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2021年08月08日

[レオスコ]あまくてかわいい

  • 2021/08/08 21:05
  • Posted by k_ryuto
  • Category:FF


スコールは甘いものが得意ではない。
食べられない訳ではなかったし、疲れている時など脳が糖分を欲している時には一口入れる事はあるが、ティーダやヴァンのように甘いものばかりをずっと食べてはいられなかった。
バニラアイスを食べるのにもコーヒーが欲しい、と思う位には、食指が伸びにくい部類である。

そんなスコールであるが、極稀に、自分からチョコ菓子の類を進んで買う事もある。
目的はその菓子を食べる為ではなく、付録として同封されているカードなど、そう言ったものだ。

スコールはお気に入りのカードゲームである『トリプル・トライアド』の手札カードを集める事に執心していた。
先日、そのカードゲームに新たな拡張が入り、スコールの収集癖が一年ぶりに再開した。
拡張カードパックは早々に手に入れ、幸いにもレア度の高いカードも殆どを揃える事が出来たのだが、まだ足りないものがある。
高レベルのカードに恵まれた分、低レベルのカードが歯抜けになっていた上、どういう訳か幾つかカードパックを買っても揃わないものがあった。
手札を揃える分には運の良い事であったが、今のスコールの目的は全カードコンプリートである。
プレイヤー間でのカードの遣り取りをするという手段もなかったが、多くのプレイヤーは希少なカードを欲し駆っており、低レアのカードを求めるスコールは珍しいだろう。
カードトレードは出来るだけ同じレアのものか、それに相当するようにとレアカードを複数種揃えての交換が推奨される。
勿論、どのカードに何の価値を見出すかは人それぞれであるから、低レアの為に高レアカードを差し出す者も存在はするが、低レアカードはその排出率からトレードせずとも手に入る物も多く、その奇妙な姿勢故に、訝しんで手を挙げられないとか、冷やかしだと棘を刺されるパターンもあったりする。
お陰で今回は低レアが欲しいスコールは、相手が見付からないと言う状態になっていた。

だからスコールは、食玩として提供されている所まで手を出したのだ。
菓子一品につき一枚しか手に入らないので、コンプリートするにも確率が悪くなるから、普段は先ず購入しないもの。
その考え方は今も変わっておらず、コンプリートを目指すにしても、1/100以下にしかならない食玩のカードを狙うのは的外れだろう。
しかし、コンプリートパックやスペシャルパックを複数開けても、何故か手に入らない最後の低レアカードに、スコールは焦れていた。
パックはやはり枚数分の値段もあるし、開けた分だけ被りカードが増えて行く。
被ったカードはカードショップで換金したりしているが、中身の全てを確認したりする作業が段々と面倒になって来た。
その点、食玩に添付されたカードは一枚しかないので、被ってもその一枚のみを処分すれば良い。
開ける度、目当てのカードではない事に辟易はするのだが、それでもコンプリートを諦められないスコールは、涙ぐましい努力と忍耐で、目的のカードを求め続けるのであった。

そんな訳で今日も食玩を買って来たスコールだが、流石に飽きている。
カードの販促あっての代物であるし、コンビニに置かれる安くて子供受けするような味にされているので、元々甘いものが好きではないスコールが食べ続けられる訳もない。
そろそろこの生活を終わりにしたいと思いつつ、今日買って来たカードを取り出したスコールは、きっと誰もが残念がるであろうレア度最低のカードを見て目を瞠る。


「出た……!」


思わず零れたその声に、キッチンで夕飯の準備をしていた兄が振り返る。
ダイニングテーブルで一枚のカードを凝視している弟の表情に、長くその顔が苦い表情を浮かべていた事を知っているレオンは、おお、と声を上げた。


「出たのか」
「出た!」


そう言って嬉々とカードの表を見せるスコール。
人物でも、伝説の魔獣をデザインしたものでもない、ただ今回の拡張でデザインが変更されただけのモンスターカード。
その一枚だけが、どうしてかスコールの下にいつまでも来てくれなかったのだ。
ようやく手に入ったそれを前に、蒼の瞳をきらきらと輝かせるスコールに、レオンの笑みが漏れる。


「良かったな。これでカードコンプリートか」
「ああ。やっと終わった……」
「あとは、そのお菓子を片付けるだけだな」


テーブルに並べられたお菓子を指して言えば、スコールの表情は一転して顰められた。


「もう飽きた……」
「あれだけ食べていたんだから、そうだろうな」
「………」


もう食べたくない、と言う表情を浮かべるスコール。
しかし、食べ物を粗末にしてはいけないと言う躾はしっかりと根付いている。
スコールは渋々と言う顔で手を伸ばし、菓子の包装を開けて、延べ何個目になるかと言う板チョコを齧った。


「……………甘い」


チョコレートなので当たり前だが、スコールにはこれが辛い。

食玩にも色々と種類のある世の中だが、この食玩は表面にカードのデザインをプリントしたのみのシンプルな板チョコだ。
カードはその板チョコと一緒に、汚れがつかないようにビニール袋に包まれて同封されている。
せめてこの菓子がもう少し食べ易ければ、とスコールは思うのだが、低コストで大量生産、尚且つ販促のメインはカードである事を思うと、不味くないだけマシ、なのだろうか。

甘い味なのに、苦いものを食べているような表情でチョコレートを黙々と食べて行くスコールに、レオンは夕飯の材料が入った鍋を煮込みながら言った。


「目当てのものは手に入ったんだし、後は冷蔵庫に入れておいて良いだろう。今じゃなくて、疲れた時に食べれば良い」
「……そうする」
「後は、そうだな。ホットミルクにでも入れるとか。飲み物にしてしまえば、消費も早いだろう」


レオンの提案に、確かに食べるよりはハードルが低そうだと考える。
ホットミルクならデンシレンジで温めれば良いだけだし、其処に砕いたチョコレートを入れれば、ホットチョコの完成だ。
そう言えば子供の頃にはレオンが良く作ってくれた、と遠い郷愁にも誘われて、一度はそれで飲んでも良いかも知れない、と思った。

封を開けてしまったチョコレートはなんとか食べ切り、後は冷蔵庫へ入れた。
同封されたカードも出していないので、気持ちを切り替えられたら、その時に出してみるとしよう。
高レアが手に入るとは思っていないが、ずっと一枚のカードだけを求めて開けていた時に比べれば楽しめる筈だ。

ダイニングテーブルに置いていたレッドマウスのカードを部屋へと持って行ったスコールは、カード収納用のバインダーを開いて、最初の1ページ目のぽっかりと空いたポケットにそれを納めた。
携帯電話のカメラでページ全体が見えるように撮り、友人たちにメールで送る。
彼等にはカードコンプリートに向けて協力して貰ったので、完成したら報告しなくてはと思っていたのだ。
直ぐに各々から返事が届き、「やったな!」「おめでとう!」と称賛が重なる。
「あんた達のお陰だ」と送った後、また嬉しそうなメールが届いて、無性に恥ずかしくも嬉しくなった。

報告も済ませて満足した所で、スコールはダイニングキッチンへと戻った。
キッチンではレオンがのんびりと鍋を掻き回しており、時間的に見ても、恐らくもう直に夕飯になると判ったが、スコールは一つ口直しがしたい。
兄の後ろでキッチン棚を開け、コーヒーサイフォンを取り出していると、その気配に気付いたレオンが振り返った。


「コーヒー、淹れるのか」
「口の中が甘ったるいんだ」


さっぱりさせたい、と言うスコールに、レオンはくすくすと笑う。
そんなになってまでカードを集めたかった弟に、呆れているのか、微笑ましく見ているのか。

電気ケトルで湯が沸く間にコーヒー豆を挽き始めるスコールに、レオンが声をかける。


「そんなに甘いのか?あのお菓子」
「甘い。……チョコとしては普通なのかも知れないけど。ティーダ達は普通に食べてたし」
「お前には甘過ぎる、か」
「当分見たくない位だ」
「俺も食べてみようか」
「片付けるのを手伝ってくれるのなら、助かる」


そう言いながら、サイフォンを手際よくセットして行くスコール。
後はもう少しで沸騰するであろう、ケトルの合図を待っていると、


「ちょっと味見してみて良いか」
「良いけど、封が開いてるのはもうないぞ」


レッドマウスのカードが入っていたチョコレートは、しっかり食べ切った。
食べるのなら、冷蔵庫にいれた未開封のものを出さないと、とスコールが言おうとした時、形の良い指がスコールの顎を捉えて、くん、と上向きにされる。

柔らかいものが、スコールの唇を覆うように触れた。
見開いたスコールの瞳に、柔らかく光る蒼の瞳が映り、何処か楽しそうに細められる。
呼吸ができない事に気付いたスコールが唇を緩めれば、直ぐに温かいものが滑り込んで来て、スコールの咥内をゆっくりと撫でた。
ぞくぞくとした覚えのある感覚がスコールの首筋を走ったかと思うと、それを与えた男の顔がついと離れ、薄らと濡れた唇を舌がなぞる。


「成程。確かに、甘いな」


これはコーヒーが欲しくなる、と言って、レオンはまた鍋へと向き直る。

呆然と立ち尽くすスコールが我に返ったのは、それから数秒後。
電気ケトルよりも判り易く沸騰して真っ赤になった弟を横目に、レオンはくすくすと、やはり楽しそうに笑うのであった。





レオスコいちゃいちゃ。
甘いのはチョコレートなのか、スコールなのか。レオンにとっては両方。
カードではしゃぐ弟を見るのは可愛いなあと思っている。

[スコリノ]アイ・ウィッシュ

  • 2021/08/08 21:00
  • Posted by k_ryuto
  • Category:FF


スコールが珍しく真っ当に休みを取ったのは、リノアの為だった。

何かと忙しいばかりで、変に真面目な気質がある所為で、日々を忙殺させているスコールだが、彼の本来の優先順位の第一位はリノアである。
そしてリノアは傍目に見ると奔放な所が多く、よくスコールを自分のペースで振り回しているように見られ勝ちであったが、その実、大事な所ではスコールの気持ちを優先してくれていた。
魔女になった彼女が、何処にも拘束をされる事なく、その事実も一部の人間しか知らない、と言う環境が赦されているのは、騎士となったスコールが“魔女戦争の英雄”として、また“バラムガーデンSeeDの指揮官”と言う公的立場を持っているからだ。
リノアの自由と安全の為にも、スコールは現時点で手元にあるカードを最大限に利用している。
その為の“指揮官”の席であり、肩書であったから、今はまだそれを剥奪されない為にも、この立場について回る義務は安易に放り出せないのだ。

しかし、そればかりを優先していては、リノアと共に過ごす時間は減るばかり。
“月の涙”の影響により、各地の魔物の凶暴化やテリトリー争いが激化した為、人々の生活圏までその脅威は食い込んでいる。
戦う術を持たない人々からは勿論、、軍の対応だけでは間に合わないと、他国からSeeDへの救援要請が増えたことで、スコールを始めとした主力ランクのSeeD達は忙しい日々を送っている。
任務から戻ったその日のうちにまた任務、と言う事も珍しくはなかった。
同時に、復興が進むトラビアガーデンへの助力も行っている為、人手は幾らあっても足りない。
こうした理由が重なる事により、スコールは益々休む暇と言うものを奪われて行くのだが、それではスコールの躰が死んでしまう。
そう言った理由もあって、幼馴染達の先回りの配慮で、スコールは折々に休みを取るようになった。
大抵、それはキスティスやサイファー、アーヴァインと言った面々が、スコールのスケジュールを密かに(勝手に、とスコールは言う)調整し、一日二日の休みを捻じ込むのが常であった。

しかし、今回のスコールは、自分から休暇申請を届け出ている。
スケジュールもしっかり確認して、緊急案件でも飛び込まない限りは、其処が空けていられるようにと調整した。
その日が何か特別な日だった、と言う訳ではないのだが、取るならこの日しかない、と思ったのだ。
申請を出した後、休みを取るから、とリノアに伝えると、彼女は飛び付いて喜んだ。
その笑顔を曇らせたくなかったから、スコールは何としてでも、その日だけは守るつもりであった。

かくして当日がやって来ると、スコールはリノアと連れたってバラムを発った。
たっぷりと時間をかけて休みを満喫するなら、出不精なスコールにとっては寮で過ごすのがベターであるが、それではリノアが詰まらないだろう。
それでも良いよ、とリノアは言ったが、折角の休みなんだから、と思ったのはスコールも同じだ。
折角、リノアの為に取った休みなんだから、彼女が喜んでくれる事がしたい────そう思った。

と言った所で、スコールに女子が喜ぶような甘酸っぱい計画が立てられる訳もなく、取り敢えずと言う気持ちでドールへと到着する。
此処を今日の場所に選んだのは、消去法で残ったからだ。
バラムは二人とも日々を過ごすので見慣れ過ぎているし、ティンバーはリノアがよく『森のフクロウ』に顔を出しに行っている。
デリングシティは少々遠いし、何より今のリノアは実家とガーデンを往復して過ごしているので、此処も彼女にとっては慣れた場所だ。
エスタは遠過ぎるし、二人で出掛ける為にラグナロクを飛ばすのもどうかと、選択肢から外した。
後に残ったのが、船一本でバラムと行き来の出来るドールであった。

だが、結果的にそれで良かったのだろう。
色々な種類の看板が石畳に連ねられたドール市街の街並みを歩き、両手に持った沢山の買い物袋の重みを感じつつ、スコールはそう思っている。


「あっ、あのお店可愛い!」


隣を歩いていたリノアが、向かう先に佇む店を指差して高い声を上げる。
小走りで軒先に駆け寄って行くリノアの手にも、店名の入った紙袋が揺れていた。

追って店前に辿り着くと、リノアがウィンドーに飾られたアクセサリーをしげしげと眺めていた。
クロスや天秤などをモチーフに、シンプルなデザインで作られたゴールドカラーのネックレス。
色違いにシルバーも添えられており、悪くはないデザインだとスコールも思った。


「うひゃあ、良いお値段」
「……買うか?」
「う~~~~ん」
「俺が」
「さっきも買って貰っちゃったからそれはダメ」
「……そうか」


リノアの遠慮に、別に良いのに、とスコールは思う。
確かにネックレスに紐付けられたタグには、そこそこ良い値段が書かれていたが、スコールの給料なら問題ない範囲だ。
カードとグリーヴァのアクセサリー以外に滅多に金銭を注ぎこまない上、忙しさのお陰で大して散財する機会もないスコールである。
興味もないものに投資のような真似事をする位なら、リノアが喜んでくれるものや、彼女に似合いそうな服やアクセサリーを買った方が良い。

スコールはそう考えているのだが、それをリノアに伝えた時、「私がスコールに甘え癖ついちゃいそうだからダメ」と言われてしまった。
甘えてくれてスコールは構わないのに、リノアは自身の線引きをしっかりと守ろうとしている。
それはスコールに迷惑をかけたくないからなのだが、今のスコールは、リノアにならどれだけ迷惑をかけられても良いと思っている。


(……昔と大違いだな)


欲しい気持ちと、財布の事情とで悩むリノアを横目に、スコールはそんな事を考える。


(あんたに振り回されるの、面倒臭いと思ってたのに。今はこんなに……嬉しい)


何気ないリノアの一言に、あっちこっちと目が忙しくなる。
彼女が何を見ているのか、何に喜んでいるのか、確かめて覚えなくてはと思う。
そう言う事を積み重ねて、ちょっとした事でリノアがころころと笑うのが嬉しかった。

だから今日はリノアの為に休みを取ったのだ。
彼女がしたいと言うことなら叶えてやりたくて、そうして笑ってくれるリノアの顔が見たかった。

悩みに悩んだ末、リノアは店に入るのを諦めた。
見る位良いだろう、とスコールは言ったのだが、


「入ったら欲しくなっちゃうし、スコールも買ってくれそうなんだもん」
「……別に良いだろう。ドールは滅多に来ないし、あの商品が次に来た時にあるかも判らないぞ」
「う~、そうだけどぉ。ほら、荷物ももう一杯だし。これ以上重くなったら大変でしょ」
「別に。殆ど服だし、軽いから問題ない」


二人の両手に抱えられた紙袋の中身は、殆どが服だ。
スコールがリノアの気に入った服を買い、リノアもスコールに似合いそうな服を買った。
その他、折角ドールに来たのだからと、幼馴染の面々たちにお土産を、と言うリノアの提案で、彼等にも合いそうなものを一点ずつ、此方は割り勘だ。
こうして二人の荷物は増えた訳だが、中身が服や小さなアクセサリーばかりなので、スコールにとっては嵩張りはすれども重さは気にならなかった。

それでも、良いの良いの、とリノアが言うので、スコールはそれ以上言うのは止めた。
遠慮していると判る彼女を前に、どう言う選択をすれば正解なのか、スコールにはまだ判らない。
甲斐性を見せる所だろうが、と頭の中で対象の傷を持つ男が背中を蹴った気がする。
帰ったら蹴り返そう、と勝手に仕返しを決意しつつ、スコールはリノアと並んで、オレンジ色の光に濡れる石畳を歩いて行った。


「帰りの船までまだ時間があるよね?」
「ああ。行きたい所でもあるのか」
「ん~……行きたいトコ、とかはないんだけど。ちょっとお散歩したいなあって」


そう言いながら、リノアがすす、と身を寄せて来る。
下から覗き込むリノアと目線を合わせれば、じい、とねだるような瞳がスコールを見詰め、


「……手、繋ぎたいであります」
「……塞がってる」


お願い、と小首を傾げて見せるリノアに、スコールは両手に持った買い物袋を掲げて見せる。
リノアもそれは判っていたのだろう、だよねぇ、と唇を尖らせた。

荷物云々は事実であるが、それでなくても、スコールは中々リノアと手を繋がない。
バラムガーデンでは周りの目線があるので仕方のない事だと、リノアも判っているつもりだ。
だからこうして、ガーデンから離れ、二人きりになった時位はと思ったのだが、荷物があるのでは仕方がない。
ついついはしゃいで買い込んでしまった自分を叱りつつ、でも散歩は出来る、と思っていると、


「……リノア」
「はーい」
「これだけ持ってくれ」
「ん?うん」


差し出された紙袋を、リノアは半ば反射的に受け取った。
薄手のシャツが二点入った軽い袋と、セルフィの土産にと買ったブレスレットの入った小袋。
それ以外の荷物を、スコールは既に物を持っている右手へと集め、空になった左手をリノアの前に差し出す。


「え?」
「………」


無言で差し出された、黒の手袋を嵌めた左手。
その意図を直ぐに理解できなくて、きょとんと眼を丸くするリノアに、スコールは薄らと赤くなった顔を反らしながら、


「……繋ぐんだろう」


そう言って、差し出した手を握ったり開いたり。
照れ臭そうなその仕種に、リノアの胸にむずむずと甘酸っぱくて温かいものが芽吹く。

リノアは直ぐに荷物を片手に集めて、右手をスコールの手に重ねた。
白くて細いリノアの指が、スコールの指の隙間にするんと入って絡み合う。
柔く握ってやれば、お返し、とばかりにぎゅっと握る返事があって、スコールの唇が和らいだ。





いちゃいちゃデートのスコリノ。

スコールは懐に入れた人間に対してガバガバになりそうなので、リノアに対して凄く甘いだろうなって言う。
それに遠慮なく甘えるリノアも好きですが、結構ちゃんと礼節を守ったり、誰かの迷惑にならないようにしようって頑張る子なので、際限なく甘やかしそうなスコールを宥めたりもしそう。
でも些細だけど一番のお願いをするっと叶えてくれるスコールに、やっぱり甘えたいリノアは可愛いと思います。

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