[レオスコ]銀色の契り
あまりホワイトデーっぽくはないですが、バレンタインの[甘い香りと銀色と]の続きに当たります。
一ヶ月前のバレンタインの日、スコールは兄の為にチョコレートケーキを焼いた。
生まれて初めて作ったガトーショコラは、思いの外良い出来で、兄も嬉しそうに食べてくれた。
小さな12センチのホールケーキは、四日をかけて消費され、食べる度にレオンがコーヒーを淹れてくれた。
豆から選んだレオンのコーヒーは、甘いガトーショコラの上手さを引き立てる、抜群のバランスだ。
そして、レオンからスコールへと贈られたシルバーリングは、大事に大事に机の引き出しに仕舞ってある。
つけてくれれば良いのに、とレオンにさりげなくねだられたが、うっかり傷を付けたり、落として失くしてしまうのが嫌で、どうしても身に着ける気にはならなかった。
それから一ヶ月が経ち、俗にバレンタインのお返しをする日とされるホワイトデーがやって来た。
これまた世間の勝手な俗説であるが、バレンタインのお返しは、三倍返しが基本だと言う。
しかし、バレンタイン限定で販売されたシルバーアクセサリーに対し、三倍の価値のあるもので返せと言われたら、スコールは破綻してしまう。
レオンがスコールにとプレゼントしたリングは、社会人であり、其処で地位を築いているレオンだから渡せたものであって、スコール自身では絶対に手が届かない代物だったのだ。
アルバイトをしても、桁が一つ二つ違う物なので、これに見合う物など、学生のスコールが見付けられる筈もなかった。
それでも、出来れば何か返したい、と言う思いから、スコールは今朝、出勤前の兄を呼び止め、「バレンタインのお返しは何をすればいい?」と訊ねた。
バレンタインは、こっそりガトーショコラを作って兄を驚かせると言うサプライズ───結局、ケーキが焼き上がる前に兄が帰って来たので、成功したかは半々と言った所か───をしたスコールだったが、今回はそれは諦めた。
バレンタインのように、チョコレートと言った代表的なものがこれと言って思い付かなかったし、当日が平日と言う事もあり、前回のように準備をする時間もなかった。
兄を驚かせる事は出来ないが、率直に、彼が欲しいと思うもの、喜んでくれる事をしようと思ったのだ。
そしてレオンからの返事は、
「じゃあ、今夜は一緒に食事に行くか」
────と言うものだった。
普段、レオンとスコールの食事は、専らスコールが料理をしている。
レオンの帰りが遅い事もあって、日常的な家事一般の殆どは、スコールが担っているのだ。
そんな生活の中、外食を促されると言うのは、スコールにとっては準備と片付けの手間が要らない為、嬉しい事ではある。
が、それでは“レオンの為のお返し”ではなくなってしまうのではないか、とスコールは思った。
しかし、レオンの本当の“して欲しい事”はその先にあった。
……その言葉を聞いた後、スコールはしばらくの間、玄関前で立ち尽くしていた。
行ってきます、と兄が玄関を出てからも、五分程はフリーズしていたように思う。
遅刻しないようにと毎日鳴るようにセットしていたアラームのお陰で我に返ると、慌ただしく自分の支度を整えて出たので、学校には遅刻せずに済んだ。
しかし、その日一日、スコールの頭の中には、兄の言葉がこびり付き、勉強にはまるで手がつかなかった。
夕方になって家に帰ると、スコールは直ぐに自分の部屋に入った。
鞄をベッドに投げて、机の引き出しを開け、小さな黒いボックスを手に取る。
そっと蓋を開ければ、傷一つも埃一つもない、真新しいままのシルバーリングが収められている。
(……これを……)
今朝の兄の言葉が、頭の中で蘇る。
今日、学校にいる間、何度も何度も繰り返し再生していた言葉だった。
レオンはスコールに、食事に行く際、このシルバーリングを身に着けて欲しいと言った。
傷をつけるのが嫌で、身に着ける事を躊躇っていたスコールだったが、兄にねだられる事は吝かではない。
だから今までにも、家の中で何も作業をしない時、少しの間だけ嵌めていた事はあった。
それを見付けると、レオンが嬉しそうに笑ってくれるからだ。
その後、どうにも恥ずかしさと浮つく自分に耐えられなくて、二時間もうするとボックスの中に戻してしまうのだが。
だから、決して嫌ではないのだ。
外で落として失くしたくないと言う気持ちはあるが、リングはちゃんとスコールの指のサイズに合っていて、そう簡単には抜け落ちたりしない。
それでも余り身に着けようとしないのは、大事にしたい余りに過保護にしてしまっている所為だ。
それに一時目を瞑り、兄を喜ばせる為、リングをボックスから取り出すのは、一向に構わない。
─────構わない、けれども。
(……指……)
普段スコールは、シルバーリングを身に着ける時、邪魔にならない左手に嵌めている。
指の位置は特に定めてはおらず、デザインや微妙なサイズのフィット感から、適当に選んでいた。
どの指に嵌めるかで意味があるだとか、ジンクスやらと謂れはあるようだが、スコールはその手の話には興味がない。
ないが、“其処”に指輪がある事にどんな意味があるのかは、判っている。
ちらりと部屋の時計を見ると、直に短針と長針が一直線になろうとしている。
いつもならもう少し早く帰って来るのだが、試験結果が思わしくなかったクラスメイト達の補習終わりを待って帰宅したらこの時間だった。
クラスメイト達が待っている間にも、兄の言った言葉について考えていたのだが、気持ちの進展は全くなく、ただただ考え待ち続けていただけであった。
その傍ら、巡らせ続けていた思考が、本当は大した意味を持っていなかった事も、自覚している。
(……別に……嫌な訳じゃない)
取り出した指輪をじっと見詰め、スコールはきらきらと光る反射に射抜かれる双眸を細めた。
徐に左手を広げて、右手に持ったリングを中指へと通す。
リングは細いスコールの指をするりと潜り、付け根の手前で止まる。
そのまま手を握り開きと繰り返してみるが、特に邪魔立てするような感触もなく、上手く収まっているように見える。
指に通したままのリングを、右手の親指と人差し指で摘まみ、左右に回すように動かすと、指の付け根に摩擦の抵抗感が伝わった。
(……此処でも良いんだろうな。別に。多分何処でも)
中指でも良いし、人差し指でも良い。
親指は流石にサイズが違うので嵌らないだろうが、可能であれば、其処でも良いのだろう。
だから、素知らぬ振りをして、このまま中指につけていても良いし、いっその事右手でも構わないに違いない。
ひょっとしたら、チェーンを通してネックレスにしても良いのかも知れない。
大事にしすぎて身に着ける事を躊躇う指輪を、スコールが身に付けているだけで、きっとレオンは満足してくれる。
だが、彼の喜ぶ顔が見れるのは、それは一等良いものであって欲しい。
そんな気持ちを抱きながら、スコールは中指に通した指輪を抜き、隣の指へと通した─────その時だ。
「ただいま、スコール」
「!!」
がちゃっとドアを開ける音と共に聞こえた声に、スコールは思わず肩を跳ねさせた。
丸く鳴ったままの目で振り返ると、驚いた顔の弟に、きょとんと不思議そうに首を傾げる兄が立っている。
「レ、レオン……」
「ああ。どうした、そんなに驚いた顔をして」
「あ……は、早かったから」
スコールは身体の向きをレオンに対させると共に、左手を背中に隠しながら言った。
時計を見ると、いつの間にか長針が頂上を僅かに過ぎている。
ぐるぐると考え込んでいる内に、時間が経ってしまったようだ。
それでも、平時のレオンの帰宅時間を思えば、遥かに早い訳だが、その理由は明らかだ。
「今日は外に食べに行くからな。余り遅くなったら、お前も腹が減るだろう」
「……別に……」
「そうか?でも、食べる所は予約してしまったからな。この時間には帰っておきたかったんだ」
「予約……じゃあ、直ぐに出るのか?」
「そうだな……今から出れば、丁度良い時間には着くと思う」
「着替えるからちょっと待ってくれ」
「ああ。俺も直ぐに着替えて来るよ」
そう言って、レオンはスコールの部屋を後にした。
レオンが店を予約したと聞いて、一瞬、ドレスコードが必要になるような高級店を思い浮かべたスコールだったが、仕事で使うのならともかく、弟と食事に行くだけなのにそんな場所は選ぶまい。
服について指定がある様子もないし、レオンも着替えるようなので、特に気取る必要はないのだろう。
制服を脱いで、カジュアルながら落ち着いた色味の服を選ぶ。
何処に連れて行かれるのか判らないが、静かでのんびり食事が出来る所であれば良いと思う。
その辺りは、レオンも同じ趣向なので、恐らく心配しなくて良いだろう。
一通りの身支度が済んだ後、スコールはふと、左手に嵌めたままの指輪を思い出した。
(……これは……)
レオンが帰って来た時、勢いで嵌めたままになった指輪。
嵌められた指を見て、一気に顔が赤くなり、過剰に意識している自分が酷く恥ずかしく思えた。
こんな思いをする位なら、とリングを抜こうと右手の指をかけた所で、スコールの動きが止まる。
今朝、玄関先で聞いたレオンの言葉が蘇る。
その時、蒼灰色の瞳が、とても柔らかく優しく、ほんのりと熱を孕んでいた事を思い出した。
スコールは自室を出て間もなく、レオンも部屋を出て来た。
タクシーを呼んであるから、と言う兄に、スコールは契りの指に嵌めた指輪を背中に隠したまま、頷いた。
ホワイトデーでレオスコ!
あんまりホワイトデーっぽくない気もしますが。バレンタインで貰った物を身に付けて、と言う事で。
スコールは隠してますが、どうせバレてるんだよ。部屋に入った時からレオンは気付いてるんだよ。恥ずかしそうに隠すのが可愛いので、言わずに見てるレオンでした。
一ヶ月前のバレンタインの日、スコールは兄の為にチョコレートケーキを焼いた。
生まれて初めて作ったガトーショコラは、思いの外良い出来で、兄も嬉しそうに食べてくれた。
小さな12センチのホールケーキは、四日をかけて消費され、食べる度にレオンがコーヒーを淹れてくれた。
豆から選んだレオンのコーヒーは、甘いガトーショコラの上手さを引き立てる、抜群のバランスだ。
そして、レオンからスコールへと贈られたシルバーリングは、大事に大事に机の引き出しに仕舞ってある。
つけてくれれば良いのに、とレオンにさりげなくねだられたが、うっかり傷を付けたり、落として失くしてしまうのが嫌で、どうしても身に着ける気にはならなかった。
それから一ヶ月が経ち、俗にバレンタインのお返しをする日とされるホワイトデーがやって来た。
これまた世間の勝手な俗説であるが、バレンタインのお返しは、三倍返しが基本だと言う。
しかし、バレンタイン限定で販売されたシルバーアクセサリーに対し、三倍の価値のあるもので返せと言われたら、スコールは破綻してしまう。
レオンがスコールにとプレゼントしたリングは、社会人であり、其処で地位を築いているレオンだから渡せたものであって、スコール自身では絶対に手が届かない代物だったのだ。
アルバイトをしても、桁が一つ二つ違う物なので、これに見合う物など、学生のスコールが見付けられる筈もなかった。
それでも、出来れば何か返したい、と言う思いから、スコールは今朝、出勤前の兄を呼び止め、「バレンタインのお返しは何をすればいい?」と訊ねた。
バレンタインは、こっそりガトーショコラを作って兄を驚かせると言うサプライズ───結局、ケーキが焼き上がる前に兄が帰って来たので、成功したかは半々と言った所か───をしたスコールだったが、今回はそれは諦めた。
バレンタインのように、チョコレートと言った代表的なものがこれと言って思い付かなかったし、当日が平日と言う事もあり、前回のように準備をする時間もなかった。
兄を驚かせる事は出来ないが、率直に、彼が欲しいと思うもの、喜んでくれる事をしようと思ったのだ。
そしてレオンからの返事は、
「じゃあ、今夜は一緒に食事に行くか」
────と言うものだった。
普段、レオンとスコールの食事は、専らスコールが料理をしている。
レオンの帰りが遅い事もあって、日常的な家事一般の殆どは、スコールが担っているのだ。
そんな生活の中、外食を促されると言うのは、スコールにとっては準備と片付けの手間が要らない為、嬉しい事ではある。
が、それでは“レオンの為のお返し”ではなくなってしまうのではないか、とスコールは思った。
しかし、レオンの本当の“して欲しい事”はその先にあった。
……その言葉を聞いた後、スコールはしばらくの間、玄関前で立ち尽くしていた。
行ってきます、と兄が玄関を出てからも、五分程はフリーズしていたように思う。
遅刻しないようにと毎日鳴るようにセットしていたアラームのお陰で我に返ると、慌ただしく自分の支度を整えて出たので、学校には遅刻せずに済んだ。
しかし、その日一日、スコールの頭の中には、兄の言葉がこびり付き、勉強にはまるで手がつかなかった。
夕方になって家に帰ると、スコールは直ぐに自分の部屋に入った。
鞄をベッドに投げて、机の引き出しを開け、小さな黒いボックスを手に取る。
そっと蓋を開ければ、傷一つも埃一つもない、真新しいままのシルバーリングが収められている。
(……これを……)
今朝の兄の言葉が、頭の中で蘇る。
今日、学校にいる間、何度も何度も繰り返し再生していた言葉だった。
レオンはスコールに、食事に行く際、このシルバーリングを身に着けて欲しいと言った。
傷をつけるのが嫌で、身に着ける事を躊躇っていたスコールだったが、兄にねだられる事は吝かではない。
だから今までにも、家の中で何も作業をしない時、少しの間だけ嵌めていた事はあった。
それを見付けると、レオンが嬉しそうに笑ってくれるからだ。
その後、どうにも恥ずかしさと浮つく自分に耐えられなくて、二時間もうするとボックスの中に戻してしまうのだが。
だから、決して嫌ではないのだ。
外で落として失くしたくないと言う気持ちはあるが、リングはちゃんとスコールの指のサイズに合っていて、そう簡単には抜け落ちたりしない。
それでも余り身に着けようとしないのは、大事にしたい余りに過保護にしてしまっている所為だ。
それに一時目を瞑り、兄を喜ばせる為、リングをボックスから取り出すのは、一向に構わない。
─────構わない、けれども。
(……指……)
普段スコールは、シルバーリングを身に着ける時、邪魔にならない左手に嵌めている。
指の位置は特に定めてはおらず、デザインや微妙なサイズのフィット感から、適当に選んでいた。
どの指に嵌めるかで意味があるだとか、ジンクスやらと謂れはあるようだが、スコールはその手の話には興味がない。
ないが、“其処”に指輪がある事にどんな意味があるのかは、判っている。
ちらりと部屋の時計を見ると、直に短針と長針が一直線になろうとしている。
いつもならもう少し早く帰って来るのだが、試験結果が思わしくなかったクラスメイト達の補習終わりを待って帰宅したらこの時間だった。
クラスメイト達が待っている間にも、兄の言った言葉について考えていたのだが、気持ちの進展は全くなく、ただただ考え待ち続けていただけであった。
その傍ら、巡らせ続けていた思考が、本当は大した意味を持っていなかった事も、自覚している。
(……別に……嫌な訳じゃない)
取り出した指輪をじっと見詰め、スコールはきらきらと光る反射に射抜かれる双眸を細めた。
徐に左手を広げて、右手に持ったリングを中指へと通す。
リングは細いスコールの指をするりと潜り、付け根の手前で止まる。
そのまま手を握り開きと繰り返してみるが、特に邪魔立てするような感触もなく、上手く収まっているように見える。
指に通したままのリングを、右手の親指と人差し指で摘まみ、左右に回すように動かすと、指の付け根に摩擦の抵抗感が伝わった。
(……此処でも良いんだろうな。別に。多分何処でも)
中指でも良いし、人差し指でも良い。
親指は流石にサイズが違うので嵌らないだろうが、可能であれば、其処でも良いのだろう。
だから、素知らぬ振りをして、このまま中指につけていても良いし、いっその事右手でも構わないに違いない。
ひょっとしたら、チェーンを通してネックレスにしても良いのかも知れない。
大事にしすぎて身に着ける事を躊躇う指輪を、スコールが身に付けているだけで、きっとレオンは満足してくれる。
だが、彼の喜ぶ顔が見れるのは、それは一等良いものであって欲しい。
そんな気持ちを抱きながら、スコールは中指に通した指輪を抜き、隣の指へと通した─────その時だ。
「ただいま、スコール」
「!!」
がちゃっとドアを開ける音と共に聞こえた声に、スコールは思わず肩を跳ねさせた。
丸く鳴ったままの目で振り返ると、驚いた顔の弟に、きょとんと不思議そうに首を傾げる兄が立っている。
「レ、レオン……」
「ああ。どうした、そんなに驚いた顔をして」
「あ……は、早かったから」
スコールは身体の向きをレオンに対させると共に、左手を背中に隠しながら言った。
時計を見ると、いつの間にか長針が頂上を僅かに過ぎている。
ぐるぐると考え込んでいる内に、時間が経ってしまったようだ。
それでも、平時のレオンの帰宅時間を思えば、遥かに早い訳だが、その理由は明らかだ。
「今日は外に食べに行くからな。余り遅くなったら、お前も腹が減るだろう」
「……別に……」
「そうか?でも、食べる所は予約してしまったからな。この時間には帰っておきたかったんだ」
「予約……じゃあ、直ぐに出るのか?」
「そうだな……今から出れば、丁度良い時間には着くと思う」
「着替えるからちょっと待ってくれ」
「ああ。俺も直ぐに着替えて来るよ」
そう言って、レオンはスコールの部屋を後にした。
レオンが店を予約したと聞いて、一瞬、ドレスコードが必要になるような高級店を思い浮かべたスコールだったが、仕事で使うのならともかく、弟と食事に行くだけなのにそんな場所は選ぶまい。
服について指定がある様子もないし、レオンも着替えるようなので、特に気取る必要はないのだろう。
制服を脱いで、カジュアルながら落ち着いた色味の服を選ぶ。
何処に連れて行かれるのか判らないが、静かでのんびり食事が出来る所であれば良いと思う。
その辺りは、レオンも同じ趣向なので、恐らく心配しなくて良いだろう。
一通りの身支度が済んだ後、スコールはふと、左手に嵌めたままの指輪を思い出した。
(……これは……)
レオンが帰って来た時、勢いで嵌めたままになった指輪。
嵌められた指を見て、一気に顔が赤くなり、過剰に意識している自分が酷く恥ずかしく思えた。
こんな思いをする位なら、とリングを抜こうと右手の指をかけた所で、スコールの動きが止まる。
今朝、玄関先で聞いたレオンの言葉が蘇る。
その時、蒼灰色の瞳が、とても柔らかく優しく、ほんのりと熱を孕んでいた事を思い出した。
スコールは自室を出て間もなく、レオンも部屋を出て来た。
タクシーを呼んであるから、と言う兄に、スコールは契りの指に嵌めた指輪を背中に隠したまま、頷いた。
ホワイトデーでレオスコ!
あんまりホワイトデーっぽくない気もしますが。バレンタインで貰った物を身に付けて、と言う事で。
スコールは隠してますが、どうせバレてるんだよ。部屋に入った時からレオンは気付いてるんだよ。恥ずかしそうに隠すのが可愛いので、言わずに見てるレオンでした。