[レオン/謎パラレル]氾濫せよ、0と1の海
レオン・クラウド・スコールで電子妖精的なパロ。
情報学の勉強なんぞ何もしたことがないので、全部ただのイメージと妄想。
尻切れトンボ。今の所、続ける気はない。
電源を入れて、起動した機械の中に入る。
ゴーグルを嵌めれば世界は黒に閉ざされるが、スイッチを入れれば0と1の数字で埋め尽くされる。
いいか、と言う声がして、右手を挙げた。
それを合図に、カチ、と音が鳴って、耳の奥でヴ……と軌道音が響く。
0と1が頭の中へと潜り込み、急激な速さで侵攻し、頭の中を塗り替える。
耳障りな軌道音が消え、0と1の波が落ち着いて、目を開ければ────其処は無数の情報で溢れた、電子の世界。
ひゅう、と言う、無風無重力の世界でありながら、落ちて行く感覚に襲われる。
インプットし、学習された重力演算情報に倣っての表現のだろう、それに従うようにして後ろ髪が流れて行く。
それがしばらく続き、ようやく落ちる感覚が緩んで来ると、程なく、足が地面に辿り着く。
いや、実際は其処には“地面”と呼べるものもないので、単純に“落ちて行く”感覚が終わっただけと言うのが正しいか。
……言葉の表現については、この電子世界ではなんと説明しても当て嵌まりそうにないので、レオンは考えるのを止めた。
ピ、ガ、ザ、と耳元で不快な雑音が鳴る。
『どうだ、レオン』
聞こえた声は現実世界からのもの。
ゴーグルに取り付けられたインカムは、この電子世界内では視覚として再現されていない。
だからレオンを覆っていたあったごちゃごちゃとした機械は、この世界にはないのだが、現実の躯はそれらに縫い止められている。
レオンは辺りを見渡して、溜息を吐いた。
「酷い有様だな。ウィルスだらけだ」
『あんたの視覚情報をモニタに映していいか』
「ああ」
しばらくの沈黙の後、「映った」と言う声が聞こえた。
『……なんだ、これ』
「見たままだ」
レオンを囲っている風景は、嘗ての煌びやかで、けれど落ち着いた電子世界とは似ても似つかない。
規律正しく並んでいる筈の0と1の数字があちこちに飛び散り、配列の隙間には意味不明な数字の羅列が敷き詰められている。
この電子世界は、本来ならば0と1だけで構成されている世界だ。
其処に別の数字が入り込むなど、本来ならあってはならない出来事なのである。
一つでも潜り込めば、其処から様々な所に不具合が起きると言うのに、こんなにも沢山の誤情報が紛れ込むなど、有り得ない。
この風景も異常なものだが、この光景よりもレオンが異常に思うのは、
「此処までウィルスが広がっているのに、外には何も影響がないとは……」
0と1の世界を歩き出し、レオンは辺りを見回しながら呟いた。
『だから気付かなかったんだろ、そっちの世界がこんなになってるなんて』
聞こえてくる声には、溜息が混じっている。
今回の電子世界の異常に気付くのが遅れたのは、外の世界に全くの異常情報が出て来なかったからだ。
管理システムからの警告も、ウィルスチェッカーにも反応がなく、外の世界は平穏無事に過ごしている。
こうして異常状態を確認している今も、現実世界にいるパートナーは、何処かのんびりとしたものであった。
レオンも彼と共に外の世界だけを見ていた時は、それ程大きな異常はないだろうと思っていた。
しかし、現状を目の前にすると、悠長にしてはいられない事を実感させられる。
レオンは、0と1と、意味不明の数値の羅列が並んだ、情報の壁に近付いた。
手を伸ばして誤情報の塊に触れてみると、其処から小さな波紋が広がる。
すると、レオンの脚元ががくんと落ちて、レオンはその場に片足を揺らして座り込む羽目になる。
「……驚いた」
『なんだ?どうかしたか?』
「いや、なんでもない。大丈夫だ」
息を吐いて零した声にパートナーが問うてきたが、レオンは自分自身には問題ないと返す。
問題があるのは、この世界の方だ。
「ウィルスの所為だと思うが、あちこち可笑しなバグが起き易くなっている。ウィルスがデータを食い散らかしている所もあるし、除去プログラムだけだと追い付きそうにないな…」
『一応プログラムの注入だけ済ませて置くぞ。効果は期待できないと思うけど』
「ああ」
返事をすると、外の世界からの声はそれきり途絶えた。
プログラムの準備をしているのだろう。
レオンは外での対処はパートナーに任せる事にして、電子世界をしばらく歩き回る事にする。
一般人は中々入る事が出来ない電子世界であるが、レオンにとっては幼い頃から慣れ親しんだ場所だった。
閉ざされた空間で育たざるを得なかったレオンにしてみれば、情報が氾濫せんばかりに溢れている電子世界は、無限の遊び場のようなものだったのだ。
大人になるにつれて、電子世界は遊び場以上の意味を持つようになったが、愛着があるのは変わらない。
寧ろ、行った事のない、見た事のない外の世界よりも、レオンにとっては此方の方が故郷のように思える。
だから、こんなにも大量のウィルスに侵食されるまで、電子世界の異常に気付く事が出来なかった事が、レオンにとって悔しくてならない。
この世界は、レオンの遊び場であり、沢山の思い出が眠る場所だった。
そして、自分だけが知る“彼”に出逢える、唯一の世界でもあった。
────その“彼”の姿が、見当たらない。
レオンが電子世界にダイブすると、必ず“彼”は姿を見せてくれたのに。
早く、“彼”に逢いたい。
何かあったのかも知れない。
こんなウィルスに汚染された世界だ、“彼”も侵食されているかも知れない。
そう考えて、ひやりとしたものが背中を辿った直後、
「…れ、おん……」
呼ぶ声がして前方を見て、レオンは目を見開いた。
「スコール!」
0と1の粒子の中で、細い腕を伸ばす少年に、レオンは駆け寄った。
テクノ系でダークな音楽を聞いてたらふわ~っと浮かんできた話。
多分、レオスコでクラレオでクラスコな話。続かないけど。
情報学の勉強なんぞ何もしたことがないので、全部ただのイメージと妄想。
尻切れトンボ。今の所、続ける気はない。
電源を入れて、起動した機械の中に入る。
ゴーグルを嵌めれば世界は黒に閉ざされるが、スイッチを入れれば0と1の数字で埋め尽くされる。
いいか、と言う声がして、右手を挙げた。
それを合図に、カチ、と音が鳴って、耳の奥でヴ……と軌道音が響く。
0と1が頭の中へと潜り込み、急激な速さで侵攻し、頭の中を塗り替える。
耳障りな軌道音が消え、0と1の波が落ち着いて、目を開ければ────其処は無数の情報で溢れた、電子の世界。
ひゅう、と言う、無風無重力の世界でありながら、落ちて行く感覚に襲われる。
インプットし、学習された重力演算情報に倣っての表現のだろう、それに従うようにして後ろ髪が流れて行く。
それがしばらく続き、ようやく落ちる感覚が緩んで来ると、程なく、足が地面に辿り着く。
いや、実際は其処には“地面”と呼べるものもないので、単純に“落ちて行く”感覚が終わっただけと言うのが正しいか。
……言葉の表現については、この電子世界ではなんと説明しても当て嵌まりそうにないので、レオンは考えるのを止めた。
ピ、ガ、ザ、と耳元で不快な雑音が鳴る。
『どうだ、レオン』
聞こえた声は現実世界からのもの。
ゴーグルに取り付けられたインカムは、この電子世界内では視覚として再現されていない。
だからレオンを覆っていたあったごちゃごちゃとした機械は、この世界にはないのだが、現実の躯はそれらに縫い止められている。
レオンは辺りを見渡して、溜息を吐いた。
「酷い有様だな。ウィルスだらけだ」
『あんたの視覚情報をモニタに映していいか』
「ああ」
しばらくの沈黙の後、「映った」と言う声が聞こえた。
『……なんだ、これ』
「見たままだ」
レオンを囲っている風景は、嘗ての煌びやかで、けれど落ち着いた電子世界とは似ても似つかない。
規律正しく並んでいる筈の0と1の数字があちこちに飛び散り、配列の隙間には意味不明な数字の羅列が敷き詰められている。
この電子世界は、本来ならば0と1だけで構成されている世界だ。
其処に別の数字が入り込むなど、本来ならあってはならない出来事なのである。
一つでも潜り込めば、其処から様々な所に不具合が起きると言うのに、こんなにも沢山の誤情報が紛れ込むなど、有り得ない。
この風景も異常なものだが、この光景よりもレオンが異常に思うのは、
「此処までウィルスが広がっているのに、外には何も影響がないとは……」
0と1の世界を歩き出し、レオンは辺りを見回しながら呟いた。
『だから気付かなかったんだろ、そっちの世界がこんなになってるなんて』
聞こえてくる声には、溜息が混じっている。
今回の電子世界の異常に気付くのが遅れたのは、外の世界に全くの異常情報が出て来なかったからだ。
管理システムからの警告も、ウィルスチェッカーにも反応がなく、外の世界は平穏無事に過ごしている。
こうして異常状態を確認している今も、現実世界にいるパートナーは、何処かのんびりとしたものであった。
レオンも彼と共に外の世界だけを見ていた時は、それ程大きな異常はないだろうと思っていた。
しかし、現状を目の前にすると、悠長にしてはいられない事を実感させられる。
レオンは、0と1と、意味不明の数値の羅列が並んだ、情報の壁に近付いた。
手を伸ばして誤情報の塊に触れてみると、其処から小さな波紋が広がる。
すると、レオンの脚元ががくんと落ちて、レオンはその場に片足を揺らして座り込む羽目になる。
「……驚いた」
『なんだ?どうかしたか?』
「いや、なんでもない。大丈夫だ」
息を吐いて零した声にパートナーが問うてきたが、レオンは自分自身には問題ないと返す。
問題があるのは、この世界の方だ。
「ウィルスの所為だと思うが、あちこち可笑しなバグが起き易くなっている。ウィルスがデータを食い散らかしている所もあるし、除去プログラムだけだと追い付きそうにないな…」
『一応プログラムの注入だけ済ませて置くぞ。効果は期待できないと思うけど』
「ああ」
返事をすると、外の世界からの声はそれきり途絶えた。
プログラムの準備をしているのだろう。
レオンは外での対処はパートナーに任せる事にして、電子世界をしばらく歩き回る事にする。
一般人は中々入る事が出来ない電子世界であるが、レオンにとっては幼い頃から慣れ親しんだ場所だった。
閉ざされた空間で育たざるを得なかったレオンにしてみれば、情報が氾濫せんばかりに溢れている電子世界は、無限の遊び場のようなものだったのだ。
大人になるにつれて、電子世界は遊び場以上の意味を持つようになったが、愛着があるのは変わらない。
寧ろ、行った事のない、見た事のない外の世界よりも、レオンにとっては此方の方が故郷のように思える。
だから、こんなにも大量のウィルスに侵食されるまで、電子世界の異常に気付く事が出来なかった事が、レオンにとって悔しくてならない。
この世界は、レオンの遊び場であり、沢山の思い出が眠る場所だった。
そして、自分だけが知る“彼”に出逢える、唯一の世界でもあった。
────その“彼”の姿が、見当たらない。
レオンが電子世界にダイブすると、必ず“彼”は姿を見せてくれたのに。
早く、“彼”に逢いたい。
何かあったのかも知れない。
こんなウィルスに汚染された世界だ、“彼”も侵食されているかも知れない。
そう考えて、ひやりとしたものが背中を辿った直後、
「…れ、おん……」
呼ぶ声がして前方を見て、レオンは目を見開いた。
「スコール!」
0と1の粒子の中で、細い腕を伸ばす少年に、レオンは駆け寄った。
テクノ系でダークな音楽を聞いてたらふわ~っと浮かんできた話。
多分、レオスコでクラレオでクラスコな話。続かないけど。