サイト更新には乗らない短いSS置き場

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2012年01月19日

脱稿しました!

  • 2012/01/19 23:37
  • Posted by

来月(2月5日)開催のFFオンリーに委託参加します。其処で発行予定の新刊の執筆が終わりましたー!やほーい!
……ってはしゃいでテンション上げた後で、何かやり残しがないかビビってます。既に入稿したんですけど。散々確認したつもりで、完成本を見てから気付くミスとかいつもあるのです。何回もチェックしてるのに、なんでだろう……

新刊は『Lion that returns to crowd』の第二弾で、クラウドとスコールメインの話になっています。
『Lion that returns to crowd』は、仲間に対してずっと距離を置いているスコールと、そんなスコールを遠巻きにしていた仲間達が、どういう経緯で距離を縮めて行くかを書くシリーズものです。なので、前回が589&8親子の話になっていました。
シリーズなので話は連結しているのですが、オムニバスを意識しているので、単品でも読めます。……多分。うん。

まだ当落通知が来ていないので、本当に参加できるかは判ってない(汗)のですが、落ちても新刊は発行します。通販カタログには完成品が届き次第追加、通販受注はイベント後の予定です。


(一応)脱稿したので、サイトの小説をぼちぼち書き溜めとこうかな。

FFでセシル&スコールを書こうとしたら、自分の中で陛下像がちゃんと固まってなかった…!クラウドとは違った意味で大人な人、なんか色々書き難いです。大丈夫かな。
龍龍…しばらくエロネタが続きそうな予感です。飢えてんだろうな、私。その前に京一の誕生日が…!
最遊記はもうちょっと移転作業が続きます。裏の移転がまだ終わってないので……

拍手も押して下さってありがとうございます!
通販の諸連絡に関しましては、明日ご連絡出来るかと思います。お待たせして申し訳ございません。

[三蔵&悟空]世界のヒビを直す方法

  • 2012/01/19 18:25
  • Posted by


雨が降ると、三蔵の機嫌が悪くなる。

────いや、あれは悪くなるのとは少し違う。
周りに在るものの一切を遮断するのだ。


悟空にとって、寺院で自分の味方と言えば三蔵だけだった。
自分を拾い、連れ帰った保護者であるし、他の修行僧のように悟空を“妖怪”であるからと忌避する事もない。

だから三蔵が世界を閉ざしてしまったら、悟空を受け入れてくれる人は、誰もいなくなってしまう。



音一つしない部屋のから、悟空はこっそりと三蔵を見た。
執務用の椅子に腰かけた三蔵は、悟空の視線に気付く事なく、じっと窓の外を眺めている。
一枚ガラスの向こうは天雫で煙り、雲に覆われた空は愚か、いつも窓向こうで揺れている草木の影すら見えない。

太陽の光を思わせる金色の隙間、微かに覗く紫電は、常の冷たい閃きすらない。
多分、外も見ていない────彼の瞳は今、今此処に在る現実さえも拒絶しているのだ。




(三蔵、)




悟空は彼の名を呼ぼうとして、出来なかった。


いつもなら名前を呼べば、彼は不機嫌な顔で振り向いてくれた。
仕事中は無視される事もあるけれど、紫電が一瞬だけ向けられたり、サインの筆が止まったりうするから、聞こえているのは判った。

でも、今は振り向いてくれない気がする。
試した事はなかったけれど、何も見ていない紫電を見ると、悟空は期待する事が出来なかった。
ひょっとしたら、と思う気持ちもあるけれど、それ以上に彼の世界に拒絶された時の事を考えると、怖くて堪らなかった。

─────だから、雨の日、悟空は彼の名前を呼ぶ事が出来ない。




(三蔵)




だから心の中で呼び続ける。
暗く閉ざされた世界で、“誰か”を呼び続けていた時のように。




(遠いよ、三蔵)




同じ場所にいる筈なのに、手が届く場所にいるのに、遠い。
見えない壁があるようで、悟空は彼に近付く事が出来なかった。
その壁を越えて尚、彼に存在を拒否されるのが怖くて。

悟空の世界の多くは三蔵で占められていたから、彼に拒否されると言う事は、自分を否定されるのと同じ事だ。
あの紫電が自分を見てくれるから、悟空は自分が“此処にいる”と知る事が出来る。


三蔵。
三蔵。

心の中で呼び続けて、彼が振り返ってくれる事を願う。
何も映さない、此処にある現実すらも拒絶する彼が、帰って来てくれる事を、ずっと。
膝を抱えて蹲る振りをして、抱えた膝の陰から、動かない金色を見詰めていた。




(三蔵………)




じわりと視界が滲んで揺れて、其処にいる筈の人の姿が歪んでいく。
そのまま金糸も見えなくなってしまう前に、悟空はごしごしと乱暴に目を擦る。

そうして、擦る手を離したら、




「……何泣いてんだ、バカ猿」




聞こえた声に顔を上げると、紫電が此方を見ていて、




「煩ぇんだよ、お前は」




呆れたように溜息を吐く姿に、我慢が出来なくなって、抱き着いた。

お帰りなさい、僕の太陽。
お帰りなさい、僕の世界。





寺院時代の悟空と三蔵の関係は、“二人ぼっち”のつもりで書いてる事が多いです。
でもって自分の所為で悟空に寂しい思いさせてる癖に、第一声が「煩ぇよ」なうちの三蔵。偉そう。それでこそ三蔵か。

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