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2013年12月25日

メリークリスマス!

  • 2013/12/25 23:20
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メリークリスマス!
と言う事で、[絆シリーズ]のレオン・エル・子スコ・子ティーダ・ジェクトでクリスマスSSです。

[今は見えない裏側で]
[真実はその手の中に]


相変わらず妙にノリの良いレオンとエルがいます。これは確実に父親の所為w
多分彼は、自分で衣装着て「メリークリスマース!」って窓から入ろうとして、足攣ったりしてたんじゃないでしょうか。
そして怒られていたんだと思います。そんな父の影響を完全に受け継いでいる二人でした。

そんな二人の父親に比べ、不器用で何かと失敗してしまうジェクトですが、彼も彼なりに一所懸命。
空回りしたり、なんで素直になれないんだと自問自答して凹む事もありますが、ティーダが喜んでくれるなら色々やってくれる筈。
そんな訳で↑の話が出来ました。

愛され子スコ&子ティーダはいつも通り、仲良しです。

[絆]まだ見えない裏側で

  • 2013/12/25 23:07
  • Posted by


サンタさんに逢うんだ、と言っていたティーダと、そんなティーダに付き合う形で起きていたスコール。
しかし、やはりと言うべきか、案の定と言うべきか、二人は日付が変わる前に、すっかり夢の住人となっていた。


クリスマスとなれば、豪華な外食でも、と思う人々は多いもので、飲食店は絶賛書入れ時である。
しかし、レオンはアルバイト先のカフェバーのマスターから、家族と一緒に過ごしなさい、と言う笑顔と共に、休みを貰った。
お陰で家族揃っての夕飯を過ごす事が出来、スコールは勿論、ティーダとエルオーネも喜んだから、レオンもとても嬉しかった。
レオンとエルオーネが手作りした豪華な夕飯とケーキを食べた後、スコールとティーダは風呂に入り、早く寝なさいとエルオーネに言われたのだが、此処でティーダが抵抗した。

ティーダは「サンタさんに逢う!」と言って、サンタクロースが来るまで絶対に寝ないと言うのだ。
随分ムキになるなと思ったら、ガーデンが冬休みに入る直前、クラスメイトとサンタクロースがいるかいないかと言う討論で白熱したらしい。
ティーダの意見は、意外にも「いない」側で、「いる」と言うスコールとも喧嘩寸前になった。
ティーダは今まで、クリスマスにサンタクロースが来てくれた事がないと言う。
エルオーネがジェクトに電話をしてそれとなく訊ねてみると、確かに、クリスマス・イブの夜、ティーダの枕元にプレゼントを置いた事はなかった────との事。
ザナルカンドのクリスマスには、ブリッツボールのエキシビジョンマッチが組まれる為、花形であるジェクトは当然呼ばれ、その後の打ち上げにも参加していた。
ジェクトとしては、妻が何か用意しているとばかり思っていたようだが、残念ながら、ティーダは今まで一度もクリスマスプレゼントを貰った事がなかったのだ。

「サンタがいない」と思っているティーダが、「サンタに逢う」と言い出したのは、サンタクロースの有無の真相を確かめる為だ。
スコールは「毎年来てくれるもん」と言うから、じゃあ逢える筈だから逢う、逢えたら信じる、と言う結論に至ったのである。

それを聞いて、エルオーネが黙っていられる筈もない。
エルオーネはもうサンタクロースを信じる年齢ではなかったが、スコールはまだ信じている。
だが、そんなスコールも、ティーダが余りにも「サンタなんかいない」と言っていた所為か、半信半疑になっていた。
可愛い弟達に夢を見せるべく、彼女は奮闘した。
「バラムではサンタさんにはお手紙を書くんだよ」と言って、信じていないティーダをなんとか説き伏せ、スコールと共に欲しいものを書いて貰い、それを準備できるように弟達の目を盗んで走り回った。
そんな妹から話を聞けば、レオンも傍観してはいられない。
弟達の夢を叶えるべく、妹ともに、時間の合間を見付けては準備に勤しんだ。

そしてクリスマス・イブ当日を迎えた訳だが──────


「寝ちゃったね」


リビングのソファで、二人仲良く寄り掛かってすやすやと寝息を立てているスコールとティーダを見て、エルオーネはくすりと笑った。
そうだな、とレオンは頷いて、窓辺のテーブルから席を立つと、眠る弟達にブランケットを用意してやる。
起こさないようにそっとブランケットで包んでやると、レオンはスコールとティーダを順番に二階の寝室へと運んだ。

レオンがリビングへと戻ると、エルオーネはテーブル横の窓から、外を見ていた。
夜空は澄んで沢山の星を散りばめている。
クリスマスに限らず、冬に雪が降るなんて事はバラムでは先ず有り得ないが、無数の星に彩られた聖夜も悪くない。

レオンはキッチンに入ると、二人分のコーヒーを淹れた。
一つにはミルクを少し、砂糖を2杯入れて、リビングへ運ぶ。


「ほら、エル」
「ありがとう」


兄が差し出したコーヒーカップを受け取って、エルオーネはふーっ、ふーっ、と吹きかけて冷ます。
レオンも湯気を立てるコーヒーを少し冷まして、口を付けた。

少しの間沈黙が流れて、どちらともなく、リビングの時計に目を向ける。
時刻は11時半─────日付が変わるまで、後幾許もない。


「遅いね、ジェクトさん」
「……そうだな」


コーヒーを傾けながら呟いたエルオーネに、レオンは眉尻を下げた。
テーブルの端に置いていた携帯電話を取って、メールか電話の着信がないか調べてみる。
が、あったのは数時間前に送られてきた一件だけだ。

ふう、と小さく溜息を吐いて、レオンは携帯電話を元の位置に戻した。


「そろそろ船は着いてる筈だが……」
「遅れてるのかな?」
「それだけなら良いんだけど」


万が一の事態を想像して、レオンは緩く首を横に振った。
考えてしまうと現実になってしまう気がして、浮かび掛けた情景を無理やり追い出す。

────その時だった。
ドンドン、と控えめではあるが重い音が、玄関から響く。
直ぐにレオンが玄関に向かって、ドアを開けた。


「お帰り。ギリギリセーフ、だな」
「……そうかい。そりゃ、良かった」


苦く笑みを浮かべて、レオンの言葉に答えたのは、ジェクトだった。

ジェクトは肩を揺らしながら、少し息が乱していた。
肺活量でも体力でも、並大抵ではない筈のジェクトが、呼吸が乱れる事など滅多にあるまい。
港からこの家までは、歩いても20分もかかるまいに、どれ程速く走って来たのか判ると言うものだろう。

ジェクトをリビングへと招き入れ、「お帰りなさい、ジェクトさん」と言うエルオーネの声を聞きながら、レオンはキッチンへ向かった。
レオンがジェクト用にとホットレモンのドリンクを作っていると、リビングから妹の声が届く。


「やだ、ジェクトさん。これ、そのまま持って帰ってたんですか?」
「ん?なんか不味かったか?」
「不味いって言う程じゃないです、けど……ジェクトさんがこれを持ってる所をティーダが見たら、『やっぱりサンタさんはいないんだ』って言い出すかも知れないですよ」
「いや、大丈夫だろ。アイツが見る事なんかねえって。寝てるアイツの枕元に置けば良いだけなんだし」
「さっきまでスコールと一緒に其処にいて、ずっと起きてたんですよ。『サンタさんに逢うんだ!』って意気込んで。良かった、寝てくれて……」
「あのガキ、こんな時間まで起きてやがったのか……」


マグカップに入れたホットレモンを手に、レオンがリビングに戻ると、エルオーネが直径30cm程のボールを持っていた。
ボールは青と白のカラーラインでデザインされており、真ん中には“Bliz ball Official Club”の文字。
ジェクトがザナルカンドで購入した、ブリッツボールのオフィシャルグッズとして売られているボール───-─ティーダがサンタクロースにお願いした、クリスマスプレゼントだ。


「ジェクト、これ」
「おお、サンキュ」
「ねえ、レオン。これ、このまま置いても大丈夫かな?」


ジェクトにホットレモンを渡したレオンに、エルオーネがボールを翳して見せる。
ボールは、ザナルカンドのブリッツボール協会のものと思われる、ロゴが印字された袋に入っていた。
袋に印刷されているロゴは、帯状になって袋を華やかにしていたが、これだけではプレゼントとして少々味気なく見えた。


「うーん……リボン位は結んだ方が良いか」
「ンな事したって、どうせ解いて捨てるだろ?」
「それは、そうだけど。やっぱりプレゼントらしくした方が、小さい子は喜びますよ」
「…そう言うモンかねぇ」


開ける手間は少ない方が良いだろ、と呟くジェクトに、レオンとエルオーネは顔を見合わせて眉尻を下げた。

リボンは、エルオーネが授業で使ったカラーテープが余っていたので、これを使った。
ラメ入りのテープがきらきらと光って、プレゼント感がぐっと増したように見える。


「これで良し。レオン、スコールのプレゼント────」
「持って来た。これだろう?」


これ、と言って見せるレオンの手には、手のひらサイズの四角いプレゼントボックス。
キッチンボードの高い位置に置いてあったそれは、まだ幼いスコールには、背伸びしても届かない位置に置かれていた。
サンタクロースの存在をを信じ切っている彼に、決して見付からないように。

綺麗なラッピングが施されているが、余りにも小さなクリスマスプレゼントに、「なんだ、そりゃ?」とジェクトが訊ねる。


「カードケースだ」
「…クリスマスにわざわざプレゼントする程のモンでもないと思うが…」
「良いんですよ。スコール、これが欲しいって、サンタさんにお願いしてたから。柄もこれが良いって言ってたし」


一点物のカードケース、と言う訳ではないが、スコールが悩みに悩んでお願いしたものだ。
大事に使ってくれたら良いな、とエルオーネが言って、大丈夫、とレオンが頷く。


「じゃあ、行こうか。ジェクトも一緒に」
「俺もかよ。……しゃーねぇなあ…」


促すレオンに、ジェクトが渋々と言う貌で重い腰を上げる。
息子には父から、とレオンがボールを差し出すと、また渋々と言う貌のまま、ジェクトはそれを受け取った。
赤い瞳がリボンを巻いたボールを見下ろして、ジェクトはむず痒さを誤魔化すように、がしがしと乱暴に頭を掻く。

そのまま二階へ向かおうとした二人だったが、


「ちょっと待って、二人とも。上がる前に、ちゃんとこれに着替えてね」


呼び止めるエルオーネに振り返ると、一体いつの間に持って来ていたのか、彼女の手には赤いものが入った袋が抱えられていた。

はいっ、と差し出されたそれを、二人は反射的に受け取る。
一体何を渡されたのかと、それぞれ袋を覗き込んでみると、ふわふわの白い綿毛が縫い付けられた、赤い服が入っていた。


「嬢ちゃん、こいつは……」
「サンタクロースの衣装です。スコールとティーダが起きちゃったら、ちゃんとサンタクロースになり切ってね」


にこやかな笑顔で言ったエルオーネに、ジェクトは数瞬、固まっていた。
その横で、レオンは心得たとばかりに、率先して赤い衣装を羽織っている。

起こさなければ良いだろう、とか、どうせ寝惚けてるだろ、とジェクトは思ったが、目の前でにこにこと笑う少女は勿論、傍らで着々と着替えを進める少年を見るに、「着替えない」と言う選択肢が許されない事は、直ぐに判った。
レオンに至っては白髭まできちんと蓄えて、太っていない事さえ除けば、すっかりサンタクロースの様相になっている。
此処までしっかり用意している兄妹を見たジェクトは、寧ろ二人を起こすつもりなのではないか、とさえ疑ってしまう。



全ては、子供達の純粋無垢な願いを叶える為に。

サンタクロースは、プレゼントと一緒に、夢を運んでくるものなのだ。




[真実はその手の中に]
つくづくこのシリーズのレオンとエルはノリが良い。
だって弟の喜ぶ顔が見たいから。
ジェクトも息子の笑った顔が見たいけど、何せ不器用ですから。

イヴの話なので、昨日中に書ければ良かったんですが、思い付いたのが今日だったもので……若干の遅刻感。

[絆]真実はその手の中に

  • 2013/12/25 23:04
  • Posted by


ちゅん、ちゅん、と言う鳥の鳴き声と、瞼の裏に透ける眩しい光。
部屋の外から微かに香る、トーストの香ばしい匂いに気付いて、朝なんだ、とスコールは知った。


「んぅ……」


こしこしと目を擦りながら、スコールは起き上がる。
その横で、ころん、とティーダが寝返りを打った。

朝に弱いスコールは、寝て起きてからしばらくの間、ぼんやりとしている事が多い。
今日も中々活動スイッチがオンに入らず、ベッドの上で転寝しながら座っていた。
頭を持ち上げては、首の坐らない赤ん坊のようにカクン、と落とす所作を繰り返していると、横でもう一度、ころん、と寝返りを打つ気配。
スコールはもう一度目を擦りながら、隣で眠るティーダを見遣り、


「……寝ちゃった…」


昨夜、ティーダが『サンタさんに逢うまで寝ない』と言っていた事を思い出す。

ティーダは、「サンタクロースはいない」と言っていた。
スコールは、「サンタクロースはいる」と思っている。
けれど、ティーダが「絶対いない」と言い切るものだから、スコールも段々と自信がなくなって行ってしまった。
其処で、サンタクロースに逢って真実を確かめると言うティーダと一緒に、サンタクロースが家に来るのを待つべく、起き続けていようと頑張っていた────のだが、いつの間にか寝落ちてしまっていたようだ。


(寝たら起こしてって言われてたのに…)


スコールが寝たらオレが起こすから、オレが寝たらスコールが起こして。
ティーダにそう頼まれて、スコールは頷いた。
が、結局、どちらが先に寝たのか判らない内に、二人とも眠ってしまっていたらしい。

もう朝になってしまったが、取り敢えず自分が先に起きたので、ティーダを起こさねばなるまい。
いつも一緒に寝ている筈のエルオーネもいないし、きっと彼女はもう一階に降りて、兄と一緒に朝食の準備をしているのだ。
二人で一緒に降りて、ご飯を食べて、兄と姉にサンタクロースが来てくれたか確かめないと。

そう思いながら、ティーダの方を振り返ったスコールの目に、見慣れないものが飛び込んできた。


「……?」


ティーダの枕元に、大きなリボン付のビニール袋が置かれている。
中に入っているのは青と白のラインが書かれたボールだった。

こんなものは、昨日はなかった。

ぱち、ぱち、と瞬きを繰り返した後、スコールははっと思い出す。
きょろきょろとベッドの周りを見渡すと、今度は自分が寝ていた枕の傍に、ラッピングされた小さな箱が置いてあった。
思わずドキドキと胸が高鳴るのを感じつつ、そっと手に取った箱には、『Happy Merry Xmas!』のシールが貼られている。


「……!」


思わず、胸からそのまま心臓が飛び出るかと思った。

震える手でリボンを解いて、包装紙を丁寧に丁寧に剥がす。
スコールの掌よりも少し大きい箱の蓋を開けると、中には青色の光沢を放ち、真ん中には“Triple Triad”の文字と共に、長い髭と美しい毛並を持った雄々しい魔獣の意匠が施されたケースが入っていた。


「……!…!!」


その興奮も冷めやらぬ内に、スコールは隣で寝ているティーダを揺さぶる。


「!…!……!!」
「んぁ……なに~…?」


ゆさゆさと体を激しく揺さぶられ、安眠を妨害されたティーダは、思い切り顔を顰めてのろのろと目を開けた。
寝惚けた色を残す青と、ぱっちりと興奮した蒼がぶつかる。


「…なに…すこーる……」
「……れ…これっ、これっ」


興奮の余り、声の出し方さえも忘れたスコールだったが、精一杯に音を吐き出しながら、青いケースと剥がしたラッピング紙を見せる。

ティーダはごしごしと目を擦りながら箱を見た。
それから、包装紙に貼られた『Happy Merry Xmas!』のシールに気付き、


「……それ」
「……」
「…プレゼント?」
「……!」
「…サンタの?」
「……!!」


一言一言を区切るティーダと、その一つ一つにこくこくと首を縦に振るスコール。

ティーダの目が、きょとん、とスコールを見詰める。
信じられない────と言うよりも何が起きているのか判らない、と言う表情だ。
そんなティーダの顔を掴んで、スコールはぐいぐいと彼の向きを変えさせる。


「痛い痛い!なんだよ、スコール!」
「それっ、そっちっ、ティーダのっ」


順序立てて説明する事は愚か、まだ声の出し方を忘れているスコールだったが、辛うじてそれだけは言う事が出来た。

言葉よりも先に、強引に首を捩じられたティーダは、少しの間顔を顰めていたが、自分の枕元に置かれているものを見付けると、青い瞳を零さんばかりに大きく見開いた。


「……これ」
「……」
「…プレゼント?」
「……!」
「…オレの?」
「……!!」


一言一言を区切りながら問うティーダに、スコールはこくこくと首を縦に振った。

恐る恐る伸ばされたティーダの手が、袋に包まれたボールに触れる。
ボールには“Bliz ball Official Club”と書かれていた。
それの意味する所を、ティーダはよく知っている。

二人は同時にベッドを飛び出して、ばたばたと転がる勢いで階段を下りた。


「お兄ちゃん、お姉ちゃーん!」
「レオンー!エル姉ー!」


短い距離を走っただけなのに、すっかり興奮した所為だろうか。
はあはあと息を上げながらリビングにやって来た二人を出迎えたのは、並べられた朝食と、レオンとエルオーネ、そしてジェクトだった。

ジェクトがいる事に、スコールとティーダは顔を見合わせる。
彼は時々、息子の様子を見る為に帰って来るが、その時は必ずレオンかエルオーネに連絡がある。
今回は何も聞いていなかったので、不思議に思ったのだ。

────が、


「おはよう、スコール、ティーダ」
「おはよう、二人とも。サンタクロースはどうだった?逢えたか?」


朝の挨拶と共に、サンタクロースの事を聞かれて、はっと子供達は我に変える。


「サンタ!サンタ、逢えなかった!」
「でも来てくれたよ、サンタさん!」
「これ、ほら、プレゼント!サンタさん、持って来てくれた!」
「僕のも!これ、これっ!」


顔を真っ赤にして興奮し切り、見て見て、とカードケースとボールを差し出して見せるスコールとティーダ。
レオンとエルオーネは、そんな二人の頭を撫でて興奮を宥め、


「スコールはカードケースか」
「これ、欲しいって言ってた奴だね。良かったね」
「うん!」
「ティーダは、これは────ブリッツに使うボールか?」
「うん!ザナルカンドにある、こーしきの奴!ザナルカンドじゃないと買えない奴!」
「ザナルカンドじゃないと手に入らないの?凄ーい。やっぱりサンタさんは凄いねえ」


兄と姉の言葉に、弟達の弾む声がより高く響く。

きらきらと輝く蒼と青が、まるで夢の宝物を見付けたかのように、じっとプレゼントを見詰める。
スコールは、まだ何も入っていないカードケースの蓋を、開けては閉めてと繰り返す。
ティーダはボールを袋から出し、感触を確かめるように、両手でもってくるくると回し見ていた。

プレゼントにはしゃぐ二人の子供達は、昨晩、サンタクロースが来てくれるかと不安になっていた事など忘れていた。
彼等の真実は、彼等の手の中にあるものが、全てを物語っている。
スコールは信じた通りにサンタクロースがいた事、ティーダは生まれて初めてのクリスマスプレゼントに、すっかり夢中になっていた。


そんな子供達を、赤い瞳がじっと見詰めている。



眩しげに細められる赤い瞳が、柔らかな光を浮かべている事に気付いて、レオンとエルオーネは顔を見合わせて笑みを零した。





子供達の喜ぶ顔って、良いですね。
これが見たいから、叶えてあげたくてお兄ちゃんお姉ちゃんは一所懸命。
親父も一所懸命なんです。でも不器用だから。ちゃんと喜んでる顔が見れて、ちょっとホッとした。

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