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[ラグスコ]消えない熱のあやし方

  • 2025/08/08 21:10
  • Posted by k_ryuto
  • Category:FF



休暇と言った所で、一日分があるかないかと言う時間だ。
行って帰っての時間を思えば、何処に行く余裕がある訳でもない。

それでも、奇跡的にその時間が重なったのだ。
だからスコールは、休暇前夜───その日の分の仕事が終わってすぐに、エスタに行く為に出発した。
ガーデンからバラムへ、大陸横断鉄道でF.Hの最寄り駅まで揺られ、其処から発着するエスタ行の飛空艇に乗る。
朝ぼらけの時間に列車を降り、次に飛空艇に揺られるのは中々に疲れたが、お陰で昼にはエスタに到着することが出来た。
飛空艇の中で転寝した目のままでエスタ・エアステーションのロビーへ出ると、ウォードが迎えに来ていて、彼が運転する車の中でまた眠りながら、大統領の私邸へと運ばれた。

車の中で横になって寝ていたものだから、髪には寝癖がついていた。
そうと気付かないままに私邸に入って、待っていたラグナは眉尻を下げながら「無理させちまったなあ」と言って、スコールの髪を手櫛で梳いた。
それでようやく、寝癖がついていることに気付いて、みっともない恥ずかしさで顔から火が出る。
そんなスコールにラグナは笑みを深めながら、先ずはゆっくり休んでおいで、とスコールを彼専用に誂えた部屋へと促した。

向かう道中を殆ど寝て過ごしたとは言え、体は縦のままだった。
疲れが碌に取れていない、寧ろ長時間移動で反って疲労感が増したのは確かで、スコールは部屋のベッドに入ると直ぐに寝落ちた。
昼日中の時間であるから、二時間程度で目が覚めて、ラグナが用意してくれていた遅い昼食を摂った。
まだ少し眠い目をしながらサンドイッチを食べるスコールを、ラグナはコーヒーを飲みながら眺めていた。

後は、何をしていた訳でもなく、何をしようと探すこともない。
リビングでエスタのテレビ番組が流れる傍ら、ラグナはあれこれと色々な話をした。
それは近況報告でもあるのだが、最近こんな話を聞いた、こんな本を読んだ、こんな店がオープンした、と言う程度のものだ。
スコールは相槌も曖昧に聞いているばかりで、時折、ラグナの方から投げかけられた質問に端的に答えた。
それだけのことでも、もう当分の間、そうした時間すら持てなかったのだ。
なんでも良いから同じ空間にいたくて、鈍行列車に揺られたスコールの苦労の甲斐は、あった。

そして夜になれば、より一層濃密な時間を過ごす。
若い体は覚えたばかりの熱の愉悦に夢中になり、ラグナも年甲斐ないなと苦笑しながら、その味に誘われる。
少し乾燥気味の手が自分の肌を滑る度に、スコールは殺し切れない声を漏らした。
触れる都度に反応を見せる少年の姿に、ラグナも隠し切れない興奮を昂らせていく。
胎内で交じり合う熱の感触に、スコールは何度となく気をやった。
戦慄く体をラグナは強く抱きしめて、汗ばんだ肌をまた愛撫して、何度も何度も、彼を愛した。

時間に余裕がない事もあって、急くように交じり合って、意識が続いている限りそれを繰り返した。
そうしていつしか限界を迎え、スコールが意識を飛ばした所で、愛くるしい時間が終わりとなる。

────それからスコールが目を覚ましたのは、夜と朝の間の頃合いだった。


(……だるい……)


疲労感の残る体が重い。
けれども、その気怠さは決して不快なものではなかった。

隣でスコールに腕枕をしながら寝ていたラグナは、かーかーと健やかな寝息を立てている。
裸身の体は、あれだけ汗を掻いたのに、すっきりとしていたから、きっと整えてくれたのだろう。
けれど、秘部にはまだ彼を迎え入れていた時の感覚が残っていて、スコールはもぞりと腿を擦り合わせて身動ぎする。

熱の感覚を不意にでも思い出すと、体が反応を示してしまう。
しかし、あと数時間もすれば、スコールは任務に行かなくてはならない。
この慌ただしさの中、何が何でもとラグナの下に向かったのは、今なら時間が取れると踏んだからだ。
次の任務はエスタ大陸での魔物の生態調査の護衛だったから、此処からなら遅れることもないだろう。
それに出向く時間制限いっぱいまで、スコールはラグナを感じていたかったのだ。

時計を見ると、出発予定の時間まで、まだ数時間がある。
此処から眠っても、二時間もすれば起きなくてはいけないから、スコールはもう寝ないことにした。
けれどもベッドの中から出る気にもならず、傍らの温もりに身を寄せて、鼓動と体温を耳に当てて目を閉じる。


(………もう少し……)


このままでいたい。
本音を言えば、ずっとずっと、このままで。
叶わないことと判っているから募る気持ちを、温もりに甘えることで誤魔化す。

と、ラグナの口元がむにゅむにゅと意味不明な音を漏らした後、


「んぁ……」
(起きた)


ぼんやりとした翠色が、薄く開いた瞼の隙間に覗いた。
横で身動ぎばかりをするから、眠りを邪魔してしまったのかも知れない。

ラグナは何度か瞬きをした後、腕の中に納まる格好でじっとしているスコールを見て、目を合わせた。


「お……起きてたのか。おはよ、スコール」
「……ん」


薄らと年輪を感じさせる皺を浮かせた目元が、嬉しそうに綻ぶ。
短い返事をするスコールの眦を、あやすようにラグナの手が撫でた。

ラグナの手のひらに撫でられるのは心地良い。
ゆったりと柔らかく、優しく、ことに愛しさを伝えるように、ゆるゆると触れる。
熱の交わりの時には、それが心地良さだけでなく、温かい快感まで与えてくれるから、スコールは知らず知らずのうちに虜になった。
もっと沢山、これを感じることが出来れば良いのに、と思うけれど、現状、それは難しいことだ。

だからスコールは、この僅かな時間が得られる瞬間があれば、それを貰いに行く。
たった一日あるかないかの休日を、此処で過ごす為だけに費やすことに、スコールは必死だった。

そんなスコールを知ってか知らずか、ラグナは殊更丁寧にスコールに触れてくれる。


「んー……ちょっと此処、傷あるな。どうしたんだ?」
「……さあ。判らない」


ラグナはスコールの項のあたりに指を滑らせながら、皮膚に引っかかる僅かな凹凸について尋ねるが、そんなものの由来などスコールが覚えている訳もなかった。
SeeDと言う傭兵として、指揮官であっても現場にも向かう事が多いスコールだ。
傷の理由なんて、訓練も含めれば幾らでもあったし、多少の引っ掻き傷のようなものなら、石片や枝葉が擦れるだけでも出来る。

気にしていられないから覚えていない、と言うスコールを、ラグナは特段、咎めることはしなかった。
その代わりに、項に触れるラグナの手付きは一層丁寧なものになり、指先がゆっくりと傷跡───スコールからは見えないので、あるらしい、としか言えないが───を辿る。


「ん……」


つい数時間前まで、抱き合っていたのだ。
意識が飛んでも、体のスイッチはまだ浅く入ったままのようで、触れる感触に敏感に反応してしまう。
くすぐったさと、何とも言えないむず痒さに身を捩ると、すぐ近くで翠が微かに笑みを浮かべたのが判った。


「気持ち良い?」
「……くす、ぐったい……」
「そっか」


じゃあ辞めよう、とはならなかった。
ラグナの指は一向に離れず、寧ろ何度も何度も、スコールの項を撫でている。

スコールの意識が、段々とラグナが触れる場所へと集中していく。
傷があるのは此処、と教えるように撫でるラグナの指先に、スコールは別の意図を感じ取っていた。
それはついさっきまで感じていた熱の交わりを想起させ、ぞくぞくとしたものがスコールの首筋から背中に向かって降りていく。


「ラ、グナ……」
「嫌か?」
「……や、じゃ……ないけど……」
「じゃあ、良いよな」
「う、んん……っ」


ラグナはスコールの首元に唇を寄せた。
喉仏の辺りを、ちゅう、と吸われる感触に、ビクッと少年の躰が跳ねる。

そう言う事をされると、この体は簡単に反応してしまう。
じんじんとした感覚が胎の奥から湧き上がってくる感覚に、スコールは身を捩って逃げを打った。
しかし、体を引こうとすればラグナが追ってきて、項をくすぐる手とは逆の腕が、スコールの背中へと回される。
存外としっかりとした腕に確保されて、スコールはラグナの愛撫を受け止めるしかなくなった。

項で遊んでいた指が、つぅ、とスコールの背中へと下りていく。
背筋を柔らかくくすぐり滑って行く指に、スコールは堪らず背中を仰け反らせた。


「や……っあ……!」
「うん」
「ラグ、ナ……っ!」


悪戯されてスコールはいやいやと首を横に振るが、突っ張る腕も大して本気の力を発揮しない。
それが初心な少年の本心を何よりも吐露していることを、大人は判っていた。

ラグナの手はスコールの背中を辿り、小ぶりな丘を滑る。
そのまま行ったら、とスコールが行き付く先を想像して、ずくんと胎内が疼く。
赤い顔で「や、だ、」と拙く訴えるスコールだったが、ラグナは彼のそんな様子すらも愛おしかった。
大事にしたいのに、何処かで苛めたくなる衝動を無自覚に煽る姿に、ラグナもむくむくと欲望が膨らむ。


「スコール」
「ん、う……っ」


首筋に触れるラグナの吐息に、ひくん、とスコールの体が震える。
皮膚に柔く歯を当てれば、スコールの唇からはあえかな声が漏れた。

清められたであろう筈の体でも、内側はまだ熱の余韻を残している。
意図して煽られれば逆らいようのない衝動が湧き上がって来て、スコールは無意識のうちに、ラグナの腰に自身の足を絡めていた。
必然的に押し付ける格好となった中心部は、若い性をしっかりと主張して、ラグナに訴える。


「もう一回、しようか。スコール」
「……っ」


明日は仕事がある。
時間にして、出発まではあと数時間。

エスタの魔物は、元々過酷な環境故に獰猛なものも多い上、“月の涙”の影響で更にその縄張り争いが激化している。
エスタの郊外市街にまで迫って来るものがある、或いは生態系の急速な変化で過度な淘汰が起き得る危惧がある為、それを人為的に調整する為にスコールは派遣される。
準備も注意も入念に行うつもりではあるが、それでも、何が起こるか判らないのが現場と言うもの。
それを思えば、きちんと休んでおかなければ、と言うのは傭兵として常識意識の範疇だ。

───それを判っているのに。
恐らくは、ラグナもそれを知っているのに。


「……スコール」
「……あ……!」
「お前が欲しいよ、スコール」


あと少ししかないんだから、とラグナは囁く。
あと少しの時間で、こうして緩やかに熱を交える時間は、どうしたって終わってしまうものだから。
その瞬間まで、お前を感じさせてくれと嘯く声に、スコールは拒否を選べない。

形だけでも突っ張って駄目だと言っていた腕が、ほろりと力を失う。
抱き寄せる力に従うままに身を寄せて、スコールはラグナの首に腕を絡めていた。


「ラグ、ナ、ぁ……っ」
「うん」
「っは……ん、ふ……っ」


名を呼ぶ少年に、大人は応じて、唇を重ねる。
ゆったりと唾液が交じり合う間、スコールは一所懸命にキスの愛撫について行った。

可愛いものだな、とラグナは細めた眼差しで、赤くなっている愛し子の顔を見つめて思う。
時間が取れそうだ、と判ってから、此方に行く、と言ってきかなかった少年は、存外と判りやすい性格だ。
当人はそうは思っていないようだが、蒼灰色の瞳は、真っ直ぐに自分への愛情を望む。
それを彼の望むままに、いや望む以上に溢れる程に与えてやれば、こうして腕の中へと閉じ込められに来てくれる。
無論、思い通りになってくれるから可愛い訳ではないけれど、こうすればこんな反応を見せてくれるだろうな、と思う通りに反応を繰れる様子はやはり愛い。

唇を離して、ラグナはスコールの下肢にゆっくりと触れた。
スコールは自ら足を広げ、ラグナを受け入れる場所を差し出す。


「ラグ、ナ……ラグナぁ……っ」
「うん。判ってる、一回だけ」
「う、あ……っは、あぁ……っ」


足の付け根を彷徨うように撫でる手に、スコールはもどかしげに身を捩る。
焦らされている気分になるのか、泣き出しそうな瞳で見つめるスコールに、ラグナはその眦にキスをしながら、


「一回だけど……一杯、感じさせてやるからな」
「……っ……!」


鼓膜をくすぐるその声に、スコールの体は一気に熱が奔り出す。
はやく、と縋る声に急かされるまま、ラグナは彼の中へと入って行った。





ラグナに愛されたくてしょうがないスコールは可愛いなあ、と思いまして。
ラグナも愛したくてしょうがなくて、スコールが甘えてくれるし、自分のものに出来てる感じがあって嬉しいんだと思います。

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