きかけられると、鈴口が戦慄いてじわりと汁を滲ませる。


「あんたは我慢ってものをしないな」
「……っ」
「その癖、いつも溜め込んでる」


 スコールの左手が、陰嚢を転がすように揉んだ。
くにゅっくにゅっと手慣れたマッサージに、其処に集まっている血が押し出されてくる。
じわじわと膨らんでいく雄に、スコールはゆっくりと舌を伸ばし、


「んぁ……♡」


 ぴちゃり、と唾液をまとわせた舌が、幹竿の裏筋を辿る。
赤い舌が焦らすように丁寧に肉棒を舐め挙げていくその様子に、クラウドは知らず喉を鳴らしていた。

 どく、どく、どく、と心臓と一緒に、股間の熱も脈を打っているのが判る。
スコールはそれを煽るように、玉転がしを楽しんでいた。
時折、指先の爪で袋の中間をカリカリと引っ掻かれ、クラウドの腰がびくっびくっと勝手に弾む。


「ふっ、ふぅ……っくぅ……っ!」
「ふふ……」


 スコールは楽しそうに目を細め、舌を亀頭の縊れにまとわりつかせた。
はあ、と熱の籠った吐息がクラウドのペニスを擽り、唇が窄められてキスをする。
ちゅるちゅるとわざとらしい音を立てて啜られながら、クラウドはその唇がいつ己を迎え入れてくれるのかと期待を膨らませていた。


「んちゅ、んっ……♡ちゅる、ちゅぅ……っ♡」


 啜りキスをしながら、スコールは亀頭に舌先を当てる。
ちろちろと小刻みに動く舌に刺激されて、クラウドは感覚神経が其処に集まるのを感じる。
痺れるような快感が、スコールの唇が触れている場所から昇って来て、脳髄を蕩かそうとしていた。

 丹念なマッサージを受けていた陰嚢は、段々と重みを増している。
旅の間に貯め込んだものが、たっぷりと其処に詰まっているようだった。
スコールはその玉の表面皮膚をカリカリ、カリカリと人差し指の爪で苛めてくる。


「く、うっ、うぅ……っ!」
「んむぅ……っ♡」
「くぅあ……っ!」


 悶えに歯を噛んでいたクラウドを、スコールは遂に咥内へと誘い入れた。
まっすぐに頭を起こしたペニスを、ねっとりと濡れそぼった口が、啜るように咥え込んでいく。

 スコールの口の中で、器用に舌が蠢いて、亀頭部を嘗め回している。
己の中心部が、生暖かく弾力のある肉布団に柔く締め付けられるのを感じて、クラウドは心地良さに喉を反らした。


「はあ、ああ……っ!ス、スコール……っ!」


 もっと奥まで咥え込んで欲しくて、クラウドはスコールの頭に手を置いた。
と、ぎゅうっ、とクラウドの陰嚢が強く握られる。


「うぅっ!」


 それまでの甘い心地良さとは正反対に、鍛えようのない弱点を鷲掴みにされて、クラウドは思わず悲鳴を上げる。
どうして、と熱と痛みで雫を滲ませた魔晄の目が見詰めれば、スコールは口に入れていたペニスを解放して、にんまりと笑って言った。


「あんたは動くな。出来ないなら、縛るぞ。嫌なんだろ?」


 許可なく動くな、とスコールは言った。

 ベッドの端には、スコールがクローゼットから持ち出してきたロープがある。
あれはその為に使うつもりだったのだ。
クラウドが嫌だと言うので、スコールは仕方なく譲歩してくれたが、勝手なことをするなら道具は使うし、此処でこのお楽しみも終わるのかも知れない。

 ペニスはすっかり勃起し、陰嚢は重く、この状態で放置されるなんて拷問でしかない。
クラウドは鈴口にじわじわと先走りを滲ませながら、スコールの頭に置いていた手をベッドシーツへと戻した。


「良い子だな」


 クラウドの選択に、スコールは蒼い瞳をうっそりと細めて褒める。
その言葉に、クラウドは耳の奥で鼓膜がぞくぞくと震えるのを感じていた。

 良い子にご褒美、とスコールは言って、クラウドのペニスを改めて口に含む。
頭をゆっくりと前後に動かし、唇で竿全体を擦りながら、手はクラウドの陰嚢を撫でていた。
お仕置きに痛めつけたお詫び、或いはこれも言う事を聞いた男への褒美だろうか。
言う事を聞いていれば、これからも気持ちの良いことが続くと知って、馬鹿になった男が何人いるのだろう。
───そして、此処にも新たに一人。


「俺が良いって言うまで出すなよ」


 スコールは鈴口に舌を宛がいながらそう言った。
クラウドがくらくらとした意識の中で頷くと、スコールは満足げに双眸を細め、ちゅるぅ、と雄を啜る。

 スコールはペニスの亀頭をまんべんなく嘗めながら、右手でクラウドの竿を握った。
柔く包み込む力で握ったそれを、上下に擦って扱き始める。


「ふっ、ふぅっ、うぅ……っ!」


 長らく刺激らしい刺激から遠ざかっていた男にとって、それは堪らない刺激になる。
固く張りつめた肉棒は全身が敏感で、手のひらの摩擦感だけでクラウドは達しそうになっていた。
それを葉を噛みながら堪えているが、先端からはじわじわと先走りが溢れ出していた。

 スコールは舌先に滲む味を吸いながら、ペニスの根本をきゅうぅと握る。


「うぅぅ……っ!」
「んちゅぅう……!」
「くぁあ……っ!」


 熱の通り道を邪魔された状態で、鈴口を啜られるのはかなり来る。
クラウドの腹がぶるぶると震えて、引き締まった太腿には汗が滲んだ。
下腹部に溜まった切迫感が、出所を探して暴れまわっているのが判る。

 そんなクラウドに、スコールは意地悪く言った。


「イったらおしまい」
「ふっ、ふぅ……っ!」
「ちゃんと我慢できたら、……こっち(ヽヽヽ)も使わせてやっても良いかもな」


 クラウドの陰嚢を苛めていた指が、つぅっと門渡りを辿って、クラウドのアヌスに触れる。


「っ……それは……お前の、中に……っ」
「挿れたいんだろ?」
「……っ!」
「ふふ、大きくなった。相変わらず、馬鹿正直だな」


 むくりと質量を増すクラウドに、スコールはくすくすと笑って言った。

 クラウドの脳裏に、もう何ヵ月前になってしまうのか、呼ぶ度に骨まで喰らわんと貪り揺さぶった肉の味が思い出される。
初めて生の肉の感触をクラウドに教えた身体。
それは未経験だった男を、一晩で狂暴な雄へと生まれ変わらせ、そのまま虜にしてしまった。
肉壺は味わう度に艶めかしく暖かくクラウドを迎え、突き上げる都度に蜜を吹いて艶やかに踊る様に、クラウドは夢中になって腰を振ったものだ。

 あれを、此処でまた、味わえる。
想像しているだけで、クラウドのペニスはぴくぴくと戦慄いて熱を膨らませていたが、奥歯を噛んでその暴走を堪えてみせた。


「よく耐えてる」
「は……っ、は……っ、うぅ……っ!」
「そうやって頑張られると、苛めたくなるんだよな」


 薄い笑みを浮かべて、スコールはペニスの根本に唇を寄せた。
勃起して天を衝いているペニスの先端を、右手で包んで揉み遊ぶ。
形の良い、指の長い手が、自身の亀頭をこね回しているのを見て、クラウドは腰を揺らしたくなった。


「んちゅぅ……♡」
「……っぅう……!」


 スコールが肉棒と陰嚢の境目を吸う。
ぴりぴりと痺れるような快感がクラウドを襲い、鈴口からぴゅるるっ、と少量の白濁が噴き出る。


「イった?」
「……う、う……」


 スコールの言葉に、クラウドは唇を噛んで首を横に振った。
スコールは「大目に見てやる」と言って、竿の横腹に甘く歯を立てる。

 亀頭を揉んでいた手指が悪戯を増して、指先が鈴口の穴をくりくりと穿ってきた。
びくっびくっとクラウドの腰が跳ね、ベッドシーツを握る手が白むほどに力を籠める。


「っく、うぅ、うぅう……っ!」
「此処は誰でも弱いから、弄ると皆すぐイく」


 言いながらスコールは、鈴口から溢れ出す白濁を指で掬った。
糸を引くほどの粘り気を持ったカウパー液を、クラウドの竿全体に塗りたくって行く。

 粘つきに覆われたペニスを、スコールは柔く握って、しゅこしゅこと扱き始めた。
自身の精液を潤滑油にした手コキに、クラウドの限界に近い体が更に追い立てられる。


「うっ、うぅっ、スコール……っ!」
「こら、動くな」
「はっ、はっ、はぁっ、うぁ……っ!」


 逼迫する熱の奔流に、クラウドは強張らせた下半身をがくがくと痙攣させている。
それをスコールは咎めるように命令するが、最早クラウドの反応は、本人の意思とは無関係だ。

 スコールはペニスを根本から亀頭の下まで隙間なく扱きながら、亀頭のエラをちゅうっと啜る。
クラウドは下腹部と太腿に血管が浮くほどに力んで、今にも吐き出しそうな熱を辛うじて耐えていたが、


「う、うぅ、出る、出る……!」
「んちゅ、あむぅっ♡」
「うあぁ……!!」


 訴えるクラウドの声を面白がるように、スコールは亀頭をぱっくりと口に入れた。
そのまま直ぐに頭を動かし始め、スコールの小さな唇から、ぬぽぬぽとペニスが激しく出入りする。


「はっ、はぁっ、スコール、うぅっ!」
「んぷっ、んっ、んっ♡んんっ♡」
「っは、はあ、む、無理だ、もう……!」


 クラウドは高い天井を仰ぎながら限界を訴えた。
もう後一回、唇がペニスを扱いたら出る───と、ちゅうぅっ、と啜られたかと思ったら、


「んぷぁっ♡」
「くあ……っ!」


 ちゅぽんっ、とスコールはクラウドのペニスを解放した。
途端の喪失感に、クラウドは悲愴な声を上げる。

 ベッドの端に腰かけた状態で、足を開いて起立したペニスを見せつけながら、クラウドははくはくと唇を戦慄かせていた。
スコールは口端から零れる唾液と白濁を拭いながら、うっとりと熱の籠った笑みを浮かべて、クラウドを見る。

 はあ、はあ、と息も絶え絶えに天井を見つめながら、クラウドは意識の隅で思い出していた。
以前も、こうやって煽りに煽られた後、最後の一線を前に逃げられた気がする。
見つめる酷薄な蒼灰色も、どうやら同じことを考えていたらしい。


「懐かしいな。あんたに最初に呼ばれた時も、同じようにしてやった」
「う……は……っ」
「あの時はサービスしてやった。でも今日は───どうしようかな」


 くすくすと笑いながら、スコールの指がクラウドの剛直をつぅとなぞる。
少し伸びて尖った爪先で裏筋を引っ掻かれるのは、得も言われぬ快感をクラウドに与えた。

 スコールはクラウドの前に立つと、此処まで一糸と乱していなかった服を脱ぎ始めた。
目の前で始まったストリップショーに、クラウドは息を喘がせながら釘付けになる。
薄暗かったスラムのアパートと違い、煌々とした灯りの下に晒される青年の肌は、電灯の色味の所為だろうか、以前よりは血色があるように感じられる。
しかし肢体のシルエットはやはり華奢で、腰などクラウドが両手で包んでしまえそうだった。

 タイトなズボンを下ろしたスコールの局部を覆っていたのは、レースのついた下着だった。
サイドの細いそれは、どう見ても女物だ。
それがフロント部を持ち上げてテントを作っている光景は、酷く倒錯的に見える。

 其処をじっと見つめているクラウドに、スコールは細い腰を撓らせて言った。


「一緒に乗る予定だった客の趣味だ」
「……」
「あんたには趣味じゃない───訳でも、ないみたいだな」


 スコールの視線は、クラウドの中心部を見詰めている。
其処は変わらず天を衝き、早く次の刺激を欲しがってピクピクと震えていた。
興奮ぶりが全く衰えていないことに、スコールの目が重畳と細められる。

 気に入ったなら、とスコールは下着をそのままにした。
クラウドに背中を向けると、臀部を覆うバックを指で摘まんで、中央へと寄せる。
尻の谷間に布地を挟めば、Tバックのようにまろい尻肉が露わになり、その中心に紅色に色付いている秘穴が覗いた。


「ここ、欲しいか?」


 挿れたいか、と問う娼婦に、クラウドは本能のままに頷いていた。
熱に浮かされ茫洋とした目で答えた男に、スコールは意地悪く笑う。


「タダで?」
「……っ……」
「財布も持ってなさそうだが」


 財布は各個人でそれぞれが自分の分を持っていた。
旅に必要な食糧やら、宿代は利用したい者で折半だが、個人の武器の改造費用やらは自分で負担している。

 高級娼婦を相手に、ジュノンで稼いだ分がどれだけ持って行かれるのか、今のクラウドに考える頭もなかった。
だが、誰にも迷惑をかけないのなら気にする必要もない。


「……船室に、戻れば……」
「後払いか。まあ、仕方がないな」


 小悪魔の誘いに、クラウドは逆らう術を持たなかった。
スコールもその返答に、及第点にしてやろうと、優しくもない慈悲を見せる。

 スコールは捕まえた客へと向き直ると、しな垂れかかるようにして、ベッドに乗ってきた。
クラウドの肩が押されて、ベッドに寝るようにと命令する。
今のクラウドには、身動ぎするだけで股間が辛くて仕方がなかったが、言われるままに横になる。

 スコールの身体が馬乗りに重なって来て、クラウドの視界から天井の灯りを遮った。
逆光に映し出されたスコールは、随分と楽しそうな表情を浮かべている。


「動くなよ」


 再三の命令をして、スコールは下肢をクラウドの股間に乗せる。
女物の下着を身に着けたまま、スコールは起立した剛直を尻の谷間に擦り付けた。


「ん……固い……」
「ふ……っ、ふぅ……っ!」
「ドクドク言ってて、我慢汁も出てる。入れたら、すぐにイきそうだな」
「はあ……、はあ……っ、ふぅう……っ!」


 滑らかな皮膚の感触と、寄せ絞った布地の凹凸が、クラウドのペニスを擦る。
鈴口から滲み出た粘液が、スコールの白い尻にまとわりついて、下着に染みを作って行く。

 スコールはしばらくゆらゆらと尻を揺らして遊んだ後、下肢へとやった手で下着の後ろ布を引っ張った。
Tバック状だった布地が肌から浮いて、ヒクつく穴口にペニスの先端を宛がう。


「ふっ、ふぅっ……!スコール……早く……!」
「ああ。挿れてやるから、まだイくなよ」


 鼻の穴を興奮に膨らませるクラウドに、スコールは笑みを浮かべながら、ゆっくりと腰を下ろした。

 亀頭の先端が穴口を押し広げる。
エラ張りの高い亀頭部は、スコールが息を詰めてぐっと腰を下げると、ぐぷんっ、と入り口を潜った。


「んんっ♡」


 甘露を孕んだ喉声を漏らしながら、スコールはふぅふぅと息をする。
スコールはじわじわと首を赤くしながら、殊更にゆっくりと、クラウドのペニスを飲み込んでいった。


「ん、あ、んん……大きい……入るぅ……っ♡」
「はあ、ああ、あぁああ……!」
「ううん……っ!前より、太くて……っは、熱い、感じ……んふぅう……っ♡」


 クラウドの腹の上で、白く華奢な肢体が見悶えしながら揺れる。
女物の下着のクロッチが膨らみ、その中で勃起しているものから滲んだ水気が、レースの中で染みを広げていた。

 ペニスは半分ほどがスコールの胎内に納められている。
そこでスコールは止まって、ふう、ふう、と意識した呼吸を繰り返した。
その間、スコールの胎内は艶めかしい肉の感触が蠢き、咥え込んだペニスをねっとりとマッサージしている。
それがクラウドには苦しくて堪らない。


「ああ、うぁ……っ!う、うねって…絡みついて、くる……くあぁ……っ!」
「っは…はふぅ……んん……っ!」
「あ、あ、また中に……入って…いく、うぅう……っ!」


 呼吸を整えたスコールが、また腰を下げていく。
久しぶりに味わう極上の肉褥は、内側から分泌された蜜液で濡れそぼり、クラウドの侵入をスムーズなものにしていた。
温かな体温を宿しながら、トクトクと脈打つ媚肉の感触に、クラウドの意識が溶けていく。


「あぁ……ん……っ♡やっぱり、ん、長くて……んんっ♡奥、にぃ……届、くぅん……っ!」


 スコールは眉をハの字にしながら、うっとりとした表情を浮かべていた。
甘い声を漏らす唇の隙間から、唾液に濡れた紅い舌が覗く光景に、クラウドはごくりと喉を鳴らす。

 突き上げたい。
クラウドはそう思っていた。
腹の上に乗っているこの青年の、細い腰を捕まえて、力任せに突き上げたい。
湧き上がる衝動のまま、クラウドはそろりと腕を伸ばそうとしたが、


「こら」
「ううっ!」


 ぎゅうっ、と媚肉がクラウドを強く締め付けた。
柔らかく優しく包んでいた筈の肉の横暴に、クラウドがびくんっと腰を震わせた瞬間、


「うっ、イくっ!で、るっあぁ!」
「んんっ!んぅうんんっ♡」


 どくっどくんっとペニスが脈を打った後、クラウドはスコールの胎内へと、濃い精液を注ぎ込んでいた。
スコールも胎内で暴発した欲望の感触に、喉で甘い声を上げながら体を強張らせる。

 どぴゅっ、どぴゅっ、と短い射精が二度、三度と続いた。
どろりとしたものが極上の肉布団を汚し、媚肉が悦びにひくついている。
クラウドは体が齎す衝動のまま、それが収まるまでスコールの腸内に射精した。

 クラウドの射精が終わって、数秒、スコールは天井を仰いでその身を震わせていた。
薄い腹筋がヒクッヒクッと跳ねて、下着の染みは拡がっているだけでなく、吸い込み切れなかった水気が溢れ出していた。


「あ……っんん……っ♡」
「は…っ、はあ……あぁ……っうぁ……っ」


 息を切らせたスコールの下で、クラウドも乱れた呼吸で天井を見上げていた。
クラウドは茫洋とした意識の中で、自身を包み込む媚肉が、ねっとりと蠢いて戦慄いているのを感じ取る。

 はふぅ、とひとつ大きく息を吐いたのはスコールだった。
スコールは眉尻を吊り上げてクラウドを見下ろし、体内で脈打っているペニスをぎゅうっと締め付ける。


「うぅっ!」
「誰がイって良いって言った?」


 艶めかしい感触がペニスを包み込みながら、ぬらりと擦れる。
スコールはゆっくりと腰を持ち上げて、淫穴に咥え込んだ肉棒を抜いた。


「うあ……」


 温かく柔らかかった肉褥がなくなり、クラウドの中心部は冷たい外気に晒される。
空調は室温を適度なものに保っている筈だが、熱の籠った身体には寒さばかりが強調された。

 くぱくぱと伸縮を繰り返す秘穴を前に、クラウドのペニスが寂しげに戦慄いている。
クラウドが少し腰を突き出せば、其処に逃げ込むことが出来るだろう。
しかし見下ろす蒼灰色は冷たく残酷で、クラウドに指一本の身動ぎさえも許していない。


「入れるとすぐに出すのは癖か?」
「は……は……っ、は……っ」
「まあ、あんたはバカみたいな絶倫だから、これ位じゃまだ萎えないから良いか」
「うぅ……早く……中に……」
「入れてやっても良いけど、このままじゃあんたはすぐに出すばっかりだからな。もう少し我慢ってものを覚えろ」


 言いながらスコールは、ベッドの端へと手を伸ばしている。
クラウドがぼんやりとその手の行方を見つめると、クローゼットから持ち出した縄があった。
が、スコールが拾ったのは縄ではなく、もっと小さな、手の中に納まる程の大きさのシリコン製のリングだった。


「あんたには体で覚えさせた方が良い」


 スコールは薄らと笑みを梳いて、リングをクラウドの下肢へと持って行った。

 形の良い節のある指先が、クラウドの陰嚢を摘まむ。
玉袋は精を貯め込んで重くなり、最初にマッサージを施された時よりも、固く張りつめていた。
スコールはそれを弄ぶように転がしながら、内側から引っ張って広げたリングに双玉を潜らせる。

 きゅうっ、と血管の中央が締め付けられるのを感じて、クラウドは眉根を寄せた。


「くぅっ」
「これで直ぐには出ない」


 スコールはにやぁと笑いながら、リングを縁取るように陰嚢へ指を滑らせる。
ぞくぞくとした官能がクラウドの股間を走り、ペニスがびくっびくっと弾んだ。
その鈴口からとろりと汁が溢れ出す。


「じゃあ、もう一回」
「は……は……っ!」


 スコールがゆらりと腰を揺らして、肉穴をペニスに宛がう。
とろんと蕩けたチョコレートのような滑らかな感触が判って、クラウドの呼気は判り易く上がった。

 ふう、と深呼吸をしてから、スコールは腰を落とす。


「うぅんっ♡」
「うああっ」


 ぐぷん、と亀頭が一息に穴に飲み込まれた。
一度根本までしっかりと咥え込んだお陰で、媚肉は程よく広がり、クラウドの形を覚えている。
ぬるぬると分泌液に濡れた内側が、生暖かく包み込むのを感じて、クラウドの全神経が其処へと集まった。

 スコールは肉竿の中ほどまで咥え込むと、今度は腰を持ち上げる。
ぬらぁああ、と太いものが秘穴を舐めるように滑って行く。
そのままスコールは腰を上げ切って、にゅぽっ、と亀頭部も抜いた。

 あ、と冷えた感触にクラウドが譫言を漏らそうとした時、にゅぷんっ、とまた肉壺がペニスを迎える。


「んんっ♡ふっ、うぅん……んぁっ♡」
「う、うぁ、ああ……ああっ!」


 スコールは腰を大きく上下にグラインドさせて、ペニスを半ばまで咥え込んでは、逃げて抜いた。
入れて、出して、と繰り返し抽挿を繰り返され、クラウドは一瞬の冷えと、心地良い生暖かさを交互に感じ、


「ううぁ、ああ、温かい……くぅ、あ、ま、待て……あぁっ」
「は、ふぅ、うぅんっ♡ん、んくふぅ……うんっ♡はあ、入れるぞ、ほら……んぁああ♡」
「はあ、うあぁあ……っ!」


 一瞬の外気の冷たさを感じる度に、次の瞬間に襲って来た肉布団の熱に酔う。
このままこの中にいたい、とクラウドは切望したが、馬乗りになった青年は愉しそうに戦慄くペニスを苛めていた。

 クラウドの肉棒は固く反り返り、支えがいらない程に起立している。
立派なサイズに膨らんだそれを、スコールは股間の隙間から見て、くすりと笑いながら、


「はっ、はっ……んっ、奥まで、入れるか?んんっ♡」


 竿の真ん中まで咥え込んで、スコールは秘穴を締め付けながら言った。
内壁は隙間がないほどにクラウドに吸い付いているが、クラウドはもっと甘い味がする場所を知っている。
それを判っていて、欲しくないなどと言える理性は、とうの昔に溶けていた。


「はあ、スコールっ」


 堪らずに手を伸ばして腰を掴もうとしたクラウドだったが、


「動くな。言う事が聞けないなら、此処までだ」
「うっ、うぅ……っ!」


 無慈悲な命令に、宙に浮いた手を彷徨わせるクラウド。
スコールはそんなクラウドに、「サービスしてやる」と言って、両の手をクラウドの手指へと絡ませた。

 互いの五指を交互に隙間に入れ込む手。
それぞれの右手左手を繋いだ手の形は、まるで恋人同士が甘い秘め事をしているかのようだ。
それを目にしたクラウドが、微かに手を震わせながら握って来たのを見て、スコールがくつりと笑う。


「好きか、こういうのが。好きそうだな」


 揶揄う瞳が窄められ、スコールはクラウドの手を握り返した。
媚肉の内側でクラウドのペニスがどくりと震え、判り易い反応にスコールの喉も震えた。


「じゃあ、ほら。このまま……」
「ふっ、うぅ、ううぁぁあ……!」


 スコールがゆっくりと腰を落としていく。
ぬぷぷ……と肉壺が己を飲み込んでいく生々しい感触に、クラウドは投げ出した足を戦慄かせた。


「うぅ、んんん……っ!くふぅぅんっ……!」


 スコールは息を詰まらせながら、クラウドを根本まで咥え込んだ。
剛直が奥の壁をぐりっと抉るように押して、細身の体が圧迫感に痙攣する。


「んっ、あぁ……っも、やっぱり……でかいぃ……っ♡」


 スコールはヘソの裏側に固いものが当たっているのを感じていた。
クラウドがスラムにいた頃は、然したる間を置かずに何度も咥え込んでいた雄肉。
それを存外と久しぶりに迎え入れて、スコールの身体も記憶を呼び起こすように温度を上げる。

 みっちりと内側を押し広げて支配する肉欲に、スコールは体を馴染ませる時間を取った。
宙を見つめ、はあ、ふう、と呼吸を繰り返す最中、彼の媚肉はクラウドを締め付けて離さない。
肉ビラが艶めかしく蠢動しては、クラウドの熱を絞り出そうとするように、竿の根本を嘗め回している。

 腰を振りたい。
このいやらしくて温かい肉壺を突き上げ、掻き回したい。
しかし、見下ろす蒼はやはり冷たく、クラウドの我儘の一切を許可しない。


「さあ……動くぞ」
「はぁっ……はぁ……っ!」


 クラウドの手が、ぎゅう、とスコールの両手を握る。
懇願を滲ませるその手に応えるように、スコールは腰を振り始めた。


「んんん……!」
「うっう……くぁ……擦れ、る……あぁ……!」
「はぁ、うぅんんっ♡」


 スコールはまた大きなストロークを使って、肉棒をしゃぶり始めた。
腰を前後上下に動かしながら、根本まで咥え込んでいたペニスを、亀頭の縁の部分まで引き抜いて行く。
またそのまま抜かれてしまうのかと思いきや、スコールは一気に腰を落として、ぐぷん、と肉棒を奥まで突き入れた。


「はぅんっ♡あふっ、うぅん……っんぁあ♡」
「くあ、ああ、あぁあ……っ!」
「はあ、奥までぇ……んっ、届いてくるぅっ♡はあっ、あぁあん……!ちんぽ、固くて、反っててぇ……っ中の天井っ、引っ掻くよぉっ♡」


 固く張りつめたペニスは、まるで針金かバネでも通っているかのように、真っ直ぐに起立している。
それがスコールの腰を動きに合わせて、多少の角度を変えながら、彼の腸壁に亀頭を引っ掛けながら前後していた。


「ああぁっ♡入る時に、んんっ、後ろの方っ、擦ってくぅう……っ♡はっ、はふ、んふぅうっ♡出るのっ、あぁっ、前の方ぅっ…、ちんぽの大きいとこ、ゴシゴシなるぅうっ♡」


 スコールは恍惚の表情を浮かべていた。
胎内で貪る快感刺激で、脳の快楽物質も溢れ出し、媚肉の全ての性感帯が解放される。

 スコールの股間で、女物の下着はすっかり濡れて、薄い布の裏側が透けて見える。
勃起した色の薄いペニスが其処に収まり切らず、先端をはみ出させていた。
その鈴口からトロトロと白い液体が溢れ出して、スコールの腰の揺らぎにつられて、ぴゅくっ、ぴゅくっ、と蜜を噴く。


「んぁ、あっ、あぁっ♡はぁ、イく、イきそ……っあぁ♡」


 ずんっ、と奥へとペニスを突き入れて、スコールは背を仰け反らした。
肉を咥え込んだ下肢がぶるぶると大きく震え、


「んぁっ、あっ♡あぁーーーーーっ♡♡」


 雌の甘露を孕んだ悲鳴を上げて、スコールは絶頂する。
パンティから顔を出したペニスから、ぴゅぅううっ!と白蜜が弾けて、二人の腹を汚した。

 スコールの胎内が絶頂に伴って大きくうねり、クラウドのペニスをきゅうっ、きゅうっ、きゅううぅっ!とリズミカルに締め付ける。


「ううぁっ、ああっ!あああぁっ!」


 迫る絶頂感に、クラウドもまた声を上げる。
びくんっ、びくんっ、と腰が勝手に弾み、腹の上に乗っている青年の体を打ち上げる。


「あうっ、あぁっあぁうんっ♡」


 イったばかりで敏感な体を、不意打ちに突き上げられて、スコールが甘い声を上げる。
クラウドを咥え込んだ雌肉が戦慄いて、其処に集まっている熱を絞り出さんばかりに吸い付いた。
が、


「くぅ、うぅ……ぐぅう……っ!」


 クラウドは苦悶に眉根を寄せる。
熱の迸りが一ヵ所に集まっていることは判るのに、其処から先に行くことが出来ない。
溜め込んだ精子は切に出口を求めている。
それなのに、ペニスはビキビキと固く張るばかりであった。


「くは、はあ、ああ……っ!で、ない……うぅっ」
「はっ、はっ……全く……動くなって、言っただろうっ」
「うぅっ!」


 ぎゅうっ、とペニスが強く締め付けられ、クラウドは短い悲鳴を上げる。
今のクラウドにとって、其処を苛められるのは、とんでもない拷問であった。
スコールもそれを判っているのだろう、括約筋に力を込めたまま、腰を前後に振って媚肉を摩擦する。


「あっ、あっ、固いっ♡1stちんぽっ、やっぱり、これが一番、んんっ♡大きくて、膨らんでぇっ♡」
「はっ、はっ、待て、待ってくれ……っ!ううっ、苦しい……っ!」
「ふっ、ふふっ♡我慢しながら、まんこするの、んっ♡気持ち良いだろ、んんっ♡」
「うあ、はあ、はあ、ああぁっ……!」
「ほら、動くなってば。俺が、んっ、気持ち良くしてやってるんだから、この、贅沢者っ♡」
「うぅあ、あっ、イく、イく……っ!うぅっ、あぁあっ!」
「はっ、はぁっ、はぁっ♡だめ、まだ、まだイったらダメだ。ほら、もっと、んんっ♡ああぁっ♡」


 スコールはクラウドにイくなと言うが、クラウドの体は既に自分の想い通りにはならなくなっていた。
性器に装着されたリングの所為で、射精に至る道を阻まれているに過ぎず、肉欲はそれに構わず膨らみ続けている。
おまけに、駄目だと口で言いながら、スコールの身体はクラウドから熱を絞り出そうとしている。
極上の肉褥で雄の欲望を煽る青年に、クラウドは我慢と解放の狭間で意識を混濁させつつあった。


「はあっ、イく、イかせてくれ……ッ!スコール、中に、お前の中にっ」
「はっ、はっ、あっ、あっ♡出し、たい?俺の、おまんこにっ、んぁっ♡まんこの奥で、おちんぽイきたい?」


 スコールの顔がクラウドの顔に近付いて、唇が触れそうな程の距離になる。
覗き込んでくる蒼灰色の瞳は、濡れた蜜のような光を湛え、笑みは軽薄なものだった。
それでも、この体が、顔が魅せる蠱惑的な熱は、雄を絡め取って離さない。


「俺の中で、イきたい?」


 ペニスに絡みき、きゅうきゅうと締め付けながら、艶めかしくまとわりついてくる媚肉。
その肉布団に囚われた欲望が、どくんどくんと脈を打って自己を主張している。
この極上の雌肉の中を、己の欲望で満たしたいと。

 クラウドは握られた両手を、更に強く握り締めた。


「お前の中にっ、イ、かせて、くれっ」


 懇願するクラウドに、スコールの両目が満足げに細められる。

 握っていた手の片方が解かれて、スコールは体を起こした。
中に入っているものの角度が変わり、「うぅん……っ♡」と悩まし気な声が漏れる。
煌々とした灯りの下で、細身の体はすっかり甘色に火照り、上気に湯気まで立ち上っているように見えた。

 スコールは下肢に手を遣ると、手探りに肉棒を咥え込んでいる場所を辿る。
指先がくすぐるように股間の神経線を触って行くので、クラウドの腰がびくっびくっと震えた。
アナルの中に閉じ込められたペニスも、わなわなと震えている。
スコールは胎内で雄がお預けに苦しんでいるのを知りながら、わざと焦らしに焦らして、クラウドの陰嚢へようやっと指を触れさせた。


「外すぞ」
「ふっ……ふぅ……っ」
「取ったからってすぐイくなよ。俺の許可まで待て」


 念押しの命令に、クラウドはこくこくと首を縦に振っていた。
とにかく早く解放して欲しい、その為に次のステップに進んで欲しい。
もうクラウドは、一刻も早く、限界いっぱいまで蓄積した熱を吐き出すことしか、考えられなかった。

 スコールの指が陰嚢に取り付けられたリングに触れる。
玉袋は、リングを装着した時よりも一回りは大きくなっていた。
「こんなに貯まるものなんだな」とスコールは言って、玉を転がしながらリングを潜らせる。


「う、うく……っは、ううぁ……っ!」


 シリコンのリングの伸びが良かったお陰で、外すことはそれほど難しくはなかった。
しかし、堰き止めるものがなくなると、押さえつけられていたものが一気に血管を上ってくるのが判って、クラウドは切迫感が一気に強くなるのを感じた。

 胎内で肉棒が戦慄き、先走りを溢れさせているのを感じ取って、スコールが笑う。
歯を食いしばって耐えるクラウドの様子に、スコールの手はあやすようにクラウドの割れた腹筋を撫でた。


「我慢できるじゃないか」
「ふっ、ふぅっ、ふぅっ……!」
「それじゃあ────んんっ♡」
「……!!」


 ずにゅうっ、と媚肉がペニスの全身を包み込む。
粘ついた肉膜が薄い皮膚をそぞり舐める感触に、クラウドは喉を反らして咽び歓んだ。

 スコールは大きく大胆な腰使いで踊り始める。
ぎしっぎしっ、とベッドのスプリングが抗議の音を上げるのも構わず、足をM字に開いたガニ股になって、クラウドのペニスを肉壺全体で扱き上げた。


「はあっ、ああっ、あぁっ、あぁんっ♡太いのっ、奥にっ、来るぅっ♡あぁあっ♡」
「うっ、うぅっ、ああ、ああ!まん、まんこが熱いっ!き、気持ち良い、ううぁっ!」
「んっ、すごい、1stちんぽっ♡ビクビクして、はっ、出したがってる♡まんこの奥に、精子いっぱい、出そうとしてるぅっ♡」


 じゅぽっ、じゅぽっ、じゅぽっ、と卑猥な水音を立てながら、ペニスが肉壺を激しく出入りする。
スコールが腰を下へ落とせば、ずぷぅっ、と最奥を亀頭が打ち上げ、直腸全体が震えるように戦慄いた。
その小刻みな振動がクラウドの股間をダイレクトに刺激し、拷問の末に貯め込んだ熱欲が出口に向かって噴き上がって行く。


「はあっ、ああっ、イくっ、イくっ!スコールっ!出る、もうっ、もう無理だ……っ!」
「ふっ、ふふっ、くふっ♡んっ、んっ、んんっ♡」
「うう、あああっ、イかせてくれ、ああっ!もう我慢っ、出来ないっ!」


 切迫感に涙を浮かべながら訴えるクラウドを、スコールは愉しそうに見下ろしながら腰を振る。
蒼い瞳に映りこんだ男は、雄としては酷く情けない顔を晒していた。
蕩けるような雌肉に翻弄され、矜持も忘れて欲望に浸る男の様子を、青年は存分に愉しんでから、ようやく。


「はっ、あっ、イイ、イイぞ……っ♡ほら、出せっ♡おまんこの中にっ、ザーメンいっぱい♡中出ししろっ♡」


 スコールは律動を止めずに、媚肉の内側を強く震わせた。
幾重にも重なった肉ビラが小刻みに戦慄いたかと思うと、ペニスの根本を包み込むように吸い付き、入り口から奥へ向かう直腸が道を狭めて締め付ける。
蠢動は大きく、全身マッサージをするように剛直を揉みしだいて───そんな動きを味わわされた雄が、最早堪えられる訳もなく。


「ううっ、うぅああっ!くぅうううううっ!」
「あああぁぁっ♡イって、イってる♡お腹の中にっ、どぴゅどぴゅ来るよぉおおっ♡」


 クラウドは唸り声を上げながら絶頂した。
ようやくの許可に感極まるようにして射精する。
スコールもそれを余す所なく受け止めながら、奥壁に精を注がれる官能の中で果てを迎えていた。

 クラウドの射精は長く続き、中々熱のおさまりを見せない。
どくんっ、と強く脈を打ったかと思うと、血管で行き詰っていた精子がまた噴いて、雌肉を濡らしていく。


「あうっ、うぅんんっ♡ちんぽっ、んぁ、ドクドク言って、ああっまたぁああっ♡はうっ、すごい、っせーしいっぱいぃいっ♡」


 スコールは背筋を大きく仰け反らせ、下腹部を波打たせている。
彼のペニスも、ぴゅくっ、びゅうぅっ、とところてんに精を噴き、さらにプシィッと透明な飛沫まで。
紅潮した肌から珠のような汗が浮いて、クラウドと繋いだ手の中も、ぐっしょりと湿っているのが伝わった。

 ベッドに立てたスコールの足ががくがくと震えている。
はっ、はっ、と肩で荒い息をするスコールの唇から、飲み込み忘れた唾液が糸を引いて伝い落ちた。


「はぁっ、ああっ……んぅぁあ……っ♡い、っぱいぃ……♡あふれ、て、るぅ……♡」
「はあ、はあ……うっ、くぅ……っ!」


 繋がった箇所から、どろりと濃い粘液が溢れ出していく。
腸液を混ざった精液で、クラウドの股間が汚れて行き、ベッドシーツに汗とは違うシミを作り出していた。

 たった一回の射精で、スコールの胎内はクラウドのもので一杯になっただけでなく、受け止めきれない量が溢れ出して止まらない。
にも関わらず、アナルを広げるペニスは幾らも質量を失っておらず、スコールの中で固く張りつめていた。
その感触に気付いているスコールの目が、うっそりと細められる。


「ん……っ♡」
「うぅっ」


 きゅうぅ……とスコールが媚肉に力を入れて締め付けを示すと、クラウドの体がびくっと跳ねる。
魔晄の瞳が虚ろに見つめる先で、高級娼婦は濡れた指先を唇に摘まませながら、薄く笑った。


「まだ、イきたい?」


 濃い精液に濡れそぼった後孔が、柔らかく蠢いてマッサージを始めている。
未だ繋いだままだった手に、力を込めて来る男に、艶やかな青年は満足そうな表情を浮かべたのだった。





 気が付いた時、クラウドはベッドの端で寝かされていた。
見慣れない平らな天井が見えて、何処だ、と言う混乱が数秒。
耳に微かに届く波の音に、船旅の最中であったことをようやく思い出した。
それから、随分と手触りの良いシーツの感触と、ベッドの三分の二は占領する格好で寝ている濃茶色の髪を見付けて、記憶が全て浮上する。

 二等客室を抜け出すように出て、酒でも飲もうかとデッキに行った、その帰り。
スラムで何度となく顔を合わせた高級娼婦の青年───スコールと再会して、彼の気紛れに誘われるままに、彼の利用する一等客室に上げられた。
其処で話の流れにカードバウトをすることになり、初心者の猫を被っていたスコールに見事に完敗。
「負けたら言うことを聞く」と言う賭けをしていたものだから、敗北したクラウドはそれに従事しなければならなかった。

 そうして、それはそれは淫らでふしだらな一時を過ごしたのだ。
性を弄ぶことに慣れた娼婦によって、クラウドは随分と翻弄され、彼の中へと注ぐことを懇願した。
射精許可を得てからもペースは専ら相手のもので、スコールは満足するまでクラウドの精を搾り取っている。
スラムを立って以来、クラウドも全くご無沙汰だったものだから、久しぶりに味わう極上の肉の甘いこと。
元よりそれの虜になっていたクラウドだ。
絞られるだけ絞られながら、クラウドは媚肉の極みの中で、恍惚に溺れ死んだのであった。

 セックスが終わったのが先なのか、意識を飛ばしたのが先なのか、クラウドにはよく判らない。
目覚めた体はあちこちが疲労感で重かったし、傍らには裸身で眠る青年の姿があったので、夢ではなかったことは確かだ。

 常夜灯のみが灯された船室の窓から見える外は、まだ随分と暗い。
向かっているのが西の大陸であるとすれば、船は太陽に背を向けて走っている。
朝は当分先、船が目的地に到着するのもまだだろう。

 と、その窓の向こうで、何か影が閃いた。


「……?」


 此処は海の上で、船の上層部に当たる一等客室だ。
水面が近い二等客室と違って、跳ねる魚の陰が見えることもないだろう。
それとも、夜に飛び続ける鳥でもいるのかと思った時、────ビィーッ、ビィーッ、と耳障りな警報音が船全体に響き渡った。


「なんだ……!?」
「……んん……?」


 跳ね起きたクラウドの横で、スコールがむずがる声を漏らして身動ぎする。

 警報音は緊急事態を報せるものだ。
クラウドはベッドを飛び出ると、ソファの背凭れに投げていた服を急いで身に着けた。

 スコールが眠い目を擦りながら起き上がる。


「なに……うるさい……」
「緊急警報だ。外を見て来る。あんたは部屋から出るんじゃないぞ」
「……けいほう……?」


 寝起きで頭が回っていないのか、スコールはぼんやりとした表情をしている。
だが、クラウドに詳しく説明している暇はなかったし、そもそも何が起きているのかはクラウドにも判らないのだ。
とにかく現状を確認する為に動かなくてはいけないし、仲間たちのことも気になった。
このまま此処でじっとしている訳にはいかない。

 クラウドは身嗜みを手早く整えると、壁に立てかけていたバスターソードを掴む。
いつものように背に追いながら、ベッドの上で寒さに毛布を手繰り寄せているスコールに言った。


「一等客室なんだし、多少は安全なんだろう。でも船員が来たら、指示にはすぐに従え。もしかしたら避難誘導があるかも知れない、外に出て動ける格好にしておくんだ。良いな」


 口早に言い終えると、クラウドはドアの鍵を開けて廊下へ出た。
水兵服を着た船員が慌しく行きかうのを尻目に、クラウドはメインデッキへと向かう。

 甲板に飛び交う魔物の群れを目にした瞬間、クラウドは大剣の柄を握り締めた。