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2013年10月30日

[動物パロ]わんわんにゃんにゃん

  • 2013/10/30 22:29
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ホームセンターに行ったので、同建物の二階のペットショップに寄って来ました。癒されたかったので。
わんこもにゃんこも可愛かった。


プレイルームのような大きなウィンドウの中で、犬2匹と猫1匹が仲良く遊んでいたのに萌えた。
犬はポメラニアンとビーグルの子供、猫はスコティッシュフォールドの子供でした。
皆そこそこ大きくはなってたけど、まだ大人ではない感じ。皆大体同じくらいの大きさでした。
ポメとビーグルがずっとじゃれてて、スコがちょっかい出したり離れたりを繰り返していたので、なんだか589に見えて仕方なかった……と言う事で、

猫スコールと犬ジタンと犬バッツ → [いっしょにあそぼ! 1][2]


あと、小さな部屋では仔猫(ソマリだったかな?)が毛布の中で包まれてすやすや寝てました。
あったかいんだろうなーって気持ち良さそうに目を細めてた顔が可愛かったです。
と言う事で、

[ペットショップ・ファンタジア]の猫レオ子スコ → [おひるね・ふぁんたじあ]


やっぱり動物は癒されますね。

[猫レオン&猫子スコ]おひるね・ふぁんたじあ

  • 2013/10/30 22:02
  • Posted by



すぅ すぅ すぅ


ぽかぽかと暖かそうな陽気が降り注いでいて、花の咲いた庭がある。
ぴんと張られた紐に、真っ白なタオルや毛布が吊るされて、風が吹くと翻った。
幼子の瞳とよく似た真っ青な空に、眩しい白が、とてもとても映えている。

その瞳は、今は瞼の裏に隠れていて、しばらくは人目に映りそうにない。
幼子は窓辺から差し込むぽかぽか陽気に身を委ね、太陽の匂いのする毛布に包まって眠っていた。

ふかふかの毛布は、幼子がとても気に入っている寝床だった。
毎日、この毛布を引っ張って、転んで、包まって、遊んでいる。
時々取り上げられる事があって寂しい事もあるけれど、必ずその日の内に帰って来て、その時にはくしゃくしゃだった毛がふわふわになっていた。
今日はそのふわふわの日で、幼子は気持ち良さに包まれている内に、すやすや眠ってしまったのだ。

幼子の傍にいつでも一緒にいる兄は、今はいない。
この広くて優しい住処の何処かにいるのは知っているから、彼の姿が見えなくても、もう怯える事はない。
この優しい住処には、優しいものしかないと知っているから。

─────きぃ、と小さな音がして、小さな小さなドアが開く。
ドアの隙間からするりと滑り込んで来たのは、幼子よりも少し体の大きな兄。


すぅ すぅ すぅ


兄は、眠る幼子を見付けると、幼子に近付いた。
ゆっくり、ゆっくり、音を立てないように気を付けて。


すぅ すぅ すぅ


兄が直ぐ傍らまで来た時、幼子は変わらず、すやすやと寝息を立てている。
毛布の中で丸まった、小さな腹が、小さくふか、ふか、と動く。

そっと幼子の腹に頭を寄せて、兄は幼子の腹を舐めてやる。
ぴくっ、ぴくっ、と幼子の尻尾が動いて、心なしか嬉しそうに揺れた。
そんな幼子の反応が嬉しくて、兄の尻尾も嬉しそうに微かに揺れる。

腹に埋められた幼子の貌に頭を寄せて、小さな額を舐める。
ぴくん、と小さな耳が動いて、ぴょこっと兄の方を向いた。


んぅ……?


とろとろと瞼を持ち上げた幼子の、きれいなきれいな蒼色が、兄を映す。
それだけで、幼子はふんわりと嬉しそうな貌をして、兄の口元に頬を寄せた。


おかえりなさい、お兄ちゃん


嬉しそうな幼子の声と、眩しそうに笑う幼子の貌が、兄の心をぽかぽかと暖める。

毛布の中に包まった幼子を、自分の体で包み込むようにして、兄も丸くなる。
幼子はふわぁ、と小さな口で大きな欠伸をして、眠そうに目を細める。


んぅ……


うとうと、うとうと。
こっくり、こっくり。

小さな頭を上下に揺らす幼子に、兄はくすりと小さく笑う。
寝ていて良いぞと耳をくすぐれば、幼子はもぞもぞと身動ぎして、ころんと寝返りを一つ。
幼子は、兄の腹に顔を埋めて、丸くなった。


ふにゅ……ふふ


小さく笑う声が聞こえて、見て見ると、幼子がくすくすと笑っていた。
尻尾の先端がゆらゆらと嬉しそうに揺れて、兄の足元をくすぐる。


あのね、お布団ね、ふかふかしてて、あったかいんだよ
でもね、でもね、一番あったかいのはね、お兄ちゃんなんだよ
知ってた?


嬉しそうに、自信満々に言った幼子の言葉に、足元だけではなくて、胸の中もくすぐったくなった。
なんだか無性に照れ臭くて、それを誤魔化すように、幼子の耳元を舐めてやる。
くすぐったいよう、と幼子は言って、もっと、と言うように兄の腹に顔を埋める。

幼子はしばらく嬉しそうに兄にじゃれついていたけれど、程無く、静かになった。
自分の腹の上で、すやすやと穏やかな寝息を立てる幼子を見詰めた後、兄もゆっくりと目を閉じる。

それから少しの時間が経って、キィ、と大きなドアが開けられる。
幼子と兄と同じ、綺麗な蒼い瞳の生き物が、おやつの缶を持って来た所だった。
綺麗な蒼は、自分が名付けた幼子と兄の名前を呼ぼうとして、止める。


すぅ すぅ すぅ
くぅ くぅ くぅ


規則正しい、二つの寝息。
ぽかぽか柔らか陽気の中で、毛布にくるまって眠る子供達。
起こしちゃ可哀想だから、今日のおやつはもう少し後で。



お兄ちゃんが一番あったかい。

そう言った幼子に、一番あったかいのはお前だよ、と兄は思った。





ペットショップで、仔猫が毛布に包まって気持ち良さそうに寝てたので。
その子は一匹だけだったのですが、仔猫スコにはやっぱりお兄ちゃんが欲しくなる。

[犬59&猫8]いっしょにあそぼ! 1

  • 2013/10/30 21:58
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高いキャットタワーの上が、スコールの特等席であり、指定席だった。
其処にいれば、下がどんなに賑やかでも、被害を被る事はない。

しかし、スコール、スコール、と繰り返し呼ぶ声は、相変わらずよく通って、スコールの鼓膜に届く。


「おーい、スコールぅ」
「遊ぼうぜー」


キャンキャンと犬の声がして、スコールは伏せていた頭を上げた。

傍らの窓から差し込む、ぽかぽかと温かな陽気が、丁度スコールの腹に当たって気持ちが良い。
くぁあ、と欠伸をして、消えない微睡に目を細めていると、もう一度、キャン、と呼ぶ声。
煩いな、と思いながらスコールが視線を下へと落とすと、二匹の犬が尻尾を振って此方を見上げていた。


「おっ、やっと起きた」
「おーい。新しいボール貰ったんだよ。一緒に遊ぼうぜ!」


二匹の犬の名前はジタンとバッツで、スコールと一緒に住んでいる。
懐こい性格の二匹は、スコールの事を痛く気に入って、毎日のようにじゃれついていた。

スコールは犬ではない。
丸い顔、小さく折れた三角形の耳、細長い尻尾、しなやかに動く手足と、瞳孔を細めたキトゥン・ブルーの瞳を見れば判るように、正真正銘の猫だった。
生まれが何処であるかは判らない、生まれて間もない頃に道の隅で段ボールの中で捨てられていたのを、フリオニールと言う物好きな人間が拾ってくれ、その時既に家にいたジタンとバッツと共に育てられた。
ちなみに、ジタンとバッツも生まれは何処とも知れないらしく、バッツは傷付いて倒れている所を、ジタンは家族と逸れて一匹で彷徨っている所を、偶然見つけたフリオニールが拾ったとの事だ。

ジタンとバッツは犬、スコールは猫とあって、両者の生活には色々と差がある。
広い場所を駆け、じゃれあって遊び回るのが好きなジタンとバッツに対し、スコールは日向でのんびりと昼寝をするのが好きだった。
元々、スコールは大人しい性格をしており、仔猫の時分から、はしゃいで遊び回る事は少なかった。
しかし、ジタンとバッツはそんな事はお構いなしで、スコールに隙さえあれば飛びついて行く────のだが、今日のスコールはキャットタワーの天辺で優雅に昼寝。
猫と違って高くジャンプするのが難しいジタンとバッツは、スコールに「下りて来いよ」と何度も鳴いて呼んだ。


「ほら、これこれ。すげー跳ねて面白いんだぜ」


バッツが足元に置いていたボールを咥えて、持ち上げて見せる。
半透明のボールの中で、きらきらとした星粒が光っていた。


「きらきらしてて綺麗だろ?スコールも気に入るかもって、フリオニールが選んだんだってさ」


だから、これを使って一緒に遊ぼう、とジタンが誘う。

スコールはしばし、櫓の上でじっと下方を見詰めていた。
それを見上げる空色と褐色の瞳には、ボールよりもきらきらと輝いて、期待に満ち満ちているのが判る。

───-が、スコールは、ぷい、とそっぽを向いた。


(……眠い)


ぽかぽかとした陽気が、スコールの眠気を更に助長させている。
ジタンとバッツのテンションに付き合う気になれず、それよりももう一眠りしたい、とスコールは丸くなる。

たらん、と櫓の天辺から垂れたスコールの尻尾を見て、クゥン、とジタンとバッツの声が零れる。


「おーい、スコールぅ」
「あーそーぼー」
「あーそぼー」


尻尾を振りながら、ジタンとバッツは繰り返す。
それに対し、スコールはゆら、ゆら、と垂れた尻尾を微かに揺らすだけ。

ジタンとバッツは、ぐるぐると櫓の周りを回り始めた。
スキップするようにぴょんぴょんと足元を弾ませながら、スコール、スコール、と繰り返し呼ぶ。
二匹とも櫓上にいるスコールを見上げながら回っているので、全く前を見ていない。
そんな訳だから、案の定、ごちんと衝突して引っ繰り返った。


「あってぇ!」
「いって!顎いって!」
「鼻いてぇ!」


悶えるようにごろごろと櫓の足下で転がり回る二匹。
身体が小さい二匹とは言え、揃ってこうも賑やかにされると、スコールの短い堪忍袋は容易く張り詰め、


「……あんた達、煩い」


腹に埋めていた顔を上げて、もう一度二人を見下ろし、スコールは顔を顰めた。
静かにしろ、と睨むスコールの視線の先では、二人でごろごろと転げ回っていた二匹が、何が面白いのかけらけらと笑っている。

眼下では、起き上がったジタンとバッツが、ぶつかったのはお前の所為だ、いやお前の所為だ、と責任の押し付け合いをしている。
ならば勝負で決めよう、と言い出したバッツに、ジタンが先手必勝!と高らかに再現しながら飛び掛かった。
後ろ足で立ってジャンプしたジタンがバッツに覆い被さるが、バッツは前足でジタンの顔面を押し退ける。
フリオニールが買ってきたと言うボールは、ころころと明後日の方向に転がった。

ボールで一緒に遊べと言う話は一体何処へ行ったのだろう。
呆れつつ、スコールは今度こそ、と丸くなって目を閉じる。

ぽかぽかと心地の良い陽気の傍ら、もっと陽気で無邪気な声が、スコールの耳に届く。


「やったな、ジタン!仕返しだ!とうっ」
「うぉおっ!あっ、こら、耳噛むなよ!」
「じゃあ舐めてやるよ」
「オレを毛繕いして良いのは、可愛いレディだけだっ。野郎はお断り」
「そう言うなって、おれ達の仲だろ~」
「あいてて、お前乱暴だからイヤなんだっつの!」


ばたばた、キャンキャン、ごろごろ、キャンキャン。

賑々しい二匹のじゃれ合いに、静かにしろよ、とフリオニールは叱りに来ない。
出掛けているのか、何か手が離せない事でもしているのだろうか。
ちょっとで良いから、叱りに来てはくれないだろうか、と櫓の上で騒がしさに辟易しながらスコールは思う。

あっ、ボール、ボールで遊ぼうぜ、とようやっと思い出したジタンが言い出した。
そうだった、そうだった、と言いながら、バッツがボールを回収しようとすると、横から風が駆け抜ける。
一足先にボールを奪ったジタンが、ふふん、と尻尾を振って自慢するように咥えたボールを見せ付けた。
おれのだぞ!と奪い取ろうとするバッツから、ジタンが走って逃げ回る。

キャンキャン、どたばた、キャンキャン、どたばた。

ああ、煩い。
スコールは音を嫌うように耳を伏せながら思った。
折角気持ち良く昼寝をしていたのに、これでは二度寝出来そうにない。


(………)


むくっと起き上がったスコールの狭い眉間には、くっきりと皺が浮いている。
スコールは四方50センチ程度の足場に立つと、櫓を一段、二段とゆっくりと音を立てずに下りて行く。

スコールは地上までは下りなかった。
櫓の一番下で足を止めて座ると、ボールを転がして結んだタオルを引っ張り合って遊ぶジタンとバッツを一瞥し、


「……あんた達、もうちょっと静かにしろよ」
「おっ」
「おぉっ」


我慢の限界を訴えるように、低い声で言ったスコール。
ジタンとバッツは、タオルを引っ張って二匹揃って上下逆さまに引っ繰り返った状態で、スコールを見上げた。
何をどうしたらそんな体勢になるんだ、とスコールは益々呆れる────が、そんな悠長な事をしている暇はなかった。


「スコール!」
「スコール!」


遊ぼう!と二つの声が重なって、スコールに二匹が飛び付いた。
一瞬の内に間近に迫った二匹の影に、思わずスコールの尻尾がぶわっと爆発する。

櫓の一段にいたスコールは、二人に押し退けられるように、後ろに引っ繰り返った。
どうしてあの櫓の一段目は、あんなに低い位置にあるのだろう、と妙に冷静な事を考えたのは、一瞬だけ。
ごちっ、とスコールは後頭部を打って、その上にジタンとバッツが二匹揃って覆い被さって来たものだから、溜まったものじゃない。
幾ら二匹とも小型犬で、猫のスコールと大差ない体格をしているとは言え、二匹分の体重はやはり重い。
ごろごろと団子になった状態で転がった後、三匹は上からバッツ、ジタン、スコールの順で重なり合って倒れた。


「あいててて……」
「うあー……やっちまった」
「………このっ!」


暢気に呻くバッツとジタンの声に、スコールが苛々とした声を上げた。
ぐっと体に力を入れて起き上がり、背中に乗った二匹を振り落とす。
ころんころん、と二匹が床を転がっている隙に、スコールは大きくジャンプして、櫓の三段目に上った。


「あっ」
「あっ」
「ふん」


櫓は全部で四段になっており、一段目は低い位置にあるが、二段目からは高さがある。
猫のスコールにとっては特に問題のない高さだが、犬のジタンとバッツにとってはそうではない。
だから此処は、スコールにとって絶対不可侵の安全地帯だ。


「スコールぅ」
「スコール、悪かったよ。怒るなよ」
「………」
「お詫びにおれのおやつ、あげるからさ」
「オレもオレも」
「………」


訴える二匹に、スコールは知らない、と言わんばかりにつんとそっぽを向いてやる。

台から食み出て重力に垂れる尻尾に、二匹の鼻先がじゃれてくる。
スコールは尻尾の先端で、ぺしっと二匹の頭を叩いてやった。
それきり、スコールは尻尾すらも引っ込めて、つんと二匹に背中を向けて丸くなった。





[犬59&猫8]いっしょにあそぼ! 2

  • 2013/10/30 21:54
  • Posted by


ジタンとバッツはしばらくの間、スコールの名前を呼びながら、ぐるぐると櫓の周りを歩き回っていた。
遊ぼうぜ、寝てるだけなんてつまんないぞ、ボール遊びしよう、綱引きしよう、とキャンキャンと小型犬らしい鳴き声が響く。
スコールの三角の耳がぴくぴくと反応したが、起きてやるもんか、と意地になったようにスコールは動かない。
ジタンとバッツは、櫓の一段目の低い台に前足を乗せて、スコール、スコール、と猫を呼ぶ。

頑として反応しないスコールの様子に、しばらくするとジタンとバッツも諦めた。
再び遊び始めた二匹は、キャンキャンと声を上げて、押し合ったり転がったりと賑やかだ。
バッツがボールを咥えて走り、ジタンがそれを追い駆けて、後ろから飛び付くと、驚いたバッツの口からボールが転げ落ちる。
直ぐにジタンがボールに飛び付こうとすると、押し退けるようにバッツがボールを咥えて逃げた。


「オレにも遊ばせろよ!」
「へっへっへ。欲しかったら盗んでみろよ」
「言ったな。絶対に取ってやるから、死ぬ気で逃げろよ!」


ぶんぶんと尻尾を振ったジタンが、強く地面を蹴って、逃げるバッツを猛追する。
迫るジタンを見返りながら走っていたバッツが、前方不注意でクッションの山に突っ込んだ。
詰まれていたクッションがどどどっと落ちて来て、二匹はすっかり埋もれてしまう。

もぞもぞとクッションの山の一角が動いて、ぴょこり、と二匹が頭を出した。


「何やってんだよ、バッツ」
「あっはっは。失敗失敗」


クッションの上に身体を持ち上げた二匹は、ぶるぶると大きく体を震わせる


「あー、ボール何処行ったかな」
「落としたのか?」
「多分。埋まっちまったかなー」
「おいおい。貰ったばっかりなのに、もう失くすなよ。んーと……」


ジタンがくんくんと鼻を鳴らしながら、クッションの下に埋もれているであろうボールを探し始める。
バッツも一緒にクッションの上を歩き回り、何処かにある筈のボールを探す。

ボールは真新しいので、まだこの部屋のものではない匂いがする。
だから見付けるのはそれ程難しくはない筈だ、と二人はクッションの山に頭を突っ込んで、根気良く探していた。
────が、二匹の努力の傍らで、ボールはクッションの山裾からころころと転げ出していた。
クッション山を掘り返す事に夢中になっている二匹は、その事に気付いていない。

こっちか?こっちか?と二匹でクッション下に潜り込んで動き回る様子を、スコールが櫓の上から見下ろしていた。


(……何やってるんだ?)


睡魔の妨げとなっていた賑やかさが落ち付いて、これで眠れる、と思っていたのは、ほんの少しの間だけ。
打って変わって静かになった室内に、俄かに落ち着かなくなってきて、スコールは寝るのを止めた。
さて静かになった二匹は何をしているのか、と思って見下ろすと、ご覧の様。

櫓の上にいるスコールからは、部屋の様子や、ジタンとバッツの動きがよく見える。
二匹がボールを探してクッションに顔を突っ込んでいるのも判ったし、クッション山の傍できらきらしたボールが転がっているのも見えた。
ボール探しと言う名目でクッション遊びをしているのだろうか、とも思ったが、二匹は真剣にボールを探しているらしい。

やれやれ、とスコールは嘆息して、ひょい、と櫓から飛び降りた。


「あんた達、いつまでそうしてるんだ」
「おっ、スコール」
「ボールが見付からないんだよ。スコールも一緒に探してくれよ」


下りて来たスコールを見付けて、ジタンの尻尾がぱたぱたと振れる。
その傍らで、バッツがクッションに頭を突っ込みながら言った。

スコールは足下に転がって来たきらきらのボールを、前足で捉まえる。


「あんた達が探してるボールって、これじゃないのか」
「へっ」
「えっ」


二匹がぱっと振り返る。
空色と褐色がスコールを見て、その足下を見て、


「おお!流石スコール!」
「スコールすげー!」
「あんた達が鈍いだけだろう……」


前足でちょんちょんとボールを突いて、スコールは溜息交じりに言った。

クッション山を乗り越えて来る二匹に向かって、スコールはボールを転がした。
が、二匹はボールを飛び越えて、スコールへと突進する。


「スコール!」
「ボール遊びしようぜ!」
「!!」


フギャッ!?とスコールの驚いた声が漏れた後、どたんばたんと賑やかな音。
引っ繰り返ったスコールを、ジタンとバッツが上から覆い被さるように重なって、二匹はハッハッと嬉しそうに尻尾を振ってスコールの顔を舐める。


「また、あんた達っ……!」
「遊ぼうぜー」
「昼寝ばっかりすんなよ、構えよー」


二匹に顔を余すところなく舐められて、スコールの眉間に皺が寄る。

フギャアッ!とスコールの威嚇の声。
びくっとジタンとバッツが固まった瞬間に、スコールは素早く二匹の下から逃げて、櫓へ飛び乗る。
我に返った二匹は直ぐにスコールを追おうとしたが、櫓の三段目に逃げたスコールの下へは、犬であるジタンとバッツが頑張っても先ず届かない。

スコール、スコール、と二匹の呼ぶ声。
スコールはむすっと眉間に皺を浮かべて、足下にいる二匹を見下ろした。


「悪かったって。怒るなよ」
「怒ってない」
「じゃあ遊ぼうぜ」
「遊ばない」
「なんでだよー」
「なんでもだ。遊びたいなら、あんた達だけで遊んでれば良いだろ」


俺は遊ばない、ときっぱりと言い切るスコールに、二匹は心なしか寂しそうな表情を浮かべる。


「それじゃスコールが仲間外れになっちゃうじゃんか」
「そんなの寂しいだろ。だから一緒に遊ぼうぜ」


────仲間外れも何も、スコールは猫で、ジタンとバッツは犬だから、最初から仲間ではない。
同じ人間に拾われて、同じ場所で生活してはいるけれど、それだけだ。
猫は犬になれないし、犬は猫になれないから、仲間になんてなれない。

ぷい、とスコールはそっぽを向いた。
そんなスコールに、ジタンとバッツは顔を見合わせ、仕方ないかぁ……とスコールを呼ぶのを止める。

ころころと転がったボールが、ジタンと足にこつんと当たった。
かぷっとジタンがボールを咥えて持ち上げると、よし、遊ぼう、とバッツが言った。
二匹の尻尾が楽しそうに振られ、ぱたぱたと駆け回る二匹の足音が聞こえる。

櫓の上でそれを聞いていたスコールは、徐に視線を落としてみた。
転がるボールを前足で突き合って遊び、楽しそうに尻尾を振る二匹の姿が見える。


「………」


スコールはゆっくりと櫓を下りた。
すとり、すとり、としなやかな動きで下りて行くスコールは、決して足音を立てない。

床まで降りると、スコールはその場に伏せた。
キトゥン・ブルーの視線の先には、ぱたぱたと左右に触れるバッツの尻尾がある。
その向こうには遠目にジタンの尻尾もあり、バッツとシンクロするように尻尾を左右に振っている。

そぉっと前足を伸ばす。
ぱたぱたと振れる尻尾を追うように、スコールの前足がぴょこぴょこと手招きするように動いた。
丸めた爪先が、ふさふさとした尻尾に触れては離れ、また追い駆けるようにスコールは手招きする。
うずうず、うずうずとした表情で、スコールは静かにバッツの尻尾と戯れる。

────ぴたっ、とバッツの尻尾の動きが止まる。
むっ、とスコールが不満げに眉間に皺を浮かせると、尻尾が遠退いて、バッツの貌が間近にあった。


「…………」


文字通り、目を丸くして固まるスコール。
爛々と輝く褐色の向こうで、空色が楽しそうに笑っている。


「スコールー!」
「遊ぼうぜー!」


二匹が一緒に飛び掛かって来て、スコールの尻尾が爆発した。
飛び退いてクッションの山に逃げたスコールは、勢い余ってバランスを崩し、クッションの中に埋もれる。
其処へジタンとバッツも飛び込んだ。



かちゃり、とドアの開く音がする。
入って来た銀髪の青年────フリオニールは、クッションの隙間から覗く三本の尻尾を見て、くすりと笑った。

今日も我が家の猫と犬達は、仲良くやっているようだ。





ペットショップでポメラニアンとビーグルとスコティッシュフォールドが仲良く遊んでいたので。

大体こんな感じで、わんこ二匹がじゃれあい続け、にゃんこが時々加わっては逃げての繰り返しでした。

かわええ。

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