Tプレイング・エクストラ


 一週間、バッツは学生生活とアルバイトに明け暮れながら、準備を進めていた。
インターネットで検索すれば簡単に出て来るアイテムの中から、選りすぐって通販ボタンを押していく。
一日二日と待っていれば、すぐにそれは到着した。

 念の為に先に一通りのものを確認して、バッツは一式を清潔なプラスチックボックスの中にまとめ入れた。
これを見た時、初心な恋人はどんな反応をするだろう。
一時の気の迷いだったんだ、本気にするな、と怒る様子も頭に浮かんだが、彼女も少なからず興味を持っている様子だった。
試しに一回、それくらいは使って見ても良いかも知れない。
とは言ってもデリケートな彼女に嫌な思いをさせたい訳ではないので、どうしても嫌がるのなら、諦めるだけのことだ。

 そうして次の土曜日がやって来て、バッツの家のインターフォンが鳴る。
バッツは読んでいた漫画を放り出して、玄関へ向かった。


「いらっしゃい、スコール!」
「……ん」


 恋人の来訪を嬉々満面に迎えるバッツに、スコールはいつものように、少し恥ずかしそうに頬を赤らめながら頷いた。

 過ごし慣れた夕方からの一時をゆっくりと堪能して、今日はバッツが作った料理が夕飯になった。
片付けはスコールが引き受けて、彼女がシンクを使っている間に、バッツが風呂に入る。

 湯舟の中でこの後の事を考えて、バッツは少し興奮していた。
血の巡りが良くなった熱が下半身で分かり易く主張して、抜こうかどうしようかと考えた末に、我慢した。
この後、彼女と目一杯に愛し合うのに、此処で一人消化させてしまうのは余りに勿体ない。


(アレをスコールが嫌がっても、別に、使わなきゃ良いだけのことだしな)


 準備した諸々のことを思い出しながら、バッツはそう思う。

 バッツ以外のもので感じる彼女のことを考えると、なんとも複雑な心地になるのは変わらなかったが、その道具を使うのはバッツだ。
バッツが彼女の体に触れるのと同じように、バッツの手で使うもので彼女が見せてくれる姿なら、見たい。
そんな結論に行き付いたから、バッツはあれを用意したのだ。
しかし結局の所、あれを使うかどうかは、存外とどちらでも良いことだった。

 入れ替わりにスコールが風呂に入っている間に、バッツはベッドメイクを整えて、押し入れに隠していたプラボックスを取り出した。
色々と取り揃えた物の中から、何を使うかは判らないが、やり方によっては他にも必要になるものがある。
バッツはコンドームを入れているチェストから、使い切りの個包装のローションを取り出した。


(電池が入ってるのは全部確認したし、ちゃんと動くし。こんなもんかな)


 よしよし、とバッツは再確認を終えて、枕の影にそれを隠す。
いきなり彼女の目に入って怖がらせないように、と言う配慮だった。

 後ろ髪の湿りをタオルで抑えながら、スコールが戻って来る。
ベッドに座っているバッツを見付けた彼女は、ほんのりと頬を赤らめながら、いそいそと隣へやって来た。
一週間ぶりの逢瀬であるから、彼女もバッツに甘えたいようで、おずおずと身を寄せて来る。
バッツは、可愛いなあ、と思いながら、スコールの肩を抱き寄せてキスをした。


「ん……」


 重ねた唇の奥から、小さく鼻にかかった吐息が漏れる。
ちゅ、ちゅう、と唇を吸われたスコールは、そうっと唇を開いてバッツを誘った。
バッツが舌を入れると、すぐにスコールの舌が絡みついてきて、ちゅくちゅくといやらしい音が鳴る。


「ん、んちゅ……っ、ん、ふ……っ」


 スコールの腕がバッツの首に回り、細い体がバッツの胸に密着する。
柔らかい胸の感触が当たって、バッツは堪らずスコールの背中を抱き込んだ。
しっかりとした腕の力に閉じ込められ、スコールの心臓がとくとくと逸る。


「ん、は……ん、むぅ……♡」


 絡み合う舌の上で、二人の唾液が混ざり合う。
バッツはスコールの舌の奥を、舌先であやすように擽った。
舌の根に近い位置を刺激されて、スコールの身体がびくっびくっと震える。


「んぁっ、んっ、んんっ……んんぁ……♡」


 スコールの首の後ろに、ぞくぞくとした官能が奔り始める。
愛しい男に体重を預けながら、スコールは膝を擦り合わせていた。

 キスをする時は恥ずかしくて必ず目を瞑るスコールだが、続けていくうちに酸素不足も相俟って、思考力は鈍って行く。
長い睫毛を携えた瞼が薄く開いた時、蒼灰色はとろんと蕩けていた。
砂糖をたっぷりと入れて煮詰めたように甘い熱を宿したそれを見て、バッツも頃合いだと悟る。

 離れることを嫌がる少女の舌を、ねっとりと舐めて、糸を引きながら解放する。
スコールは差し出すように濡れた舌を晒しながら、はあっ……、と悩まし気な吐息を漏らした。


「はふ……んん……、バッツ……」
「うん、判ってる。でも、その前にちょっとな」
「……?」


 ねだる声を、頭を撫でながら宥めるバッツに、スコールはことんと首を傾げる。

 バッツは枕を退けて、其処に隠していたものをスコールに見せた。


「これ、なんだか判る?」
「?」


 大きくはないプラスチックボックスは、よくある百円均一のロゴ入りのシールが貼られたままだ。
半透明だから中身は見えるのだが、なんだかごちゃごちゃとしていて、それが何なのかスコールには判らないらしい。
訝し気に眉根を寄せているスコールに、バッツはボックスの蓋を開けて見せた。

 其処には、スコールから見て、奇妙な形をしたアイテムが入っていた。
手のひらの収まる小さな卵サイズの丸いもの、細くて長い指揮棒のようなスティック、細長い楕円の形状に似た棒状のもの。
どれもが淡いピンクやライムグリーン、イエローと言ったポップなカラーリングをしているのは、これなら少しは怖くないかな、とバッツが意図して選んだものであった。

 スコールはそれらをまじまじと見つめ、


「………?」


 スコールの首がゆっくり横に傾いて、その表情は戸惑いを示している。
そろりと伸びた手が小さな卵型のものを捕まえて、蒼灰色の瞳が不思議そうにそれを覗き込む。
そんな少女の反応に、やっぱりそうかあ、とバッツは眉尻を下げて苦笑して言った。


「スコール。これ、オトナのオモチャ」
「……!?」


 端的にそれの正体を言葉にしたバッツに、スコールの手からぽろりと卵───ローターが零れ落ちる。
熱を燈していた頬に、明らかに種類が違う赤が浮かんで、綺麗な蒼がじろりとバッツを睨んだが、


「ほら、先週さ、ちょっと興味があるみたいなこと言ってたから」
「興味……は、別に……っ」


 真っ赤になって反射的にそう言ったスコールだったが、直ぐにそれは勢いを萎ませた。
確かに自分が話したことはまだ明確に記憶にあったし、気になっていたことではある。
あの時はセックスが始まって曖昧に流してしまったが、スコール自身、あれからも頭の隅にあったのは確かだった。

 何とも言えない表情で唇を噛むスコールに、バッツは続ける。


「使いたくないなら良いんだ。買って見たけど、おれも別に、どうしても使いたいってのでもないし」
「……そう、なのか」
「スコールが嫌がるんならいらないなって。おれ、こう言うのがなくても、スコールを気持ち良くしてあげられる自信あるし」
「…それは……あんたの所為だろ……」


 再び羞恥に顔を赤らめ、スコールは毒気を抜かれたように言いながら、もぞもぞと下肢を落ち着きなく身動ぎさせる。
スコールに何もかも教えたのはバッツなのだから、バッツの手で感じるのは当たり前だ。
───と、そんなことを思えば尚の事、スコールの下肢は濡れてしまう。

 それで、とバッツは改めてスコールの顔を見る。


「どうする?使ってみるか?」


 無理にとは言わない、とバッツは言った。
バッツはスコールを気持ち良くしてやりたいのだから、その為に道具が邪魔だと言うなら、これはお蔵入りになるだけだ。

 スコールはと言うと、うう、と唸るように唇を噛みながら、ボックスを見る。
ついさっき、取り落としてシーツの上に転がっている卵に、もう一度手を伸ばしてみる。
指先でそれをツンと突いてみるが、それはしんと黙ったままだった。
それからボックスの中に入っているものも盗み見るように覗いて、


「……なんか……」
「うん」
「……けっこう、シンプルなんだな……」
「あー。うん、まあ、そうだな」
「……もっとなんか……色々ついてるのかと思ってた」


 スコールの言葉に、色々ってなんだろう、とバッツは思ったが、聞くのはやめておいた。

 初心な少女が何を参考に、バッツの知らない所で性知識を探っているのかは判らないが、恐らく、女性向けの少々過激な漫画だとか、ハウツー本だとかだろう。
あとは、歴史の長い女子高と言うことで、バッツには楚々としたイメージがあるが、其処に籍を置いている当人曰く「女だってそう言う話はする」らしい。
クラスメイトの猥談混じりの会話は、その輪に加わらないスコールの耳にも入るようで、そう言う所からぽつぽつと気になる所が出て来ることはあるらしい。

 そんなスコールが思い描いていた、オトナのオモチャの仕様とは。
漫画の誇張表現を思えば、存外ととんでもないものだったりするのかも知れない。

 しかし、そのお陰なのだろうか。
バッツが取り揃えたオモチャを見るスコールは、心なしか安心した様子で道具を見詰めている。
シンプルな形と、ポップカラーでシリコン製の柔らかい感触のオモチャたちは、初心な少女を怖がらせない、と言う点ではどうやら正解だったようだ。

 スコールは指先で摘まみ持ったローターをバッツに見せて、


「……これ、えっと……ローター?」
「そうそう。このコードの繋がってるリモコンで、スイッチ入るの」
「スイッチ……」
「ちょっと押してみる?」


 バッツがリモコンを持って見せると、スコールは小さく頷いた。

 リモコンはオンオフの切り替えスイッチと、丸い回転式のボリュームコントローラーがついている。
バッツがスイッチをオンにすると、スコールの指先でローターが小刻みに震え出した。


「うわっ!」


 思わずスコールは声を上げて、ローターを手放す。
ローターはスコールの膝にこつんと跳ねて、シーツに落ちて震え続けた。


「あはは、びっくりしたか?一番弱い振動なんだけど」
「……」


 スコールは目を丸くしたまま、恐々とローターを見詰めている。
振動の感触が残る指を誤魔化すようにキャミソールの裾を摘まみながら、反対側の手でローターをつんとつついた。


「震えてる……」
「うん。これを、そうだなあ、胸とかお腹とかに当てたり。あと、まんこの中に入れたりもあるかな」
「入れ……」


 バッツの言葉に、スコールは顔を赤くして、太腿を寄せ合わせる。


「入るのか、こんなの……」
「大丈夫だと思うよ。ほら、おれのちんこより小さいじゃん?」
「……まあ……うん……」


 スコールはバッツのトランクスを履いた下肢を見遣って、消え入りそうな声で頷いた。
確かに、其処に収まっているもののサイズを思えば、小さなローターくらいなら特に問題はないだろう。

 もじもじと下肢を身動ぎさせているスコールは、また顔を赤くしている。
自分がそれを使ってどうなるのか、どう感じるのか、想像しているのだろうか。
瞳はボックスの中にまだ入っているものを見て、「……こっちは?」と細長いものを指差す。


「これは、細長いのは……」
「えーと、そっちはスティックローター。同じローターなんだけど、これは手に持って使い易いのと……先っぽが細くて小さくなってるから、ピンポイントに攻めれるんだ」
「ピンポイント……?」
「例えば乳首とか、クリとか」
「………」


 バッツの説明を聞いて、スコールがまた太腿を寄せ合わせた。
恥部を隠す仕草は、彼女の其処が濡れていることを無意識に示している。


「じゃあ、これは?ちょっと、太くて長いやつ……」
「それはバイブ。バイブって言うと色々あるんだけど、これは多分、一番シンプルな奴で、挿入して中で振動させることが出来るよ」
「これも震える……?ローターと何が違うんだ?」
「動き方と言うか、震え方と言うか───こっちの丸いローターと違って長さもあるし、入れた時に中全体が震える?のかな?おれは自分に使ったことはないから、感覚は判んないけど」
「……男がこれを入れる所なんてないだろ?」
「あはは。そうだな。それもそうだ」


 何を言っているのか、と訝し気に言うスコールに、バッツはへらりと笑って誤魔化した。
世の中には様々な性癖があって、セックスのプレイにもまだまだ色々とあるのだと言うことは、黙っていよう。

 バッツが用意したのは、この三つのグッズであった。
他にも、代表的な所ではディルドもあったのだが、あれは男性器の形をリアルに模しているものも多い。
なんとなく、スコールはそれに引いてしまうような気がしたし、バッツとしても、自分以外の性器が───偽物とは言え───恋人に入っている所は見る気がしなかった。
オモチャと分かり易いシルエットのものを選んだのは、それが理由でもある。


「大体こんなとこかな。どうする?どれか使ってみる?」
「………」
「嫌なら良いよ。無理しなくて良いからな」


 逃げ道を残しつつ、バッツはスコールの返事を待った。

 スコールはゆらゆらと瞳を彷徨わせながら、三つのアイテムを代わる代わるに見ている。
それからしばらくして、スコールは振動を止めていたピンクローターを摘まんだ。


「これ……」
「試してみるか?」
「……ん」


 スコールは小さく頷いて、ローターをバッツに差し出した。
あんたに任せる、と言うことだろう。
自分ではやり方が判らないと言うのもあるのだろうが、信頼されているようでバッツは嬉しくなった。

 他のアイテムはベッドの端に寄せて、バッツは改めてスコールの身体を抱き寄せる。


「じゃ、仕切り直しな」
「……ん」


 額にキスをするバッツを、スコールは大人しく受け止める。
バッツの胸に置かれたスコールの手は、僅かに緊張した様子で強張っているが、あやすキスの雨に次第に解けて言った。

 眦に、頬に、口端に。
首筋に、鎖骨に、と下りて行くバッツの唇に、スコールの身体はまたゆっくりと熱を燈していく。
キャミソールの裾からしっかりとした手が滑りこんできて、スコールの胸に重ねられた。
やわやわと乳房を揉まれ、スコールの心臓がとくとくと逸る。


「ん、バッツ……」
「うん。大丈夫」


 この後のことを考えて、俄かに浮かぶ少女の不安を、バッツは優しく囁いて宥めた。
スコールは甘えるようにバッツに身を寄せ、首に腕を絡めてぎゅうと抱き着く。
近くなったその距離に、バッツは目の前にあった唇を塞いでやった。


「ん……んむ、ふ……っ」


 咥内を嘗め回すバッツの舌に、スコールの肩がぴくっ、ぴくっ、と震える。
身動ぎする少女の膝が、そろりとバッツの足に絡んだ。

 バッツはキャミソールをたくし上げると、露わになった胸の蕾を柔く摘まむ。


「あっ……!」


 ビクッ、とスコールの身体が小さく弾んだ。
ふ、ふ、と鼻で呼気を漏らすスコールを見詰めながら、乳首の先端を指先でクリクリと捏ねてやった。


「ん、んっ……、ふ、ん……っ」


 じわじわとスコールの感度が上がって行き、乳首が固くなって行く。
バッツは色付いた乳輪の縁を、爪先でつつ……となぞった。
乳首の先端がツンと尖って、切なげに震えている。

 二人の体がベッドに横たわると、バッツはスコールの胸に顔を近付けた。
乳首の先に、ふぅっ、と息を吹きかける。


「んん……っ」


 温かくて擽ったい吐息の感触に、スコールの背筋が浮く。
バッツはスコールの背中とベッドの隙間に腕を入れて、しっかりと少女の体を捕まえた。

 それとは逆のバッツの手が、ローターを持ってスコールの胸へと寄せられる。
視界の端で捉えた露骨なピンク色に、スコールの身体が俄かに強張った。


「大丈夫だよ、スコール」


 バッツはそう言って、スコールの乳首に吸い付いた。


「んぁ……っ!」
「んちゅ……ん、ちゅう……っ!」
「あ、あ……っは……バッツ、ぅ……っ」


 バッツは乳首を吸いながら、乳輪の縁にローターを当てた。
振動スイッチが入っていないそれは、ただの卵型の無機物だ。
シリコン製なので冷たくはない筈、とバッツはスコールの胸の上でローターをゆっくりと滑らせる。


「う、ん……んぅ……」
「怖くない、怖くない。な?」
「うぅ……っふ、んく……っ」


 スコールにとっては、オモチャ自体が初めての感触だ。
初心で警戒心も強い少女をいたずらに怖がらせないよう、バッツは努めて慎重に、スコールの強張りを解く事を意識していた。

 乳首を吸い、舌で転がしながら、その縁をローターでなぞる。
スコールの身体は、緊張もあってか、神経が鋭敏になって感度を増していた。
ちゅう、ちゅ、とバッツが軽く吸う度に、ビクッ、ビクンッ、と細身の体が跳ねる。


「ふ……う、んぁ……っ!や、あん……っ」
「反対側も……」
「あ……っ!あ、バッツ、吸っちゃ……あ、あぁ……っ!」


 糸を引いて左の乳首が解放されたと思ったら、次は右だ。
バッツは此方も同じように、吸い付きと舌で愛でながら、ローターを宛がって柔肌を撫でて行く。

 少女の白い肢体が桜色に染まって行き、指の先まで熱が行き届く頃、宝石のようなブルーグレイはとろんと蕩けていた。
すっかり膨らんだ乳首に、バッツはローターをそっと当てる。
舌とは違う、シリコン独特の柔らかいが固い無機物の感触に、スコールの肩がぴくっと跳ねた。


「どう?スコール」
「ん、ん……わか、らない……ん、ぅ……」
「怖くはない?」
「……た、ぶん……」


 スコールの身体はまた緊張を帯びていたが、最初の時よりは緩んでいる。
バッツが殊更優しく、丁寧に触れてくれるから、大丈夫かも知れない、と言う気持ちも浮かんでいた。

 バッツは、いつも指先で爪弾くように、乳首に宛がったローターを小刻みに左右に振った。
角のない丸みのあるローターで、乳首がピンッピンッと弾かれる。


「んっ、あっ、あ……っ!」
「スコールの乳首、ぴんこ立ちしてるぞ。ドキドキしてるんだな」
「ふ、ぅ……あっ、だって、あ……っ!なんか、いつもと、違う……んっ、ぅ♡」


 くりっ、とローターが乳首を圧し潰すと、スコールの喉から甘い音が漏れた。
いい感じ、とバッツの口端に笑みが浮かぶ。


「スイッチ、入れてみる?」
「んん……っ」


 バッツの言葉に、スコールは薄目を開けて、胸の上で遊んでいるオトナのオモチャを見た。

 ピンク色の卵は、決してただ持って触って遊ぶ為だけのものではないのだ。
指先で感じた時に思わず驚いた、ローターの振動。
そんなものが胸に当たると言うのがどういうことなのか、スコールはまだよく判らなかったが、覆いかぶさる男の顔を見て、


「……バッツ……」
「やってみる?」
「……うん……」


 スコールは、バッツに身を委ねていた。
セックスの時はいつもそうしていて、バッツはその信頼に応えるように、スコールに気持ち良いことを教えてくれる。
だからきっと、今日も───とじゅわりと濡れる感触を自覚しながら、スコールは自身の行方をバッツに預ける。

 バッツがローターのスイッチを入れると、小さな卵が羽音を鳴らしながら震え始める。
途端にそれがただの丸い物体ではないことが実感として沸いたのか、スコールが小さく唾を飲む音が聞こえた。
バッツはそんなスコールの首筋にキスをしながら、


「ゆっくり、な」
「……ん、ぅ……」


 スコールに十分な心構えが出来るように促して、バッツはそうっとローターを彼女の胸元に近付ける。

 小ぶりな乳房の下のあたりから、バッツはローターを当てた。


「ふぅっ……!」


 皮膚がじぃんとした振動に擦れるのを感じて、びくっとスコールの身体が強張った。
いやいやと頭を振るスコールに、バッツは耳朶に唇を寄せてキスをする。
ちゅ、ちゅ、とわざと音を立てながら、触れては離れるバッツの唇の感触に、スコールは愛しい男の首に縋りながら耐える。


「ん、んんぅ……っ」
「ちょっとずつだから、大丈夫」
「バ、ッツ……ん、んん……っ!」


 ローターはスコールの胸の上をゆっくりと滑って行く。
振動点がじわじわと移動して、愛された蕾に近付いていた。

 乳輪の縁にローターが触れた瞬間、ビクンッ、とスコールの身体が竦む。


「んんんっ」


 喉奥に音を押し殺しながら、バッツの首に絡む腕に力が籠った。
スコールの目尻に滲む涙を、バッツの舌が舐め取る。


「大丈夫、気持ち良くしてあげる」
「ふ、ふぅ……あ、う……っ」
「息吐いてごらん。ほら、目開けて?」


 しがみついて息を詰め、堪えるように目を瞑っているスコール。
そんな彼女に、敢えて目を開くように促しながら、バッツは胸元からローターを遠ざけた。

 震える感触がなくなっても、スコールの身体はびくっびくっと小刻みに痙攣している。
緊張と不安で敏感になった神経は、空気が肌を撫でるだけで反応してしまう。
バッツはスコールの乳輪をローターでゆっくりとなぞりながら、そのすぐ傍で膨らんでいる乳首を食んだ。


「んぁ……っ!」


 生暖かい感触に敏感な乳首を包み込まれ、スコールは思わず声を上げる。
バッツはちゅうちゅうと乳首を吸いながら、乳輪の縁をローターで擽り続けた。


「は、あ、あぁ……っ!バッツ、ん、舌……あっ、やぁ……っ」
「んちゅぅ……ぢゅっ、んん……」
「は、は、はぁ……っ、バッツの、口、あ……っ、あった、かい……んんぅ……っ♡」


 舌先で乳首をちろちろと弄ばれ、スコールは喉を反らして喘ぐ。
バッツの唾液をたっぷりと塗した乳首から、伝い落ちた雫が乳輪を濡らす。
ローターでそれを掬い取りながら拡げて行く内に、スコールの声は段々と甘露を含ませていた。


「あ、あ……は、くぅ……んん……っ♡」
「ちゅぅ……っは……おっぱい、ビンビンになっちゃったな」
「やぁ……バカ……っ」


 バッツが吸いながら乳首を解放すると、其処はぷっくりと膨らみ、果実のように固くなっている。
ふぅっ、とバッツが息を吹きかければ、それだけでスコールの身体はビクンッと跳ねた。

 青灰色が熱に溺れて虚ろに天井を見上げている。
体は官能に染まって敏感になっているが、強張りは大分解けていた。
バッツはそんなスコールの乳首に、震えるローターをツンと当てる。


「んぁっ♡」


 小刻みな振動が、一瞬だけ、掠めるように乳首を虐めて遠退く。
ジィッ、と走った感触は一秒にも満たなかったが、その刺激で、スコールは下肢から蜜が溢れ出していた。


「あう……」
「痛かった?」
「ん……んん……」


 バッツの問いに、スコールは小さく首を横に振る。


「じゃあ、もう一回」
「あ……」


 一瞬の経験は、明確にスコールの体に痕を刻んだ。
またくる、と思った瞬間、スコールの鼓動はどくどくと早鐘を打ち、胸元に意識が集中する。
ブゥーン……というローターの振動音すら、それまでよりも酷くはっきりと聞こえる気がした。

 薄く開いた眼で、スコールは自分の胸にローターが近付くのを見ていた。
は、は、と喉から漏れる呼吸が逸るのは無意識だ。
バッツは、その気配を耳元に感じながら、スコールのツンと尖った乳首の先に、震えるローターを当てた。


「ああ……っ!あっ、あ、あうぅん……っ!」


 敏感な先端を襲う微細な振動刺激。
びりびりとした甘い痺れのようなものが、頂から胸全体へと広がって、スコールの脳髄まで伝わる。


「ああっ、ああぁ……っ!やぁ、ああぁっ♡」
「スコール、どう?乳首、どんな感じ?」


 ビクビクと躰を痙攣させて喘ぐスコールに、バッツは熱の籠った瞳で問う。
スコールは、はくはくと魚のように唇を戦慄かせながら、拙い舌を動かした。


「あ、あ……ふる、震えて……っ、乳首……っ♡な、に、これ、ああっ♡」
「ローターで乳首いじるの、気持ち良い?」
「は、あふっ、あぁっ♡わ、わかんな、い……んんんっ♡でも、あっ、む、胸、じんじんしてる、うぅんっ♡」
「じゃあ、反対側はどうかな」
「はっ、はっ、あぁあっ♡」


 バッツはスコールの左右の乳首を交互にローターで苛め始めた。
右、左、右、とバッツの気紛れで攻める場所を変えるローターに、スコールの喉から断続的に高い声が上がる。


「あっ、あっ、そっちは……や、ああっ、ひんんっ♡あ、あう、ああ……!はっ、そっちもだめ、あくっ、うぅうんっ♡」


 バッツがローターを当てては放すと繰り返す度、スコールは身を捩って逃げを打った。
しかし、背中に回されしっかりと抱き込むバッツの片腕が、その逃亡を阻止している。

 バッツはスコールの右の乳首をローターで攻めながら、左の乳首をぱくりと食べた。
ローターの振動で小刻みな攻めに喘いでいた所へ、ぬらぬらと艶めかしい舌にねっとりと舐め挙げられて、感触の違う快感にスコールの背筋が撓る。


「ああぁあっ♡」
「んちゅ、んれろっ。ん、んむぅっ」
「バッツ、ああ、舐めちゃ……今、今そこビリビリしてる、くふぅうっ♡やっ、噛んじゃや、はっ、あぁあ……舌が、ぬるぬるしてぇ……っ、ひぅっ、はぅううっ♡」


 肉厚の湿った舌にしゃぶられる乳首と、ローターの絶えない振動に刺激される乳首。
左右のそれぞれに与えられる快感で、スコールの身体は高みへと持ち上げられていく。


「バッツ、あ、バッツぅっ♡だめ、乳首、おっぱいだめぇっ♡来ちゃう、あ、あ、んんんっ♡」
「んちゅ、ん、いいよ。ほら、気持ち良い、だろ?」


 限界の感覚を悟って訴えるスコールに、バッツはにんまりと笑って、乳首にぐっとローターを押し付けた。
同時に反対側の乳首をぢゅるぅっと啜れば、少女の体の芯に強烈な官能が迸る。


「あぁんんんっ♡」


 スコールは甘く切ない悲鳴を上げて、全身をピンと張り詰めさせて絶頂した。
レースのついた下着の中で、蜜飛沫が噴いてクロッチに濃いシミが浮き上がる。

 絶頂の渦の中、ビクッ、ビクッ、と躰を震わせるスコール。
長く続く名残の中、あ、あ、と意味のない音を漏らすスコールに、バッツはそっとキスをして、


「イけたな、スコール。よく出来ました」
「ふ……あ……♡」


 耳元に囁かれたバッツの言葉に、スコールの胸の奥がとくんと弾む。
濡れそぼった秘部が、とろりと蕩けて準備を始めていた。

 バッツは震え続けているローターを、乳首からゆっくりと肌を滑らせながら下ろしていく。
官能の息吹を芽生えさせた少女の体は、皮膚を辿るオモチャひとつで、ビクッビクッと反応を示していた。


「あっ、あぁ……っ♡や、んぁ……震え、てるの……あっ、お、お腹……響く、ぅん……っ♡」
「おへそも気持ち良い?」
「ふ、はぅうう……っ!うう、ん、バッツぅ……っ♡」


 スコールのヘソの穴を、震えるローターが刺激する。
薄い腹の奥にある器官に振動が届いているような気がして、スコールの腹がひくんひくんと波打っていた。

 息を切らせながら喘ぐスコールに、バッツは可愛いなあと笑みを浮かべながら、ヘソからローターを離した。
じんじんとした感触に苛まれて身を捩るスコールに、バッツは指の腹で其処を撫でて宥める。
そうしてやると、益々彼女の体が熱に染まっていくと知りながら。


「あう……は、うぅん……っ♡」
「おまんこ、欲しい?」


 悩まし気な声を漏らすスコールに、バッツは言った。
スコールの濡れた瞳がバッツを見上げ、言葉なく訴える。

 バッツはそんなスコールの恥部に、ローターを宛がった。
びっしょりと湿ったショーツの上から、陰唇を小刻みな振動が襲う。


「ああっ、あああっ♡やっ、やっ、それ……っ、は、はなして、ああぁっ♡」
「スコールのおまんこ、ちゃんと感じれるみたいだな」
「はっ、はひっ、あぁ……!ふく、んっ、あぅぅ……!」


 スコールは太腿をぴったりと綴じて、陰唇を襲う振動を止めようとしている。
しかし、バッツの手でしっかりと筋の位置に宛がわれたローターは、幾らスコールが身を捩っても、腿をすりすりとすり合わせても、逃げて行ってはくれなかった。

 スコールのショーツはすっかり濡れて、薄布に隠している筈の肌色が透けて見えている。
バッツは其処にローターを強く押し付けて、手のひらで覆うように押さえた。
震えるローターが密着した淫部全体に振動を与え、スコールは下半身が強張りながら力を抜けるのを感じていた。


「だめ、だめ、バッツ、あああっ♡へ、ヘンになる、あっ、ああ!」
「今日は一段とびしょびしょだな。ずっと濡れてた?」
「はっ、はうっ、ひぅうぅっ♡んっ、そんな、こと、なひぃっ♡あっ、あっ、やぁあっ♡」


 恥ずかしさで真っ赤になりながら頭を振るスコールに、バッツは手のひらで淫部を抑える。
ローターの刺激がまた強くなったように感じて、スコールは甲高い声を上げ、


「ああぁっ、あっ、来るっ♡きちゃっ、あっ、あぁーーーーっ♡♡」


 ぷしゃあっ、とスコールは蜜を噴いて二度目の絶頂を迎える。
先の瞬間から大した間もなく訪れた官能の大波に、初心な少女の体は完全に飲み込まれていた。

 バッツがスコールの下肢から手を離して見ると、そこはもう大洪水になっていた。
今晩の為にキャミソールと合わせて誂えたのであろう、爽やかなデザインをした白の下着は、すっかり水分を含んで色が変わっている。
其処に押し付けていたローターがころりと転がり落ちたので、バッツはそのスイッチをようやく切った。

 くったりとベッドに沈んでいる少女の下肢から、バッツは下着を脱がしてやった。
守るものをなくした、艶やかに濡れた蜜口が、バッツの前に晒される。
ぽってりと膨らんだ恥丘の中心で、淫らな筋がひくんひくんと伸縮運動を繰り返していた。


「あ……あう……あ……っ♡」


 自身の全てが暴かれていることを、スコールも虚ろな意識の中で気付いていた。
秘すべき場所を、愛しい人に見つめられているのを感じているだけで、じゅわりと雫が溢れ出す。

 其処に誘われるままに、熱棒をねじ込むのも良かったが、今夜のバッツはもう少し気分が乗っていた。


「な、スコール」
「ふぁ……」


 覆いかぶさって囁くように名を呼ぶ恋人に、スコールがふるりと肩を震わせながら目を開ける。
褐色の瞳が、随分と近い距離で、スコールを見つめながら言った。


「オモチャ、中にも入れてみても良い?」
「う……?」
「この中に、さ」


 つぅ、とバッツの指がスコールの膣裂を辿る。
ひくん、とスコールの腰が戦慄いて、欲しがるように肉壺がバッツの指先に縋るが、バッツはそれ以上のことはしなかった。


「此処にオモチャ入れられるって言っただろ?」
「う、ん……」
「入れて、スコールが感じてる所、もっと見たいなあって思ってさ」


 そう言ったバッツの瞳は、爛々と耀いている。
其処には、子供のような好奇心と、雄の欲暴とが入り混じっていて、見つめるスコールの子宮の奥を切なく疼かせた。

 スコールは疼く腹を抱くように、自身の手で熱の塊のある場所を摩りながら、


「……バッツが……したい、なら……良い……」


 バッツが望むなら。
バッツが見たいのなら。
それが自分の恥ずかしい有様を見せつけることだと判っていても、スコールは彼が望むのなら応えたかった。

 そんなスコールの言葉に、バッツは笑みを浮かべて、彼女の唇にキスをする。


「ありがと、スコール」
「んぅ……」


 愛しい人から口付けを貰って、スコールはほうっと胸を撫で下ろしつつ、


「でも、その……ちょっと……」
「ん?なに?」


 口籠るスコールに、バッツは「良いよ、言って」と言った。
自分の我儘を聞いてくれるのだから、その為にやって欲しいことがあるなら、バッツは勿論応じるつもりだ。

 スコールは顔を赤らめながら、ぽそぽそと小さな声で言う。


「さっきの、ローターは……やだ……なんか、取れなくなりそうだから……」
「あ〜……コードついてるけど、うん、全部入れちゃうとそうだな。それなら、こっちかな」


 スコールの訴えを聞いて、バッツはベッドの端に手を伸ばす。
掴んだのは、シンプルな形をした、細長い楕円の形に似た形状をしたバイブだ。
ライムグリーンの色をしたその根元には、スイッチボタンがついた持ち手がある。


「これなら、全部入れるってこともないし。此処持っていられるから、抜く時もすぐ抜けると思うよ」
「……じゃあ、そっち」
「ん、判った。ちょっと待ってな」


 バッツはオモチャを収めていたボックスをもう一度探って、小さな包みを取り出す。
封を切ると、中からとろりとした透明な液体が出てきて、バッツはそれをバイブに塗り垂らした。

 何してるんだろう、と青の瞳が不思議そうに見つめる。
バッツは、バイブに塗した液体を塗り広げながら、


「これ、ローションだよ」
「……ぬるぬるしてる」
「そう。おれのより細いから大丈夫だとは思うけど、ちゃんと滑るようにしとかないとな」


 スコールの膣は、彼女自身の愛液ですっかり濡れているが、バッツ以外を受け入れたことはない。
彼女の恐怖心や、無意識の体の拒否反応も考えられるし、負担はかからないようにしなければ。
その為にも、とバッツは丹念にローションをバイブに塗した。

 可愛くも見えたシンプルな形状をしたバイブだが、ローションで濡れると、ぬらぬらといやらしい光を放って見える。
これでよし、とバッツは準備に満足し、


「スコール。嫌だったらすぐ言って良いからな」
「……ん」


 自分の我儘を叶えてくれるスコールに、それでも無理はしなくて良いことは重ねて伝える。
スコールは小さく頷いて、顔を赤らめながら、そろそろと足を開いた。

 蜜に濡れてしっとりと濡れたスコールの太腿に、バッツはバイブを添わせる。
ぬるぬるとしたものが太腿を濡らしながら、足の付け根へと上って行くのを、スコールは薄く開いた眼で見つめていた。

 バッツは空いている手でスコールの中心部に触れた。
ぴちゃ、と水音を立てるその口を指で摩り、つぷりと指先を挿入させる。


「んっ……」
「うん、よく濡れてる」


 二度も絶頂を迎えて、蜜も噴いたスコールだ。
其処はぐっしょりと濡れそぼり、バッツの指先にヒクつきながら吸い付いている。
指先を小刻みに動かせば、くちゅくちゅと音がして、スコールの腰がビクッ、ビクン、と戦慄いた。


「んっ、あっ……バ、ッツ……んっ♡」
「中の方も、良いかな……」


 バッツの指がゆっくりと奥へと進んで行く。
今日初めての中への刺激に、スコールの濡れた太腿が官能に震えていた。

 バッツは指先で円を描くようにゆっくりと動かし、スコールの膣内の具合を確かめる。
指に吸い付く内壁の感触は、きゅうきゅうと吸い付いて離れないが、きつすぎてもいない。
絶頂の余韻は随分引いて、今は体の強張りも緩んでいた。

 これなら、とバッツはスコールの足の付け根で遊ばせていたバイブを、彼女の中心へと移動させる。
ローションのぬめりが、指を咥えたスコールの陰唇を滑ると、


「ふぁ……♡」


 淫筋を舐めるように辿る感触に、スコールの背筋にぞくぞくとしたものが走る。
内肉が切なげにバッツの指を締め付け、此処から先を期待しているかのような反応を見せた。

 指が陰唇から抜けると、スコールの濡れた瞳が、茫洋と熱を抱いてバッツを見つめる。
小さな唇の隙間から、はぁっ、と悩ましい声が漏れた。
バッツはその唇を自身のそれで塞ぎながら、手に持っていたものを、ゆっくりとスコールの秘部に挿入させる。


「んんぅ……っ!」


 体で覚えていた感触とも違う異物感が、スコールの身体を襲う。
思い出したように体が緊張して、膣の中が狭く閉じる。
口付けの中で息苦しそうにくぐもった声を漏らすスコールに、バッツは下唇を舐めてあやした。


「んちゅ……ん、れろ……っ」
「ん、んは……っ、あ、むぅ……っ!」


 スコールが呼吸できるように、バッツは唇の間をつんつんと舌先で突いた。
恋人が言わんとしている事に気付いたスコールが、肩を震わせながら唇を開く。
バッツの舌がその隙間に入り込み、咥内の奥で縮こまっている舌をしゃぶりながら誘い出した。


「んぁ……っ♡っは、ん……はぁ……っ♡」


 バッツの舌遣いに宥められながら、スコールははふっ、はふっ、と拙い呼気を始めた。
下腹部の違和感は相変わらずだが、気持ちが落ち着いて来ると、段々と恐怖心は薄れて来る。
代わりに、じんじんとした感覚が秘奥から生まれていた。


「ん、あ……バッツ……あ、あ……っ♡」
「もうちょっと、奥まで行こうな」
「あ、あぁ、ん……!」


 ぬぷぷ、とバイブがスコールの膣内を潜って行く。
バッツは、バイブの持ち手に伝わる抵抗感から、スコールの身体が徐々に開いていることを感じていた。

 バイブはローションの滑りに援けられて、半分ほどがスコールの中に納まった。
シリコン製の挿入部は、プラスチックや金属に比べれば柔らかみがあるが、人の肉体に比べればやはり硬質だ。
それはスコールにとって、初めて感じるものだった。


「ん、ん……なん、か……ちがう……バッツ、と……」
「うん。やっぱり道具だからな。苦しくない?痛くない?」
「はふ……はあ……大丈、夫……多分……」


 スコールは悩まし気に眉根を寄せているが、苦悶の表情はなかった。
よしよし、とバッツも安堵して、バイブの持ち手を握り直すと、優しくそれを前後に動かし始めた。


「あ、ん、あ……っ!バッツ、あっ、擦れ、てる……ぅ、んっ♡」
「まずこの辺からな。気持ち良かったら、感じて良いよ」
「ふ、ふぅ、んん……っ!」


 バイブはスコールの膣内を擦りながら、ことに優しい動きで彼女の官能を高めていく。
ローションとスコール自身の愛蜜のお陰で、バイブはスムーズな注挿を繰り返している。
ぬぷ、にゅぷ、と緩やかな前後運動で秘内を弄る玩具に、スコールの呼吸は再び上がり始めていた。


「ん、ん……、バッツ……、ん……っ!」
「うん?」
「っは、も、もっと……お、奥……が、いい……かも……」


 バイブは長細い形をしていたが、バッツはそれの挿入部分の半分程度しか入れていない。
それで届くのは、いつも刺激を貰っている場所と比べると、随分と浅い場所しかなかった。
それはバッツが、初めてオモチャに触れるスコールの負担を慮ってのことだったが、


「もっと奥?」
「ん、んぅ……っ」


 確かめに問うバッツに、スコールは顔を赤くしながら小さく頷いた。
自分がはしたないことをねだっている気がしたのだろう、スコールは耐えきれない様子で両手で顔を隠す。
淫らな体の反応に比べて、初々しい少女のその仕草に、バッツは興奮が昂るのを感じながら、バイブを更に奥へと侵入させる。


「あんぅぅ♡」


 異物感と圧迫感が深くなって、スコールの身体が撓りを見せる。

 バッツはバイブをゆっくりと、先よりも大きなストロークで、抽挿を始める。
ぬぷ、にゅぷぅ、ぬぷぷ……と奥まで来たら、今度は入り口近くまで抜けていくバイブ。
そしてまた深くへと挿入される張り型に、スコールの声も蕩けて行く。


「あ、あぁ……っんぁ、ああん……!バ、ッツぅ……っ♡」
「初めてで、こんなに中まで入れちゃって。スコールのおまんこがヌレヌレだから、よく滑るんだな」
「ふ、ふぅ……あ、くぅうん……っ♡んん、ああ……っ!おまん、こ……あぁ……っ♡じんじん、するぅ……ふぅうっ♡」
「奥なら、スコールが好きなのは……この辺かな」
「は、あうぅっ♡」


 バッツが手首の角度を変えると、バイブが内壁に当たる位置が変わった。
奥園の天井のあたり、いつも彼女が感じ入って蜜を噴く場所を捉えると、スコールの口から甘い悲鳴が上がる。


「あ、バッツ、そこ……っ!」
「ほら、コンコンしてあげような」
「あっ、あっ、あぁっ♡や、んぁっ、あぁっ♡」


 バイブの先端が、スコールの敏感なポイントを捉え、コツコツとノックする。
肉棒とは違う、明らかに固い感触が壁を叩く度に、スコールは声を漏らさずにはいられなかった。


「はっ、はぅっ、ひんっ♡ひぅっ♡」
「スコールの感じてる顔、可愛いな。こうやってゆっくり見たことって、あんまりなかったかも」


 奥壺から響くように伝わる快感に、スコールは涙を浮かべながら感じ入っている。
バッツはその様子をまじまじと見つめながら、バイブでスコールの弱い場所をぐりっと抉る。
ビクンッ、とスコールの腰が跳ねるように弾んで、ぷしっ、と噴いた飛沫が防水シーツにシミを散らせた。


「あっ、あぅっ、バッツ、ひぁっ♡」
「オモチャ、気に入った?スコール」
「や、んぁ、中ぁ……あっ、かき、まわしちゃ……あっ、あぁ♡」
「まんこがバイブのことぎゅーってして離さないぞ」
「ふ、ふぅ、うぅんっ♡あ、やあ、バッツぅ……っ!そんな、の、見ないで……ぁうぅ♡」


 大きく開いた足の間をまじまじと覗き込む男に、スコールはいやいやと赤い顔を左右に振る。
いじらしいそんな反応も、バッツがくぅっとバイブを奥へと押し付ければ、甘い悲鳴にとって代わった。


「ああぁあっ♡」
「それでさ、スコール。これさ、バイブだって言っただろ?」
「はっ、はうっ、ふぅっ……♡んんっ♡」


 バッツはスコールの首筋に吸い付きながら、バイブの手持ち部分を探る。
其処には、そのオモチャの名前の通り、その真価を発揮する為のスイッチがついている。

 そのスイッチが、かちり、と小さな音を立てた直後、スコールの膣内でヴヴヴヴッと言う振動が始まった。


「ひあうぅぅぅっ♡♡」


 奥壁の弱点を捉えた状態でバイブが震え出したものだから、スコールは目を白黒させた。
バイブの先端が擦れ、其処をノックするだけで感じていたのに、小刻みな振動が全身で媚肉を震わせる。
人の体では絶対に出来ない動きは、初心な少女の人生で初めて味わう快感刺激であった。


「ああっ、ああっ、あーっ♡あぁーーーっ♡♡」


 スコールの背中が大きく仰け反り、ビクビクビクッ、と痙攣する。
挿入時はローションが摩擦感を随分と和らげてくれていたが、それは振動に対しては無意味だった。
オモチャの先端を押し付けられた媚肉が、その振動で快感神経を揺さぶられる。


「ひぁ、ああ、ああぁぁっ♡バッツ、んぁっ、これ、なにぃっ♡ああぁぁっ♡」
「バイブだよ。ローターと一緒、震えるって言っただろ?」
「言った、けどぉ……あぁっ、あっぁあっ!ろ、ーたーと、ちが、ふぅぅっ♡」
「ローターは小さいから。モーターもこれより弱いんだろな、きっと」


 戸惑いと混乱と、それを上塗りするほどの快感と。
スコールが喘ぎながら絶え絶えに訴える言葉に、バッツはいつもと変わらない調子の声で答えていく。
その傍ら、彼の右手はスコールの恥部に咥え込まれたバイブを抜き差ししていた。


「ああっ、あっ、ひぁうっ!バッツ、バッツぅっ♡んぁ、おまんこ、あっ、だめ、震えてるのぉっ♡お、おなかに、ああっ、ひびいてるぅうっ♡」
「スコールのおまんこ、どんどんエッチなおつゆ出て来るぞ」
「んぁ、イく、イっちゃうぅっ♡こんな、のぉっ!漏れちゃ、出ちゃうぅうぅっ♡」
「良いよ、大丈夫。いつも通り、いっぱいイこう」


 縋るものを求めて伸ばされるスコールの腕を、バッツは掴み引き寄せた。
スコールは目尻に大粒の涙を浮かべながら、信頼できる───けれど自分をいじめているのも同じだ───男にしがみつき、湧き上がる切迫感にその身を打ち上げた。


「イくぅっ♡おまんこっ、バイブで、イくぅぅんぅぅぅっ♡♡」


 ビクンッ、ビクンッ、とのたうつように身を捩りながら、スコールは足を大きく開かせて、蜜の雨を噴き散らした。
その間も、バイブはスコールの膣奥を突き、止まない振動で幼気な少女の体を攻め続ける。


「ひぅうっ、あうぅうんっ♡うっ、くひぅぅううっ♡」


 きゅうきゅうと締め付ける肉壺の中で、バイブは震え続ける。
果てばかりの体には、あまりにも甘い拷問であった。


「バッツ、バッツぅうっ♡だめ、もう、あぁああ♡」
「スコール、感じてる時って、そんな顔してたんだなぁ」
「はぁっ、ああっ、あぁああんっ!とめて、とめてぇえ……!おまんこおかしくなるぅう……っ!あひぃいんっ♡」
「スコール、感じてるとエッチな顔してるなって思ってたけど。入れてるとおれも結構いっぱいいっぱいだからなぁ」
「はひ、ひぃ、ひぃいいんっ♡バッツ、バッツってばぁあ……っ!」


 バイブの与える快感刺激に、泣きながら溺れているスコールを、バッツはまじまじと観察している。
その顔は涙と涎でぐしょぐしょに濡れて、普段の冷たくも見える眦の強さもすっかり緩んでいた。
セックスの度にバッツはそれを間近で見ているのだが、彼女の胎内にいると、その心地良さでバッツも余裕を失くしてしまう。
それが、オモチャを使っていればじっくりと観察できるのだと知って、バッツは密かに、これもアリかもなぁ、と思っていた。

 と、バッツの方は乱れ喘ぐ恋人の姿を愛で楽しんでいるが、スコールの方にそんな余裕はない。
初めてのオモチャで与えられる快感は、彼女の想像を超えていた。
漫画で見た描写なんて大袈裟になっているものだと、バッツはそう言っていたのに。


「あ、あぁっ、出ちゃうぅっ♡また、あぁああっ♡」


 スコールは体を大きく仰け反らせ、ベッドシーツから腰を浮かせながら潮を噴いた。
彼女の下肢はお漏らしをしたようにびしょびしょになっている。
下肢はすっかり潮吹きのスイッチが入って、昇って来る衝動をどんなに堪えようとしても、オモチャで秘奥を掻き回されると容易く蜜を溢れさせた。

 ───それほど上り詰めやすくなっているのに、スコールの身体は、蜜噴きを示す都度に切なさが増していた。


「バッツ、バッツぅぅっ♡もうっ、もういやぁっ♡これだめぇえっ♡」


 スコールは立てた膝をがくがくと震わせながら、体を仕切りにくねらせて訴えた。


「バイブっ、もうっ、もうちがうのぉ……ッ!これじゃないぃい……っ!バッツぅ、バッツぅうっ♡バッツがいいぃっ♡」


 大粒の涙を浮かべ、スコールは悲愴に染まった声でバッツの名を呼ぶ。
その声が真に迫っているのを聞き取って、バッツは振動するバイブをスコールの膣から抜き取った。


「はぅうんっ♡」


 奥深くに突き入れられていたバイブが、にゅるんっ、と抜けて幾感触に、スコールの身体が撓る。
乱暴なほどの激しい快感に翻弄されていた体が、開放される瞬間にビクンッと大きく跳ねた。