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2026年08月11日

[クラレオ]気紛れなプレゼント

  • 2026/08/11 21:05
  • Posted by k_ryuto
  • Category:FF



久しぶりに見る故郷の空は、宵闇に包まれていた。
時間の正しいところは判らないが、月が高い位置にあることから、概ね日付を越えた頃だろうか。

今だ人の気配の少ない街並みには、灯りも少なく、一見するとゴーストタウンと変わりない。
そんな場所でも心の影はうろうろとしていたが、獲物もない故か、襲われる人の声もなかった。
これを一匹くらいは退治して行っても良いのだろうが、生憎とクラウドも疲れている。
今夜の寝床を求めて、それを許してくれる場所へと飛んだ。

帰っているなら楽なのだが、と向かったのは、街はずれにある小さなアパートだ。
その二階に灯りが燈っているのを見て、これ幸いと窓辺に下りる。
閉じたそのガラス戸を軽くノックすれば、程なく家主───レオンがやって来た。


「玄関と言うものを知らないのか、お前は」
「こっちの方が早い」


胡乱な目で窓を開けたレオンに、クラウドはいけしゃあしゃあと言って、入室する。
レオンは溜息を吐いて、侵入者を受け入れた窓を閉めた。


「まさか今日帰ってくるとはな。残念だ」
「なんだ。邪魔か?」
「それはいつもそうだな」


言いながらレオンは、やれやれと言う表情で、台所へと向かう。

帰り路をパトロールにするからと、仲間たちの輪から離れた場所に居住を整えたレオン。
とは言え普段は専ら会議場にしている魔法使いの家と、賢者の研究所がある城を往復する生活である。
この為、自宅と言うのは一週間に一回程度、寝に帰っている程度のことだ。
稀に客人───鍵の勇者がやって来た時、甘える彼に絆されて、しばし休息の寝床を許すことはあるが、使い道と言ったらその程度である。

この家の台所と言うのも、あまり使われない故に綺麗なものである。
偶にしか戻って来ない家だから、あれこれと生活用品を置いても持ち腐れになるとか。
冷蔵庫はあるが、生鮮食品も必要な時に最小限しか持ち帰らない為、それ程中身は入らない。

レオンはその冷蔵庫を開けると、真っ白な紙箱を取り出した。


「ユフィから、お前が戻って来るかも知れないからと押し付けられたんだ。二、三日中に帰って来なかったら、酒の肴にしようと思っていたんだが」
「なんだ、それ」


レオンがキッチンに箱を置いて、蓋を開ける。
クラウドが横合いから覗き込んでみれば、真っ白な生クリームにフルーツを乗せたケーキが入っている。


「……ケーキ」
「お前の誕生日だろう」
「……ああ」


そこまで言われて、ようやくクラウドは壁にかけられた時計を見る。
アナログな針時計に、デジタル液晶で今日の月日が表示されている。


「そんな日だったか」
「用意し甲斐のない奴だ」
「忙しいんだ」
「ふらふら飛び回ってる奴が言っても説得力はないな」


レオンの言葉に、クラウドの眉間に皺が浮かぶ。

忙しいことは事実だが、その中身が故郷の復興に明け暮れる幼馴染たちとは違うのも確かだ。
人手不足に喘ぎながら、あれこれとやる事に追われている彼らに比べると、クラウド自身は己の問題のみに集中すれば良いので、楽と言えば楽だった。

レオンはケーキを皿に移し、フォークを添えて、それを食卓用のテーブルに置く。


「一応、お前の為に用意されたものだ。お前が食べろ」
「そう言う事なら、遠慮なく。でもこれだけで腹は膨れないぞ」
「贅沢な奴だ」


クラウドの言外の要望をくみ取って、レオンはまた溜息を吐く。
冷蔵庫を開けたレオンは、ラップで閉じた皿を取り出し、


「残り物しかない」
「十分だ」
「手を洗ってから食えよ」


釘を差すレオンに、お前は母親か、とクラウドは呟く。
じろりと睨む蒼に降参の手を上げて、いそいそと水場に向かった。

電子レンジで温められたのは、肉団子の入ったスープ。
大方これ自体が残り物のリメイクで作られたのだろう、具材のほとんどは溶けて然程形は残っていない。
それでもレオンが作ったものなら不味いことはない。
遠慮なく平らげて、食後のデザートとしてケーキにも手を付けた。

生クリームたっぷりのケーキは、見た目からして如何にも甘いものだったが、フルーツの酸味がそれを程よく中和してくれる。
まだこういうものを購入できるほど、この街は落ち着いていないから、きっとエアリスあたりが作ったのだろう。
こうした甘味は普段ほとんど食べないが、偶に食べるには良いかも知れない。

───と、半分ほど食べたところで、レオンがテーブルに大きなボトル瓶とグラスひとつを置いた。


「これもお前に」
「なんだ」
「ワインだ」


手短に答えて、レオンは向かいの椅子に座る。

瓶には、洒落たカリグラフィのラベルが貼ってある。
手に取ってまじまじと眺めてみると、どうやらクラウドの生まれ年数に仕込まれたものだと判った。


「ワインなんて上等なものが、この街で手に入るとはな」
「醸造施設が無事だったのと、そこの管理人が戻ってきたのが大きいな。中身はちゃんとチェックしてクリアしたものだから、問題なく飲める。安心しろ」
「随分な貴重品だろう」
「ああ。だから、お前が帰って来なかったら、俺が飲んでしまおうと思っていた。実に残念だ」


レオンは露骨に残念そうな表情を作った。
言葉でもその意を表明するあたりに、彼が本当に楽しみにしていたことが判る。

クラウドはにやりと笑って、


「生憎だったな。俺が帰って来て」
「全くだ。普段はまるで音沙汰もない癖に、こういう時だけ嗅ぎ付けてくる」
「鼻が良いんでな」
「調子の良い」


呆れた溜息が返って来た。

クラウドはケーキの最後の一口を食べた。
生クリームとスポンジだけの一欠けらだが、中々に甘い。
その舌に別の味が欲しい、と思いつつ、


「なあ、レオン」
「なんだ」
「誕生日なのに、手酌って言うことは、ないよな?」


蒼の瞳を見つめながら言えば、レオンは判り易く眉間に深い皺を刻む。
甘えるな、と言いたげな視線だが、結局のところ、この男は年下と言うものに総じて甘い。
加えて今日はクラウドの誕生日だと言う点も、譲歩の理由になった。

レオンがワインボトルを手に取ったので、クラウドもグラスを差し出した。
傾けた口から、とくとくと深い赤色の液体がグラスに注がれた。
天井にぶら下がった照明の光を受けながら、中できらきらと泡が渦を作っている。

グラスを口元へ運んで傾ければ、酸味の利いた味わいがクラウドの舌をとろりと濡らす。


「……うん」
「どうだ」
「美味い。ケーキが甘かったし、丁度良い」


そう言ってクラウドは、一気にグラスを開けた。


「気に入ったか」
「そうだな」
「なら、シドも選んだ甲斐があったな」
「シドが?」


普段はビールばかりを飲んでいる養父が、ワインを選んだのか。
意外なことを聞いて、クラウドはしげしげとワインボトルを眺めた。
洒落たラベルのカリグラフィは、咥え煙草に腹巻が似合う男と中々ミスマッチで、くつりと笑いを誘う。

グラスのワインを飲み干すと、直ぐにレオンが二杯目を注いだ。
それも飲んでしまうと、また次がすぐに齎される。


「そんなに急いで注がなくて良いんだが」
「空いていても味気がないだろう」
「まあ……悪い気はしないがな」


とは言え、ペースを考えて飲まないと、この分だと飲み干す頃には潰れそうだ。
度数はそれなりに高いようで、胃袋の辺りが熱くなっているのが判る。

黙々と飲んでは注がれを繰り返していたクラウドだったが、ふと、じっと見つめる蒼に気付いて、


「あんたも飲むか。興味があったんだろう」
「まあ、多少は」
「じゃあ飲めば良い」
「それはお前へのプレゼントとして、シドが用意したんだ」
「ああ、だから俺が貰った。貰ったんだから、どう飲むのも、誰に飲ませるのかも、俺の自由だ」
「……お前がそう言うなら」


クラウドの理屈に、レオンは小さく笑みを浮かべて乗った。
密かにこの流れを彼が期待していたことは、その表情から読み取れる。

レオンがグラスをもうひとつ持って来たので、それにはクラウドが注いでやった。
ガラスの中でとろりと泳ぐワインを見つめ、レオンはグラスを口へと運ぶ。


「……ああ、良い味だな」


柔く細められた蒼灰色が、ワインを見つめて微かに笑む。

こっそりと楽しみにしていたものを、お零れに与ることが出来てか、レオンの表情は満足げだ。
クラウドもその表情を眺めながら、自然と口角が上がる。


「あんたと飲むのは久しぶりだ」
「お前が街にいないからな」
「前よりは帰ってるだろ」
「お前の気が向いた時だけ、な。だから今回だって、今日帰ってくるとは思っていなかった。皆もあまり期待していなかったし」
「その割には、色々と用意してくれたんだな」
「万が一、な。もう少し早く帰って来ていれば、直に祝えただろうに。残念だ」


今日何度目かの“残念”だが、今度のそれはレオン自身でも、クラウドに向けたものでもない。
この場にいない、既に眠っているであろう、仲間たちのことだ。

暗に、もっとちゃんと帰ってこい、と言う圧を感じて、クラウドは肩を竦める。


「明日には一度、顔を見せに行く。その時に礼は言うさ」
「そうしておけ。一応、準備自体はお前が帰ってくる想定でやっていたんだから」
「……あんたも準備したのか」
「ユフィにねだられたからな。ケーキや夕飯の材料の買い付けには行った」
「それだけか?」


じっと見つめて問い重ねたクラウドに、ワインを飲んでいたレオンの手が止まる。
グラスをテーブルに戻したレオンは、クラウドの問いの奥を少し考えてから、理解した。


「……そうだな。やったことはそれだけだ。だから、俺からお前に渡すものはない」


きっぱりと言い切ったレオンに、クラウドの唇が尖る。
態と判り易い表情を浮かべたクラウドを見て、レオンはにやりと笑った。


「帰ってくるかも判らない奴に、態々手間をかけるのも癪だったからな」
「折角の誕生日だって言うのに」
「調子の良い。だが、まあ……手間のいらないものなら、出しても良いかもな」


テーブルを挟んだ向かい側で、レオンの表情は常になく機嫌が良い。
それを齎してくれたのがワインなら、クラウドにとって、この上なく最高のプレゼントと言えた。

クラウドはグラスのワインを飲み干した。
直ぐにレオンがワインボトルを手に取って、続きを注ごうか、と視線で問う。
クラウドは空のワインと、レオンの顔を交互に見て、


「あんた、このまま酔い潰れやしないだろうな」
「さあな。良い酒だったから、生憎そこまで持つか自信はない」


レオンは決して酒に強くない。
今は上機嫌な様子で飲んでいるが、重ねて行けば、睡魔に浚われていくだろう。
そうやって何度か楽しみを流されたことを、クラウドはよく覚えている。

クラウドはしばらく考えた末に、空のグラスをテーブルの端に置いた。
レオンが腕を伸ばしても、ワインボトルの口は届かない。
レオンは判り易く眉尻を下げてくれたが、ワインは彼の手許に置かれ、ついでにレオンも自分のグラスに残っていた液体を飲み干した。



クラウドが席を立ってレオンの下へと近付くと、笑みを梳いた眼が見上げてくれる。

その顎を捉えて、噛みつくように口付ければ、甘い酸味の味がした。





クラウド誕生日おめでとう、と言うことでクラレオです。
酒盛りさせたいなと言うのと、レオンの方からお誘いがあったら良いなと。
誕生日と言う特権と、美味しいお酒でレオンの機嫌が良いので、色々お応えして貰えると思います。やったねクラウド。

[クラスコ]暴食バースディ

  • 2026/08/11 21:00
  • Posted by k_ryuto
  • Category:FF

R15




喘ぐ声が耳に心地良い。
もう無理、と拙い声で抗議が何度となくあったが、止まらなかった。
今日は全部、好きなようにして良いと言われている。
それならと思う存分に甘い蜜を骨まで貪ろうと決めていた。

意識を飛ばしそうな恋人に、頑張って現実に留まるようにねだる。
律儀で真面目な恋人は、自分で言い出したことだからか、どうにかこうにか意識を繋ぎ続けてくれた。
普段のことを思えば、彼の負担も考えて、もう終わる時間になっても、離さなかった。


「も、むり、ぃ……クラ、ウ、ドぉ……っ!」


体もヘトヘト、意識もふわふわ。
どんなに頑張ってくれと言われても、これ以上は無理だとスコールが訴える。

中が小刻みに震えるのが伝わって、クラウドは強く歯を噛んだ。
最後の締め付けを受けて、クラウド自身も昇り詰める。
どくん、と熱く蕩けた内側に欲望を吐き出せば、スコールは掠れた高い声でを上げた。

びく、びく、と紅く火照った体が戦慄いた後、かくん、と首が落ちる。
全身の筋肉がこれ以上張り詰めるのは無理だと、その身体はすっかり弛緩してしまった。
その癖、内側の締め付けはまだ余韻が残っていて、クラウドはその感触で頭の芯がくらくらとする。


「ふあ……あ、う……あ……」
「は……はぁ……はぁ……」


文字通り、生き絶え絶えのスコールを見下ろしながら、クラウドも詰めていた息をようやく吐き出す。
心臓の音がまだ早い。
もう一度、と言う欲求がぐつぐつと煮えているが、さすがにクラウドの体の方も疲れたらしい。
どっとした疲労感で体が重くなって、これを再点火させるのは、中々難しかった。

ゆっくりとスコールから出て行く。
注ぎ込んだものが奥から溢れ出して、彼の下肢を汚す光景が、またクラウドを煽る。
今夜はずっとそれを繰り返していた。


「あう……あ……この……体力、バカ……」


憎まれ口な抗議をするスコール。
しかし、今夜の箍を外してくれたのは、彼の方である。


「お前が……遠慮をするなと言ったから、な」
「だから、って……こんな、に……続けると……思、わない……」


死ぬかと思った、とスコールは小さく呟いた。

日焼けも知らない肌は、普段は陶磁のように白いのに、今は全身が桜色だ。
クラウドが何度となく口付けた痕があちこちに残って、所々には歯形もあった。
引き締まった腰には、クラウドの大きくしっかりとした手形がある。
全身くまなく、クラウドに愛された痕跡があって、マーキングをしたように見える。

血の巡りで赤みが引かない首筋にキスをすれば、びくん、とスコールの体が跳ねた。
感じやすい体を抱き締めて、そのまま首に舌を這わす。


「んぁ、や……もう……っ」
「良いだろう、舐めるくらい。俺の誕生日なんだから、何しても良いって言ったのは、お前だ」
「あ、あ……っふ……!」


体が疲弊しきっている所為だろう、スコールは身動ぎも出来ない。
クラウドが与える愛撫に、それがどんなにささやかなものでも、反応するのを抑えられなかった。

動物が愛しいものに毛繕いをするように、クラウドはスコールの肌を丹念に舐める。
スコールはヒクッ、ヒクッ、と身体を震わせながら、それを受け止めていた。
情事そのものを彷彿とさせる感触に、スコールは甘い声を止められない。
それがまた、クラウドの欲と興を誘って、悪戯を助長させる。


「俺が貰った、誕生日プレゼント。いや、ケーキかな」
「は……ふ、ぅ……んん……っ」
「どこを舐めても甘くて美味い。全部食べないと勿体ない」
「も……散々、食った……だろ……っ!」


スコールの言う通り、まぐわい始めてから、思う存分その身体を貪った。
時計を見れば、始めた時は日付が変わった直後だったのに、もう随分と時間が経っている。
この季節の朝の早さを思えば、もう東の空は白み始めているだろう。
つまりはそれだけの時間、スコールを揺さぶり続けていた訳だから、根を上げられるのも当然か。

クラウドの手が、スコールの肌をゆっくりと滑って行く。
胸元の蕾に指を掠めると、あ、と判り易く高い声が漏れた。


「ちゃんとやる前に確認はしただろう。本当に止めなくて良いんだな?って」
「……した、けど……んん……っ!こんなに、なんて……思っ、て……なか……っ」


スコールは甘く見ていたのだ。
体力の差は勿論のこと、恋人の性欲の強さと、自分の痴態でどれほど興奮するかと言うことを。


「もう、しない……も、言わない……あんな、こと……」
「それは残念だな。だったら、今日のうちにもっと堪能しておかないといけないか」
「うぅー……!」


ぶんぶんとスコールは頭を振った。
今日はもう嫌だ、と真っ赤な顔で訴える。

幼い仕草が愛らしくて、いじめている気分になるが、生憎と今夜のクラウドに罪悪感はない。
首筋を舌で辿り、耳元まで近付いて、耳朶を軽く甘噛みした。


「ひあ、う……!」
「このまま明日の夜まで過ごしていたいな。一日中、お前を感じていたい」
「は……ふ、うん……っ」
「中で感じれたら一番良いが……俺もさすがに、ちょっと疲れた」
「……ちょっと、って……こっちは、もう……っ」
「ああ。だから今はしない。今は、な」


耳元にかかるクラウドの吐息と声に、スコールが肩を縮こまらせている。

次は何をされるのか、どこを触れられるのかと、赤らんだ体は判り易く構えていた。
そうやって戯れに対して緊張が続いているものだから、いつまでも体は過敏に反応してしまう。
元々敏感な体であるが、今の今まで揺さぶられたお陰もあって、より顕著な状態だ。

抱き寄せた体の背中をそっと撫でる。
性的な目的ではなく、本当にあやし宥める目的で。


「今夜は十分頑張ってくれた。意識も飛ばさなかったしな」
「……あんたが……そう、しろって……言う、から……」
「ああ。ありがとう、スコール」


感謝とともに耳下にキスをする。
スコールはむずかる声を漏らして、はあっ、と息を吐いた。
背中を撫でる手付きにも促されてか、ようやくその身体から緊張の糸が抜けていく。

くったりとベッドに沈んだスコールは、もう頭を持ち上げることも出来ない。
熱の抜けきらない体が冷えないように、クラウドは布団を引っ張って、スコールの体を包み込んだ。
そこまでされて、ようやく本当に終わった、と思えたのだろう。
眦に少し安心したものが浮かんで、寄せられた枕に顔半分を埋めた。


「もう、寝る……」
「ああ」
「……変なことするなよ……」
「ああ。するなら起こす」
「やめろ……」


起こしてくれるな、頼むから。
疲れの所為もあるだろう、うんざりとした表情でスコールは言った。

それから五分としない内に、スコールは寝息を立て始める。
精も根も尽き果てて、きっと夢も見てはいないだろう。
クラウドもじっと横になっていると、うつらうつらとした睡魔が手招きを始めていた。

眠るスコールの体を抱き寄せると、彼の方から温もりを求めて身を寄せてくれる。
すっかり安心した表情で眠るスコールに、クラウドの唇が緩む。


(プレゼント、随分悩んでくれたんだな)


今日と言う日の為に、スコールは随分前からプレゼントについて考えてくれていた。
この世界でそんなものに宛がえる代物と言うのは極端に少なくて、思い付いたとて調達できるか判らない。
モーグリショップにあるもので賄うにしても、都合よく適したものは見付かるまい。
食事に好物を用意するとか、実用性を抜きにして飾り物やアクセサリーも考えたそうだが、どれもしっくりこなかったと言う。
結局、悩み続けている内に昨日まで過ごし、手許に用意するには至らなかった。

そうして煮詰まったスコールが行き付いたのが、「あんたの好きにして良い」と言うもの。

あまりに大胆なプレゼントになったものだから、さすがのクラウドも驚いた。
まず額面通りに受け取るのは焦燥だと、スコールがどこまでそれを意識しているのかを確認。
それでクラウドが細かく確かめるものだから、反ってスコールの羞恥心が爆発したりしたのだが、───ともかく、スコールはちゃんと判っていたし、意識していた。
普段、クラウドがしたいと思っていることや、満足するまでその身を貪りつくして良い、と。


(かと言って、ちょっと俺が調子に乗ったのは否めないが……)


掠れた喘ぎ声を思い出して、クラウドは苦笑する。

最初にちゃんと「もう無理って言っても止めなくていい」とスコールの方から許しを貰っていたとは言え、本当に実行したのもどうかと思う。
最中はいつにない乱れようの恋人を見て、完全に理性が飛んでいた。
体力が続く限り、欲望が気の済むまで揺さぶっていたから、スコールには堪ったものではなかっただろう。
へとへとになって終わる羽目になって、スコールが深く後悔するのも無理はない。

すぅ、すぅ、と静かな寝息を零す恋人を見つめる。
ようやく火照りが収まり始めた頬に触れた。


(それでも、俺が貰ったものだからな)


スコールにとっては散々でも、クラウドにとっては最高の時間だった。
普段は負担をかけ過ぎない為にセーブしているところを、もう一回、あと一回と貪る喜びと言ったら。
重ねる刺激で目覚めた体は、どこを触れても反応してくれるから、その様子も含めて、クラウドを昂らせた。

前後不覚になって、泣きながら喘ぎ名を呼ぶスコールの顔。
思い出すだけで、疲れ切っている筈の体が興奮しようとするから、その破壊力は凄まじい。
けれど、当人は全くそんなつもりはないのだ。
だから、あんな大胆なプレゼントを差し出してくれる訳で。


「……無自覚と言うのは恐ろしいな」
「……んぅ……」
「お前の話だぞ、スコール」


零した呟きに、腕の中で身動ぎする恋人。
頬にかかる横髪をそっと退かして撫でると、眠る口元が微かに緩んだ。


「クラ、ウド……」
「ん?」
「………」


名前を呼ぶので返事をしたが、それ以上の反応はなかった。
それでも、眠りの中でも自分を求めてくれているのならば、嬉しいものだ。

さて、とクラウドも改めて寝台に身を預けた。
体の力を抜くと、重石のような疲労感がやってきて、クラウドの意識を引っ張っていく。



腕の中に閉じ込めた温もりを、どうせなら今日一日中、独り占めできないだろうか。
そんなことを思いながら、朝までの短い時間を睡魔へと委ねた。







クラウド誕生日おめでとう、のクラスコです。
ベタなプレゼントで、ベタな夜を過ごしている二人も良いなと思いまして。

定番なプレゼントだった訳ですが、渡した本人から色んな()許可もあったので、浮かれてしまったクラウドです。
多分いつもはずっと抑えている。スコールがこんなことになると思っていなかったので。
スコールは二度とするかと後悔していますが、それくらいクラウドが自分に興奮してくれていると言うことが判ったので、たま~に誘ってくれるようになるんじゃないでしょうか。

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