ClaimhSolais 11
誰得ファンタジーRPGパラレルの第十一話です。
本当に誰得なの、この話。俺得です。
前回までの話はこちら。
京一やっと出て来たよ。
本当に誰得なの、この話。俺得です。
前回までの話はこちら。
京一やっと出て来たよ。
ClaimhSolais 11
ぐえッ、おごッ、んげえッ。
潰れた蛙のような音を鳴らして、折り重なった男達。
その下には見事に割れた戸口の成れの果てがあった。
それまでの喧騒が嘘のように、店内は静寂に包まれる。
幾つもの双眸が一点に向かい、その先から一つ人影がテリトリーに侵入を果たした。
「なんでェこりゃ。なんの騒ぎだ? ええ?」
汚れた麻の服は、ぐっしょりと水分を吸って重くなっている。
荒れた大地に似た赤茶けた髪もまた、天辺から毛先まで濡れていた。
足元のブーツは、踏み締める度に水が押し出され、床を濡らす。
背負ったマントは、背中の半分を覆っているだけ。
腰には、木刀が挿し込まれていた。
町で唯一の刀使いの剣士。
ただし、その愛刀は鋼ではなく、木製の。
「京ちゃん!」
「アニキィィィィ!!」
「おう。ただいま」
帰還を―――――いや、生還を喜ぶ声に、彼は片手を上げて返事を寄越した。
「ったく、散々だぜ。ビッグママに頼まれた奴も、ロクな話じゃねェし。吊橋は落ちるし、山賊は出るし」
「……てめェ、なんで……生き、て……!?」
「あ? 吊橋の事か? あー、ありゃ危なかったな、確かに。あの先って確か滝だったもんなァ。おまけに川の流れも速いし、幅も広いから、落ちちまったら対岸に着く前に滝まで流されてるだろうな」
のんびりと口にされる内容は、どれも下手をすれば死に直結するものばかり。
けれども、現れた剣士は、確りと自分の両足で此処に立っていて。
「でも、流されなけりゃ問題にならねェ」
それは一体、どういう意味なのか。
吊橋が落ちたのも、川に落ちたのも嘘ではない、そうでなくては彼がずぶ濡れになっている理由がない。
雨に降られた訳でもないだろうに。
詳細を告げるつもりなどないのだろう、彼は後はにやりと笑って見せただけ。
それが目の前のゴロツキの神経を逆撫ですると、判っていて。
「くそったれ! なんで…なんで手前が!!」
「うるせーなァ……なんの話だ、一体。おい吾妻橋、説明しろ」
「…早え話が、てめえの商売が上手く行かなくなった逆恨みっス」
「ンだ、そりゃ。阿呆か」
がしがしと濡れた髪を掻き毟って、剣士は溜息を吐く。
全くだ、と同調する声があって、それはママのものであった。
「まぁいい。こちとらストレス溜まってんだ、やってやるよ。ただ言っとくが、援軍の期待はするなよ」
剣士の言葉に、龍麻は窓の外へと目を向けた。
其処には死屍累々と言わんばかりの、地獄絵図が出来上がっている。
屍の数は、十や二十ではない。
これをあの剣士が一人で全て落としたというのだろうか。
背中に庇った少女が息を飲んだのが判る。
「こ…の…、クソガキいぃぃぃぃぃッッッッ!!!」
悪戯好きの子供を思わせる眼に、研ぎ澄まされた刃を思わせる光が閃いた。
短ッ!
いつもこうだといいんだけどね!
ぐえッ、おごッ、んげえッ。
潰れた蛙のような音を鳴らして、折り重なった男達。
その下には見事に割れた戸口の成れの果てがあった。
それまでの喧騒が嘘のように、店内は静寂に包まれる。
幾つもの双眸が一点に向かい、その先から一つ人影がテリトリーに侵入を果たした。
「なんでェこりゃ。なんの騒ぎだ? ええ?」
汚れた麻の服は、ぐっしょりと水分を吸って重くなっている。
荒れた大地に似た赤茶けた髪もまた、天辺から毛先まで濡れていた。
足元のブーツは、踏み締める度に水が押し出され、床を濡らす。
背負ったマントは、背中の半分を覆っているだけ。
腰には、木刀が挿し込まれていた。
町で唯一の刀使いの剣士。
ただし、その愛刀は鋼ではなく、木製の。
「京ちゃん!」
「アニキィィィィ!!」
「おう。ただいま」
帰還を―――――いや、生還を喜ぶ声に、彼は片手を上げて返事を寄越した。
「ったく、散々だぜ。ビッグママに頼まれた奴も、ロクな話じゃねェし。吊橋は落ちるし、山賊は出るし」
「……てめェ、なんで……生き、て……!?」
「あ? 吊橋の事か? あー、ありゃ危なかったな、確かに。あの先って確か滝だったもんなァ。おまけに川の流れも速いし、幅も広いから、落ちちまったら対岸に着く前に滝まで流されてるだろうな」
のんびりと口にされる内容は、どれも下手をすれば死に直結するものばかり。
けれども、現れた剣士は、確りと自分の両足で此処に立っていて。
「でも、流されなけりゃ問題にならねェ」
それは一体、どういう意味なのか。
吊橋が落ちたのも、川に落ちたのも嘘ではない、そうでなくては彼がずぶ濡れになっている理由がない。
雨に降られた訳でもないだろうに。
詳細を告げるつもりなどないのだろう、彼は後はにやりと笑って見せただけ。
それが目の前のゴロツキの神経を逆撫ですると、判っていて。
「くそったれ! なんで…なんで手前が!!」
「うるせーなァ……なんの話だ、一体。おい吾妻橋、説明しろ」
「…早え話が、てめえの商売が上手く行かなくなった逆恨みっス」
「ンだ、そりゃ。阿呆か」
がしがしと濡れた髪を掻き毟って、剣士は溜息を吐く。
全くだ、と同調する声があって、それはママのものであった。
「まぁいい。こちとらストレス溜まってんだ、やってやるよ。ただ言っとくが、援軍の期待はするなよ」
剣士の言葉に、龍麻は窓の外へと目を向けた。
其処には死屍累々と言わんばかりの、地獄絵図が出来上がっている。
屍の数は、十や二十ではない。
これをあの剣士が一人で全て落としたというのだろうか。
背中に庇った少女が息を飲んだのが判る。
「こ…の…、クソガキいぃぃぃぃぃッッッッ!!!」
悪戯好きの子供を思わせる眼に、研ぎ澄まされた刃を思わせる光が閃いた。
短ッ!
いつもこうだといいんだけどね!