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2013年02月02日

[クラ×レオ&子スコ]なぞなぞわかるかな

  • 2013/02/02 01:35
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なぞなぞって色々ありますね。
とんちの聞いてるものもあれば、モジリや言葉遊び、単純な発想のものまで。
問題の出し方によって、受け取る側にわざと特定のものを連想させたりして。

そんな感じでクラウド×レオン&子スコです。
2・3・4に下ネタがあります。ご注意。

なぞなぞわかるかな 1
なぞなぞわかるかな 2
なぞなぞわかるかな 3
なぞなぞわかるかな 4


設定が若干被ってる雰囲気がありますが、サラリーマンレオンさん&子スコとは別設定。の筈(あまり考えてなかった)

[クラ×レオ&子スコ]なぞなぞわかるかな 4

  • 2013/02/02 01:32
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様子が可笑しいレオンに、スコールは心配そうに声をかけ続けてみるが、横から伸びて来た腕がスコールを持ち上げる。
下ろされたのは、クラウドの膝の上だった。


「クラウド。お兄ちゃん、変だよ。どうしちゃったの?」
「大人には色々あるんだ。で、まだなぞなぞやるのか?」
「やるっ」
「よし。じゃあとっておきのなぞなぞを出してやろう。スコールに解けるかな」


挑発的なクラウドの言葉に、スコールの目がきらきらと輝く。
難しい問題程、解き甲斐がある事を、スコールは既に知っているのだ。
クラウドは、そんなスコールと、俯いたまま動かないレオンを満足げに眺め、にやりと───なんとも意地の悪い───笑みを浮かべ、


「ちんちん電車から“電車”を取ると、何が残る?」


にやにやと、笑みを浮かべたクラウドの言葉に、スコールはきょとんと瞬きを一つ。
その傍らで、俯いていたレオンが頭を上げ、数秒の沈黙。


「え…え?」
「………」
「どうした?判らないか?ああ、ちんちん電車って知らないか」
「ん、んーん。知ってる。町の中を走ってる電車でしょ」
「そうだ。そのちんちん電車から“電車”を取るとどうなる?」


おろおろとし始めたスコールと、また固まって動かなくなったレオンに、クラウドは笑みを深める。


「え…んっと…んと……」


スコールは視線を右往左往させ、落ち着きなくシャツの裾を握ったり開いたりを繰り返している。
その丸い頬はほんのりと紅潮しており、眉が困ったようにハの字になっていた。

そんな弟の傍らで、レオンも視線を右往左往させていた。
口元に手を当てて考え込むその姿は、答えを必死で探しているのがよく判るのだが、彼の頬も弟と同様、ほんのりと赤らんでいる。
それを見付けたクラウドは、にやにやと笑みを浮かべながらレオンに近付き、


「どうした、レオン。顔が赤いぞ」
「な……だ、れの所為だとっ…!」
「ん?誰の所為だ?さっぱり判らないな。俺はなぞなぞを出しただけだから」
「だから、そのなぞなぞが……」
「なぞなぞが原因?じゃあ、レオンはなぞなぞの答えが判ったんだな?」


ずいずいと顔を近付けてくるクラウドに、レオンが逃げるように仰け反る。


「なんだ?言ってみろ。判ったんだろ?」
「いや、その…、」


赤い顔で口籠るレオンに、クラウドが更に迫る。
その傍らで、スコールが兄と同じように赤い顔でもじもじと手遊びしている。


「なんだ、スコールも判ったのか?」
「え、ん……う、ん、……たぶん……、ん、んとね…」
「待て。スコールはさっき答えたからな。今度はレオンに先に答えさせてやろう」
「なっ…!」


クラウドの言葉に、レオンが絶句する。
ふざけるな、と怒鳴りかけたレオンだったが、じっと見上げる丸い青灰色に気付いて、言葉を失う。
赤い顔で、縋るように見つめる弟は、兄の答えを聞く事で、自分の答えに確信を持ちたいのだろう。
兄ならば、きっと正しい答えを教えてくれる筈だと信じて。

弟から寄せられる無心の信頼と期待の眼差しが、今初めて、レオンには怖かった。
じっと見つめる蒼灰色の瞳から逃げたくて、けれど、弟の信頼を裏切るなどレオンに出来る筈もなく、言葉を失ったままフリーズするしかない。

そんな中、金髪の男はにやにやと意地の悪い笑みを浮かべているはかり。


「判らないのか?レオン。お前には簡単ななぞなぞだと思ったんだが」
「…お、お前、な…!」
「ほら、レオン。なぞなぞの答え、スコールに教えてやらないと」


怒りと、それとはまた別の感情で体を震わせる兄を、スコールが心配そうに見上げている。
弟にいつまでもそんな顔をさせている訳には行かない。
しかし─────しかし。

ぐるぐると考えていたレオンだったが、クラウドは問題を切り上げる気がないと悟ると、腹を括る事に決めた。
こういう事は、下手に躊躇うから駄目なのだ。
一言、さらりと言ってしまえば、それで終わり。
終わりになる。

────と言う旨を、延々と自分自身に言い聞かせた末、


「……………………ち…………ちん、ちん……………………」


消え入りそうな声で呟くのが、レオンの精一杯だった。

クラウドの出したなぞなぞが、問題内容に反して普通の答えばかりだったから、ひょっとして今回も引っ掛けではないのかと思ったのだが、可笑しな答えの問題も混じっていたし……と、延々と考えていたレオンだったが、どう考えても、この答え意外思い付かない。
答えを言わないと解放してくれそうにないので、止むを得ず腹を括ったが、やはり恥ずかしい、と言うかいっそ死んでしまいたい。
何が悲しくて、25歳の男がこんな言葉を吐かねばならないのか。
レオンは本気でそう思っていた。

頭に薬缶を乗せたら沸騰するのではないかと思う程、レオンの顔は赤くなっている。
そんな兄を見て、スコールは更に真っ赤になっていた。


「成る程、それがレオンの答えか。じゃあスコール、お前は?」
「ふぇっ」


矛先を向けられて、スコールがびくっと跳ね上がった。
あう、あう、と赤い顔で口をぱくぱくさせるスコールに、可愛いな、とクラウドは独り言ちる。


「えっ、えっと…、……お、お兄ちゃんと、いっしょ…」
「その答え方はずるいぞ、スコール。ちゃんと自分で言うんだ」
「ふえ、えっ、…ん、んと…」


クラウドの意地の悪い言葉に、スコールはおろおろと戸惑う。
助けを求めて兄を伺うが、レオンは先の自分の発言で深いダメージを負って立ち直れずにいる。

自分の答えは、自分できちんと口にしなければいけない。
至極真面目な顔で言うクラウドに、スコールも「そうかも…」と思いつつあった。


「ん…んと………えっと、じゃあ、言う、ね」
「ああ」
「……ち、…ちん、ちん…?」


おずおずと言ったスコールの声は、兄と同じように、聞き逃しそうな程に小さい。
クラウドはん?と耳を欹てるように傾けて見せ、


「ちょっと聞こえなかったな。もう少し大きい声で言ってくれ」
「だ、だから………ちんちん…………でしょ…?」
「まだ聞こえないな」
「う、あう………………………………………う…………」


じわあ、と青灰色の瞳に浮かび上がる雫。
それを見て、あ、不味い、とクラウドは思ったが、時既に遅く、


「いい加減にしろ、この変態!!!」


怒号と共に回し蹴りがクラウドの頭部を蹴り飛ばし、クラウドはきゅりきゅりときりもみしながらベッドから吹き飛ぶ。
レオンは真っ赤な顔でぐすぐすと泣きじゃくる弟を抱き上げて、フローリングに倒れている男を睨み付けた。


「悪ふざけもセクハラも大概にしろ!」
「痛……人聞きの悪い…誰もセクハラなんかしてないぞ」
「何処がだ!あ、あんな問題…なぞなぞでも何でもないだろう!」


怒り心頭にクラウドを睨み付けるレオンだったが、その顔は未だに赤らんでおり、いまいち迫力に欠ける。
そうでなくとも、クラウドに彼の睨みが効いたかどうかは、怪しい所だったが。

クラウドは全力で蹴り飛ばされた後頭部を摩りながら起き上ると、兄弟揃って真っ赤になっている二人を見上げ、


「さっきのなぞなぞのお前達の答えなんだがな。二人とも“ちんちん”で良いんだな?」


改めて言われ、レオンの眦が吊り上がり、スコール隠れ場所を求めるように兄にしがみ付く。
いい加減にしろよ、と怒鳴りかけたレオンだったが、


「残念ながら、間違いだ」
「……は?」
「答えは“線路と駅”。走る電車がなくなったら、それしか残らないだろ?」


クラウドの言葉に、レオンとスコールはぽかんとした表情で口を開けている。
ぱち、ぱち、と二人同じタイミングで瞬きを繰り返す兄弟の表情に、レアだな、とクラウドは思った。

そのままいつまでも固まっていそうな二人に、クラウドはにやりと何度目か知れない意地の悪い笑みを浮かべ、


「こんな問題に、どうして二人とも恥ずかしがってたんだ。それも答えが“ちんちん”なんて下ネタだとは。全く、二人ともいやらしいな。これは俺も相応に応えてやらないといけ」



──────クラウドが最後まで言葉を紡ぐ事はなく。

二発目の回し蹴りで寝室を追い出された彼は、それから一週間、兄弟と寝所を共にさせて貰えなかった。






下ネタなぞなぞでクラウドがセクハラすると言うネタを頂きました。
レオンさんだけでなく子スコまで餌食です。けしからん。羨ましい←え?

[クラ×レオ&子スコ]なぞなぞわかるかな 1

  • 2013/02/02 01:16
  • Posted by



「お兄ちゃん、お兄ちゃん」


くいくい、とズボンの端を引っ張られて、レオンは洗い物の手を止めた。
視線を下に向けてみれば、絵本を腕に抱えて、楽しそうな表情で兄を見上げるスコールがいる。


「あのね、あのね。ガムはガムでも、食べられないガムってなーんだ?」


わくわくとした表情で見上げる弟の瞳には、期待の色が爛々と光っている。
それを見て、レオンはうーん、と考える仕草を見せた後、


「食べられないガムか」
「うん」
「ガム…ガム…ガムテープ、かな?」
「当たり~!」


ぱちぱちと手を鳴らすスコールに、レオンはくすりと笑って、可愛いな、と思う。
最後の洗い物を終わらせて、水気を拭いた手でぽんぽんと柔らかいダークブラウンの髪を撫でる。


「じゃあね、じゃあね。えーっと……船は船でも、動かない船はなーんだ?」
「動かない船か……作っている途中の船とか?」
「はずれ~」
「うーん」


首を捻って考える仕草を考える兄に、スコールはくすくすと楽しそうに笑っている。
いつも色んな事を教えてくれる、沢山の事を知っている兄が、答えを探して悩んでいる様子が珍しくて面白いのだろう。

スコールは今、なぞなぞに嵌っている。
子供向け番組を見ている時に出てきた問題を、見事全て正解した時の喜びが忘れられなくなったらしく、昨日も本屋に連れて行った時、なぞなぞ遊びの絵本を強請った程である。
絵本には1ページに5問のなぞなぞが並べられていて、20ページ程のページ数なので、全部で約100問。
前半は小学生の低学年レベルのなぞなぞだが、後半に行くに連れて難易度が上がり、高学年向きの内容になっている。
スコールは今年で小学1年生になったばかりだが、頭の回転が速く、幼さ故に且つ柔軟で自由な発想が出来るスコールは、既に3年生のレベルのものをクリアしている。

昨日の夜から、今日の今まで、スコールはまたなぞなぞ遊びに耽っていた。
が、一人で解き遊ぶのに飽きたのだろうか。
身近な人にも問題を出してみよう、と思い至り、早速兄の下へやって来たと言う経緯であった。

小さな子供が解けるなぞなぞは、大人のレオンにとって、子供騙し程度の難易度だ。
しかし、だからと言ってさっさと解いてしまっては、問題を出す方が面白くないだろう。
だからレオンは、焦らすようにうんうんと唸って、じっくりと考えて見せてから、うずうずとしている弟を見て、


「ちょっと判らないな。答え、教えてくれないか?」
「答えはねー、湯船!お風呂の事だよ」
「成る程。確かに、湯船は動かないからな」


納得したようにレオンが言えば、「そうそう!」と言ってスコールがはしゃぐ。


「スコールは判ったのか?このなぞなぞの答えがお風呂だって」
「わかった!」
「スコールは頭が良いな」
「えへへ」


くしゃくしゃと兄に頭を撫でられて、スコールは嬉しそうに頬を赤らめた。
買って貰ったなぞなぞの絵本を、宝物のように抱き締める。

甘えん坊の弟を抱き上げて、レオンはリビングに戻った。
リビングではテレビの電源がついていて、ソファの肘掛けから金色の突起が見えている。
兄弟と同居しており、レオンの恋人であるクラウドが、ソファの上に寝転がっているのだ。


「クラウド、行儀が悪いから起きろ……何を不貞腐れているんだ、お前」


背凭れ越しに恋人の顔を覗き込んで、レオンは彼の表情を見て顔を顰めた。

クラウドは普段、滅多に感情を表に出さず、表情を崩す事も少ないので、覇気がないように見える。
しかし何故か、不満や不服と言った感情だけは素直に顔に出て来る事が多かった。
今が正にそれで、クラウドは表情こそ常と大した変化はないものの、不機嫌なオーラがじりじりと滲み出ている。

クラウドは渋々と言う様子で起き上がると、レオンの腕に抱かれている子供をちらりと見遣り、


「俺に問題を出した時は、つまらないって言ったのに…なんでレオンだと楽しそうなんだ…」
「はあ?」


何を言っているんだ、と首を傾げるレオンに、スコールが言った。


「だってクラウド、つまんないんだもん」
「…何がどう詰まらなかったんだ?」
「なぞなぞ、僕が問題読んでるのに、直ぐ答え言っちゃうの。つまんない」


ぷく、と頬を膨らませたスコールの言葉に、ああ成る程、とレオンは納得した。

洗い物をしているレオンの所に行く前に、スコールはリビングで一緒に過ごしていたクラウドにも問題を出していた。
クラウドは快くそれに応じていたのだが、レオン同様、大人である彼に、小学生向きの問題は簡単すぎる。
問題や答えの出し方もパターン化しているものや、文中の単語から駄洒落をもじった答えになっている事が多く、大人は問題を一見(または問題を途中まで読む)しただけで答えを導き出す事も出来る。

だが、テレビ番組の早押しのようなクイズゲームならともかく、小さな子供の遊びに、大人の力を如何なく発揮させると言うのは、如何なものか。
子供は問題を読み、答えるまでの一連の流れ、その一つ一つ全てが楽しみなのだ。
最初は問題途中で正解を導き出す大人に、凄い凄いとはしゃいでくれるが、それが何度も何度も続いてしまうと、次第に飽いてしまう。
難しい問題を出して、相手が悩んでいる所も見てみたいのに、相手がその期待にちっとも応えてくれないとなると、良くも悪くも自分の思考で世界が一杯な子供は、答えてくれない相手に不満を持ってしまうものであった。


「……クラウド。お前が悪い」
「何故だ!?答えが判ったから答えただけだぞ、俺は。クイズはそういうものだろう!」


何が悪いのか、何が原因でスコールの機嫌を損ねたのか、彼は全く判っていないらしい。

レオンは一つ溜息を吐いて、拗ねた顔で抱き着いている弟の頭を撫でてやった。
スコールは兄の手に甘えながら、むーっと剥れた顔のままクラウドを見て、


「クラウドには、もうなぞなぞ出してあげない」
「え。ちょっと待て、スコール」
「つまんないもん」
「待て。リベンジだ。もう1問出してくれ、今度こそ」
「やだっ」


なぞなぞに嵌っているスコールが、「なぞなぞ出してあげない」と言う事は、「構ってあげない」と同じ意味と取って良い。
可愛がっている子供に冷たくされるのは、流石にクラウドも応えるらしく、ちょっと待ってくれとクラウドはスコールを抱き上げているレオンに縋り付いて来る。


「馬鹿、重い!邪魔だ!」
「スコール、もう1問。今度こそお前の期待に応えてみせる」
「やだっ」
「頼むスコール、俺を捨てないでくれ!」
「子供相手に何を寝惚けた事を言っているんだ、お前は!」


ごすっ!とクラウドの脳天にレオンの踵が直撃する。
躊躇のない一撃を喰らい、床の上で屍となった恋人を放置して、レオンは寝室へ向かうのだった。




なぞなぞわかるかな 2



クラウドに悪気はない。でもスコールにはつまんなかった。

[クラ×レオ&子スコ]なぞなぞわかるかな 2

  • 2013/02/02 01:15
  • Posted by



いつもなら眠くなる時間だろうに、今日はまだまだ元気らしい。
ベッドの上で、レオンへのなぞなぞを絵本の中から選ぶスコールの目は、ぱっちりと冴えている。


「料理に使うちょうちょってなーんだ」
「料理に使う……それはきっと、ちょうちょじゃないんだろう?ちょうちょは料理が出来ないからな」
「んー…うふふ」


レオンの指摘に、スコールはにこにこと笑っているばかり。
ヒントや答えを出し渋って見せる様子は、テレビのクイズ番組からの影響だろう。
正解か、不正解か、焦らしてドキドキさせる効果を演出しているつもりなのだ。

レオンは腕を組んで考える仕草をして見せた後、


「料理…ちょうちょ…ちょう、……判った、包丁だ」
「当たりー!」


ぱちぱちとスコールが嬉しそうに拍手する。

じゃあ次はね、とスコールが絵本のページを捲ろうとした時、がちゃり、と寝室のドアが開く音がした。
レオンが顔を上げると、頭を摩りながらクラウドが入ってくる。
そして、ベッドに並んで横になっている兄弟を見ると、さっさと自分もベッドに入り込み、レオンの背中にぴったりと密着する。


「……暑苦しい。離れろ」
「嫌だ。スコール、俺にもなぞなぞ」
「やっ」


ぷいっ、とそっぽを向いてしまうスコールに、レオンは背中の男ががっくりと落ち込むのを感じ取った。
スコールはいつも素直な性格だが、意外と頑固な所もあるので、一度ヘソを曲げてしまうと、中々許してくれない。

「凄いって言ってたから答えてたのに…」と、ぶつぶつと呟くクラウドに、レオンは加減をしないからだと言った。
腰に回された腕が、ぎゅうう、としがみ付いて来るのを感じて、仕様のない奴だと溜息を吐く。


「スコール。クラウドも十分反省してるようだから、そろそろ許してやれ」
「……むぅ……」


頬を膨らませ、不満そうに見つめる蒼灰色を、クラウドが縋るように見詰める。

ガラス玉のような色合いをした碧眼が、スコールは好きだ。
だから、その綺麗な瞳が悲しそうにしているのは、見たくない。
なぞなぞの事だって、クラウドは答えが判ったから答えていただけだし…と考えて、


「うん。もう怒ってない」
「よし、いい子だ。ほらクラウド、お前もちゃんと謝れ」
「悪かった、スコール」


レオンに促されて詫びたクラウドに、スコールは起き上がって、レオンの肩口から顔を覗かせているクラウドに顔を寄せる。
仲直りの印、と頬を当ててすりすりと頬擦りする小さな子供に、レオンは密着した男が至福の絶頂を迎えているのを感じていた。

クラウドがスコールの頭を撫でると、スコールはくすぐったそうに笑う。
それを見て、クラウドは安堵したようにほっと息を吐き、


「スコール。お詫びに俺からなぞなぞを出そう」
「なぞなぞ?何?どんなの?」


破顔して食い付いたスコールに、クラウドはそうだな…としばし考えて、


「男の子と女の子がピッタリくっついてある事をして、さらに終わった後に、女の子が男の子に“大きい”と一言。さて、二人は何をしていたでしょう」
「……う?」
「クラウド!!!」


首を傾げるスコールの傍らで、跳ね起きたレオンの拳が、クラウドの頭頂部をあらん限りの力で殴りつける。
特大のタンコブを作ってベッドに沈むクラウドから、レオンはスコールを庇うように背に隠した。


「お前っ、子供になんて問題出してるんだ!」
「…何言ってるんだ、レオン。これは単なるなぞなぞだぞ?」
「内容が悪いと言ってるんだ!」


頭を摩りながら起き上り、弁明するように言ったクラウドに、レオンは怒鳴る。

スコールは、珍しく声を荒げる兄の姿に、きょとんとした表情を浮かべている。
スコールには、兄がどうしてこんなにも怒っているのか、まるで理由が判らないのだ。
今のなぞなぞに何か悪い所があるのか、思い返してみても、やはり判らなくて首を傾げるばかり。
ついでに、なぞなぞの答えも判らない。


「スコールもきっとした事があるぞ。ちなみに一文字目は“せ”で、三文字目は“く”だ」
「有る訳ないだろう!」
「うー…判んない。答え、何?」
「なんだ、判らないのか」
「判らなくて良い!」
「なんで?お兄ちゃん、答え判ったの?」


レオンの叫びに、スコールはことんと反対側に首を傾げた。
それを見て、レオンはぐっと言葉を詰まらせる。

言えない。
答えも、それを言えない理由も、言える訳がない。
だってスコールはまだ小学生になったばかりで、子供で、何も知らなくて、本当に純真なのだ。
そんな弟に、この問題の答えを教える訳には──────

真っ赤な顔で言葉を失ったレオンに、兄の心中を知らない弟は、不思議そうに首を傾げるばかり。
クラウドはそんなスコールと目を合わせ、


「答えは“背比べ”だ。やった事ないか?」
「ある!……僕、女の子よりちっちゃかった…」
「そうか。じゃあ、俺の問題の出し方が悪かったな」


眉尻を下げて言ったスコールに、クラウドは慰めるようにぽんぽんと頭を撫でてやる。
それから、赤い顔で呆然としているレオンを見て、


「レオンは、答え、なんだと思ってたんだ?」


にやにやと意地の悪い笑みを滲ませて言ったクラウドに、レオンの顔が沸騰したように耳まで赤くなった。
それを見たスコールが、また不思議そうに見つめて来るから、レオンは益々恥ずかしくなる。

なんでもない、と言って二人から目を逸らした兄に、スコールはどうしたんだろう、と首を傾げる。
お兄ちゃんどうしたの、と言っても、兄もクラウドも、何も教えてはくれなかった。
誤魔化すようにクラウドに頭を撫でられて、スコールは不満げに唇を尖らせたが、


「どうだ、俺のなぞなぞ。まだ一杯あるんだが」
「一杯?」
「ああ。やるか?」
「やる!」


正に今、なぞなぞブーム真っ只中のスコールにとって、この誘惑は魅力的だった。
兄もそっぽを向いたままこっちを見てくれそうにないし、なんだか赤い顔をしているから、ひょっとしたら少し気分が悪いのかも知れない。
あんまり構って構ってと言うのも良くないだろうと思って、スコールはクラウドに飛び付いた。

─────その無邪気さが、この夜、長くに渡って兄を苦しめる事になるのだが、幼い子供には判る筈もない話であった。




なぞなぞわかるかな 3



子供の純粋さを見て、自分が汚れているような気がしたレオンさん。
クラウドは確信犯。

[クラ×レオ&子スコ]なぞなぞわかるかな 3

  • 2013/02/02 01:14
  • Posted by



「好きな人と一緒にいると、たってしまうものは?」
「んぅ……?」
「答えは時間だ」
「あーっ、言っちゃダメ!まだ考えてたのに!」
「……すまん」

「毛むくじゃらで、バナナから連想できて、“チ”で始まるものは?」
「クラウド!お前、また…!」
「バナナ……あっ、チンパンジー!お猿さん!」
「正解だ」

「女の子が大人になるまで、どれぐらいの時間がかかる?」
「おとな…?おとなって、何歳からおとな?」
「成人を大人で区切るなら、20歳だな」
「じゃあ…20年?」
「外れ。答えは一月」
「なんでそんなに早いの?」
「答えは一月、ひとつき、一突き……つまり突いたら」
「黙れ!!!」

「黒くて硬くて、先っぽからチョロっと液を出すものなんだ?」
「……?」
「これだ、こう。こうすると出て来る」
「こう?」
「おい、子供に何をやらせてる?!」
「?お兄ちゃん、どうしたの?」
「ちなみに答えは万年筆だ」
「まんねんしつってなに?」
「ボールペンみたいなものだと思えば良いか」
「…知らないもん」
「俺の問題の選び方が悪かった。だから怒るな、頼む。所でレオン、お前はなんで怒ってるんだ?」
「………」


クラウドが出したなぞなぞを幾つか解いた後、スコールはふと、ベッド縁に座って俯いたまま動かない兄を見た。
なぞなぞの答えを考えている時、何度か怒ったように声を荒げる事はあったけれど、答えを聞くとまた黙り込んでしまう。
そんな事が繰り返される度、レオンは顔を真っ赤にしていて、クラウドがくつくつと楽しそうに笑っていた。

じゃあ次の問題は、と考えるクラウドから離れ、スコールはレオンの背中にぴたりとくっつく。
驚いたように兄の背中が跳ねたが、振り返って、其処にいるのがスコールだと気付くと、レオンは小さく笑みを浮かべて見せた。
が、彼の顔はまだ赤い名残を残している。


「お兄ちゃん、大丈夫?」
「ん…ああ、いや。大丈夫」
「顔、赤いよ。お熱ある?」
「ありがとう。何ともないよ。本当に大丈夫だから」


スコールを抱き上げ、膝の上に乗せて、ぎゅっと抱き締めるレオン。
スコールは全身で感じられる兄の温もりと、大丈夫と言う言葉に安堵して、えへへ、と笑った。
レオンがじろりと隣の男を睨んでいる事には気付かずに。
無論、そんなレオンを見て、クラウドがにやにやと笑っている事など、知る訳もない。


「じゃあ次は、そうだな……Hになる程固くなるものは?って痛いな、なんで殴るんだ」
「露骨過ぎる!」
「そうか?じゃあHじゃなくなると柔らかくなるも────だからなんで殴るんだ」


射殺さんばかりの眼光でクラウドを睨むレオンだが、耳まで赤くなった顔では、迫力も何もあったものではない。
そんなレオンの膝上で、スコールは首を捻って問題の答えを考えている。

クラウドは二連続で叩かれた頭を摩りながら、にやにやと意地の悪い笑みを浮かべて、怒りともう一つ別の理由で赤くなっているレオンに顔を近付ける。


「なんだ。レオンはもう答えが判ったのか?」
「な……あ…違、」


息がかかる程、唇が触れ合う程に近い距離で囁くクラウドに、レオンが身を反らしていると、


「あ、判った!えんぴつ!」


スコールの明るい声が響いて、レオンが固まる。
呆然とした表情でフリーズした兄に気付かず、スコールはクラウドの服の袖を引っ張る。


「ねえ、あってる?正解?」
「正解だ。よく判ったな」
「えんぴつのね、こっちの方。お尻の方に書いてあるの。HとBって。Hの方が硬くてね、黒が薄くなるんだよ」
「そう。固い鉛筆はH、柔らかくて黒が濃いのはBだ。よく知ってたな」
「えへへ。……あれ?お兄ちゃん?」


頭を撫でて褒められ、嬉しそうに目を細めたスコールだったが、自分を抱き締める兄が不自然に固まっている事に気付くと、きょとんとしてレオンを見上げる。
レオンは弟の視線から逃げるように、明後日の方向を向いてしまい、クラウドからも目を逸らす。
どうしたの、と問う弟に、兄は何も言わなかった────言えなかった。




なぞなぞわかるかな 4


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