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2017年07月

[カイスコ]黄金に揺蕩う

  • 2017/07/14 23:44
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歪の中で遭遇したのは、魔法を得意とするイミテーションの群れだった。
スコールとカインと言う構成で、この群れに遭遇したのは痛い所だったが、幸い、歪が生まれて間もなかったのか、イミテーションのレベルは高くない。
手痛い攻撃を食らう前に一気に肉薄し、詠唱の為に動きが鈍るものを先手を打って屠って行く。

その最中、少女がごく短い詠唱の後、スコールに向かってスリプルを放った。
しまった、と思った瞬間には既に効果は現れ始め、スコールの足元がぐらりと揺れる。
好奇と他の魔法使い達が攻撃の詠唱に入った瞬間、スコールはぎりっと奥歯を噛んで強く踏み込み、それまでを遥かに上回る速度で敵を殲滅し始めた。
睡眠魔法は厄介なもので、浸透してしまうと、完全に意識が途切れてしまう。
効果が完全に体を犯してしまう前に、敵を殲滅し切れなければ、スコールの命はない。

気迫で意識を繋ぎ、途切れそうになる意識は己の咆哮で奮い立たせる。
正しく獅子奮迅たるその姿に、心を持たない筈の模造すら怯んだように見える程であった。

そして、最後の一体となった皇帝に向かって走り出そうとした瞬間、


「……っ!」


ぐわん、と頭の芯が揺さぶられ、一瞬スコールの意識がブラックアウトした。
重心の崩れた体を右足を出して支えるが、その僅かな隙こそが命取りである。
魔法を完成させた皇帝が、本人と寸分変わらない高慢な笑みを浮かべ、魔法陣を浮かび上がらせる。

その頭部を鋭利な槍が突き刺し、縦一直線に皇帝の体が割り砕ける。
紫色の結晶を巻き散らして粉々になっていく皇帝の断末魔は、長く続かないまま、闇の世界の彼方へと消えた。

スコールが顔を上げた時、皇帝がいた場所には、槍を携えた男が立っていた。


「これで終わりだな」
「……ああ」


血を払うように槍を振るったカインの言葉に、ふらつく頭に手を当てて顔を顰めながら、スコールは辺りを見回しつつ頷いた。
睡魔の所為で頭の芯がぼやけている所為で、視界まで霞んで見える。
それでも、辺りに新手の気配が見当たらない事だけは確かめる事が出来た。

歪の解放が済んだのであれば、いつまでも内部にいる必要はない。
出るぞ、と言うカインの後を追う形で、スコールも歪を脱出した。

何処か重くまとわりつくような気配を持つ闇の世界を脱出すると、辺りは夕暮れに包まれていた。
歪があったのは切り立った崖の上で、その向こうには柱のように伸びた細い山岳が連なっている。
丁度、柱の群れ真っ赤な太陽が沈もうとしていた。
突き刺すような眩しさで目を射抜かれて、スコールは目を細めたが、瞼を下ろすとまた睡魔がやって来る。
こんな所で、頭を振って睡魔を追い出そうと試みるが、


(……駄目だ。眠い。……くそ)


口の中で悪態を零して、スコールは霞む意識を誤魔化そうと、奥歯を噛み締めた。
戦闘中からそんな事を繰り返しているので、歯がぎしぎしと嫌がっている気がする。

────ふ、と太陽を前にしていたスコールの視界に、影が落ちる。
光を遮ったのは、カインの体だった。
それを見上げる余裕もなく歯を噛んでいるスコールの肩が掴まれ、軽い力で引き寄せられる。
強い眠気で抗う力を持たない体は、容易く固い鎧の胸へと寄り掛かった。


「辛いのなら、少し眠れ」


スコールが戦闘中に催眠魔法をかけられたのを、カインは見ていた。
此処にセシルがいれば彼がエスナで回復させる事が出来たのだろうが、ない物強請りをしても仕方がない。
それからはスコールが倒れるようなら、即座に助太刀に向かえる距離で戦い、折々に様子を伺った。
だからスコールが、決して短くはない間、気力だけで意識を繋ぎ止めていた事も、気付いている。

戦士達の魔法に対する耐性と言うのは様々で、魔法への得手不得手だけでもかなり差が出る。
更には、魔法が不得手なものの中でも、決して小さくはない差があった。
その違いが何処から生まれるのか考察してみると、元の世界の影響と言うべきか、出身の世界でどれだけ魔法が普及しているかと言う点が大きな違いとなっていた。
スコールはその法則が完全に当て嵌まっており、彼の世界では魔法は“魔女”のみが持ち得る特殊な力であり、スコールが扱えるのはそれを科学的に解析した“疑似魔法”のみとなっている。
“疑似魔法”の威力は本物の魔法に比べれば取るに足らないもので、比例して使用者の魔法の耐性も───魔法が有り触れている世界の者に比べると───各段に劣る。
特に精神分野へ影響を及ぼす魔法の効果は顕著に出た。
スコールはジャンクションと言う方法で耐性力を底上げしているが、元々の数値の差と言うべきか、やはり全体的に見るとスコールの魔法耐性力は低い。

そんなスコールが、レベルが低いとは言え、少女のスリプルを食らってからも戦い続けていたと言うのは、大したものである。
しかし、食らった魔法の中和力も弱い為、時間経過で睡魔が散る事もなかった。
最後の最後でスコールの意識が一瞬途切れたのは、その所為だ。
戦闘を終えた今でも睡魔が消えないのも、理由は同じだろう。

だから、眠れ、とカインは促した。
スコールは固い鎧に寄り掛かったまま、苦い表情を浮かべる。


「……こんな所で眠れるか」


傍らには、解放したとは言え、歪がある。
歪に入る前に蹴散らしたが、この辺りは魔物の気配も少なくはなかった。
とても眠れるような場所じゃない、と反論するスコールに、カインはふむ、と頷き、


「確かにそうだな。なら、移動するか」
「!」


そう言うなり、カインはスコールの腰に腕を回し、ひょいっと持ち上げた。
足元が僅かに地面から浮くのを感じて、スコールは目を丸くする────その間に、更に強い浮遊感が襲った。
スコールを腕に抱き寄せたまま、カインが大きくジャンプしたのだ。


(近い、と言うか高い……っ!)
「暴れてくれるなよ。落とし兼ねんからな」


言われずとも、とスコールは浮遊感に足掻きたくなる体を宥めて大人しくする。

竜騎士として鍛えられたカインのジャンプは、常人のそれよりも遥かに高い高度まで瞬時に到達する。
経験によって培われた視野と勘で、着地ポイントに寸分狂わずに降り立ち、また其処から予備動作なしで飛び立つ。
高いジャンプ力の為に鍛え抜かれた下半身を主に、全身に渡って無駄のない筋肉に覆われているので、重い鎧を着ている状態でも、この技が衰える事はない。
長身の割に細身であるスコールを抱えても尚、カインのジャンプ力は平時と全く見劣りしなかった。

主に戦闘中、獲物を明確に捉える為に習得された技術だが、これは移動にも役立っていた。
頂点に達した一瞬の浮遊感から落下へ、着地したと思ったらまたジャンプ。
それを繰り返した末に、カインが最後に着地したのは、歪のあった場所から数百メートル離れた場所に立っていた、岩の柱の上だった。


「此処なら、イミテーションも来ないだろう。少しは安全だ」
「……場所が安全とは思えないけどな」


腰を抱いていた腕が離れ、ふらつきそうになる足元を今しばらく耐えながら、スコールは辺りを見回して言った。

遠目に見ていた岩の柱は、柱と称する通り、かなりの高さがある。
足場に出来る場所は十メートル程度の広さがあるので、ジタンやバッツのようなアクティブな寝相の者でも、先ず転がり落ちる事はないが、端に柵のようなものがある訳でもない。
際でうっかり足を滑らせようものなら、数百メートル下の地面まで落ちるしかない。

だが、そんな環境であるからこそ、安全と言えば安全だろう。
イミテーションはおろか、魔物の気配もないし、混沌の戦士の襲撃については絶対とは言い切れないが、こんな僻地にわざわざ出向く酔狂は早々いない筈だ。

しばらく周囲を見回していたスコールだったが、ゆらゆらと頭の芯が揺れるのを感じて、眉根を寄せる。
スリプルの魔法がいよいよ浸透して来たのか、安全地帯に来たとあって気が抜けたのか、睡魔を堪えるのが辛い。


「……少しだけ寝る」
「ああ。見張りは俺がやるから、気にせず休め」
「……悪い」
「構わんさ。お前も道中で歩きながら寝落ちたくはないだろう」
「……ん」


眠ろうと決めたからか、また瞼が重くなる。
スコールは落ち着けそうな場所を探し、一つ大きな岩を日陰にして地面に横になった。

蹲って間もなく、土を踏む音が近付いて来る。
薄らと瞼を開けて視線だけを巡らせると、同じ岩陰の中で、特徴的な兜の形が見えた。
いつも槍を握る皮の厚い指が、スコールの頬に触れる。
それはほんの一瞬、掠めるような触れ方だけで、直ぐに離れて行った。

背にした岩にカインが腰を下ろす、兜がゆっくりと外される。
橙を帯びた金糸が風に揺れる光景を見詰めながら、スコールはゆっくりと眠りの淵へと落ちて行った。





スコール片腕に抱えて平然とジャンプするカインが浮かんだので。

甘さとはなんぞやと思うような微妙な距離感のカイスコが好きです。
ふとした時に触れて、気が済んだら離れて、お互いそれ位が気が楽。

タイトルの読みは「こがねに揺蕩う」です。

[クラレオ]雨の翳にて

  • 2017/07/08 22:10
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玄関のドアをノックする音が聞こえて、レオンは横たえていた体を起こした。
そろそろ眠ろうかと言う、間の悪いノック音に眉間の皺が寄ったが、この家を訪れる者は限られている。
シドかユフィか、いずれにしても緊急事態の可能性は否めず、確認しない訳にもいかないだろう。

そんな気持ちで玄関のドアを開けたレオンは、其処に立っていた人物を見て、眉間の皺を増やした。
金色の髪がすっかり濡れて萎れているのを見て、序に溜息も吐いてやる。


「……泊めてくれ」
「……タオルを持って来るから、少し待て」


申し出の是非には答えず、レオンはそう言って踵を返した。
濡れ鼠で現れたクラウドは、それだけでほっとしたように息を吐く。

今日のレディアントガーデンは、朝から大雨に見舞われていた。
復興作業なんてとても出来たものではなく、それよりも治水が駄目にならないかと冷や冷やした一日となり、レオンはシドと共に、街の水路や橋、川周辺の防波堤の見回りが中心となった。
城周辺の谷底では濁流が起きていたが、幸い、街の方までその影響が及ぶ事はなく、どこそこの川が氾濫したと言う報告もない。
雨雲も夜には通り過ぎると言うので、一先ず安心して家に帰ったのが、今から二時間ほど前の事。
簡素に作った夕飯を終え、雨の中で冷えた体を風呂で温め、疲労を残さない為にも早い就寝に入ろうとした所で、クラウドがやって来た───と言うのが、レオンの今日一日の流れであった。

洗面所からバスタオルを取り出して、レオンは玄関へ向かう。
先と変わらないスタイルで立ち尽くしていたクラウドにタオルを差し出せば、「悪いな」と言って、クラウドはタオルを受け取った。


「他のワールドから戻ったらいきなり降られた。散々だ」
「仕方ないだろう、今日はずっと降っているんだ」
「この辺り一帯か?」
「恐らくな。朝までには止むそうだが、さて……」


クラウドの向こうに見える景色は、まだ雨は止みそうにない。
降らなければ水不足になるが、こうまでしつこく降られると、中々に面倒である。

幸いなのは、これ程の激しい雨になると、ハートレスの活動が著しく鈍くなると言う事だろうか。
あれらが濡れる事を忌避するとは思えないが、しかし外を出歩く人もいない───つまりはあれらが標的とする“心”もないので、街がやや平和である事は強ち間違いではなかった。
その分、雨上がりには治水の問題と並んで、ハートレスの被害が増える事もあるので、明日のパトロールは強化する必要があるだろう。

クラウドがタオルで大方の水気を拭いたのを見て、レオンは家の中へと戻った。
直ぐに後を追ってクラウドが入る。


「風呂の栓はもう抜いたから、シャワーしかないぞ」
「十分だ。借りるぞ」
「服は洗濯機に入れておけ。まとめて洗って、明日乾かす」
「ああ。……着替え、貸して貰って良いか」
「……持ってきておく」


勝手知ったるとクラウドはさっさと風呂場へと向かい、レオンは下着とシャツ、ズボンがあれば十分だろうと、それだけを脱衣所へ持って行き、また寝室へと戻った。

風呂場からシャワーの音が聞こえていたのは、五分にもならなかった。
風邪を引いたらどうする、とは言わない。
小さな子供ではないのだし、十分だと思ったからクラウドもそれで終わりにしたのだろう。
万が一、明日になって彼が風邪を引いても、面倒は見ない、とレオンは決めている。

散った眠気が再来するのを待つ為、本を読んでいたレオンだったが、その視界に陰が落ちた。
影の持ち主を見るまでもなく察して、見辛い、とレオンは影から逃げるように背を向ける。
と、その背中に、のしっ、と重みが乗った。


「おい、邪魔だ」
「連れないな」
「お前と違って暇じゃないからな」
「本を読んでいるだけだろう。あんたのそれは、暇潰しじゃないか」


構えとばかりにまとわりついてくる男に、レオンは溜息を吐いて見せる。
言外に、面倒な、と告げている態度であったが、クラウドは構わずに、レオンの項に鼻先を寄せる。
匂いを嗅ぐクラウドの鼻息が微妙にくすぐったかったが、レオンは好きにさせていた。


「……そう言えば、珍しく窓から入って来なかったな」
「ずぶ濡れになったからな。蹴り出されると思って」
「まあ、間違いなくそうするだろうな。と言うか、そもそも窓から入って来るな」
「楽なんだ」


良いだろう、と言うクラウドに、良くない、とレオンは肩口から覗く男の顔を睨む。
しかし、クラウドは意に介した様子もなく、レオンの眦に唇を寄せる。

覆い被さっているクラウドの手が、レオンの体を撫でるように滑っている。
匂わせる行為の気配に、レオンは腕でクラウドの体を押し退けた。


「おい、レオン」
「明日も忙しいんだ。疲れる事はしない」
「一回だけ」
「お前のその手の台詞は信用できない」


雨の中を巡回パトロールした今日一日だけでも、レオンは相当疲れていた。
先の眠気で微睡んでいた時も、目を閉じれば五分となく眠ってしまえそうな程だったのだ。
男の生理的な欲求については、レオンも溜まっていない訳ではなかったが、抜かなければ眠れない程の興奮がある訳でもなかったし、明日の為にも余計な消耗は避けたい。
そんな事をしている暇があるなら、さっさと眠り、十分な睡眠時間が欲しかった。

それでもしつこく絡み付いて来るクラウドを、レオンは遂にベッドから蹴り出した。
転がり落ちた男が恨めし気な目を向けてきたが、構わずに布団を手繰り寄せて包まる。


「あまりしつこいと、本当に追い出すぞ」
「……それは勘弁だ」


窓の外は、激しさの増した雨が降っている。
気温の低下は今の所は感じられないが、土砂降りの外界に放り出されるのは、気分の良いものではあるまい。
どうせ過ごすのならば、雨は屋根に、風は壁に遮られている室内が良いに決まっている。

クラウドは渋々と言った様子で、自分の寝床になるソファへと移動した。
布団の代わりにクッションを腹の上に乗せて、体が冷えないように試みる。

ふあ、とレオンの口から欠伸が漏れた。
そろそろ眠れそうか、とレオンは開いていた本を閉じ、寝室の電気を消そうと思ったが、その前にふと思い出し、


「クラウド。お前、明日は此処にいるのか」
「一応、そのつもりだ」
「それなら、明日はハートレス退治を手伝え。雨でセキュリティシステムが何処か不具合を起こしているかも知れないから、人手がいる」


セキュリティシステムの多くは、建物の外に設置されている為、防水対策は施してある。
とは言え、ハートレスの悪戯でセキュリティシステムが破損する事は珍しくなく、破損個所から塵や雨水が入って内部破損まで至る事も多かった。
特にハートレスの数が増え易い場所のシステムは頻繁に不具合が起こり、修復が済むまでは、人の手でハートレスを処理しなければならない。
だが、同じ場所だけの感けていられる事も出来ない為、必然的に人手が欲しくなる。
このタイミングでクラウドが帰って来たのは、レオンにとって幸いであった。

クラウドはソファに寝転がったまま、別に構わないが、と前置きし、


「労働に対する報酬はあるのか?」
「………」


いつもなら口にしない、対価を求める言葉に、レオンは目を細めた。

レイディアントガーデンは、レオンやシドにとっては勿論、クラウドにとっても故郷である。
故郷なのだから復興の為に無償で奉仕しろ、とはレオンも言わない。
復興委員会の主要メンバーは、設立に至るまでの経緯も含め、自主的に街の復興を望んで行動しているが、それでも全てがボランティア精神で片付くものではない事は判っている。
人と言うものは、ある程度の見返りや利益がないと、労働に対する意欲も失われて行くものであった。

今のクラウドが、対価として求めているもの。
考えるまでもなく、先の遣り取りを覚えてみれば、容易に思い至るものがある。
その裏付けのように、碧眼には雄の気配が滲んでいた。

────はあ、とレオンは露骨に大きな溜息を吐く。


「明日の夜なら良い」
「判った」
「晩飯の後にしろよ」
「あんたが作るのか」
「他に誰がいる?それとも、シドに作って貰うか?」


嘗て故郷を失ってから、レオンやエアリスが成人するまで男手一つで子供達を育てただけあって、シドはそこそこ料理が出来る。
彼の作った豪快な鍋の味は、クラウドも覚えていた。
意外と美味いんだよな、と記憶を辿りつつ、


「いや、あんたの作った飯が良い」


その方が邪魔も入らない、と言うクラウド。
隠さない欲求を読み取って、レオンはもう一度溜息を吐いて、部屋の電気を消した。

閉め切ったカーテンの向こうでは、まだ雨の音が続いている。
このまま雨が止まず、明日も一日振り続けた場合、この約束は持ち越しとなるのだろうか。
そんな事を考えながら、レオンは手招きする睡魔に身を任せて、目を閉じた。





7月8日と言う事で、クラウド×レオン。
クラウドに対して遠慮をしないけど、妙な所で甘いレオンとか。好きです。

[クラスコ]雨音の夢

  • 2017/07/08 22:01
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毎週の土日は、恋人であるスコールの家に行くのが、クラウドの習慣だった。
スコールは高校生であり、クラウドはアルバイトをしながらの大学生生活で、平日は中々会う暇がない。
メールや電話の遣り取りは───基本的に寡黙な性質である二人の事を鑑みれば───頻繁に行ってはいるものの、やはり好いた相手の顔を見て話したいと思う事は多々ある。
だからこそクラウドは、本来なら給金も大きくなる土日にアルバイトを入れず、意識して逢瀬の時間を作るように努めていた。

金曜日の夜、クラウドは必ずスコールにメールを送る。
『明日行っても良いか』と問うメールに対し、スコールは『良い』とシンプルな返答。
文面だけを見れば酷く素っ気無いと言う者もいるが、彼がその二文字を打つ時、真っ赤になっているのは想像に難くなかった。

そして土曜日の朝、天気は生憎の雨であったが、クラウドは気にせずにアパートを出た。
幸い、雨脚はそれ程強くはなく、あまり速度を出さずに走れば、雨合羽で凌げる程度だ。
とは言え、今の時期の天候は崩れ易いものだから、雨粒が大きくならない内にと、いつもは通らない裏道を通って近道し、スコールの住むマンション前へと到着する。
バイクを止め、メールで『着いたぞ』と送ってみるも、返信はなし。
クラウドは特に気にせず、マンションの中へと入り、エレベーターへと乗り込んだ。

7階で止まったエレベーターを降り、少し通路を進んだ先に、目当ての扉がある。
インターフォンを鳴らすと、少しの間を置いた後、携帯電話のメールが着信音を鳴らした。


『開いてる』


それだけの内容を見て、クラウドは無防備な、と呆れた。
同時に、背中で降り頻る雨が少し激しさを増したのを見て、無理もないか、と思い直す。

ドアノブを捻ると、抵抗なく扉は開いた。
お邪魔しますと形式の挨拶を述べて、後ろ手で閉めたドアの鍵をかける。
家主の出迎えはなく、少しそれが寂しかったが、止むを得ない事も判っていた。
靴を脱いでリビングを通り過ぎ、奥にある扉をノックをしてから開ける。


「邪魔するぞ、スコール。大丈夫か?」


扉を開けながら声をかけるも、やはり返事はない。
物が少ない寝室の中、一角を占拠するベッドを見れば、其処に寝転んでいる恋人の姿があった。

肩にかけていた鞄を下ろして、クラウドはベッドへ近付く。
気配と音、声を聞いて、スコールは閉じていた目をゆっくりと開けた。
ぼんやりとした蒼灰色の瞳がクラウドを見付け、少し安堵したように眦が柔らかく綻ぶ。


「……クラウド……」
「頭痛か?」
「………ん」


ベッドの傍に膝をつき、顔を近付けて確かめるクラウドに、スコールは小さく頷いた。

スコールは昔から気圧の変化に弱い。
気圧が低い時は、頭痛や腹痛、目眩に見舞われる事が多く、酷い時には吐き気もあって、動く事も億劫になるのだと言う。
これが平日であれば、学校を休む訳には行かないと、薬の助けを借りながら登校するのだが、今日は土曜日だ。
クラウドが来ると判っているのだから、薬を飲んで誤魔化す手もあったが、恐らく、対策を取る前に頭痛に見舞われたのだろう。
そして完全に動けなくなる前に、玄関の施錠だけを外して、ベッドに沈んだに違いない。

眉間に皺を寄せ、うんざりとした様子のスコール。
クラウドはそんなスコールの頬にかかった髪を避け、常より僅かに青白く見える頬を撫でた。


「薬、持って来ようか」
「……う……でも、飯、食ってない……」
「ああ、何か食べてからの方が良いんだったか。何かあるか?ないなら買ってくるぞ」
「………」


クラウドの質問に、スコールは冷蔵庫の中身を思い出そうとするが、思うように思考が回らない。
うう、と唸る声を零すスコールに、クラウドは濃茶色の髪をぽんぽんと撫でて、腰を上げた。

恋人関係となってから、スコールの家には何度も来ている。
勝手知ったる恋人の家と、クラウドはキッチンに向かい、冷蔵庫の蓋を開けた。
食に関心の薄いスコールの家の冷蔵庫は、その大きさに反してあまり物が入っていないのだが、幸い、今日はゼリーがあった。
普段は滅多にそんなものを食べないのに、冷蔵庫の一角を占拠するように敷き詰められていたので、恐らく昨日の天気予報を見て、動けなくなった時の為にと学校帰りに買い貯めしていたのだろう。

シンクの水切りラックにデザートスプーンがあったので、それとゼリーを並べて置いておく。
薬は何処だったか、と食器棚を探ると、薬置き場があった。
風邪薬やら胃腸薬やらと、色々と詰め込まれているのを見て、どれだ、とクラウドは眉根を寄せる。
生憎、薬に世話になる事は少ないので、処方箋も市販薬も詳しくないので、何がどの症状を緩和させるものなのか、全く判らない。
仕方なくクラウドは、薬入れになっている箱ごと持って行く事にした。

寝室に戻ると、スコールが起き上がっていた。


「起きて大丈夫か?」
「…あんまり……でも、食わないと……」
「ゼリーを持ってきた。薬は、どれか判らないから全部持ってきてしまったが…」
「ん……助かる……」
「ああ、水がいるな」


ゼリーとスプーンをスコールに渡し、薬はベッドの端に置いて、クラウドはもう一度キッチンへ向かう。
グラスに水を入れてまた戻ると、スコールはゼリーの蓋を開けてちびちびと食べていた。
食事をする以前に、きっと起き上がっているのも辛いのだろう。
体質で仕方がないとは言え、辛いよな、とゆっくりと食事を進める恋人を眺めながら思う。

なんとかゼリーを食べ切って、スコールは薬を飲んだ。
本来なら対策として、症状が出る前に飲むのが推奨されているものであるから、直ぐに効果が出るような即効性はなく、気怠そうな表情は変わらない。
ベッド端に座り、痛む頭を誤魔化すように蟀谷を摩るスコール。
クラウドはその隣に座って、スコールの体を抱き寄せた。
ぽすん、とスコールの頭がクラウドの肩に乗せられると、いつもは真っ赤になって恥ずかしがる事も忘れ、蒼は視界の端で揺れる金色を見付けると、ほっとしたように体の力を抜く。


「今日はゆっくりするか」
「……あんた、行きたい所があるって言ってた……」
「あるにはあるが、どうせ雨だ。逃げるものじゃないし、今度にしよう」


体調不良の恋人を連れ回す等、クラウドには出来ない。
それよりも今日は、スコールをゆっくり休ませる事が先決だ。

クラウドの言葉に、スコールは少し申し訳ない顔をした。
折角の逢瀬の日なのに、と思っているのだろうが、クラウドはこんな日も悪くはないと思っている。
スコールには辛いだろうが、こんな時のスコールは、いつもの恥ずかしがり屋が形を潜め、生来の甘えん坊が顔を出すので、とても素直で愛らしい。
こう言う時でもなければ、甘やかさせて貰えないので、クラウドは偶の雨の日は嫌いではなかった。


「横になった方が良いか?」
「……ん」


頷くスコールを、クラウドはゆっくりと横たえた。
スコールももぞもぞと身動ぎして、ベッドの中央に身を沈める。

クラウドはスコールの体にタオルケットをかけてやると、食事の跡を片付けようとベッドを離れる────が、くん、とシャツの端を引っ張られた。
振り返れば、ベッドに寝転んだまま、細い腕だけを伸ばしてクラウドを引き留めているスコールがいる。
服に引っ掛かった指先には大した力は入っていなかったが、それだけに、その指先に込められた言葉にない気持ちが伝わる気がした。

クラウドは服に引っ掛かれた腕を取って、ベッドへと下ろしてやる。
僅かに寂しそうな表情を浮かべるスコールの頭を撫でて、ベッドに上がり、スコールの隣へと寝転がる。


「……クラウド……」


ほっとしたように、スコールの頬が緩む。
その頬をそっと撫でながら、唇を重ねると、蒼の瞳が柔らかく細められた。

降り続く雨は、今日は止む事はないだろう。
スコールを苛むそれに、若干の恨みはありつつも、こうして彼が身を委ねてくれるから、嫌いにはなれない。
とは言え、長く降り続くのも望まないので、今夜には上がってくれる事を願いつつ、クラウドは愛しい恋人を腕の檻へと閉じ込めた。





7月8日と言う事で、クラスコの日。
体調不良のスコールを甘やかすクラウドが浮かんだので、そのまま書いてみた。

[レオン&子スコ]色彩の願い

  • 2017/07/07 22:00
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紺色の短冊に滑る、黄色のクレヨン。
この組み合わせだと、黄色の星が綺麗になるんだと、幼い弟は嬉しそうに言った。

行きつけの大型スーパーには、生鮮食品は勿論の事、家電製品や日用品も売られている。
店舗の中央に位置する場所には吹き抜け構造のイベントスペースが設けられており、週毎に様々な行事にあやかったイベントが催されていた。
7月に入ってからは、7日の七夕に向けた企画商品が並べられ、七夕由来の縁起物から、それとは全く無関係ながらパッケージが七夕向けに設えられたものが売れていた。
レオンも毎日の買い物でそれを横目に見ており、幼い弟スコールが喜びそうなものはないか、と探していた。

レオンが購入したのは、小さな笹飾りと、5枚の短冊がセットになっている商品だ。
笹飾りは高さが50センチもない細やかなもので、マンション暮らしの玄関やベランダに飾っても邪魔にはならない。
持って帰ってスコールに見せれば、思った通りにスコールは目を輝かせてくれた。
スコールは早速クレヨンを運んで来て、楽しそうに短冊に願い事を書き、空いたスペースに絵を描いている。


「さーさーのーは、さーらさらー」
「………」
「のーきーばーに、ゆーれーるー」


クレヨンを動かしながら、スコールは楽しそうに歌っている。
少し音の調子が外れている所も、レオンには可愛らしくて堪らなかった。

そんなレオンの手には、1枚の黄色い短冊がある。
セットに入っていた短冊は全てスコールにあげるつもりだったのだが、スコールが「お兄ちゃんも書こう」と言って1枚差し出した。
笹に願う事など、これと言って思いつかないレオンであったが、スコールからの誘いならば断わる理由もない。
差し出された短冊を貰って、さあ何を書こう、と歌う弟を眺めながら考えている。

星を一杯に散らばらせた短冊を完成させて、スコールは満足そうに笑った後、今度は水色の短冊を手に取った。
其処にはもう願い事が綴られているので、描くのは絵だ。
スコールは何を描くか少しの間考えた後、白いクレヨンで綿状の雲を描いた。
それからクレヨンを取り換えながら、七色の虹を完成させる。


(俺も何か書かなくちゃな)


お絵描きに夢中になっているスコールを見ているのは楽しい。
が、折角スコールから貰った短冊を、いつまでも真っ白のままにさせて置くのも勿体ない。


「スコール。クレヨン、借りても良いか?」
「うん。はい、どうぞ」


兄の申し出に頷いて、スコールはクレヨンの入った箱を兄の前へと寄せた。
ありがとう、と濃茶色の柔らかな髪を撫でて、レオンは黒のクレヨンを取る。

丸くなっているクレヨンの先端を紙に押し付けて、離すを繰り返す。
書かねば、と思ったが、未だに書く事は決まっていなかった。
スコールが短冊を書き始めた時、何を書こうか悩んでいる彼に「何でも呼んだぞ」と言った口ではあるが、そんなレオンも特筆すべき願い事と言うものは浮かばない。
自分の事で願う事など尚更少なく、祈るように毎日考える事と言ったら、専ら弟の事ばかりであった。


(……いつも通りでいいか)


悩んだ所で、頭に思い浮かぶものは、きっと何度考えても同じだろう。
そんな結論に行き着いて、レオンは頭に浮かんだものをそのままに書いた。


(スコールが、元気に育ちますように)


レオンの願いは、いつもそれだ。
愛しい愛しい弟が、日々元気に、健やかに過ごしてくれていれば、それが何よりの幸福。

レオンの短冊がシンプルに書き終わった所で、スコールが「できたー!」と嬉しそうに声を上げた。
水色のみだった短冊が、白雲と虹と太陽で彩られている。
他にも、ピンク色の短冊には蝶が、黄緑色の短冊には花があしらわれ、濃い紺色の短冊には幾つもの星が瞬き、華やかに仕上がっている。
スコールが力を入れて描いたので、ついつい絵に目が行きがちだが、願い事も一つ一つ違うものが書かれていた。


「お兄ちゃん、全部終わったよ」
「ああ。それじゃあ、早速笹に飾ろう」


傍らのソファに置いていた笹を見せると、スコールは嬉しそうに頷いた。

セットに入っていた笹は本物ではなく、プラスチックの造り物だ。
しかし、レオンが幼い頃に見ていた頃に比べると、葉脈や竹の筋まで作り込まれており、遠目に見ると本物と殆ど変わらない。

細いながらに確りしている笹枝に、短冊のモールを引っ掛け、捩じって落ちないように結び留める。
何処に飾ろうかと悩むスコールに、レオンはこの辺はどうかな、と指を差して薦めてみた。
素直なスコールは其処に短冊を吊るして行き、5枚全てを飾り終える。
落ちないかな、とレオンが笹をくるりと回すと、葉と一緒に短冊がさらさらと揺れて、それを見たスコールの蒼の瞳がきらきらと輝く。


「お兄ちゃん、貸して、貸して」
「ほら」


両手を伸ばしてねだる弟に、レオンはくすくすと笑って、笹を差し出す。
小さな手がきゅっと笹の柄を握り、左右に揺らしたり、くるくると回したりと遊びながら、スコールは笹と短冊の踊りをしげしげと見詰めている。
新しい玩具を見付けたような顔で、きゃっきゃと楽しそうな弟の姿に、レオンの頬が緩む。

笹で遊んでいるスコールを抱き上げて、レオンはきょろきょろと辺りを見回した。
笹を飾る場所を探しているのだ。
玄関やベランダでも良いのだが、外は雨雲の気配が濃くなっており、強い風が吹いたら、どうなってしまうか判らない。
明日には処分する方向になってしまうとは言え、折角スコールが頑張って書いた短冊が雨に濡れてしまうのは忍びないし、今日1日だけでも無事に越させてやりたかった。
何処が良いかな、と見回した末にレオンの目に留まったのは、ダイニング上の壁掛け時計だ。


「此処に飾ろうか。スコール、届くか?」
「んぅ……?」


天井に近い高さにある壁掛け時計を見上げて、スコールは首を傾げた。
試しに、とレオンは腕に抱いていたスコールを持ち上げて、肩車をしてやる。
いつもの倍以上に高くなった目線に、スコールはふあぁ、と驚いた声をあげながら、壁掛け時計と距離が近付いている事に気付き、


「うん、届くよ。できるよ、お兄ちゃん」
「よし。じゃあ、テープを取って来よう。ちょっと待ってろよ」


レオンはスコールをダイニングの椅子に下ろし、テレビ台の方へと向かった。
テレビ台の引き出しを一つ開けると、ゴミ等の梱包用にと買っておいた透明テープがある。
少し伸ばし、2枚分を鋏で切り、粘着面がくっつき合わないように注意しながら、レオンはそれをスコールに渡した、もう一度スコールを肩車する。
スコールは短い腕を一所懸命に伸ばして、笹を時計の側面に寄せ、透明テープを貼った。
上部と下部と、ぴったりと隙間のないようにテープを貼ったお陰で、テープは笹の重みに負ける事なく、壁掛け時計に飾られた。

スコールを肩から腕へと下ろして、レオンは笹を見上げた。
クラシックな形をした木造りの壁掛け時計に、短冊飾りは案外と似合う。
短冊に描かれたスコールの絵も、天井の電球に照らされているお陰で、よく見えた。

腕に抱かれている弟が、じっと笹飾りを見上げながらぽつりと呟く。


「お願い、叶うかなあ」
「……ああ。きっと叶うよ」
「…えへへ」


兄の言葉に、スコールは嬉しそうに笑って、レオンの肩に頭を乗せる。
首に回された小さく細い腕が、ぎゅっと抱き着いて来るのを感じて、レオンは胸の奥が暖かくなるのを感じた。



『おにいちゃんとずっといっしょ』

────レオンがそう書かれた短冊を見付けるのは、明日の事である。





七夕と言う事で、お兄ちゃんと子スコ。
見付けた短冊は、処分できずにレオンの引き出しとかに仕舞われるんだと思います。

イベントお疲れ様でした

  • 2017/07/03 22:00
  • Posted by
7月2日東京スクエニオンリーにサークル参加してきました。皆様、お疲れ様でした。
今回、イベント終了してから、サイトのオフライン情報を一切弄っていなかった事に気付きました(゚Д゚;) pixivにて新刊サンプルを上げてはいましたが、此方の情報を見て下さっていた方がおられましたら、誠に申し訳ありませんでした。

出発の前夜、私の地域の一部では、夜~朝方にかけて土砂降りがあったりして、関東方面の天気もどうなるかと思っておりましたが、当日びっくりする程の快晴だったようで。イベント時間中は外の事はさっぱりでしたが、終了後に外に出たらめっちゃ太陽眩しかった……


今回の新刊[エモーショナル・シンドローム]はラグナ×レオンの小説本です。ネタ粒で書いた[泡沫の夢]を、一から最後まで全部書いた話になっています。

私がよく書くレオンは、レオスコや[絆]シリーズで書いている感じで、面倒を見る人物によく構っている所為か、確り者している事が多いですが、割と一杯一杯になると視野が狭くなる人で、今回はそんなレオンを沢山書けた気がします。しっかりしているようで弱い部分も多い人だと思っているので、書いてて楽しかったです。拗らせたレオンさんが大好きなのです。
ラグナは折々に書いている事はありましたが、主要メンバーとして書く事は少なくて、いつかラグナがメインになる話も書きたいなあと思っていたのが叶いました。書いて改めて思ったのですが、ラグナって難しいいいい(;・∀・) 子供のようで大人、無邪気なようで結構周りが見えていて、空気は読めないのか敢えて読まないのか、複雑な人ですね。私の語彙力ではラグナのパワーワードは真似できない…w

同時に発刊しました手製コピー本の[アタッチメント・セラピー]は、[エモーショナル・シンドローム]のその後の話になります。此方はR18本となっております。[エモーショナル・シンドローム]同様に通販する予定ですので、オフラインページの更新時に、サンプルページも共に添えたいと思っております。


通販準備は急ぎ整えたいと思っておりますが、その前に注文メールの未到着、注文に対する返信メールが消えてしまうトラブルについての対応がまだ解決しているとは言い切れない状態です。CGI内の設定、メールの設定など調査している段階のままです。この為、直ぐに注文受付が出来るとは言い難いのですが、自身の環境で対応確認できる限りの準備が整い次第、[エモーショナル・シンドローム][アタッチメント・セラピー]の通販受付を開始したいと思います。

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