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Category: FF

[スコリノ]あなたの面影

  • 2025/11/15 21:00
  • Posted by k_ryuto
  • Category:FF

デュエルムファイナルファンタジーの話です。
βテストにて触れた、デュエルムのネタバレを含んでいます。
まだ本稼働ではないこと、βテストに参加した人しか触れていないことなど踏まえ、畳み+スクロールスペースがあります。
ご覧になりたい方のみどうぞ。

 

 

[プリスコ]その手を引いて空を見て

  • 2025/11/08 21:00
  • Posted by k_ryuto
  • Category:FF

オペラオムニア第一部9章後




飛空艇の甲板に立って、スコールは長く息を吐いた。
知らず知らずに溜め込んでいたそれを吐くと、胃の中に重く留まっていたものが抜けて行くような感覚がする。

異世界と言うものにこの両足で立ってから、思いの外、長い時間が経った。
その間に既知と遭遇することが出来たのは幸いだ───現時点で、相反する位置に立つ者がいるとしても。
ただ、その“既知”の状態が、今のスコールが思うものと違う状態であることが、彼の表情に翳を差す要因になっている。

一人の女神と、一人の男神によって造られていると言うこの世界には、様々な異世界から召喚された者たちが、戦士としてそれぞれの活動を行っている。
その中で、女神に召喚された戦士たちは、モーグリを指標と舌主立ったひとつのグループとして所帯を形成しつつあった。
スコールは恐らくは比較的早い段階で其処に加わることとなり、後続が随時加入していくのを見ている。
飛空艇の入手により、巡る世界がより一層広くなった今でも、この所帯は拡充しつつあり、それに呼応するように、足となった飛空艇の内部も拡大が続いている。

いつになったら元の世界に帰れるのか、と言うことは、幾ら気を揉んで考えても判らないばかりだ。
そして、それよりもスコールは、目下もっと頭の痛い問題がある。


(ゼルはラグナを知っていた。でも多分、あれは本人に会う前……エルオーネのジャンクションで見たラグナだ。アーヴァインは……何処までだ?あいつは結構、自分の本心を隠すのが上手いからまだ判らない。サイファーの方は、映画の主役としてのラグナで───)


頭の中に浮かぶ、この世界で幸いにも顔を合わせることが出来た幼馴染たち。
その様子を日々見る度に、彼らの言動が齎す“彼らの状態”と言うものが、スコールの溜息を増やす。


(サイファーは魔女アルティミシアを知らなかった。あの分だと、自分が一度は“魔女の騎士”になったか覚えているかも怪しい。確実に言える段階としては、SeeD試験の後か?風神と雷神も似たような所か)


スコールは、元の世界で辿った自分の旅路と言うものを覚えている。

“愛と勇気と友情の大作戦”を終え、魔女アルティミシアを本懐とした魔女戦争は終結した。
その後、戦犯としてガルバディア軍に追われていたサイファーを先んじて捕まえ、未成年の更生期間をもぎ取ってバラムガーデンに連れ帰った。
傍ら、長きに渡って鎖国していたエスタの国際社会復帰に際し、“魔女戦争の英雄”とされたスコールを擁するバラムガーデンが諸々の補佐をすることにもなった。

ともかく、後にも先にも、やる事は多かったのだ。
その間、ゼルを始めとしたスコールの幼馴染の面々も、トラビアガーデンの復興であったり、軍に接収されていたガルバディアガーデンの再校の為の代行手続きであったりと、多忙に振り回されていた。
おまけに“月の涙”の影響で、SeeDの派遣要請依頼も随時届くものだったから、とにかくバラムガーデン全体が大わらわだったのだ。
ガーデン内でマスター派と学園長派の内紛の折より、内職を手掛けていた大人の数まで減っていた中で、よくもやり切ったものだと思う。

────と、それだけ慌ただしかった直近の日々を覚えているのは、スコールだけだ。
それに加えて、どうも時間そのものが随分と違う状態で来てしまった者もいることが、スコールには頭が痛い。


(あのラグナは、昔のラグナだ。俺がジャンクションしていた時の。だから、俺たちの事も知らないし、映画が昔のものになってることも知らない。多分、“魔女”も違う)


スコールと同じ世界から来た者は、押しなべてこうした具合だった。
元の世界から召喚されたタイミングが全員バラバラだと言っても可笑しくないくらいに、記憶に重ねた経過時間が違う。
だから同じ話題を共有している筈なのに、それに対する認識がずれる。
かと思えば、ふとした折に認識がかち合う事もあって、どうにもややこしい。

特にラグナに関しては、過去の人間の前に未来の人間が出逢っている事になる為、何の拍子にタイムパラドックスでも起きてしまう可能性もあって、スコールは彼との会話にはより慎重にならなければならなかった。
これが、決して他者との会話や、その矛先を誘導することが得意ではないなスコールにとって、想像以上に疲れを誘う。


「………はあ………」


スコールは甲板の縁に寄り掛かって、深く息を吐いた。

本音ではこんな場所ではなくて、自分の城である寮部屋のベッドに引き籠りたい位には疲れている。
可能ならばこの飛空艇にもそんなプライベート空間が欲しかったが、残念ながらそれは叶わない。
寝室は様々な形で作られており、スコールも自分の寝所として確保している所はあるが、部屋は病室以外は基本的に大部屋だ。
他者の気配を寸断できる場所と言うのはないも同然で、辛うじて一人になれそうな場所、として妥協できたのが、この甲板の片隅であった。

飛空艇はモーグリが指す方角へ、操舵技術を持つ面々が話し合いで航路を決めて飛んでいる。
目的に着くまで、ただただ待っているしかないのは、いつかの海の上で漂った日々を思い起こさせた。

空に向かって溜息を吐いた所で、何が変わる訳でもない。
それでも、閉じ篭ることが出来ない今、こうしやって僅かに一人に浸れる時間が欲しかった。

そのまま、五分か十分か、スコールはじっと縁に寄り掛かっていた。
飛空艇は東に向かって飛んでいるようで、夜の色が急くように空を染めている。
吹く風にも冷気が混じり、望んで此処に来たとは言え、長居をするには向かなくなっていた。
もう少し、あと少し、気が済む程度に過ごしたら、中に入ろう───と思っていた時だ。


「おっ?」
「………」


スコールの後ろで、甲板を通り過ぎようとしていた足音がぴたりと止まる。
足音はそのままトットッと近付いてきて、スコールの傍で止まった。

スコールは縁に乗せた腕に顔を伏せていたが、その状態でも、近い距離からじいいいっとした視線が刺さるのが判る。
応じる気のないスコールはそのまま黙っていたのだが、視線はスコールの回りをちょこまかと動きながら向けられ続けた。
時にはスコールと縁壁の間から潜り込み、覗き込むようにしてくる無遠慮さだ。

遂には、つんつん、と髪の毛を摘まんでくるものだから、元来短気なスコールが根負けするのは無理もなかった。


「……」
「おっ」


胡乱な目でスコールが顔を上げれば、其処にはプリッシュがいた。

プリッシュは飛空艇の縁の上に登っている。
体を少し横に傾ければ、空の下へと真っ逆さまに墜ち行く場所で、少女は危なげもなくしゃがんでいた。

じとりと睨むも同然に見詰めるスコールを、プリッシュは臆する様子もなく見返して、


「こんな所で寝てたら風邪ひくぞ、スコール」
「……寝ていた訳じゃない」


全く邪気のないプリッシュの言葉に、スコールは急に毒気を抜かれた気分だった。

一人の時間を邪魔された気分は否めないものの、見下ろす少女の瞳には、言葉以上の他意もない。
疲れているとは言え、この少女相手に態度を尖らせるのも違う気がして、スコールは何度目かの溜息を洩らしつつ、寄り掛かっていた縁から体を起こした。

どうにも気分として動きが鈍麻になるスコールに、プリッシュは言った。


「なんか元気ねえなあ。腹減ってるのか?」
「……別に」
「飯食ったら元気出るぞ」
「……結構だ」


プリッシュとしては気遣いなのだろうが、スコールにとっては要らぬ世話だ。
放っておいてくれれば良い、とひらひらと手を払う仕草で「行ってくれ」と示す。
それを見たプリッシュは、ぱちぱちと瞬きをして、ことりと首を傾げる。


「腹が痛いのか?」
「……なんでもない。疲れてるだけだ」


少女を邪険にする気はないが、かと言って相手をする気にもならなかった。
今はただ、一人の時間があれば良い、とそれだけを希望する。

しかし、プリッシュはスコールが予想していない方向へと行動した。


「疲れてるんだったらさ、こっち来いよ」
「は?おい、」


ぐい、とプリッシュはスコールの腕を引っ張った。
小柄な少女にしては存外と力強い手が、スコールの体を遠慮なくその場から連れ出していく。

軽快な足でプリッシュが向かったのは、飛空艇の甲板の前方だ。
空を行く飛空艇が切る風の流れが、直接吹き抜けていく其処は、平時は閉塞を嫌う賑やかな仲間たちが過ごしている。
しかし、夜の帳も広くなったこの時間では、風の温度も下がった所為か、人の気配はない。

プリッシュはスコールを舳先の先端まで連れて来ると、


「ほら。ここ、気持ち良いだろ?」


何故か自慢げに言うプリッシュに、スコールは沈黙した。
どう反応したものか、眉根を寄せて唇を噤むスコールに、プリッシュはやはり気にせず明るく笑う。


「ぱーっと風が吹いてて、今日は天気が良いからずっと向こうまでよく見えるし。もう星も見える」
「……」


両手を空に掲げるように大きく広げ、高い頭上を見上げて言うプリッシュに、スコールも顔を上げた。
少女の言う通り、空は所々に薄く千切れた雲があるだけで、至って快晴だと言える。
薄く紫の混じった宵闇色に染まった天には、小さな光が点々と瞬き始めていた。


「何疲れてたんだか知らないけどさ。下ばっか見てたら、もっと暗くなっちまうぞ。お前、ただでさえいっつも疲れそうな顔してるんだから」
(……悪かったな)


恐らくは悪気はなく、傍目に見ていての単純な感想なのだろうだろうが、必然、この台詞にはスコールの眉間に皺が寄った。
それを見たプリッシュが、「ほら、それだって」と言って、スコールの眉間を突いて来る。


「もうちょっと笑って見ろよ。こういう感じで」


プリッシュは自身の頬を左右から摘まんで、むにぃ、と引っ張った。
頬がよく伸び、引っ張られた口角が緩やかな弧を作って、白い歯を見せて笑う。
くるくると忙しく表情を変え、いつも楽しそうに笑ってあちこちを駆けまわる少女の顔は、随分と柔らかいらしい。

スコールはそれを、いつもと変わらない表情で、ただただ見つめるのみである。


「……そう言うのは、パスだ」
「えー。良いから一回やってみろって」


やはり遠慮も躊躇いもなく、少女の手は伸びて来る。
低い位置から迫るその腕を、流石にスコールは拒否した。
振り払う仕草で伸びる手を嫌うスコールだが、少女はめげずにスコールの頬を捕まえようとする。


「やめろ」
「ちょっとだけ。お前の笑った顔って見た事ないし」
「必要もないのに笑える訳がないだろう」
「楽しかったら笑ってるもんだよ」
(しつこいな。と言うか、面倒だ)


プリッシュは諦めないぞとばかりに、スコールの顔を狙って手を伸ばしてくる。
これがプリッシュなりの気遣いだとしても、そろそろスコールは面倒が勝って来た。
一応は仲間だし、子供ではないようだが小柄な少女であるしと、手荒は避けたいスコールだったが、そうも言っていられる気分ではない。

ああもう、とスコールは半ば自棄になって、プリッシュの両の手首をそれぞれ捕まえた。
おっ、と言う顔で動きが停まったプリッシュを、そのまま身長差に物を言わせて持ち上げてやると、プリッシュは万歳した状態で爪先立ちになった。


「うぉ、とっとっと」
「もうやめろ」
「ええ~」


睨むスコールの一言に、プリッシュはまるで不満そうな声を出す。
うーうーと唸ってスコールの拘束から逃れようと、スコールの足を蹴ってきた。

プリッシュの言動はまるで幼い子供のそれだが、しかし、とスコールは思う。
この異世界で戦線を共有するに当たり、プリッシュはこの小さな体格からは想像も出来ない程の脊力を持っており、ベヒーモスのような超大型の魔物さえ平然と投げ飛ばす事もある。
それだけの怪力を有している戦士が、ただ掴んで釣り上げているだけのスコールの手から逃げられない訳がないのだ。
蹴る足とてそれは同様で、その気になれば、スコールの膝を蹴り割る位のことは容易いだろう。

────結局の所、これはじゃれているだけなのだ。
何処までがプリッシュの本位の行動かは判らないが、悪意もなければ、きっと悪気もない。
強いて言うなら、落ち込んでいるように見える仲間に、気分転換を試みているようなもの。


(………はあ)


零れた吐息は、ごくごく短く小さいものだった。
さっきまで壁縁に寄り掛かっては繰り返し漏らしていた溜息とは、少し違う。
現状への疲れから鬱々としていた気分は、いつの間にか薄れていた。

掴んでいた細い手首を離すと、プリッシュは「ありゃ?」と気の抜けた声を漏らす。
プリッシュは自由になった両手をしげしげと見つめた後、スコールの顔を見上げて来る。
宝石のように円らな紫電色の瞳が、じいっとスコールを見詰めた後、


「へへ」
「………」


にっかりと笑うものだから、スコールはやはり毒気を抜かれる気分だった。

舳先の向こうから冷たい風が吹いて、流石に甲板にいることに寒気を感じると、プリッシュも同様だったのか二の腕を摩る仕草をして、


「うわ、なんか急に冷えたな。本当に風邪引きそうだし、もう中に入ろうぜ」


言うなり、スコールの反応を待たずに駆け出していくプリッシュ。
返事くらい聞けよ、とスコールは思ったが、プリッシュを相手に今更と言えば今更だ。
やれやれ、と緩く頭を振る仕草をして、スコールは歩き出した。

先に船内へと向かう階段の前に到着したプリッシュが、早く来いよ、と言わんばかりに手を振っている。
寒いのなら直ぐに下りてしまえば良いだろうに、どうしてもプリッシュはスコールを放っておく気がないらしい。


「なあなあ、寒くなったし、何か温かいもの食いに行こうぜ」
(それは俺も付き合わないといけないのか?)
「一人で食ってもつまんないしさ」
(……食堂なら誰かいそうだが。まあ、いいか、もう)


どうでも、と半ばこれも投げやりになった気分で、スコールはプリッシュに付き合うことへの抵抗を辞めた。

まわりのことで気を揉む所為か、最近は疲労感が強くて、あまり食事に意義を見出せなかった。
食べることは食べていたが、日々の消費カロリーとのバランスを考えると、足りていない。
この世界は奇妙なもので、食事は摂らなくても死にはしないようだが、習慣からの体の反応なのか、食べない日々が続くと空腹感のようなものが付きまとう。
夕食も済ませた今の時間から、然程の量を食べようとは思わないが、プリッシュの言う温かいものくらいは食べてから、寝床に行っても良いかも知れない。

前を歩く少女は、まるでスコールがついてくることを確認するように、何度も振り返りながら細い通路を進んで行く。
まるで親がついて来るのを確かめる動物の子供みたいだ───とスコールは思うのだが、傍から見るとどちらかと言えば親子の立場が逆のように見えたと言うのは、当人の知らぬ話である。





11月8日と言うことでプリスコ。
オペラオムニアなら、二人は第一部から参入しているので、結構長いこと一緒にいるんだなと思いまして。ストーリーの時系列を断章含めまとめて下さった方に感謝。

オペラオムニアのスコールは、自分が全て覚えているのに、仲間たちはまちまち。
アーヴァインとはお互いに、第一部10章(サイファー加入前のタイミング)で、スコール・アーヴァインともに「アルティミシアを覚えている」と確信するまで、誰が何処までの出来事を覚えているのか探り探りしていたようですね。
此処に至るまで、スコールは「自分以外、元の世界で起きた出来事を覚えていない」と言う前提で考えていて、ひやひやしてただろうなと。

胃をキリキリさせてそうな頃のスコールに、案外面倒見の良いプリッシュがじゃれてたら良いな、と思ったのでした。

[ジェクレオ]満たされるのは幸福と

  • 2025/10/08 21:05
  • Posted by k_ryuto
  • Category:FF



冷蔵庫を開けて、ああしまった、とレオンは眉根を寄せた。
箱の中身は色々と詰め込まれた状態ではあるのだが、今日の主食に使えそうなものがない。
既に調理済みのものが入っているタッパーを取り出し、その中身を確認してみるが、どれも同居人を満足させる程の品にはならなかった。
ありものを掻き合わせて量を嵩増しさせることは出来るが、野菜ばかりで彼の胃袋は満足しないだろう。
動物性タンパク質の塊がひとつは欲しい、と思うが、何度冷蔵庫の中身を探っても、それを補ってくれるものは見付からなかった。

仕方がない、とレオンは冷蔵庫の蓋を閉じる。
ないものを幾ら探した所で、結局ないのなら見付かる訳もない。
時刻は直に毎日の夕食時間だが、今日は少し遅れるものと割り切って、今から何か買いに行こう。
レオンはそう決めて、リビングで新聞を読んでいるジェクトに声をかけた。


「ジェクト、すまない。買い物に行ってくるから、夕飯が少し遅くなる」
「今から行くのか?珍しい」
「此処しばらく、買い物に行き損ねていたからな。主菜に出来るものが残っていなかった」


財布を取りに行こうと自室へ向かおうとするレオンに、ジェクトがもう一度「珍しいな」と呟いてから、


「どうせ出るなら───おい、レオン。折角だ、食いに行こうぜ」
「え?」


財布と上着を取って、玄関へ向かおうとした足を止め、レオンはリビングを振り返った。
ジェクトもソファから腰を上げ、リビングの隅のチェストに置いていた折り畳み財布を取る。
それを色落ちしたジーンズのポケットに捻じ込みながら、ジェクトはレオンを追い抜いて、玄関へと向かった。

後を追う形でレオンが玄関前に立っていると、靴を履き終えたジェクトがドアノブに手をかけながら言う。


「毎日栄養管理してくれるのは有難いが、偶にはサボっても良いじゃねえか。一日くらい平気だろ?」
「それは、まあ……あんたも此処しばらくは、飲み会も控えているようだし」
「偶にはお前に楽に飯食わせてやりたいしな。奢りだ、行こうぜ。で、帰りについでにマーケット寄って、足りないもの買い足して置けば良い」


レオンの是非の返事を待たず、ジェクトは玄関を潜った。
行く気満々、仮にレオンが断ったとて聞かないだろうと判るその様子に、レオンはくすりと笑みを浮かべて、靴を履いた。

マンションを出たジェクトが、そのまま足で街へと向かうのを、レオンは並んで追う。


「ジェクト。何処に行くつもりなんだ?」
「さぁて。お前さんは何処に行きたい?」
「俺は何処でも構わないが───折角だから、あんたの行きつけを覗いてみたいかな」


ジェクトのマネージャーとして傍につき、仕事の効率も含め、レオンが彼と同居生活をするようになってからそれなりの時間が経っている。
その間に、レオンとジェクトは人目を憚るようにして関係を深め、今では密かに恋人同士となった。
しかし対外的には、ジェクトは水球選手として、レオンはその活躍を下支えすることを仕事とする、ビジネスパートナーとしての域は出ない事にしている。
世界的な水球選手として有名なジェクトにとって、漏れてしまえばスキャンダルとして大騒ぎになることは勿論のこと、何より、まだ二人はそれぞれの家族に関係を打ち明けることに躊躇いがあった。
その躊躇いは、家庭環境から来る相手への家族への若干の後ろめたさもありつつ、「まだ二人きりでいたい」と言う、秘密の共有による特別感を味わっていたかったからだ。

対外的には秘密の関係である為、二人がプライベートな時間を共に過ごすと言うのは、存外と少ない。
ジェクトはシーズン中は練習と調整、試合に明け暮れており、レオンもジェクトの生活管理やスケジュールの調整に追われている。
私的な時間がそもそも少ないこともあり、忙しい時には、同居していながら朝晩の挨拶くらいしか会話をしない、と言うのも珍しくはなかった。
飲み会も、ジェクトは選手同士で、レオンは所属チームスタッフと行くことが多いから、人付き合いも行く先もバラバラである。
お互いに良い年齢をした大人なのだから、余程のトラブルでもない限り、お互いの私生活には触れないのが暗黙の了解だった。

だからレオンは、ジェクトが好んでいく店と言うものを、詳しくは知らない。
どこそこの店に行ったとと言う報告や、あそこでジェクトを見かけたと言う目撃談は聞くので、街のどのあたりに好んで出没するのかは凡そ把握しているが、その程度だ。


「俺の行きつけねえ……」
「あんたが俺に店を知られたくないなら、無理にとは言わないけど」
「お前に隠し事する必要が何処にあるよ」
「身内にだって隠し事がしたいことはあるだろう。誰にも知られない隠れ家がひとつくらいは欲しい、って」
「お前も欲しいのか?」
「さあ。今も隠れ家生活してるようなものだからな、俺は。随分大きな隠れ家だけど」


秘密の関係性であることを暗に滲ませながら、笑みを浮かべて言うレオンに、ジェクトは読み取ったようでにやりと笑う。


「デカいから良いんだろ?」
「まあな。でも苦労する事も多い」
「感謝してるよ。お、其処の店にするか」


道すがらに看板を吊るした店を見付けて、ジェクトの足が其方へ向いた。
誘われるままにレオンも其処へと入る。

店の中はがやがやと賑やかな声が犇めいており、店員が忙しなく歩き回って食事を提供している。
どうやら大衆食堂のようで、アルコールの提供も多く、ご機嫌な歌を歌っている人が其処此処にいた。
ジェクトは勝手知ったる場所なのか、店員の案内を待たず、空いている席を探して、隅にあったテーブル席へと腰を下ろした。
レオンも向かい合う椅子に座りながら、辺りを見回してみる。


「よく来る店か?」
「まあな。カツとパスタが旨いんだ、食うか?」
「そうだな。何が良いのか判らないし、あんたのオススメがあればそれにしよう」


レオンの言葉を聞いて、ジェクトは満足そうに笑う。

右へ左へ忙しくしている店員を一人捕まえたジェクトは、メニュー表も見ずに注文を通す。
店員は相手がジェクトである事に気付きつつも、特段のリアクションはせず、注文をメモして厨房へと消えていった。
この街では知らない者はいない、と言っても過言ではない程のジェクトが入店しても、店員は勿論、客も強く気にする様子がない。
客の中には声を潜めながら此方を見ている者もいるが、それだけだ。
成程、これならジェクトもゆっくり飲める、とレオンも悟る。

十分もしない頃に、ウェイターが料理を運んできた。
先ずはジョッキのビールに、大きなカツレツにソースとマッシュポテトが添えられ、オレンジ色のスープが並ぶ。
更にトマト色に煮込まれた野菜に、大きなポークソーセージ。
太い筒状のショートパスタには、魚介のクリームソースがかかっていた。
そのどれもが、特にはカツレツが皿をはみ出る程にサイズも量も大きいものであったから、レオンは眉尻を下げて苦笑する。


「ジェクト。頼み過ぎじゃないか?」
「いつもこんなモンだよ」


ジェクトはそう答えながら、カツレツにナイフを入れている。
レオンは、食べきれるだろうか、と戸惑いつつ、ショートパスタの皿を傍へ寄せた。

レオンがパスタを食べている間に、ジェクトは料理を平らげていく。
昔からよく食べる方だったとレオンは覚えているが、もう中年の年齢になっても、ジェクトの胃袋は衰えを見せない。
カツや唐揚げと言った油ものは今でも好物で、母国に帰った折には、息子と大人げない争奪戦を繰り広げている光景もよく見る。
毎日の水泳練習や筋肉トレーニングも欠かさないから、食べ物の消化は勿論、代謝率も下がらないのだろう。

それを思うと───と、レオンはポークソーセージを齧るジェクトを見ながら、


「なあ、ジェクト。あんた、ひょっとして俺の作るものだと、物足りなかったりしないか?」
「ん?」


ビールを流し込みながら、ジェクトはぱちりと瞬きをひとつ。


「突然なんだよ」
「いや……こうしてあんたが食べている所を見ると、もっと量があった方が良いんじゃないかと思って。食べる量が足りないのなら、あんたのパフォーマンスにも影響するかも知れないし、メニューの基準を変える必要があるかと……」


ジェクトが日々を試合の為に集中できるように、彼の生活まわりのことは、レオンが管理している。
栄養管理はその最たるものとも言え、効率的に体作りの下となる食材を選び、疲労回復にも秀でた物も取り入れていた。
レオンは長い間、早逝した母に代わり、働き盛りであった父と、年の離れた弟の面倒を看ていたから、こうした知識や技術を取り込むことには積極的である。
しかし、単純なカロリー摂取量と言う点で言うと、レオン含めた家族がそれほど量を摂るタイプではなかったこともあって、やや控えめになっている所は否めない。
ジェクトとその息子の面倒を看るようになってからは、彼らの為に量を増やすようになったが、根本的には健康志向と言って良い範疇だ。

テーブルに重ねられていく空の皿を、真面目な表情で見つめているレオン。
何処まで増やすべきだろう、と真剣に考えている様子のレオンに、ジェクトはくっと喉を鳴らして笑う。


「良いよ、別に。お前の作る飯に不満なんかねえしな」
「……本当か?あんたの身の回りの管理は、あんたの為のもので、それは俺が整えるのが仕事だ。不満、と言うか、改善した方が良い点があるのなら、それは遠慮なく言って欲しい」
「真面目な奴だな、ホントに」


レオンの言葉に、ジェクトは苦笑を交えて言った。


「お前はお前なりに、ちゃんと計算して飯作ってくれるだろ。それで物足りなきゃその時に言うし、追加も出してくれるじゃねえか。十分だ」
「……」
「飲みの後には楽に食えるモン作ってくれるし。そりゃあ、偶にもうちょっと濃いモンが食いてえなって思うことは、まあ、あるけどよ」
「やっぱり」
「偶にだ、偶に。大体、毎日それをやるのも良くないもんだろ?」
「それは、な。摂った分、それ以上に消費しているなら、問題はないかも知れないが……長い目で見ると、歓迎は出来ない」
「そう言う所をお前が全部やってくれてるんだ。それで、俺の好みに合わせた飯を作って貰ってる。腹持ちも十分良い。贅沢なもんだ」


そう言ってジェクトは、ジョッキに残っていたビールを一気に煽る。
そして、空になったジョッキをテーブルに置くと、


「それより、食う量ならお前だ、お前」
「ん?俺?」


突然に矛先が向いて来たものだから、今度はレオンが目を丸くする。
何を言い出すのだろうと首を傾げるレオンに、ジェクトは続けた。


「うちのガキより食わねえじゃねえか。そんなだから細いんだよ」
「細くはない。あんたを基準にしないでくれ」
「細いだろーが、腰なんかこう……」
「だから、それもあんたの手がでかいから」


両手でレオンの腰のサイズ感について表すジェクトに、レオンは眉根を寄せて言い返す。
ジェクトにとって自分自身が基準になるのは無理もないが、決してそれは一般的な規格サイズではないのだと、レオンは繰り返し主張するのであった。





10月8日と言う事で、ジェクレオ。
今年もプロスポーツ選手×マネージャーです。周りを気にしてるようで気にしていない生活をしている二人のいちゃいちゃ。

レオンに胃袋を掴まれているジェクトですが、毎日作るのは大変だよなと言うのは判っているので、偶にはこんな日もあるかも知れない。
体格ではレオンは標準よりも上、しっかり締まった筋肉質だと思うんですが、ジェクトからすると細いと良いなと。そもそも体幹や骨の作りの基準が違うと言う。あとジェクトの手が大きいので、大体の人の腰は両手で覆えてしまう感じ。

[ティスコ]いっぱい食べる君と一緒に

  • 2025/10/08 21:00
  • Posted by k_ryuto
  • Category:FF



スコールの食への興味と言うのは薄いものだ。
生きる為に必要なので行うが、それ以上に求めるものはない。

ないが、味覚は至って正常であるし、日々の生活相応に育まれているので、美味い不味いはきちんと判る。
判るので、食べるのなら不味いよりも美味い方が良い。
頬が落ちる程の美食にありつきたい訳ではなかったが、“食事をする”と言う毎日不可避とも言える営みの過程について、なるべく負荷を減らしたいとは思う。
となれば、口に入れるものはそれなりに旨いに越したことはなく、日常生活でそれを賄う為に必要となる労力=料理の手間についても、それなりに惜しまない。

ただ、スコールにとって面倒となるのは、“食べる”ことそのものを指すことも少なくない。
必要でないのなら摂らなくても構わない、だが現実は結局必要なので食べる───そんな具合だ。
これは幼い頃からの感覚で、元より体質として小食気味であったことも大きいだろう。
幼い頃は特別な時にだけ食べられるケーキであったり、微かな記憶で、生前の母が作ってくれた菓子も料理も好きだったとは思うが、成長に伴ってその感情も薄らいでいく。
母が亡くなり、多忙な父と兄だけに押し付けてはいられないと、自ら家事仕事を引き受けたのも、遠因とは言えるかも知れない。
自分が作る料理と言うのは、作っている時からつぶさに見ているので、食べる段になる頃には飽きが来ている。
毎日創作料理に打ち込む程に料理が好きな訳ではないし、食べるものも味が予想できるものが殆どだから、父の言葉を借りれば「食べる時のワクワク感」とか言うものがないのだろう。

自分で作ったものを食べることにおいて、スコールの感情は特に波立たない。
日々の生活の一部、必要なので行うことであって、スコール自身もそれで十分であった。
成長期の年頃なので、一日のエネルギーはそれなりに消費する為、補給は適宜必要だが、必要な分が摂れれば後は特に気にしない。
必要な分と言うのも、他者から見れば随分と少ない量らしく、「それで大丈夫なのか?」と聞かれる事も多い。
特に問題はないので、スコールは自分が食べるものとその量について、特に気にする事はなかった。

だが、同居している人間がいて、その人も食べると言うのであれば、その限りではない。
特に、高校生になって、幼馴染と同居生活が始まってからは、尚更。

高校入学を機に、スコールと幼馴染のティーダは、実家を出て二人暮らしをすることになった。
共に父子家庭であり、スコールと年の離れた兄も保護者替わり含め、両家の家ぐるみの付き合いが始まってから8年目のことである。
入学先は違うものの、それぞれの学校を地図で結んで丁度中央あたりに、ルームシェア前提の物件があった。
二人の父と、スコールの兄も、多感な時期の少年たちを心配する気持ちもあって、二人一緒なら少しは安心だろうと送り出してくれたことに因る。

二人の生活は、存外と上手く回っている。
時々喧嘩をすることもあるが、意地を張り勝ちなスコールに対し、素直で怒りが長続きしないティーダが詫び、それを見たスコールの方も謝ることが出来る。
時にティーダが素直さ故の落ち込みを見せれば、スコールが言葉下手なりに寄り添って、甘えるティーダを宥めることもあった。
生活サイクルについては、ティーダが専ら健康優良児で、それに引っ張られる形でスコールも規則正しい生活が送れる。
勉強は、ついつい目を反らしてしまうティーダをスコールが捕まえ、勉強机に縛り付けての指導も始まっるので、父が心配したティーダの成績も、なんとかセーフラインをキープしていた。

この生活の家事については、基本的には当番制としている。
しかし、水球部に所属するティーダは、部活として練習が多くなる他、一年生の頃からエースとして主力に抜擢されて大会に出場することも多い。
そうなると帰宅時間が遅くなったり、休日も家にいない事が増え、その時期はスコールが専ら家事を引き受ける事になっていた。
ティーダはこのことについて、「最初に二人で決めたのに、なんか、ごめん」とよく詫びるが、スコールは気にしていない。
ティーダのように芯から打ち込める類を持たないスコールにしてみれば、手が空いている者が雑事を引き受けた方が生活の効率は良いし、何より、ティーダの邪魔をしたくなかった。
水を掻き分けてボールを追い駆けるティーダの姿は、スコールの密かな憧れだ。
彼自身が目指し求める高みまで、昇り詰めていってほしいから、スコールはそれを応援するつもりでいる。

────そう言う訳なので、スコール自身が食事に然程の関心を持っていないとは言っても、幼馴染の為にはそれなりにきちんとしたものを作らなくては、と思う。
何せ食事と言うのは、選手の体作りにあって、大きな役割を占めている。
スコールは栄養学の本や、ボリュームがありつつ健康的な料理の本など、こまめに探しては目を通すようにしている。
そして幼馴染の為に作った食事を、スコールも一緒に食べるので、案外とスコールの食生活と言うのは、ボリュームも栄養バランスもしっかりと整えられたものになっていた。

ティーダもそれをよく判っている。
毎日自分が食べているものが、幼馴染の献身的な援けのお陰で賄われていることも、それを作る為に勉強が欠かされないことも。
その感謝の想いは折々に口に出してはいるものの、ティーダはそれだけでは足りない気持ちもあった。
もっとちゃんと、形にして、大好きな幼馴染に「ありがとう」を伝えたかったのだ。

ティーダも料理はそこそこ出来る。
彼の父は家事の一切に不向きなタイプであった為、彼の実家では専らティーダがそれを担うことになった。
とは言え、幼い時分は流石に難しかった為、スコールの兄が二家族分の家事を引き受けていたこともある。
それから徐々にティーダが一人で出来ることを増やし、中学生になる頃には、台所も十分に使えるようになっていた。
今現在でも、ティーダが当番の時に台所を使う機会はままある。
ただ、料理のレパートリーに関しては、スコールのように逐一調べたり本を開いたりすることはなく、大味で豪快な代物が専門と言った所であった。

今日はそんなティーダが、大会明けで久しぶりとなる、台所仕事に立っている。
曜日当番を順当にすると今日はスコールの番だったが、大会期間中はスコールが全てを担っていたので、それがようやく終わった今日は引き受けさせてくれ、と言ったのをスコールが頷いた。

お陰で、今日は久しぶりにキッチンにはノータッチのスコールだ。
朝食、昼食もティーダが準備してくれ、片付けも引き受けてくれた。
存外と暇な時間がぽっかりと出来て、スコールは落ち着かなかったが、手伝いを申し出ても断られる。
ティーダにしてみれば、今日はスコールへの恩返しの日なのだ。
仕事の類はさせてくれそうになかったので、スコールはのんびりと、テレビを見たり本を読んだり、と言う“休日”を楽しませて貰った。
そして夕飯の準備もやはりティーダがやってくれているので、食卓でその完成を待つばかりである。


「もうちょっとで出来るからな、スコール!」
「……ん」


台所でオーブンレンジを見守っていたティーダの言葉に、スコールは小さく頷いた。

オーブンからは香ばしいハーブの匂いが漂っている。
スコールが台所を見た時、其処にはオイルをたっぷりかけ、バジルを始めとした香草と野菜に囲まれた、大きな鶏肉があった。
中々手の込んだものを、と思っていたのだが、どうやらオーブンに入れっぱなしで焼けば良い、とのこと。
ティーダがインターネットで調べたその料理は、元々は大きな鶏を丸ごと使うものだったそうだが、流石にそんな食材は手に入らないし、あったとしても二人で食べるには多すぎる。
手頃なサイズ───と言っても、スコールから見ると十分大きいのだが───のもので、同じものを作ることにしたのだそうだ。

主食の米に、インスタントに少し手を加えたミネストローネのスープ、そして千切ったレタスのサラダ。
着々と食卓に並べられたそれに続いて、焼き上がりのサインを鳴らしたオーブンが開けられる。
アルミホイルを敷いたオーブントレイが、まずはそのまま、食卓の鍋敷きの上に置かれた。


「じゃーん!ハーブローストチキン!」
「……でかいな」


どどんと豪快に出現したチキンを見て、スコールは呟いた。
如何にも豪快で、健啖家なティーダらしい料理に、こっそりを笑みが浮かぶ。

スコールの反応は、ティーダも概ね予想していたのだろう。
すぐにナイフを持ってきて、鶏肉の真ん中に刃を入れた。


「でっかいから良いんスよ。っつっても、このままじゃ食べにくいから、切り分けるよ」
「ああ」
「焼き加減は……うん、大丈夫、良い感じ!」


真ん中からぱっかりと割った肉の色をまじまじと確認して、タィーダは安心したように笑った。

切り分けられたチキンは、まずはスコールの皿へ。
胸肉一枚の半分サイズがそのままやってきて、スコールは呆れた溜息を吐きつつ、


「ナイフ、もう一つ持ってくる」
「まだ大きかった?」
「食べ易くする」


食器棚からテーブルナイフを持って来て、スコールはチキンを切った。
半分サイズであったそれを更に四等分にする。
その間に、ティーダも自分のチキンを半分に切って、そのまま自分の皿へと移した。

チキンは皮に程好い焦げ目が付いており、熱の入ったオリーブオイルが沁み込んで、きつね色に輝いている。
其処に肉と一緒に火の通った野菜を飾るように乗せて、食卓は整った。
台所仕事を終えたティーダがエプロンを解き、スコールと向かい合う席に座って、両手を合わせる。


「いただきまーす!」
「いただきます」


兄にしっかりと躾けて貰ったお陰で、食前の挨拶は忘れられない習慣だ。
元気なティーダの声に合わせる形で、スコールも言った。

スコールは切り分けたチキンにフォークを刺して、口へと運ぶ。
半分の更に半分、と言う大きさでも、塊としては十分に大きく、スコールは一口では頬張れない。
端に歯を立てて、ぐっと顎に力を入れて噛み千切り、口の中でよく噛んでいくと、歯切れの良い感触と共に脂の味わいがじゅわりと染み出してきた。


「ん、」
「うまい?」
「……ん」


スコールの反応を見ていたティーダが、頷くその様子を見て、「へへっ」と嬉しそうに鼻頭を赤らめる。
そしてティーダも、手製の大きなローストチキンに被り付いた。


「あっちち、んぐ、ふーっ、ふーっ」
「火傷するぞ」
「大丈夫、大丈夫。はぐっ、んぐ、ん、」
「……喉に詰まらせるなよ」


焼き立てのチキンの熱さに負けず、ティーダはもう一度齧りつく。
白い歯が肉を噛み千切り、皮がパリパリと良い音を立てて裂かれて行った。

肉と一緒に野菜も食べれば、肉汁の甘味が玉葱やナス、パプリカとよく馴染む。
ミネストローネが少し塩気が強かったのは、ティーダの舌の好みで合わせたからだろう。
スコールは自身が薄味の方が好みであるし、カロリー計算するうちに塩分量も控えめに意識するのが癖になったから、今夜の味はティーダの料理ならではだ。
普段が節制気味であるとスコールは自覚している。
それは幼馴染の健康を気にしているが故だが、今日は大会も終わり、ティーダが久しぶりに料理を作ってくれたのだ。
偶にはこう言うのも良い、と思いながら、スコールは今夜の食事を味わっていた。

スコールが皿の上にあるものを半分食べる頃には、ティーダの皿はもう空になっている。
テーブルの中心に置いたオーブントレイに残った二枚のうち、自分用の残りをティーダは持って行った。
此方も豪快に齧りつくその様子に、スコールは相変わらずのことながら、


(……よく食べるよな、ティーダは。昔からだ)


スコールが覚えている限り、ティーダは昔からよく食べた。

お互いの家が知り合ったばかりの頃は、食事を用意してくれる隣家への遠慮があったようだが、「ごちそうさま」と言いながら腹を鳴らすティーダを見て、兄が察した。
気にせず食べて良い、と信頼関係を築くと共に、遠慮の壁も徐々に取り除かれ、いつしかティーダはすっかりよく食べるようになった。
ずっと小食で、兄も父もそれほど多くは食べないのが普通だったスコールから見れば、何処に食べ物が吸い込まれて消えるんだろうと、不思議に思ったくらいだ。

育ち盛りの二次性徴の時期を迎え、運動部に入ったこともあり、ティーダの食欲は益々旺盛している。
そんなティーダの腹を満足させつつ、栄養過多にならないバランスを探るのは、中々に大変ではあるのだが、スコールはその手間を存外と厭ってはいなかった。

スコールの皿には、切り分けた肉が残りひとつ。
そろそろ腹が膨らんできて、オーブントレイに鎮座しているもう半分の肉の塊には、手を付けられそうにない。
けれども、これだけは食べておこう、とスコールは小分けの肉にフォークを刺した。

スコールのその様子を見たティーダが、嬉しそうに頬を赤らめて笑う。


「スコールも今日はいっぱい食べてるな。ちょっと多かったかもって思ってたんだけど」
「多いは多いが……まあ、もう少しなら。でも、そっちはもう入らない」


オーブントレイのチキンを指差すスコールに、ティーダは頷いて、


「良いよ。無理に食べると腹壊しちゃうしさ」
「そいつは明日の晩飯にする。ミネストローネも残ってるだろ」
「うん」
「一緒に煮込めば明日の一品にはなる」
「良いなあ、美味そう。明日の晩飯、楽しみ!」


今から明日の夕飯を想像して、ティーダは嬉しそうに言った。
今だって食べているのに、よく明日の食事ではしゃげるな、とスコールは思う。
それだけティーダにとって、“食べる”と言うのは楽しみとして大きいのだろう。


(……だから、ティーダと食べるのは、好きなんだ)


一枚分のローストチキンをすっかり平らげつつあるティーダを見ながら、スコールはそんな事を思う。

幼馴染が嬉しそうに食べている姿を見る内に、スコールもなんだか胃袋が刺激されるような気がして、もうちょっと食べよう、と思う。
いつもより多い一口、二口と、何故か口に運ぶことが出来るから、不思議だった。
ティーダがそんなに美味しいと言うのなら、同じものなら自分も美味しく食べられるような気がして。

その様子を見ている内に、嘗て兄が、隣家の父子に手料理を振る舞う手間を惜しまなかった理由が判る気がした。
失敗して焦げた料理も、ひっくり返し損なって崩れたハンバーグも、ティーダはいつも嬉しそうに食べてくれる。

自分で作ったローストチキンを、ティーダはしっかり食べきった。
オーブントレイに残っていた肉は、別の皿に移して、ラップをして冷蔵庫へと仕舞われる。
あとは食器の片付け、とスコールが流し台の前に立った所で、


「あ!俺がやるっスよ、スコール」
「今日は全部あんたがやっただろ。片付けくらいはやらせろ」


握ったスポンジを攫おうとするティーダを、スコールは腕を引いて避ける。
ティーダは最後までやる気だったのだろう、唇を尖らせてくれるが、じっと見つめるスコールの目を見て、譲られないと察すると、


「うん、判った。じゃ、あと頼むな」
「ああ」


何もかもを相手にして貰っては、反って落ち着かなくなると言うのは、二人ともにある事だ。
ティーダはしょうがないな、と言う顔をしながら、スコールの気持ちを汲んだ。

これだけやらせて、と言う台拭きをティーダに任せ、スコールは食器を洗う。
その傍ら、コンロに残っている鍋を見て、


(……明日)


当番の順で言えば、正しくは明日がティーダが夕飯当番だ。
だが、明日の料理はもう決まったし、それを作るのはスコールである。

失敗しないようにしないとな───と頭の中で明日のメニュー表を作りながら、スコールはスポンジに洗剤を足した。





10月8日と言う事で、ティスコ。
ティーダの食べっぷりに感化されてるスコールが浮かんだ。
ティーダがすっかりスコールに胃袋を掴まれていますが、スコールは別の意味でティーダに胃袋を掴まれていると良いなって。

スコールも男子高校生だし、Ⅷ原作は傭兵としての体作りとしてそこそこ食べそうな気もしつつ、ティーダはそれ以上によく食べる健康優良児と言うイメージがある。
水泳ってエネルギー使うよね。筋肉だけでは重い、体が冷える(スフィアプールが普通の水かは置いといて)ので、それなりに脂肪もついてると良いなと思っているので、その辺がスコールのシルエットと差があったら良いな……と思っています。

[ジタスコ]守り人

  • 2025/09/08 21:00
  • Posted by k_ryuto
  • Category:FF



折々に仲間たちよりも背が低い事をネタにして、羨んでみせる言動をしてはいるけれど、実の所、本気でそれを妬んでいることはない。
確かに見栄えのする体格と言うものは良いものだが、では自分が自身の世界でそうも小さかったかと言われると、そうでもない、と言う感覚があった。

ジタンの世界は多種多様な種族が坩堝のように一つの国街で入り混じっていたし、種族で固まる傾向があった国でも、行商人が行き交うのでやはり多様な姿を見る事が出来た。
だからジタンより大柄な者は勿論いたし、大人であってもずっと小柄な者もいたのだ。
どちらかと言えばジタンは標準的な所であった筈、とも思っている。
加えて、「ヒトの魅力は体の大小に左右されるものではない」と知っているので、この異世界であっても、自分が小柄な類に入ることについて、然程気にはしていなかったのだ。

ただ、ルーネスもそうだが、小柄であるが故に───年齢の所も大いにあるが───、若干の子供扱いのようなものを受けることも儘ある為、其処については時折閉口することもある。

と言った個人の心中如何はともかくとして、ジタンは自分が他人を見上げることが多いことについて、深く気にしたことはない。
今直ぐどうしようもないと言う所もあるし、心が大きく持てば十分、と言う自信もあった。
何にしろ、小柄であることは、身軽を生かす盗賊であるジタンにとって良い事だったし、恥じる必要など何処にもなかったのだ。

────だが、今ばかりはもう少し、身長が欲しいと思う。
体の力を半分ほどは失った状態で、辛うじて歩を進めるのが精一杯と言う仲間に肩を貸しながら、ジタンは苦い表情を浮かべて歩いていた。


(何処かに休めそうな場所───背中が守れて、出来れば屋根があって、隠れられそうな場所が良い。何処かにないか)


鼻先を刺す鉄錆の匂いに顔を顰めながら、ジタンは目を皿のようにして辺りを見回す。
鬱蒼とした森には、湿った匂いが充満し、薄暗い天上からはゴロゴロと不穏な音が聞こえていた。
あれが泣き出す前に、せめて頭上を守れる所を見付けたいが、この辺りの地形は全くの未探索だ。
何処に何があるのか、何処に向かえば何処へ出るのかも判らないから、ジタンはとにかく真っ直ぐに歩いていた。
川でも崖でもなんでも良いから、突き当りにぶつかるまで真っ直ぐ進むようにしないと、あっと言う間に迷子になってしまう。
今の状況で、それだけは避けたかった。

遅々と進まざるを得ないジタンの肩には、スコールが寄り掛かっている。
その身体からは明らかな発熱症状があり、ジタンの耳元には、小さく痛みに呻く声が零れ届いていた。
体はジタンの肩に担ぎ抱えられる事で辛うじて姿勢を保っており、足元を引き摺りながら、ジタンの歩に倣う格好で辛うじて歩いている。

ジタンは肩の重みがずるりと落ちることに気付いて、足を止めてスコールの身体を支え直した。
肩に回していた腕を引っ張って、首の後ろにスコールの上腕が被さるように乗る。
それから背中と肩でスコールの胸元を持ち上げる形で乗せて、両の足をしっかり、真っ直ぐ、膝を伸ばして立った。
其処までやっても、スコールの長い足は半ばほど折れた形で、背中は丸まっていないとジタンの体に身を預けられない。


「スコール、もうちょっと頑張れな。なんなら、オレに乗っかってても良いから」
「……」


声をかけるジタンに、スコールからの返事はない。
項垂れる顔を横目に見遣れば、スコールは辛うじて目を開けてはいたものの、唇は蒼く半開きになっていて精気がない。
意識を保っているのが精一杯、と言う状態だった。

ぽつぽつとした雨粒が落ちて来るのを感じて、ジタンは小さく舌を打つ。
せめて本降りになる前に休める場所を、と辺りを見渡したジタンの目に、ひとつ大きな樹が映る。
樹齢を何百年と重ねた見た目をしたその根元は、土が小山のように膨らみ、其処からはみ出て剥き出しになった根が絡み合い、洞を作っていた。

ジタンが其方へ近付いてみると、洞はぽっかりとした空洞になっており、獣の気配もない。
土の湿った匂いばかりが漂う其処を覗き込んで、魔物の類がいないことを確認すると、ジタンは其処にスコールを座らせてやった。


「う……」


体を動かすと痛みがあるのだろう、呻く声が漏れる。
ジタンは脂汗を滲ませたスコールの額に軽く拭って、自分のベストを脱ぎ、スコールの体の前側に被せてやった。
袖のないベストは、スコールの着ているジャケットよりも大した防寒具にはならないが、ともあれないよりはマシだろう。
今は彼の体温が、汗と湿気の冷気で奪われないよう、保ってやることが大事だ。

今、スコールの体には、スピアー種の魔物が総じて持ち得る毒が回っている。
歪の中で遭遇した魔物と戦っている最中、最後の足掻きにうち放たれた毒針が皮膚を掠めた。
獲物を捕らえ、生きたまま捕食する趣向を持つ魔物の毒は、時間と共にスコールの体を蝕み、体を動かしただけで全身に激痛を起こす。
受けた直後に治療できれば深刻化することもないのだが、今日の探索はジタンとスコールの二人で行っていた。
ポイゾナやエスナと言った、浄化系の魔法を使えるバッツが、今日に限っては不在だったのだ。

歪を脱出した頃からスコールは自力で動くことが困難になっていた。
毒消し薬は念の為に持ってはいたものの、それだけでは浄化しきれずに、じわじわとスコールにダメージを与え続けている。
こうなっては、直ぐに帰投する、と言うのも難しく、ジタンは安全に休める場所で症状が落ち着くのを待つしかない、と判断した。

そしてようやく、この洞穴に辿り着いたのだ。


(雨が降り始めたし、これなら魔物もあまりウロウロしないだろうな。止むまでは休んでいられるか)


ジタンは、壁に寄り掛からせたスコールの傍に座って、外を見ながらそう考えた。
雨粒は少しずつ大きくなっており、本格的な雨になろうとしている。
発熱と痛みを抱えたスコールを、この中に歩き回らせなくて済んだ事に、ほっとした。

なんとか腰を落ち着けることが出来たのだから、あとはスコールの容態が悪化しないようにしなければ。
ジタンは荷物袋の中から水筒を取り出して、スコールに差し出した。


「スコール。水、飲んどけよ」
「……」
「腕動かせるか?」


薄く目を開けたスコールが、重い腕を持ち上げる。
痛みを堪えて眉根を寄せる様子と、手指を動かすのもやっとと言うスコールの表情に、ジタンは水筒の口を自分の方へと寄せた。
一口分、水を咥内に含んで、スコールの頭を上向けさせる。
唇を重ね、薄く開いた隙間に液体を注ぎ込むと、スコールは微かに呻く声を漏らしながら、ごくりと喉を動かした。

口を離すと、はあっ……とスコールの唇から呼気が漏れる。
ジタンは、もう一口、と水を含んで、同じように唇を重ねた。


「ん……、う……っ」
「……っふぅ……」


ごく、こくん、とスコールの喉が鳴って、ジタンは顔を離した。
呼吸が出来るようになると、スコールは大きく息を吸い、吐いて、と数回繰り返す。
その都度に痛みを堪える表情はあるものの、彼の呼吸は随分とスムーズに送り出されるようになった。

水分を摂取し、また浮き始める額の汗を、ジタンは手袋を外した手で拭う。
そのまま手の甲でスコールの首筋に触れると、とくとくとした鼓動の感触があった。
それはジタンが普段知っているものよりも微かに早く、毒によって体内臓器の稼働がまだ過剰な働きをしていることを教えてくれる。
だが、歪を脱出したばかりの時に比べれば、そのリズムの早さは幾らか収まっていた。


「このままじっとしてれば、もうちょっと楽になるかもな」
「……ああ……」
「悪いな、魔法が使えなくて。エスナが使えりゃ、もっと早く治せるのに」
「……それは、あんたの所為じゃ、ないだろ……」


詫びるジタンに、スコールは眉根を寄せながら言った。
気にしてくれるな、と言うスコールの言葉に、ジタンも慰められて頷く。
ないものねだりはどうしようもないのだから、と。

降りしきる雨は真っ直ぐに地面に落ちて、柔らかな草土の地面に沁み込んでいく。
風は感じられなかったが、空を覆う雲の動きは早かった。
この分なら、思うよりも早く雨は止んでくれるかも知れない───とジタンが思っていると、


「……ん?」


雨のカーテンの向こうに、茫洋と近付いて来る人影がある。
生き物ならば避けるであろう雨の中を、ゆっくりと幽鬼のように進む人影と言うのは、如何にも不気味で不穏だった。

目尻を尖らせて影を睨むジタンの想像に違わず、それはイミテーションだった。
視覚よりも気配を追ってくるタイプか、イミテーションは右へ左へふらふらと蛇行するように歩きながら、徐々にジタンたちが身を休めている洞穴に近付いている。
その不規則に歩く一体に追従するように、大きさの違う人影がひとつ、ふたつと増えて来るのを見て、ジタンは眉根を寄せる。


(こんな時に、面倒なのが来ちまったな)


体温を奪われれば凍えてしまう生き物と違い、人形たちに生物的概念は通じない。
雨だろうが雪だろうが、滾るマグマがすぐ傍にあろうが、環境の不利を感じることなく、襲い掛かって来るのだ。
加えて、疲労感と言ったものに堪えるものでもないので、幾らでも歩き回るし、戦い続けることが出来る。

このままジタン達が洞穴でじっとしていれば、程なく見つかることだろう。
ジタンは、傍らでじっと呼吸を整えることに終始しているスコールを見た。
時間の経過とともに、毒による神経痛の類は多少収まっているようだが、体はまだ発熱している。
激しい戦闘が出来るような状態ではないことは、傍目に明らかであった。

ジタンはスコールの額に手を伸ばして、傷の走る眉間の辺りに指をあてる。
薄らと浮かぶ汗の感触を感じていると、蒼灰色が薄く開いて、ジタンを映した。
蒼に剣呑とした色が滲んでいるのを見て、彼もまた、ジタンと同じく近付く存在に気付いていることが判る。


「……ジタン……」
「ああ。大丈夫だよ」
「………」
「気にすんなって。こういうのは、お互い様なんだ」


スコールは、自身がまだ戦える状態まで回復していないことを理解していた。
忌々し気に眉根を寄せるスコールに、ジタンは浮いた眉間の皺を指先でぐりぐりと押しながら笑って見せる。
立場が逆なら、きっとスコールも同じことをしているのだから、と。


「お前はしっかり休んでな。もし体が動けるようになったら、手伝ってくれれば良いさ」
「………」


ウィンクをしたジタンの言葉に、スコールは目を閉じて溜息をひとつ。
それが必要な程に苦戦はしないだろう、と言葉なく信頼した気配を感じて、ジタンは金色の尻尾を揺らした。

武器を手に洞穴を出ると、雨はまだ降っていたが、視界は然程暗くはない。
雨粒が目元を叩くのが鬱陶しかったが、けぶる程の大雨になっていないのは幸いだった。
イミテーションの姿ははっきりと形が判る程に近くなり、あちらもジタンの姿を遂に確かめたか、蛇行した動きがなくなり、三体が真っ直ぐ此方に向かって近付いて来る。

イミテーションのどれか───恐らくは先行していた一体───は、秩序の戦士が此処に二人いることを感じ取っているだろう。
ジタンは、洞で休まざるを得ないスコールを背に庇う位置に立って、二本のダガーを構えた。


「ようやく休憩できる場所があったんだ。もうちょいゆっくり休ませてくれよ」


言った所で、イミテーションが容赦などする筈もない。
槍に杖にと構えるイミテーションよりも先に、ジタンは強く地を蹴って走った。





9月8日と言うことでジタスコ。
怪我したスコールを抱えてるジタンが浮かんで、身長足りないよなぁ……とか思いつつ。
体が動かないスコールに、ジタンが躊躇なく口移ししてるのが見たいなとなったので。

大事な人とか仲間を守るために、ちょっとした軽口や雰囲気を出しながら、当たり前に戦うモードに入るジタンは格好良いよなと夢を詰めた。
スコールの方も、ジタンがこうなら大丈夫、と信頼していると良いなあ。

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