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2013年10月

[犬59&猫8]いっしょにあそぼ! 2

  • 2013/10/30 21:54
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ジタンとバッツはしばらくの間、スコールの名前を呼びながら、ぐるぐると櫓の周りを歩き回っていた。
遊ぼうぜ、寝てるだけなんてつまんないぞ、ボール遊びしよう、綱引きしよう、とキャンキャンと小型犬らしい鳴き声が響く。
スコールの三角の耳がぴくぴくと反応したが、起きてやるもんか、と意地になったようにスコールは動かない。
ジタンとバッツは、櫓の一段目の低い台に前足を乗せて、スコール、スコール、と猫を呼ぶ。

頑として反応しないスコールの様子に、しばらくするとジタンとバッツも諦めた。
再び遊び始めた二匹は、キャンキャンと声を上げて、押し合ったり転がったりと賑やかだ。
バッツがボールを咥えて走り、ジタンがそれを追い駆けて、後ろから飛び付くと、驚いたバッツの口からボールが転げ落ちる。
直ぐにジタンがボールに飛び付こうとすると、押し退けるようにバッツがボールを咥えて逃げた。


「オレにも遊ばせろよ!」
「へっへっへ。欲しかったら盗んでみろよ」
「言ったな。絶対に取ってやるから、死ぬ気で逃げろよ!」


ぶんぶんと尻尾を振ったジタンが、強く地面を蹴って、逃げるバッツを猛追する。
迫るジタンを見返りながら走っていたバッツが、前方不注意でクッションの山に突っ込んだ。
詰まれていたクッションがどどどっと落ちて来て、二匹はすっかり埋もれてしまう。

もぞもぞとクッションの山の一角が動いて、ぴょこり、と二匹が頭を出した。


「何やってんだよ、バッツ」
「あっはっは。失敗失敗」


クッションの上に身体を持ち上げた二匹は、ぶるぶると大きく体を震わせる


「あー、ボール何処行ったかな」
「落としたのか?」
「多分。埋まっちまったかなー」
「おいおい。貰ったばっかりなのに、もう失くすなよ。んーと……」


ジタンがくんくんと鼻を鳴らしながら、クッションの下に埋もれているであろうボールを探し始める。
バッツも一緒にクッションの上を歩き回り、何処かにある筈のボールを探す。

ボールは真新しいので、まだこの部屋のものではない匂いがする。
だから見付けるのはそれ程難しくはない筈だ、と二人はクッションの山に頭を突っ込んで、根気良く探していた。
────が、二匹の努力の傍らで、ボールはクッションの山裾からころころと転げ出していた。
クッション山を掘り返す事に夢中になっている二匹は、その事に気付いていない。

こっちか?こっちか?と二匹でクッション下に潜り込んで動き回る様子を、スコールが櫓の上から見下ろしていた。


(……何やってるんだ?)


睡魔の妨げとなっていた賑やかさが落ち付いて、これで眠れる、と思っていたのは、ほんの少しの間だけ。
打って変わって静かになった室内に、俄かに落ち着かなくなってきて、スコールは寝るのを止めた。
さて静かになった二匹は何をしているのか、と思って見下ろすと、ご覧の様。

櫓の上にいるスコールからは、部屋の様子や、ジタンとバッツの動きがよく見える。
二匹がボールを探してクッションに顔を突っ込んでいるのも判ったし、クッション山の傍できらきらしたボールが転がっているのも見えた。
ボール探しと言う名目でクッション遊びをしているのだろうか、とも思ったが、二匹は真剣にボールを探しているらしい。

やれやれ、とスコールは嘆息して、ひょい、と櫓から飛び降りた。


「あんた達、いつまでそうしてるんだ」
「おっ、スコール」
「ボールが見付からないんだよ。スコールも一緒に探してくれよ」


下りて来たスコールを見付けて、ジタンの尻尾がぱたぱたと振れる。
その傍らで、バッツがクッションに頭を突っ込みながら言った。

スコールは足下に転がって来たきらきらのボールを、前足で捉まえる。


「あんた達が探してるボールって、これじゃないのか」
「へっ」
「えっ」


二匹がぱっと振り返る。
空色と褐色がスコールを見て、その足下を見て、


「おお!流石スコール!」
「スコールすげー!」
「あんた達が鈍いだけだろう……」


前足でちょんちょんとボールを突いて、スコールは溜息交じりに言った。

クッション山を乗り越えて来る二匹に向かって、スコールはボールを転がした。
が、二匹はボールを飛び越えて、スコールへと突進する。


「スコール!」
「ボール遊びしようぜ!」
「!!」


フギャッ!?とスコールの驚いた声が漏れた後、どたんばたんと賑やかな音。
引っ繰り返ったスコールを、ジタンとバッツが上から覆い被さるように重なって、二匹はハッハッと嬉しそうに尻尾を振ってスコールの顔を舐める。


「また、あんた達っ……!」
「遊ぼうぜー」
「昼寝ばっかりすんなよ、構えよー」


二匹に顔を余すところなく舐められて、スコールの眉間に皺が寄る。

フギャアッ!とスコールの威嚇の声。
びくっとジタンとバッツが固まった瞬間に、スコールは素早く二匹の下から逃げて、櫓へ飛び乗る。
我に返った二匹は直ぐにスコールを追おうとしたが、櫓の三段目に逃げたスコールの下へは、犬であるジタンとバッツが頑張っても先ず届かない。

スコール、スコール、と二匹の呼ぶ声。
スコールはむすっと眉間に皺を浮かべて、足下にいる二匹を見下ろした。


「悪かったって。怒るなよ」
「怒ってない」
「じゃあ遊ぼうぜ」
「遊ばない」
「なんでだよー」
「なんでもだ。遊びたいなら、あんた達だけで遊んでれば良いだろ」


俺は遊ばない、ときっぱりと言い切るスコールに、二匹は心なしか寂しそうな表情を浮かべる。


「それじゃスコールが仲間外れになっちゃうじゃんか」
「そんなの寂しいだろ。だから一緒に遊ぼうぜ」


────仲間外れも何も、スコールは猫で、ジタンとバッツは犬だから、最初から仲間ではない。
同じ人間に拾われて、同じ場所で生活してはいるけれど、それだけだ。
猫は犬になれないし、犬は猫になれないから、仲間になんてなれない。

ぷい、とスコールはそっぽを向いた。
そんなスコールに、ジタンとバッツは顔を見合わせ、仕方ないかぁ……とスコールを呼ぶのを止める。

ころころと転がったボールが、ジタンと足にこつんと当たった。
かぷっとジタンがボールを咥えて持ち上げると、よし、遊ぼう、とバッツが言った。
二匹の尻尾が楽しそうに振られ、ぱたぱたと駆け回る二匹の足音が聞こえる。

櫓の上でそれを聞いていたスコールは、徐に視線を落としてみた。
転がるボールを前足で突き合って遊び、楽しそうに尻尾を振る二匹の姿が見える。


「………」


スコールはゆっくりと櫓を下りた。
すとり、すとり、としなやかな動きで下りて行くスコールは、決して足音を立てない。

床まで降りると、スコールはその場に伏せた。
キトゥン・ブルーの視線の先には、ぱたぱたと左右に触れるバッツの尻尾がある。
その向こうには遠目にジタンの尻尾もあり、バッツとシンクロするように尻尾を左右に振っている。

そぉっと前足を伸ばす。
ぱたぱたと振れる尻尾を追うように、スコールの前足がぴょこぴょこと手招きするように動いた。
丸めた爪先が、ふさふさとした尻尾に触れては離れ、また追い駆けるようにスコールは手招きする。
うずうず、うずうずとした表情で、スコールは静かにバッツの尻尾と戯れる。

────ぴたっ、とバッツの尻尾の動きが止まる。
むっ、とスコールが不満げに眉間に皺を浮かせると、尻尾が遠退いて、バッツの貌が間近にあった。


「…………」


文字通り、目を丸くして固まるスコール。
爛々と輝く褐色の向こうで、空色が楽しそうに笑っている。


「スコールー!」
「遊ぼうぜー!」


二匹が一緒に飛び掛かって来て、スコールの尻尾が爆発した。
飛び退いてクッションの山に逃げたスコールは、勢い余ってバランスを崩し、クッションの中に埋もれる。
其処へジタンとバッツも飛び込んだ。



かちゃり、とドアの開く音がする。
入って来た銀髪の青年────フリオニールは、クッションの隙間から覗く三本の尻尾を見て、くすりと笑った。

今日も我が家の猫と犬達は、仲良くやっているようだ。





ペットショップでポメラニアンとビーグルとスコティッシュフォールドが仲良く遊んでいたので。

大体こんな感じで、わんこ二匹がじゃれあい続け、にゃんこが時々加わっては逃げての繰り返しでした。

かわええ。

通販申込みを受理・発送致しました

  • 2013/10/28 18:33
  • Posted by

2013年10月10日~20日間にご注文を頂きました、通販の発送を完了しました。
本日、受理完了のメールを送信しましたが、二週間が経ってもお手元に届かない場合は、郵便事故の可能性がありますので、kryuto*hotmail.co.jp(*を@に変換して下さい)にてご連絡をお願いします。

また、2013年10月21日~27日間にご注文を頂きましご注文を受理しました。
受理完了のメールを送信しましたが、届いていらっしゃらない方がおられましたら、拍手かkryuto*hotmail.co.jp(*を@に変換して下さい)にてご連絡をお願いします。


携帯電話からメールを送られる方は、迷惑メール防止を設定されていると、此方からの返信メールが拒否されてしまう可能性があります。
kryuto*hotmail.co.jpを受信可能に設定するよう、お願いします。

オンリーお疲れ様でした!

  • 2013/10/28 18:28
  • Posted by

久しぶりも久しぶりな日記ですみません。
オンリー後には書こうと思ってたのに……(´・ω・`)って言うかサイトも更新したのに日記は放置て(´・ω:;.:...


10月20日の東京FFオンリー、お疲れ様でした!声をかけて下さった方々、本を手に取って下さった方々、本当にありがとうございます。沢山の方から差し入れも一杯頂いて、ごちそうさまでした!帰りのバスの中で死なずにすみました←

今回は[Lion that returns to crowd]の四巻目を書きまして、普段あまりメインで書かないフリオニールとセシルを書いたのですが……だだだだ大丈夫だろうかと今でも若干不安w
私のイメージの中で、フリオもセシルも、余り単独でスコールと絡むイメージがなかったんですよね。我が家のスコールからすると、フリオニールもセシルも余り接点を持ちたがらない相手なので(と言ったら59以外の全員にそれが当て嵌まる気もするが)。フリオニールは考え込むとドツボに嵌りそうだけど、基本的には前向きな思考をしてる気がします。セシルはFF4本編でもDISSIDIAでも、迷いつつも前に進もうとする事は諦めなかった人なので、なんだかんだ言っても心が強そう。基本的にネガティブ・後ろ向き・対人恐怖症なスコールには厳しい相手だったw
其処へ飛び込んでくるジタンとバッツが光る光る。基本的に[Lion~]シリーズは[スコール&秩序メンバーの誰か]である事をコンセプトにしていますが、やはりスコールと59は切り離せないなと。仲良し589書いてて楽しい(*´∀`*)

それから、前々から書きたい書きたいと思っていたレオン×スコールのエロ小説本[籠ノ鳥]を発行しました。
いつもナチュラルにラブラブなレオスコ(レオ)を書いていますが、此方の本はギスギスしてるレオンとスコールになりました。お互いの存在が疎ましくて仕方がない二人と言うのは新鮮でした。ネタ下さったフォロワーさん本当にありがとうございます。美味しかった!
目指せエロとストーリーの両立の目標の下、今回はエロシーン多め…?になりました。その結果294P。何故前後編にしなかったのか(表紙が一つしか思い付かなんだ)。
いつも利用している印刷所のセットが変更された事により、フルカラーカバーでの刊行となりました。300P弱でフルカラーカバーになった所為か、通販時や委託時に使用している、同人用の透明袋が入りませんww別の包装袋を探さねばwww
ついでに、家に帰ってから自分で後書きを読んでいたら、「10月から執筆開始」と書いていましたが間違いです。9月からです。10月から書いてたら一週間寝ずに書いても間に合わんて。

今回執筆した本は出来るだけ余裕で入稿できるようにと早目に手を付けたのですが、何故かいつも通り(締切当日入稿)になりました。可笑しいな。

うちのサークルで買って下さった方の荷物が、私の本の所為で一挙に重くなっている……買って下さる方がいて下さって本当に嬉しいのですが、同時になんとも申し訳ない。重いので(;´Д`)
これ以上犠牲者を出す前に、現地で発送用の手続きとか考えた方が良いんじゃないかと思ってます。


アフターにも誘って頂きまして、スケブ書いて頂いて嬉しかったです。宝物。ウヒ。私の描いた絵は本当アレなので……(゚⊿゚)イラネって思ったら破っちゃって…!


次の予定としては、2014年2月のFFオンリーに参加する予定ですが、その前に関西圏で何処か出られたらと思っています。
出来れば大阪に行きたいですが、大阪のオールジャンルが2014年1月下旬と言う事で迷っております……修羅場真っ最中でないか(´Д`) いやこのイベントに合せて発刊できるように書けば問題ないんだけど……

レオスコ本は書いてて非常に楽しかったので、需要考えずに(いつもの事だが)また何か書きたいです。でもクラスコ本もそろそろ書きたいです。あとフリスコも書きたいです。誰かヘイストorブリンク下さいwww
懲りずにまた頑張りまーす!

[ティスコ]甘やかし愛

  • 2013/10/08 23:11
  • Posted by


ティーダは甘えたがりだ。
スコールからすると、そう見える。

彼のパーソナルスペースはとても狭く、まるで当たり前の事のように距離を近付けてくる。
子犬のように手を振って駆け寄って来たと思ったら、其処で立ち止まれば良いものをと言う距離で、地面を強く蹴って飛びついて来るのだ。
不意打ちを食らって、何度無様に尻餅をついたか判らない。
それだけでは終わらず、じゃれつくように抱き着いて来たり、頬を摺り寄せて来たり、────キスしたり。
やめろ、と何度言っても、「良いじゃん、たまには」と言って、また抱き着いて来る。

ティーダは人と触れ合う事が好きなのだろう。
人と接して、手を繋いで、温もりを重ね合わせると、それだけでティーダはとても嬉しそうに笑う。
誰かと触れ合う事で安心しているのだろう、彼に触れられるとそんな気持ちが伝わって来る気がする。

けれど時々、彼はとても寂しそうな顔も見せる。
それはほんの一瞬で、誰にも気付かれる事もないけれど、あれも確かに、彼の心を零した貌だった。
大好きだよ、と言ってキスした直後、見間違いにも思える刹那に零れるその貌が、無性に胸の奥を抉る。



スコールは甘えたがりだ。
ティーダがすると、そう見える。

彼のパーソナルスペースはとても広く、数メートル手前まで近付くだけで、毛を逆立てた猫のように身構える。
背中からこっそり近付いても同様で、後頭部に目がついているのではないかと思う程、気配に敏感だ。
それならいっその事、と正面から近付いていくと、眉間の皺が警戒レベルを判り易く示してくれるのが見えて、気弱な人間ならそれを見ただけで足踏みするだろう。
その割に、強引に接触して来る人間に対しては無防備で、お陰で勢いよく飛び付いてやると、意外と振り払われない。
捕まえた、とばかりに腕の中に閉じ込めて、柔らかい髪をぐしゃぐしゃに掻き混ぜると、スコールはやめろ、と怒鳴る。
怒鳴る割には、やっぱり振り払おうとしないから、それに甘えてキスをする。

スコールは、本当は人と触れ合いたいのだろう。
ただ、それ以上に触れ合う事を怖がっているから、触れるだけで彼はとても寂しそうな顔をする。
誰かと触れ合う事で、安心して、それ以上に不安になるから、決して自ら触れようとはしない。
でも、甘えたがり屋だから、誰かの温もりを求めずにはいられない。

彼は時々、泣き出す手前の子供のような貌もする。
それはほんの一瞬で、決して誰かにその瞬間を見せようとはしないけれど、それは確かに、彼の一番深い部分を零した貌だった。
その貌を見ているのが辛くて、安心して欲しくて、温もりは怖いものじゃないんだと伝えたくて、キスをする。




身体を重ね合わせた後の気怠さは、決して不快なものではなかった。
多分、眠い所為だな、とスコールは思っている。

そのまま眠ってしまえたら一番楽なのだが、傍らにいる存在がそれを赦してくれない。


「……ティーダ……眠い……」
「うん。いいよ、先に寝て」
「……じゃあ止めろ……」
「やだ」


そう言ったティーダの唇が、スコールの頬に触れる。

行為の後、ティーダは決まって、スコールにキスの雨を与える。
彼の唇が肌に触れる度、温かくてむず痒い感覚が生まれて、その所為でスコールは眠る事が出来なかった。
他にも、首下や胸をくすぐる指先や、彼の金糸が肌を掠めるのが、スコールには耐え難い。

このキスの雨は、スコールが眠るまで延々と続けられる。
行為の負担はスコールの方が大きいとは言え、ティーダも疲れていない訳ではないだろうに、彼は必ず、スコールが眠るまで、こうしてキスをし続けていた。
早く眠れば良いのに、と思いつつ、スコールは溜息を吐いて目を閉じる。


「痕、つけて良い?」
「却下」


ティーダの言葉をきっぱりと返すと、えー、と不満そうな声が漏れた。
その声を聞きながら、スコールは冗談じゃない、と口の中で苦く呟く。

今でもジタンやバッツにティーダとの仲を揶揄われているのに、痕なんか見付かったりしたら、彼等に余計に突っ込まれるに決まっている。
ただでさえ揶揄われては否応なく真っ赤になる自分に嫌気が差しているのに、これ以上何か言われるのは御免だ。
────と、思っていると、ちう、と鎖骨に吸い付かれて、スコールは跳ね起きる。


「あ、まだ薄い。もう一回」
「止めろ!」
「だーめ。ほら、大人しくしろって」
「このっ……!」


じたばたとベッドの上で縺れ合う。
二人の身長はそれ程差はないのに、ウェイトに差がある所為か、力でスコールが敵う事はない。
かと言ってスコールが大人しくする訳もなく、スコールは膝や肘でティーダの体を押し戻そうと奮闘する。


「いいじゃないっスか、ちょっと位」
「嫌だ!それも、こんな目立つ所……」
「じゃあ背中。背中だったら見えないし、気にならないだろ?」


ティーダはスコールが、見える所、バッツやジタンに見付かる所だから嫌がっているのだと思ったらしい。
それもあるが、そう言う問題じゃない、とスコールが顔を顰めていると、体を引っ繰り返される。

背中に重みが乗ったのを感じて、スコールは諦めた。
肩甲骨や背筋をティーダの手が撫でて、ぞくん、としたものが奔ったけれど、スコールはベッドシーツに顔を埋めて、気付かない振りをした。
ティーダの髪の毛先が肌をちくちくとくすぐっている。
その隙間に、ティーダの唇が降って来て、時折吸い付くようにピリッとした小さな痛みが感じられた。

しばらくティーダの好きにさせていたスコールだが、そのまま一分、二分と時間が経つに連れ、無性に気恥ずかしさが感じられて来た。
ちらり、と肩越しに背中を見遣れば、ティーダの赤い舌が背筋を這っている事に気付いて、顔から火を噴く。


「────っ」
「あいたっ」


スコールは、ティーダの頭を打つ事も気にせず、寝返りを打った。
シーツを手繰り寄せて巻き付き、ティーダから背を逃がすようにして横になる。


「もう終わり?」
「終わりも何もあるか。お前もいい加減に寝ろ」
「良いじゃん、もうちょっと」
「捲るな!」


シーツの端を捲って、スコールから布地を奪おうとするティーダ。
スコールはシーツの裾を掴んで全力で抵抗する。

スコールが断固として譲らない事を察したティーダは、むぅ、と不満げに唇を尖らせると、


「良いじゃん。もうちょっとだけ」


そう言って、ティーダはシーツごとスコールを抱き締める。
スコールは判り易く眉根を寄せてティーダを睨んだが、直ぐに溜息を漏らして眉間の皺を解いた。

暴れないスコールを見て、ティーダが嬉しそうに笑う。
硬いブリッツボールを投げて受けてと練習している所為か、皮の厚い手がスコールの頬に触れる。
ティーダはスコールの頬にかかる髪を避けて、そっと額の傷に口付けた。


「……もう寝ろよ……」
「うん。もうちょっとしたら、寝る」
「………」
「だからそれまで、もうちょっと、良いだろ?」


青が蒼を真っ直ぐに捉えたまま、言った。
スコールは睨むように青を睨んでいたが、逸らされない瞳に根負けしたように、また溜息を一つ。



温もりを分け合うように、キスが繰り返される。
ティーダはスコールに触れ続け、スコールはそんなティーダを好きにさせる。

────甘えているのは、果たしてどちらの方だろう。





多分どっちも、甘えたがり。
ティーダは甘やかしたがりもありそう。

ティスコははぐはぐラブラブしてると可愛い。

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